2012年05月26日 ザ・コンパスで放送
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返還40年、置き去りにされた「沖縄」を考える

戦後、27年間米国の統治下にあった沖縄が日本に返還されて、5月15日で40年を迎えました。復帰にあたり、日本政府が掲げた方針は「本土並み」でした。しかし、40年後の沖縄はその理念からいまだ遠い状況にあります。
国土面積の約0.6%しかない沖縄県内に在日米軍基地の約75%が集中しています。この40年間、沖縄県民は、米軍基地の縮小、撤去、そして日米地位協定改定を求めて闘い続けてきましたが、「現実」は固定化されたままです。特に、負担軽減の象徴となるはずの普天間基地の移設・返還問題の道筋はいまだみえず、日米両政府は名護市辺野古に移設する方針を変えていません。沖縄の米軍基地は、米国の軍事戦略の変化に伴い、分散化を模索する方向にありますが、日本の安全保障政策が沖縄の基地負担の上に成り立っているのは事実といえます。
一方、この40年間に国が投じた沖縄振興予算は、9兆2144億円、基地関連予算なども含めると、10兆円を超えています。しかし、県内の失業率は47都道府県中最悪、復帰後は常に全国平均の倍近い高さで推移する状態が続いており、1人当たりの県民所得は全国平均の約7割にとどまっています。昨年末に沖縄タイムス社と琉球放送が沖縄県民を対象に行った県民の意識調査では、84%が「本土」との間に「格差がある」と答えています。

そこで、「ソーシャルTV ザ・コンパス」第5回では、返還40年を迎えた沖縄の現在と今後について、「基地」と「経済」という2つの視点からオピニオンリーダーの皆さまからご意見をいただければと思います

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:返還から40年経った現在も、沖縄に全国の米軍基地の約75%が集中していることについて、どう思いますか?
Q2:問1の回答の理由を具体的に教えてください。
Q3:沖縄にとって負担軽減の象徴である普天間基地移転問題が迷走していますが、政府はどう解決すべきだと思いますか?
Q4:“本土並み”を目指す沖縄の経済成長を妨げている理由は何でしょうか。
新たな経済成長のためには、どんな手立てがあるのか、具体的に教えてください。

オピニオンリーダーの回答

( 34件 )
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1. 日本の安全保障上やむをえない

宮家邦彦
外交評論家,株式会社外交政策研究所代表
Q2. 「1 - 日本の安全保障上やむをえない」の回答理由
 やむを得ないとは答えましたが、今後とも可能な限り沖縄の負担を軽減する真摯な努力を続けるべきことは当然です。また、現在喫緊の課題は鳩山政権の下で崩れてしまった東京の中央政府と沖縄県との信頼関係の再構築であり、これなしには如何なる話し合いも生産的ではないでしょう。
 ちなみに、「全国の米軍基地の75%が集中」とは「米軍専用の施設区域」についての数字であり、「自衛隊との共同使用の施設区域」は含まれていないはずです。沖縄の負担の真の重さを単純に数値化するのは非常に難しいことだと思います。
Q3. コメントする
鳩山政権の下で崩れてしまった東京の中央政府と沖縄県との信頼関係の再構築から地道に始めるしかありません。
Q4. コメントを控える
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「1 - 日本の安全保障上やむをえない」の回答理由
中国との緊張関係を考えると沖縄に一定の比重が置かれることはやむを得ない
中国との緊張関係を考えると沖縄に一定の比重が置かれることはやむを得ない面がある。ただし、日米安保をどう考えるのか、どこまでアメリカが周辺地域の安定にコミットしてくれるのかは、十分に検証していく必要もあろう。

また、沖縄に基地があることによる経済的な意味もあったようであり、歴史的に見ると、こうした状況を避けることは難しかっただろうと思う。
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普天間基地機能の辺野古への移設は、自然破壊の問題、巨額の財政負担、地元の強い反対などから、好ましい解決ではない。とするならば、九州など他の地域に一部負担を求めるとか、そのローテーションとか、一部はグアム移設などの複数の選択肢を組み合わせるなどの方法によって、少しずつでも沖縄の負担を軽減する方向で検討していくほかないと思われる。
Q4. コメントする
すべてが本土と同じになる必要があるわけではなく、地域の特性を生かしていくことを考えるべき。

もっとも、本土から遠いことが一つのネックだけれども、これは仕方のないことであり、沖縄の魅力を生かした多様な事業を興して人々を呼び込むようにするしかない。

経済特区のような一部の規制緩和による産業誘致などもあっていいだろうが、その地域の経済成長は、基本的に、その地域の人たちが中心となって創意工夫を凝らして、自らが立ち上がることが期待されるのであって、外部から何かを与えるといった形で助けるのは筋が違うだろう。
 
 
マリヨン・ロバートソン
都市開発会社Metplan社Chairman and CEO
Q2. 「1 - 日本の安全保障上やむをえない」の回答理由
日本側からの新たな打開策が提示されない限り、安全保障上、防衛前線基地は必要。
現状を維持する事が妥当か否かは軍事戦略の専門家の範疇で有り、容易くコメントできないが、先般の尖閣諸島での中国船による暴挙、その後も頻繁に行われている威嚇行動に対する日本政府の対応の手ぬるさは、ひどく歯がゆいものである。北朝鮮のミサイル問題でも米軍の情報に頼った対処であり、国防の基本が政府内にない現在、最新の備えを持った自衛隊も機能できないのでは。沖縄の不幸、と言うと大袈裟かもしれないが、返還後40年経った今も、国防や平和維持に対し理念や方針を持とうとしない政治家が、他山の石のように扱っているからではないか。現在、ハワイや沖縄でいくつかの地域開発プロジェクトを進めているが、どちらもよく似た環境だなと思うことがある。ハワイも太平洋における軍事拠点としては最大の設備を持ちいたるところに基地や付属設備が点在している。観光と軍事が地元経済の軸となっているのも同様だ。大きな違いはハワイが第二次世界大戦後、アメリカ合衆国の50番目の州となったのと、沖縄は一定の支配期間を経て、日本に戻ったというところだろう。無論、乱暴な比較ということは分かっているが、前述した様に妙に重なって見えてしまう時がある。
沖縄での米軍基地の減少を本気で考えるのなら、米国政府に対し、日本政府が、自衛隊や沖縄以外に現存する米軍を最大の活用をするなどの新たな防衛政策を日本側から打ち出さない限り、米国は基本方針を変えることはないだろう。
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現在ある他の基地、嘉手納などの再考察をし、そこに組み込む事は考えられたのだろうか。 かなりの余裕を持った土地の使い方に思える。
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妨げている理由は多々有るが、それよりも大事なのは、沖縄が本土離れをし、東シナ海の中心となる利点を活かし、物流などの一大拠点となるべき。沖縄を真ん中にして地図をみれば、地の利がよくわかる。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「1 - 日本の安全保障上やむをえない」の回答理由
沖縄在留米軍と自衛隊とは沖縄を含む日本の防衛上、不可欠の存在である。米軍撤退となれば、北京が沖縄に擦り寄ってくる。沖縄の中国支配を防ぐためにも米軍の辺野古移設は当然の措置である。
 そもそも沖縄県民は40年前、米国による統治よりも日本への返還を望んだはずだ。そうであるならば、日米安全保障条約と日本の安全保障の真意について理解しているはずだ。
 沖縄は日本の戦略的要衝地に位置する。中国海軍は太平洋展開を画策している。それを阻止するのが沖縄であり、尖閣諸島である。北京の狙いは沖縄の中立化であるはずだ。いわば沖縄のフィンランド化(旧ソ連時代に独立国でありながらモスクワに逆らえなかった国際的立場)を狙っていると思われる。その地平線上には沖縄の独立がある。沖縄が独立し、米軍が沖縄を去った途端、北京の魔の手が沖縄に伸びてくる。沖縄県民は中国に対する従属的地位に甘んじるつもりか。
 普天間基地周辺が戦闘機の騒音に悩まされていることは事実であり、これはただちに改善されなければならない。辺野古への移設はそれを解消するための次善の策である。中国と北朝鮮から沖縄を含む日本全体を防衛するには沖縄の米軍と自衛隊とは不可欠の存在である。沖縄にあること自体に安全保障上の意味がある。
 沖縄のメディアは全般的に左寄りである。メディアが沖縄県民を洗脳、誘導している節もある。せめて中立的立場で報道することを心がけるべきである。
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沖縄県民が日本国民である以上、中央政府の方針にも理解を示すべきだろう。これを所与とするならば、辺野古移設は早急に実施されなければならない。普天間基地周辺が騒音という公害に悩まされていることは事実である。辺野古移設によってこれを解消できる。他府県への移設は安全保障上、その意味が喪失してしまう。東京とワシントンの合意に基づいて日本政府は粛々と辺野古移設を推進すればよい。そうでないと、日米安全保障条約が形骸化するばかりでなく、日米両国の関係にひびが入ってしまう。
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リゾート地沖縄、観光の沖縄を全面的に打ち出す方針がまずは必要だろう。世界のスーパーリッチをひきつける観光開発が不可欠である。そのためにはヘリポートなどインフラのさらなる整備が必要だろう。また、カジノを解禁し、沖縄をカジノの特区に指定したうえで、世界のカジノ大手を沖縄に誘致することが必要と考える。
 
 
小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「1 - 日本の安全保障上やむをえない」の回答理由
国防は必要。そのために基地は必要。沖縄は地政学上の要地。アジアと日本のためには、ここに置くしかない。
国防は重要である。武力による国境の侵略のリスクは常に存在する。国家として、防衛のための何らかの基地は重要である。それが日本軍の基地でも米国軍の基地でも同じことである。

地政学上、アジアの安全保障のためには、沖縄は極めて重要な地域である。国防の能力を上げるためには、沖縄に基地を置くのが戦略上は最適である。
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どこかが負担しなければならない。それがどこであれ、先送りするのでなく、一刻も早く基地の場所を決定すべきである。基地が長期的になくなることはあり得ず、半永久的に存在する前提で、決定すべきである。
Q4. コメントする
各都道府県により、成長率は異なる。沖縄には沖縄の理由があり、北海道には北海道の理由があり、青森も同じである。

それは政府の政策の影響もあるし、環境もある。したがって、現在の状況を踏まえて、制約条件の中で、政府も民間経済主体もベストを尽くさないといけない。

沖縄が特殊である理由は、政府が中途半端な態度をとっているために、現状をそのまま受け入れて、そこから成長を目指すという発想になれない、という状態になっていることである。

したがって、基地を置くという前提を真正面から政府が受け入れ、その前提で、すべての経済主体が将来を考えるしかない。
 
 
藤巻健史
株式会社 フジマキ・ジャパン代表取締役社長
Q2. 「1 - 日本の安全保障上やむをえない」の回答理由
吉田首相が「日本は経済発展にお金を裂き、安全は米国に助けてもらう。そのための応分の負担を行う」という方針を決め、今まで日本はやってきた。その意思決定が賞賛され国民の支持を受けてきた。その結果が、防衛費は4兆円と社会福祉の10分の1以下という極めて防衛費が低い世界で稀有な国となっている。
北朝鮮の存在や尖閣列島問題等の紛争を考えると、日本が丸腰でよいという選択肢はないだろう。
今、フォークランドでも再度、英国とアルゼンチンの間がきな臭くなっていると聞くし、イラン問題等を考えても、世界中どの国においても、丸腰のままでいられるのは絵物語だ。
となると、日本の選択は、①相変わらず米国に助けてもらう または ②米国に出て行ってもらい、自力の軍隊を持つかの、どちらかである。
①は、相手との交渉マターであり、自分かってに物事は進まない。

自民党政権下で、せっかく決まっていた普天間基地移転をぶち壊した鳩山元首相の責任は極めて重い。

沖縄に95%の米軍基地が集中しているのは、決して良いことではないし、沖縄県民の方に申し訳ないと思うが、自国で軍隊を持つという選択をしない限り、鳩山元首相のせいで現実的解決法は なくなってしまったのではないかと思う。。
Q3. コメントする
自民党政権下で、せっかく決まっていた普天間基地移転をぶち壊した鳩山元首相が自分の責任において解決を図るしかない。
ここまで来ると①普天間が固定化されるか②自国の軍隊を持って米軍に撤退してもらうかの選択枝しかないのではないか?ポピュリズム政治のコストは大きかったことを認識すべき。
Q4. コメントを控える
 
 
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2. 沖縄の基地を減らすべき

本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
 沖縄だけを犠牲にするのは明らかに問題あり。返還後40年の長きにわたる沖縄県民の負担軽減は最優先されるべき。
 沖縄だけを犠牲にするのは明らかに問題あり。返還後40年の長きにわたる沖縄県民の負担軽減は最優先されるべき。
Q3. コメントする
 米国の太平洋における戦略の変化を考慮し、日本特に沖縄集中の軍事基地を国外移転含めて検討すべき。はじめに沖縄の基地ありきでなく、沖縄の基地削減をした場合にどう対応する、という順番の思考が求められる。
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 経済成長を妨げてきたのは、基地の存在によって観光県としての発展がしにくい環境だったこと。さらに基地にかかわる予算投下によって一定の経済効果があったため沖縄県が観光含めて独自の産業振興をしにくい状況が続いていたこと。
 新たな経済成長のためには、沖縄を特区として、その立地条件を活かした観光、貿易、農業、医療等の振興が必要と思われる。
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
負担は全国民で分かち合うべき
負担は全国民で分かち合うべき
Q3. コメントを控える
Q4. コメントする
沖縄だけが成長していないというわけではない。
土建型、工場誘致型の従来の成長モデルに時期的に乗り遅れただけ。
サービスや観光、貿易、そして、金融などの大幅な規制緩和を行う。
どうせなら、香港を目指して、自由貿易地区にしてしまったら。(もちろん、沖縄在住の人が選択することが必要条件だが)外交は日本が行うが、経済政策、外国人移住、経済規制、関税などは沖縄地区が独自に決めるというような。
 
 
坂東眞理子
昭和女子大学理事長
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
減らすべきだし、減らすことは可能です
米軍にとっても、高度装備の空中戦対応、海・空軍対応に重心が移りつつあり、陸軍はじめとする兵士の数は減らせるはずです。
Q3. コメントする
自民党政権時代の名護に戻すことは不可能なので、改めて白紙に戻って合意形成の努力をすべき。
Q4. コメントする
私は2日前沖縄に行ってきましたが、アジアのハブ空港として活況を呈していました。
中国からの観光客も戻っていました。琉球王国時代の海洋交易の基地、アジアの時代が始まっていました。
沖縄を経済特区として、医療ツーリズム基地、オフショア金融基地、科学技術大学院を核としたベンチャー育成措置などをすれば、本土以上に豊かで自由な経済活動が可能になると思います。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
長期的には沖縄の基地は減らす方向で行くべきだ。しかし、この問題は、現実的に、状況の変化に応じて対応するるしかない面もある。それにしても、沖縄基地問題へのアメリカの議員の動きが伝わってくるのに、日本の政治家の取り組みが見えてこないのは不思議だ。
長期的には、沖縄への過度な米軍基地負担は減らす方向でいくべきと考える。
しかし、同時に、この問題は状況の変化によって対応するしかないとも思える。日本の政権が交代する、中国や北朝鮮に何らかの重要な動きがある、アメリカの政権が代わる、アメリカの軍事政策が変わる、などである。
それにしても、基地問題について「政治生命を賭ける」というような政治家がいないのは残念だ。マケイン上院議員などアメリカの有力政治家の、沖縄基地問題に対する意見や働きかけは伝わってくるというのに、いったい当事者である日本の政治家は何をしているのか。沖縄県民の気持ちはよく分かるが何もしない、というなら国民と同じレベルではないか。
Q3. コメントを控える
Q4. コメントする
沖縄には大きな振興予算がついていることで、逆にそれに県民がそれに依存してしまっているという考えはちょっと雑なような気がする。
沖縄には鉄道がないが、そのことが産業の育成やさらなる観光の発展を阻害しているともいえる。しかし、それは、主要な土地が米軍基地に取られてしまっていて、土地の要所要所が分断されてしまっているという現実があるからだ。
基地を置いてもらっている代わりに予算を付ける、という考え方は、原発立地地域のそれと同じことだ。そうではなく、基地削減も含めて、沖縄にとってどのような発展の形が望ましいかに沿ったきめ細かい支援が必要だと思う。
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
中央政府の役人は一日も早く、琉球を含めた道州制下の政府に大政奉還すべきだ!
沖縄の基地がメディアで取りざたされるとき、必ず治安への悪影響や事故の危険性が取りざたされますが、あえてそこに留まって琉球の人達が本当に訴えたい問題を意図的にすり抜けてきた、あるいはむごたらしく黙殺してきた犯罪的偏向報道、世論操作があると日頃から感じています。それは、琉球の人達が本当に訴えたいのは、日本における安全保障上の観点からの沖縄の位置付けに他ならない、つまり有事の際の本土の楯、弾除け、防波堤という役割をいつまでも背負わさないでほしい、ということではないでしょうか。
その点をさらに曖昧複雑にするために憲法第九条の話を持ち出して「沖縄の人は平和主義者だから」とか「私は戦争は絶対に反対です」などとわざと議論にならない話をメディアは持ち出し、国民の思考意欲をそぎ落としてきたように思います。戦争など誰しも反対に決まっているわけですが、隣国の大兵力を前に、ただ頑なに戦争反対を叫ぶ人は私から見たら「私は病気など絶対に反対です。病気は嫌いなんです。あなたもそう思うでしょ。病気ほど悲惨なものはありません。ですから私は病気を断固拒絶します」と力強く決意表明しているのと同じに聞こえてしまいます。とはいうものの、兵器を持たない=攻撃されない=戦闘がおこらない=平和が維持できるは正しい方法、つまり究極の戦略かも知れません。伝え聞くところの太平洋戦争で大兵力が配備されていなかった石垣島は被害が甚大ではなかった話や座間味諸島の惨劇の事実などからすると、つまり不戦=無戦ということは言えるかも知れません。不戦こそ最上の戦略(=戦をしない知恵)という考え方は近代戦ではより正しいのかも知れません。つまり無兵=戦略、孔明の「空城の計」と道元の「空手還郷」をくっつけた「空手の計」は戦略として正しい、という議論は成り立つと思います。
さて、国家の存続のため、運営上、あるいはアジア地域の安全保障上、いたしかたない、これからも日本の尖兵としてがんばってほしい、本土防衛のための敵国のミサイル攻撃や上陸部隊の急襲のターゲットとしていつまでも矢面で頑張ってほしい、とはっきり日本政府が見解を示すならば、そしてその条件として県民の税金を免除するなど交換条件を準備するならば、議論は始まるかも知れませんが、今のままで何をどう議論していいかわからない、というかあえて論点をぼかして狡猾老獪な外交姿勢で「なんとかそこのところは、こういうことで・・・」と揉み手でお願いし、一方で「補助金無くなりますよ」とか脅す「アメムチ作戦」は、いつまでも通用するものではないと思います(ところで思いつきで造ったノーベル賞受賞者を集めるとかの国際的な「天下り大学」はもうできたのでしょうか?ぜんぜん活動の様子が伝わってきませんが、そこいらへんにころがっている「国家プロジェクトNG」になったのでしょうか?やっぱり!?)。
そういう事情ですから「最低でも県外」とのさるお方の御提唱に琉球の人達は大いにこの問題を正面から議論して早急に決着をつけるべきだ、と喚起されたのだと思います。当たり前のことですが、琉球の方々は「本土の楯になるような役割はもうたくさんだ。」とだれもが思っていらっしゃることでしょう。
ところが未だにメディアはその視点に触れません。先に述べた基地の直接的弊害、例えば「基地の騒音でうるさい沖縄」のイメージだけを国民に刷り込み(もちろんこれはこれで大問題ですが)、「昔は立川もこうだったんだよなぁ。今でも大和市なんかそうだって言うじゃないか」とテレビの前で訳知りなおっさんらが子供らに言い聞かせ、そこから先を考えさせないようにすることを狙っているのだろうと想像します。
戦争屋さんの視点から見てやっぱり沖縄は重要だ、つまり「安全保障上、抑止力としての兵力を維持することが戦略上(戦略=戦闘を避ける知恵)最良の策である」だとするならば、日本国政府はそう明言した見解を示して「次はちゃんと勝からね。アメリカさんがついてるし!」と懇願すべきで、国民全体にもしっかりと理解してもらい、もちろん国際的なアピールも行うべきであって(だから戦略。あたりまえですが)、それに対して正面から琉球の人達の意見を聞くべきだと思います。
そうなると琉球の皆さんにはもちろんきっぱりと断られるに違いないでしょう。
こういうことですから、沖縄にしかり、福島にしかり。ここで国民一人一人の生活の権利とはなにか、そしてもう見え透いた情報操作や低俗なばらまきや恫喝で国民屋世論は動かせない、という現実をしっかり理解し、日本の国という枠組みをしっかり考え直し(これは「時間をかけて議論して・・・」とかいういつもの日本的なうじうじした非生産的習慣に陥るという意味ではありません)、道州制を即座に実施すべき時が来ているように思います。そのためにはまず大阪、そして東京が補助金天下り国家である日本国から独立し、次いで琉球、北海道が独立していただきたい。こうなれば一気に国家の枠組みを変えることができると思います。
つまり役人どもが「大政奉還」する時が来た、という意見なんですがいかがでしょうか?
今まで日本は良くやってきました。国家もそうです。誇りに思います。感謝しています。これからもっと輝くために、独立国家の集合体、つまり道州制の合衆国です。
これで地方も中央もなくなります。消費税の問題もすっ飛びます。世間知らずなくせに偉そうに持論を展開する御用学者(私も似たようなもの)も出る幕がありません。
よろしくお願いします!
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誰の目にも明らかなように、もうどうすることもできないのではないでしょうか。
最初のコメントで疲れましたが、とにかくここまで話がこじれたというか、日本政府の失態がきわまった以上、「こんな案でどうですか?」という小手先の姑息な手段は無効だと思います。それに時間をかけて不祥事のたびに大臣を変えても結局不祥事の歴史を積み重ねるだけ。大臣が変わるたびに必ず発生する失言問題や不祥事がもうこれ以上積み重ならないためにも一刻も早くこの問題は解決しなければなりません。どうせまた、「この問題はとにかく不退転の決意で時間をかけてゆっくりと、とりあり合えず消費税を不退転の決意で解決してから不退転の決意で解散して、不退転の決意で落選して・・・あれっ?落選したらもう終わりかぁ・・・」というふうになるのは100%間違いないと予想しているのですが・・・。
先のコメントで述べたように「それじゃあ、もうこうなったら、今まで隠してきた『そもそも』というところから議論しましょう」というふうにまったく違った視点というか次元を変えて議論を始め、すぐに行動に移すべきだと思います。つまり道州制下の琉球政府に決定してもらう、というのが最良の解決法だと思います。
Q4. コメントする
琉球の人達がこれまで従順すぎたと思います。
まだ気が付いていない人もいるかも知れませんが、今琉球の人達の発言権は絶大です。
道州制の導入。天下り役人の根絶とこれまでの失政に対する懲罰。などどんどん要求すべきだと思います。
「べき」論や「スジ」論ではなく、情勢として決定権は琉球にあるのです。琉球選出の議員さん達も下らない中央の政争にまきこまれることなく、これまで以上に真剣に琉球の独立問題を具体的に議論し、全国に訴える時ではないでしょうか。それでフクシマや六ヶ所村やもんじゅの他の地域に展開されている「棄民政策」の論点も明らかになり、日本全体が救われるように思います。私などが言わなくても先日琉球の政治家さんにこう言われました。
「この日本には中央も地方もない、そして琉球は日本と言う国家体制にたまたま帰属してやっている、琉球というクニなのです。」
琉球が今までの『日本というクニの安全保障上犠牲になっているかわいそうな地域」から脱却するのは琉球の人の自覚次第です。
そうなって、独自のプレゼンスを国際社会にも確立し、中華民国や中華人民共和国、のみならずフィリピン、ベトナム、ブルネイ、マレーシアを含めた南シナ海交易圏の中心的存在として、「福建」同様の、確固たる地位を築いて欲しいと思います。そしてそれらの国々と日本との平和の懸け橋になってほしいのです。
是非とも頑張ってほしいです。
 
 
河野勝
早稲田大学政治経済学術院教授
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
沖縄県の人々だけが、米軍基地を負担しなければならないというのは、けっして平等であるとはいえない。「安全保障上やむをえない」と言い続けるのでなく、沖縄に基地を集中しなくても、日本の安全保障が維持される方法を考案する斬新な構想力とそれを実行する決断力が、いまの政治家たちに欠けていると思う。
Q3. コメントする
アメリカ政府は、現在、3軍の垣根を超えるような、大規模な軍事戦略の再検討や基地の見直しを進めていると聞いている。この機に日本は、アメリカの政府のみならず議会関係者へも働きかけ、空軍基地である嘉手納に普天間施設を統合していくよう、努力していくべきである。アメリカの軍事問題に詳しい上院議員の実力者の中には、嘉手納統合案に理解を示すものも少なからずいる。こうした人たちとのパイプを深めていけば、日本の国益とアメリカの国益が一致する形での解決が可能であると考える。
Q4. コメントを控える
 
 
鈴木豊
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・公認会計士
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
日本をめぐる国際・アジア状況から、米軍基地の存在は認めざるを得ません。しかしこの負担は日本国民全体で負わなかなければならないことは明らかです。
日本をめぐる国際・アジア状況から、米軍基地の存在は認めざるを得ません。しかしこの負担は日本国民全体で負わなかなければならないことは明らかです。国内の可能な地域を見つけできるだけ早く移転すべきです。とはいえ候補地を見つけ・地元の了承を得るのは簡単ではないのですが、これを進めるほかはありません。
Q3. コメントする
負担軽減の実質を説明すべきです。実質的に負担の軽減になっていることを検証し明らかにすべきです。一方で移転縮小のための代替地を見つけなければなりません。
Q4. コメントする
振興予算は、実質的にはインフラ整備に大半が充てられているのではないかと思われます。インフラ資産をいくら増やしてもその時だけ経済・産業に貢献するかもしれませんが、中長期的には経済活性化にはなりません。経済・産業の技術的・ソフト的インフラ構築とその運営について支援しなければ経済成長はおこりません。支援の目標・成果・プロセスの選択と意思決定の間違いがあるように思えます。故に沖縄で可能な技術開発・観光開発・アジア圏との交流基地・マンパワー集め・資金集めのノウハウの創出を始めるべきです。
 
 
熊谷亮丸
大和総研チーフエコノミスト
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
普天間基地は縮小することが可能である。平時は基本的に使用しないものの、有事に備えて基地を残すことが必要だ。
Q3. コメントする
まずは過去の迷走を政府として公式に謝罪した上で、地元の声に耳を傾けつつ、胸襟を開いた議論を行うべきだ。
Q4. コメントする
沖縄の地域特性などを最大限に活かした経済振興策を策定することが重要である。

特区制度などを活用して、東アジアとの交易型産業、観光・リゾート産業、環境関連産業、情報通信関連産業、農林水産業、健康食品産業などを、戦略的に伸ばす必要がある。

個人的には老後は沖縄に住みたいので、本土からの移住促進策を推進して頂きたい。
 
 
若狭勝
弁護士
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
沖縄における異常事態は明白である。そのため、沖縄基地を減らすことを最優先としながら、それと並行して、国の安全保障は、どうあるべきかを検討しなければならない。具体的には、自衛隊による国の安全保障をどのように展開していくかの問題である。ただ、この問題は、一朝一夕には結論が出ない。出ないけれど、今から根本的な検討を早急にしていなかければ、沖縄の現状は変わるべくもない。
Q3. コメントする
現実問題として、普天間の危機的状況を打破するためには、当面、暫定的に辺野古に移す方法の具体化を考えることになるように思う。もっとも、問2で述べたように、並行して、国の安全防衛の観点で、根本的に自衛隊の在り方、配置の在り方を早急に検討すべきである。
Q4. コメントを控える
 
 
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
国土面積の約0.6%しかない沖縄県内に在日米軍基地の約75%が集中しているのは、異常という他ない。在日米軍基地が集中していることについて、沖縄の人々の多数が一貫して歓迎しているのであれば、その状態を続ける理由になるが、そうではないから、基地は減らすべきという結論になる。
ただし、国際社会の安定、日本の安全のために在沖縄米軍の役割は今後さらに増大する。最近、日本周辺海域では中国の海軍や漁業、資源調査などの船舶の活動が活発になっており、中国は自国の領土と考えるところは武力を行使してでも守る構えであることがはっきりしてきた。北朝鮮は大陸間弾道弾を完成するまで発射実験を続ける。大陸間弾道弾の試験をやめてしまえば、金正恩第一書記は正統性を失ってしまう。沖縄と尖閣列島、沖縄周辺海域と朝鮮半島の距離を考えると、在沖縄米軍の役割は増大する。このことを考慮した上で、日米の防衛戦略を踏まえて、沖縄米軍の面積の合理的な減らし方を考えてゆくことが重要だ。緊急時の対応能力を向上させながら、在沖縄米軍の使用面積を減らす道は、いくらでもあると思う。「面積を減らしてもダメで、沖縄を含む在日米軍の削減、撤退の契機とすべき」という議論があるが、それは、別の範疇の議論だろう。「非武装中立の状態に近づいて、周辺国に誠意を見せれば、脅威は減って行く」という論理に基づいているのだろう。「発射実験に失敗して落下してくるミサイルを防衛システムで迎撃したら、日本の主要都市を破壊する」と宣言する国家に対して、「丸裸になりましょう」と答えれば安全を確保できるというのと同じだろう。
基地面積を減らす過程で重要なことは、次の5つである。
(1)沖縄振興策重視。沖縄の人々の長い間の苦労と負担を考慮して、整理統合する案は、那覇空港のハブ空港化などの沖縄振興策を最重視した構想にするべきである。
(2)北東アジア有事想定。北東アジア情勢は、有事を想定する必要がでてきている。5年前よりも、台湾海峡、沖縄周辺海域の安全は脅かされている。中国は軍事力に自信をつけてきて、海軍艦艇の運用に自信を持ち始めた。中国が「日中関係、米中関係を一時的に台無しにしてでも、尖閣列島の奪取を敢行する」というシナリオが見えてきた。南沙諸島、西沙諸島の領有権に関しては、「武力を誇示してでも、島の領有権を守る」という姿勢が明確になってきたことがヒントである。
北朝鮮の大量破壊兵器開発の過程で、様々な有事シナリオを予測しなければならない事態となっている。北朝鮮が、再度、延坪島攻撃の類を敢行するかもしれない。そのときは、韓国が北の基地攻撃に向かい、朝鮮半島で軍事衝突が起きる。今後も地球観測衛星の打ち上げに失敗することもあるだろう。宇宙開発には失敗がつきものである。失敗した地球観測衛星の破片が、日本や韓国に落下するかもしれない。それぞれの国民の生命財産を守るためにミサイル防衛システムを稼働することは、韓国軍や自衛隊の義務である。しかし、それをきっかけに南北の軍事衝突、日本に対するミサイルによる威嚇が行なわれることは十分ありうる。2006年、2009年、2012年の北のミサイル実験は単なる人工衛星ロケットの実験ではなかった。4月のミサイル発射は、中朝国境に近い東倉里という長距離弾道ミサイル発射基地から行なわれた。弾道ミサイルの発射に際して、関係国が沖縄と目と鼻の先の黄海と東シナ海で固唾をのんで見守るというケースは増えることがあっても、減ることはない。「その可能性はない」という議論があるが、それは「北朝鮮は崩壊する寸前にあり、体制の維持を図るために、低レベルの技術を振り絞りながら、大量破壊兵器を製造しているフリをして、脅かしているだけ。軍事力で対処する必要はない」という議論と同じだ。2006年に北が核実験をした段階で、このような体制維持のための「駆け引きのための核兵器」という見方は終わった。
今後は北東アジア有事という事態も想定しながら、米国が迅速に対処できる戦略に見合った基地削減案でなければならない。
(3)国家財政の支出を抑えるという観点から、基地面積を減らしてゆくのと並行して沖縄への交付金を減らしてゆく。それは、自立した沖縄の経済体制を確立するためにも必要であろう。
(4)日米両国政府が外交の場で合意した基地移転計画は迅速に実行する。国際社会で尊敬される国家であり続けるためにも、外交上の約束を守りたい。
(5)米軍基地がいつまでも、いまのままの規模で何十年以上も日本に残り続けると考えることは難しい。日米同盟を強化しながら、日本自身で抑止力を確保し、米軍基地の面積を減らす政策を推進できるように、防衛力整備に向けて発想の転換を図る必要があろう。日本自身の航空母艦の導入、空対地ミサイルの装備、航続距離の長い戦闘機の保有、1千キロの射程を持つ巡航ミサイルの開発、空中給油機と情報収集衛星の増加なども検討の対象になろう。こういうことは、「日本人が初めて、自分で自分を守るという意識を持ち始めた」ということで、議論をするだけでも抑止力になるのである。このような議論はむしろ国際社会では普通に行なわれている。韓国は北の地対地ミサイルの脅威に備えて千キロの射程を持つ巡航ミサイルを導入しつつある。
Q3. コメントする
2006年5月、米軍再編協議(DPRI)における最終報告「再編実施のための日米のロードマップ」が日米両国政府間で合意された。「普天間飛行場の能力を代替し、即応性の維持が優先される」という点を重視したもので、2009年5月13日に国会承認された。このロードマップに基づいた「辺野古沖現行案」は、両国政府と専門家らが検討してきた結果、合意にこぎつけたものだった。米国との約束どおり迅速に移転を実現したい。この普天間基地移転計画はすでに合意した事柄であり、実現に向けて努力する。いまから時計の針を戻して一度白紙に戻すという選択肢を検討することは、北東アジア有事の際の唯一の頼みの綱、米国との信頼関係を損なってしまう。それに、かえって追加経費がかさむ。
Q4. コメントする
過去40年間に国が投じた沖縄振興予算は、9兆2144億円、基地関連予算なども含めると、10兆円を超えているという。しかし、県内の失業率は47都
道府県中最悪で、復帰後は常に全国平均の倍近い高さで推移する状態が続いており、1人当たりの県民所得は全国平均の約7割にとどまるという。いままで沖縄振興開発計画が実施されてきた。交通基盤を育成し、科学技術関係の学校設置などが進んできた。モノレールは便利な乗り物になったが、十分ではなかったということになる。
第1に、魅力的な観光地にする。観光では日本人はハワイや東南アジアのリゾートのほうが、沖縄よりも人気が高い。10回以上、沖縄旅行をしたが、那覇の国際通りのみやげ物街の風景、みやげ商品はこの20年、あまり変化していない。日韓の航空路線は満席状態で、韓国の明洞や、仁寺洞のみやげ物通りは、日本人であふれており、韓国に滞在している日本人は常時2万人を超え、ロッテホテル、プラザホテル、大韓航空、アシアナ航空は日本人客でいっぱいだ。その人々が沖縄でカネを落とすような観光地にしたい。
第2に、政府の今後10年間の沖縄振興策の基本方針にあるように、長期間、沖縄地域の発展に寄与できるようなインフラ整備が必要であろう。中国、台湾に近く、韓国とも遠くはない。東南アジアへの玄関口にあたる。魅力的な観光地にすべく、那覇空港を韓国のインチョン空港に対抗できるような大型のハブ空港にすることが最優先だろう。目と鼻の先にある韓国のインチョン空港が毎年、世界のベスト空港賞を獲得しているニュースを聞くたびに、那覇空港にはどうしてそれができないのかと思ってきた。
また、資源がなくとも人材を育成し、国際的な投資センターの機能を果たし、観光客誘致にも成功しているシンガポールという実例がある。例えば、国際機関を誘致しながら、東アジアの投資・金融センターとして育成する。そうなると、民間会社が進出してくる。
その場合、沖縄の水不足問題を解決しておく必要がある。飲料水供給に不安があるので、大がかりな海水を真水に変える設備を国で整備してゆくことも必要だろう。
 
 
中野晃一
上智大学教授
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
我われは沖縄の人びとを差別していないのか、いま改めて突きつけられている問いに答えなくてはならないと思います。
国土の0.6%にすぎない沖縄県に在日米軍基地の75%ちかくが置かれていることの異常さは、沖縄県の10%、沖縄本島の20%ちかくが米軍基地によって占められていることからも明らかではないでしょうか。しかも沖縄本島の一等地がこのなかに多く含まれていることを考えると「本土並み返還」への希望が裏切られた沖縄県民にとって本当の「戦後」は未だ実現しておらず、基地騒音や米兵による事件の多発から経済的な損失にいたるまで、その多大な負担は軽視できるものではないと考えます。

沖縄戦での経験から、沖縄の人びとの多くは駐留する軍隊が自分たちを守ってはくれないことを知っています。ましてや他国の軍隊である米軍が沖縄をいくら「要石(キーストーン)」と呼ぼうとも、いつでもまた「捨て石」にされかねないと感じていることを我われは重く受け止めるべきではないでしょうか。復帰40周年を控えて沖縄タイムス紙が実施した県民対象の世論調査で、米軍基地が減らないのは沖縄に対する「差別」が原因にあると約半数が答えたことは、日本という国民国家にとって安全保障以前の問題として、国民統合が危機にさらされかねないということを認識しなくてはなりません。

我われは沖縄の人びとを差別していないのか、いま改めて突きつけられている問いに答えなくてはならないと思います。
Q3. コメントする
辺野古移転はもはや現実味を失っていると考えます。

そもそもこの案が無理筋であったことは、自民党政権時代から移設が難礁に乗り上げていたことを思い返せば明らかです。鳩山元首相は最後で沖縄県民を裏切りましたが、現在の膠着状況を彼一人に責任転嫁しようという態度は、森元首相が有権者に対して「関心がないと言ってそのまま寝ていてくれればいいんですけど」と言ったのに等しいと感じます。国外・県外に移転できるのではないかと沖縄県民が希望をもったことを「寝た子を起こしてしまった」かのように悔やむようなことは、同じ日本国民としてどうかと思います。

最近のワシントンとりわけ議会での動きは、むしろ日本の外務省、防衛省、保守政治家たちにおつきあいで辺野古移設の建前を一応のこと保っているだけに見えることがあります。もともとが中途半端にしかならない辺野古の新施設にそこまでこだわる理由は政策関係者のメンツ以外にないのかもしれません。

政権交代や民意の変化によって、重要政策であっても変更することがあるのは民主主義国家の常識です。
国外になるのか、県外になるのか、嘉手納基地への統合となるのか、建設的に再検討を始めるべきときに来ていると思います。
Q4. コメントする
基地関係収入が沖縄県民総所得に占める割合は5.3%にまで下がっているとされ、すでに10.9%になっている観光収入の半分以下のレベルです。米軍住宅地が返還された跡地に開発された那覇新都心地区の活況が示すように、米軍基地が返還されれば相当の経済波及効果が期待できるケースも少なくないと考えられます。基地の存在により年間約5千億円もの逸失利益が生じているという試算もあるほどです。いずれにしても、米軍基地に本島の20%ちかくを占められ、代わりに振興予算中毒のようにされている現状では、民間経済が活性化する機会が充分に与えられているとは言い難いのではないでしょうか。

また他方、そもそも地理的には「離島」である沖縄の経済を「本土並み」に拡大することが現実的なのか、望ましいのか疑念も残ります。経済的な指標が低いことが多いのは事実ですが、出生率の高さや長寿の伝統などを考えると、必ずしも同じ巻き尺で測ることが幸福や暮らしやすさを反映しているのか、判然としない思いもあります。
 
 
朴斗鎮
コリア国際研究所所長
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
日本の安全保障にとって沖縄が他に替えがたい地位を占めているといえども、日本における米軍基地の約75%が沖縄に集中していることは重過ぎる負担だ。是正が必要なのは誰が見ても明らかだ。
とはいうものの、この問題の根底には、「米国は日本防衛の義務を負うが、日本は米国防衛の義務を負わない」となっている日米安保条約がかかわっている。この条約では、「日本は米国に対する防衛義務を負わない」代わりに「米国に対して基地提供義務を負う」ことで双務的関係が成立しているのである。日本が米国防衛の義務を負わないまま「基地提供義務」だけを一方的に軽減しようとしても米国はおいそれと応じないであろう。沖縄基地の戦略的価値の重要性を考えればなおさらである。
沖縄基地問題の根本的解決は、安保条約を双務的条約に改正することからはじめる必要がある。こうした視点をふまえたうえで、普天間基地移転問題など、当面の緊要な課題を解決していくべきではなかろうか。
Q3. コメントする
「普天間基地移転」は、早急に解決しなければならない。沖縄内か沖縄県外かの論議を優先させるのではなく、原点に立ち返り、「移転」を最優先課題として取り上げ日米双方の合意点を探り、具体的行動を急ぐ必要がある。このままでは現状固定化が既成事実化することになりかねない。
Q4. コメントを控える
 
 
にしゃんた
羽衣国際大学教授/落語家
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
沖縄に対する差別である。その最大の要因は、今の「日本人」を象徴する特徴である「総論賛成・各論反対」。もう一つは「イクセプト・ミー・イズム」である。この設問に答えるまでの論議を尽くすことこそが、最も大切である。
これは差別である。

このことを作り出している最大の要因は、今の「日本人」を象徴する2つの特徴である。つまり「総論賛成・各論反対」。もう一つは「イクセプト・ミー・イズム」である。言うまでも無く、東日本大震災の被災地の瓦礫処理の問題と同じでもこの2つの特徴がすごく立派に『花開いている』。

そもそも、日本の安全保障上のスタンスや外交上のスタンスが明確でなく、その時の政権の選挙の票獲り合戦の1懸案に過ぎない状態で、当事者の立場に立って真剣に検討されているとは感じられない。沖縄県民の多くは長年基地の完全撤退を希望しているにも関わらず、状況が変わらないのは、沖縄のようにはなりたくないと考えるその他大勢の意見が反映されている結果である(国家単位としての多数派本位)。

日本国住民の多くが自分たちの生活の傍にあるべきでないと思う米軍基地の大半を沖縄だけに押しつけ、安全保障上のメリットだけを享受するというのは、不公平であり、日本国民は沖縄を公然と差別していると考える。

また仮に、現在沖縄に集中している米軍基地を日本の各地に等間隔に配置したとしても、多くの人が傍にあって欲しくなく、地においても不平等感は出る、そのような物を多額の資金を投じてまで日本に置く必要があるのかどうかという議論が尽くされていない。その点、沖縄の米軍基地問題も福島他原発の再稼働問題も、根本的には同じである。沖縄県民は必至に訴えるが、他の地域の住民は利害を天秤にかけながら政治家の動きを見ている。

政治家は票欲しに、核心部分を公表、議論せずに世論の様子をうかがい、最大公倍数を獲る事にやっきになる。その結果、中途半端に間を獲るような結論しか出されず、沖縄に負担を押し付ける形が持続される。

悪しき循環が永遠に続くのである。

1の設問に答えるまでの論議を尽くすことこそが、現時点であれ、最も大切である。
Q3. コメントする
アメリカとの駆け引き対策を考えるのではなく、日本国としてのスタンスを提示すべきである。

そこがぶれれば、いつまでも結論は出されず、結果アメリカの思う通りの資金援助と広大な土地の使用という既成事実を作るだけである。

アメリカによって、外交によって沖縄が翻弄されている。そして何よりも、私たち日本人の大半の無関心、他人事精神によって、沖縄の現状がある。今回の設問設定である「返還40年、置き去りにされた沖縄」は、厳密には各々が「置き去りにした」でなければならない。沖縄の人たちの苦しみ・怒りを知らずに遠くにある米軍基地による『平和』と、遠くにある原発による『電気』をたらふく食べて“しあわせに”暮らしている僕たちが、沖縄の当事者に心を寄せ、一人称で語り、行動をする必要がある。
Q4. コメントする
“本土並み”の指す意味は、経済成長だけなのだろうか?

従属はされていることに勝る貧しさはあるまい。他に選択しなく、基地に従属せざるを得ない現状から開放こそ必要である。それは、原発に従属した地域の経済についても同じである。

依然、沖縄の読谷村を訪れ、当時の山内村長と話をした際、印象に残っている言葉がある。「東京は我々のことを指すのに(行政の)末端という言葉を使う。霞ヶ関・東京中心の発想が最大の問題だ。」読谷村が進めた自立に向けた方法論も興味深い。ほとんど米軍基地に覆われていた村を、米軍基関連以外の経済に置き換えていく努力を行った。「紅芋」「焼き物」や「観光」など地元資産の活用による新しい経済の構築である。現在、沖縄には、日本国内外から多くの人が癒し、本土にはない文化、歴史や気候風土を求め訪れる。それは、薩摩藩に統治され、廃藩置県によって日本国に取り込まれるまでの間、異文化を持つ国として本土とは違った歴史をたどってきた沖縄ならではの資産であり、沖縄の最大の強みではなかろうか。
 
 
川上高司
拓殖大学海外事情研究所教授
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
 米国の安全保障戦略が今年1月に大きく変更され、それに伴って沖縄海兵隊の実戦部隊はグアム、ハワイ、オーストラリアへと分散化されることとなった。むろん第3海兵遠征隊の司令部と31MEUは残るわけであるが当然、移転するに伴って基地の使用部分が減る。それは暫時返還されるべきであるし、実際、返還が先回の2+2でうたわれている。
 また、オスプレイが導入され沖縄にいなくてはならないという「距離の専制」(地政学的根拠)も失われつつある。しかも、中国のA2AD能力(接近拒否・領域拒否)も高まり沖縄にいる米軍は脆弱性が高まっている。今こを基地を減らす機運がきているといえよう。
Q3. コメントする
 普天間基地の辺野古移転は沖縄県、名護市が反対し、沖縄県民の大部分が反対している。辺野古のみに固執すべきではなく他の代替基地を探すべきである。特に、米議会のレビンやマケイン達のいう嘉手納統合案もしくは、岩国への海兵隊の第一航空団の移転は可能だと考えられる。ただ、政府の対応が沖縄に対して不適切であったり他の地元対策も十分行ってないのではないだろうか。
Q4. コメントする
 先ず、沖縄基地を減らすことによりいびつな沖縄経済の脱却を目指すべきである。
 
 
中山俊宏
青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科教授
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
同盟を安定的に運営し、サステイナブルなものにしていくために不可欠。
Q3. コメントする
負担軽減の長期的ビジョンを提示しつつ、同盟の必要性をまさに地べたを這い回るように丹念に説き続け、それを超党派的取り組みとして行う意外にない。特効薬はない。
Q4. コメントを控える
 
 
小西克哉
ジャーナリスト 国際教養大学大学院客員教授
Q2. 「2 - 沖縄の基地を減らすべき」の回答理由
民主党政権の迷走の発端が普天間基地を巡る鳩山政権の絶望的対応だったことは記憶に新しい。「最低でも県外」と豪語した鳩山氏が半年後に「学べは学ぶほど海兵隊の抑止力の大切さが分かった。」と変節。後に鳩山氏は抑止力について「辺野古しか残らなくなった時に理由付けしなけらばならず、『抑止力』という言葉を使った。方便といえば方便だった。」と弁明。

安全保障専門家にとっての魔法の呪文「抑止力」が政治家にとっても格好の隠蔽装置であると証明された。だが「抑止力」が方便と分かっていて、政権交代も起きているのに、何故、基地を減らせないのか。 実は米国の専門家の研究によると、政権交代が起きて外国軍が、自主的にあるいは、強制的に撤退する確率は80%を超える。(フィリピン、イラン、フランス、韓国等)撤退が実現するが否かを左右する要因は複雑だが、最近注目されるのは、アメリカ側の事情よりホスト国側の特性だ。日本では米国の意思が、とかく喧伝されがちだが、重要なのは日本国政府の対応能力だ。世界的規模での米軍再編の潮流を見れば、沖縄の、特に海兵隊を減らすべきだと思うが、鳩山政権後の日本国政府にその能力があるとは、到底思えない。    
Q3. コメントする
米議会から、昨年5月に提案された「嘉手納統合案」をたたき台に交渉することが最も効果的だと思う。 米上院軍事委員会のCarl Levin委員長(民主党)とJohn MacCain(共和党)筆頭委員らによるもので、安全保障利権を握り、予算決定権を持つ上院の重鎮であるだけに、ペンタゴン利権に対抗できる政治力をもっていることを考慮すれば、最も現実的だ。 勿論、この案に嘉手納の地元では反対だが、この案には嘉手納の空軍の一部を他国に移し、弾薬庫や海兵隊自体を大幅に縮小させる要素も入っている。 今や完全に暗礁に乗り上げた辺野古移転案より、十分現実的だと思う。 
Q4. コメントする
上記の方針で、議会を味方につけ、交渉が動き出せば、多少なりとも基地は減少するかもしれない。現在、県民総所得に占める米軍関連収入の割合は5%ほどで、復帰時に比べて3分の1になっている。 沖縄の位置をかんがえれば、航空、物流のハブ基地化が魅力的だ。 基地面積の減少は、即観光産業の一層の強化につながる。 海兵隊の方々には、今リゾート気分を満喫するより、今後民間人として観光リゾートOkinawaに、お金を落としてもらいたい。
 
 
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3. どちらともいえない

伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
米国本土で国防関係者から彼らの本音を聞いた事がある。米軍としては、自分たちが血を流して占領した土地、という意識があり、日本国内の大半の議論とあまりにも隔絶していて、言葉を失った経験がある。
米国本土で国防関係者から彼らの本音を聞いた事がある。米軍としては、自分たちが血を流して占領した土地、という意識があり、日本国内の大半の議論とあまりにも隔絶していて、言葉を失った経験がある。上記の1,2のどちらの選択肢にもチェックを入れることはできない。
Q3. コメントする
相手国のあることであることから、必然的に、わが国の政府だけで解決できる問題ではない。
Q4. コメントする
理由: インフラ、人材。 手立て:それらの長期的観点からの拡充 が 何によらず基本と考えます。
 
 
森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
自分自身考え方がまとまらない。
Q3. コメントする
地元との信頼間の問題なので、まず信頼関係の構築を図る。同時に、米国ともっと可能性を広げて交渉することにより、局面が打開されることもあるのではないか。
Q4. コメントする
かつて沖縄の経済振興に関与した経験から感じたこと。

沖縄側は、(国の対応待ちでなく)もっと主体的・自主的にものを考え、さまざまなアイデアを出すべきだ。

国側は、補助金を与えれば良いという安易な発想から抜け出すべきだ。
 
 
稲増龍夫
法政大学教授
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
沖縄県民の過剰な負担は問題だが、原理論からいえば、日本は敗戦国であり、それが米軍駐留を正当化しているのである。そもそもは、愚かな戦争を起こした、当時の日本政府、軍部、(受動的ながら)日本国民の責任である。
日本の安全保障ためとはいえ、沖縄の方々に過剰な負担を強いているのは申しわけないが、そもそも論からいえば、日本が70年前に愚かな戦争(倫理的か戦略的かは問わない)を起こし、負けたことが米軍駐留を許したのであり、それは、当時の政府、軍部、さらには受動的ながら国民の責任と言えなくもない。直接戦争に関わっていない大多数の日本国民、沖縄県民が、未だにその代償を払い続けていることに議論の余地はあるが、敗戦国であったという歴史的事実は否定しようがない。
Q3. コメントする
アメリカ政府・軍、沖縄県民と粘り強く話し合いを続けるしか途はないだろうが、それが、現状として、普天間基地存続になってしまうのは痛し痒しである。
Q4. コメントを控える
沖縄の事情を知らない門外漢の発言は控えさせていただく。
 
 
夏野剛
慶応義塾大学特別招聘教授
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
感情的に大きな負担を沖縄県民に強いてきた一方で、県経済は基地及び基地負担の見返りとも言える振興予算に依存している事実もある。長期的には、国際社会における米国のプレゼンス低下とともに、基地全体は縮小傾向にあることは間違いないが、短期的に大きな削減、あるいは移転をすることは県経済への影響からみても現実的でないだろう。
Q3. コメントする
普天間の問題は鳩山氏に始まる民主党の無責任発言による感情的こじれの要素が強く、解決策はない。民主党政権前の状態を起点として、冷静に議論していくべきだが、ここまでこじれてしまっては、誰もが納得するような解決策を見つけるのは難しいだろう。
Q4. コメントする
島という特殊性を考えると、地方公共事業の典型パターンである、鉄道や高速道路、ダムや防波堤、港湾整備と言った公共投資の効果が他県よりも出ないことは明白。「本土並み」の公共投資ではなく、沖縄の特性を生かした経済振興策をとるべき。具体的には関税完全撤廃特区や、カジノなどの規制廃止特区の創設による本土にはない新産業の創出、リゾートとしての環境の徹底整備、移民や外国人労働者の受け入れ緩和による島民人口の拡大など、これまで日本全体ではなかなか進まなかった門戸開放、経済拡大政策を、短期間に集中して予算投下することにより実現する。短期集中で実行することにより、自立的経済拡大への意向を早める。これまでの延長線上にはない、新しい試みを徹底して実行することが必要と考える。
 
 
松田千恵子
首都大学東京教授/マトリックス株式会社代表
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
基本的には、日本の安全保障上やむを得ないという立場だが、日本の安全保障について我々は十分な情報を持っていない。
一方で、地政学的に重要な沖縄の基地を減らしたうえで日本の安全保障を担保できるという確証も得られていない。
これだけ近隣国の脅威が高まっている時に何を優先すべきなのか、という議論と、沖縄の人々が感じている負担、格差が本当は何に起因するのか、という議論をじっくり行うべき。
Q3. コメントを控える
上記意見よりコメントは控えます。
Q4. コメントする
① 「本土並み」という目標の掲げ方がそもそも間違っているのではないか。この目標はいったい何を意味しているのだろうか。本土並みの経済成長? 今やゼロ近辺を行ったり来たりである。本土並みなどということを目指すより、沖縄ならではのユニークな在り方を抜本的に考え直したほうがはるかに将来のためになるのではないか。ひょっとすると、経済成長を妨げている理由は、この曖昧模糊とした「本土並み」という目標設定そのものにあるのでは。


② 詳細な情報を持たないので決めつけるわけにはいかないが、沖縄に詳しい方から、「基地があることで補助金が出る、それにより却って自立が妨げられている」という指摘を聞いたことがある。基地がなくなったら本音では困る人もいる(だから却って基地問題を意図的に大きくする)というイヤな話だったが、もしこの話が事実だとしたら、基地問題とリンクした補助金の在り方を真剣に考えないと、前向きな将来の成長の話はできないのではないか。悪い依存関係を保ち続けたまま飛躍した例は無い。
 
 
前田宏子
政策シンクタンクPHP総研国際戦略研究センター 主任研究員
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
地政学的観点から、沖縄に基地が集中するのはやむを得ない部分もあるが、・日本周辺におけるパワー・バランスに変化が生じており米軍再編が進んでいること、・沖縄基地の問題は日本国民全体の安全保障の問題であり、本来は他地域の人々も負担を負うべきであること、という理由から、沖縄の基地を減らす方法を考えるべきである。ただし、東アジア地域で軍拡が進んでいる目下の状況で、沖縄の基地再編が日本の安全保障を揺るがすような状況を生み出すわけにはいかず、早期の解決は難しい。
Q3. コメントする
日米政府とも、表向きは辺野古への代替施設建設という方針を放棄していない。しかし、両国とも政策担当者は、その実現が今となっては困難であるということを知っている。多大な労力を費やし、交渉・検討を繰り返した上で出来た合意だが、いったんこれを反故とし、新しい案を考えるしかないだろう。
他方で、アメリカは国防費の削減を余儀なくされており、それが日本を含む同盟国の安全保障に与える影響が懸念されている。アメリカはアジア太平洋地域におけるプレゼンスは維持すると主張しているが、具体的な方策は不明なままである。日本は自国の安全保障を担保するためどのような政策をとっていくのか、日米同盟はどのような役割を果たすのか、そのために必要な備えは何か、それらの議論とともに、沖縄の基地問題も解決されるべきである。
Q4. コメントする
これまで、沖縄振興のために多額の予算が投下されながら、期待したような経済効果が得られていない理由については、専門ではないので分からない。
現に沖縄の多くの人が不満を感じているということなので問題があるのだろうが、\\\"本土並み\\\"の中身については議論が必要だと思う。沖縄には沖縄の特性にあった発展や生活スタイルがあるのだろうし、たとえば、首都圏の経済や生活スタイルを沖縄でそのまま実現しようとしても意味がない。
10年ほど前の話なので現在は違っているかもしれないが、本土(主に首都圏)に就職した沖縄の若者の9割近くは、しばらくすると沖縄に戻ってきてしまうそうである。経済統計だけでは測れない魅力があるということだろう。他方、沖縄の経済学者の方が、それが沖縄の経済成長を阻害する要因の一つでもあるかもしれないと話しておられたのを思い出す。
 
 
土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
沖縄を取り巻く地政学的環境が、沖縄に米軍基地を不要にする日が来ることを願う。しかし、目下の情勢は、むしろ逆に安全保障上の必要性を高めているようにみえる。国境を接している以上やむを得ないのかもしれない。

とはいえ、日本と、中国、台湾、フィリピン、朝鮮半島等をめぐり、EU諸国のように国境を意識することなく人やモノの交流が行われるように将来なれば、沖縄はその平和的な交流の一拠点として位置することとなり、安全保障上の要請で基地を設ける必要性が相当低下するのではなかろうか。
Q3. コメントを控える
Q4. コメントする
中途半端な沖縄振興策が、経済成長を妨げている。グローバル化の中で、(沖縄に限らずどこでも)生半可な地域振興策を講じても、一時的な気休めにはなるが、本格的な経済成長の礎を築くことは困難である。

離島であることに着目して、世界のトップクラスに伍するような企業活動や研究開発等で「本土」では認められていないことを特区として実施できるようにすることで、「本土」と差別化して、経済成長の礎を築くことは可能であろう。その場合、必ずしも実施主体は日本の国民・企業・研究機関でなくてもよいことにすることが重要だ。外国に門戸を開くことで、外国の国民・企業・研究機関でも沖縄を拠点として実施するようにすれば、「本土」では実現しない画期的な取組みが沖縄で実現するということがあるかもしれない。
 
 
岩渕美克
日本大学法学部教授
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
 この問題の根本は、1972年の返還記念式典での屋良主席の発言と、佐藤首相の日本国万歳に始まる式典のクライマックスの際に、主席が着席のまま苦虫をかみつぶした顔をされていた事実が何よりも現在の状況を物語っていると思います。ただし、核抜き本土並みの条件を実現するには、1972年では到底駄目で、返還のスケジュールは大幅に遅れたと思います。どちらがよかったのかは判定に困ります。
 その上で、現状の米軍基地の展開状況は尋常ではありません、時代考証を無視すれば、「赤」の脅威は薄れているはずなのに、中国の軍事費の増加割合を見ると、沖縄に基地を展開したくなる気持ちはわからないではありません.
韓国のよう、割り切りともいえる発想を国民に期待するのは無理だと思います。
Q3. コメントを控える
Q4. コメントを控える
 
 
竹田圭吾
国際ジャーナリスト
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
 沖縄の基地集中を国内問題として考えた時、現状維持を肯定するべき根拠はほとんどない。QDR等で示される米国の軍事戦略の変化と米軍再編によって、米軍基地が沖縄に集中的に存在する根拠は冷戦期以前と比べて薄れているとも思われる。しかし現実には、中国を封じ込めるための要衝としての日本全体の地理的戦略的な重要性、思いやり予算に象徴される日本側負担の固定費化=米側のコスト面の効率性などを考えると、米軍基地の日本国内移転がリアルな政策課題となって「そもそも論」的に米軍の基地と軍備・部隊規模の必然性や妥当性が問われる事態に発展することだけは避けたいと、米国は考えていると思われる。となると、日米が同盟関係である以上、「安全保障上やむをえない」ということになる。どちらかだけを選ぶことはどちらも正当たりうると同時に不当たりうるので、どちらにウエイトを置くかはひとえに政治的な決断に依る。
Q3. コメントする
「政府」を民主党現政権と定義するなら、実現可能性は別にして、「最低でも県外」という約束をどうすれば果たせるかを政権から下りる日まで追求すべきだと思う。
Q4. コメントする
原子力関連施設の立地地域など他の「公益のための負担を押しつけられた地域」との整合性や公平性を考慮しないのであれば、基地撤去後のフィリピンのスービックやクラークのように「経済特区化」することが最もシンプルな方策になりうるのではないかと思う。
 
 
有馬晴海
政治評論家
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
正確な情報が伝わらないなかでの判断は難しい。
本当にアメリカ側が沖縄に基地が必要としているのか。
日本が、アメリカに駐留させることで日米関係をうまくやるために、
どうぞいてください、いやいやどうにか何とかいてくださいという目的のものと最近聞いた。
であれば、アメリカ側が沖縄にという情報とは大きく違う。

基本的には、軍がもてない日本は、アメリカに守ってもらうしかないという解釈だったと思うが、
まったく逆の判断になってしまう。
武器の発注なども含め、「安い防衛」と歴代首相も発言していて、そんなものかと思った。
その犠牲が沖縄ということだった。
ロケーションは、対中国や北朝鮮ということで沖縄というのも嘘なのか。
そうであれば日本政府そのものの信頼が覆される。

ただ、どちらにしても世界の情勢が緊張緩和の方向にあるので、
国防についての考え方は時代に応じて変えていくべき。
その議論もなく、とにかく沖縄に基地をということは議論もなく継続だ。
それを見ても、やはり日米関係を維持するための捕虜として駐留してもらっているのかと思える。
日米安保じゃなく、日米同盟目的?
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普天間移転は、少女暴行、ヘリの事故に伴う沖縄住民の感情軽減なもの。
アメリカにも了承しての移転だが、辺野古含めて移転先が見つからない。
少なくとも近隣の住居や学校など立地を考えると、
移転は待ったなし。
その先は、アメリカはグアムでいいといっているのではないか。
ならばその方向で。
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新たではないが、自由貿易特区、つまりタックスフリー、そしてカジノ。
そして、特区を生かした観光振興での自立自活の道だと思う。
補助的なもの、見返りなどではなく、自分たちで働くことで成長する仕組みが本土並みということだ。
それには、本土にはないリゾート、自然を活かす。
そのための制限や規制ではなく、自由というものを最大限利用した方法を考えては。
 
 
原田曜平
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
回答を控えます。
Q3. コメントを控える
回答を控えます。
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沖縄の経済成長を妨げている理由は複合的に存在しており、沖縄の経済成長への手
立て、というテーマを論じるにあたっては、様々なレベル、様々な視点が考えられると
思いますが、私からは、沖縄経済と専門領域である”アジアの若者”という視点から
述べさせて頂きたいと思います。

 沖縄経済における観光産業の重要性はいまさら申し上げるまでもありませんが、
 私は、沖縄が世界で評価される観光地としてのポジションを確立していく上
で、アジア各国の若年層へのPRは今まで以上に重要性を増してくると考えていま
す。

 現在、アジア各国では経済発展が著しく、実際に海外旅行や海外留学が実現可能
になってきた中間層が急増しています。
 そして、アジア各国の若者たちの海外志向は、内向きになっている日本の若者と
は逆に、大変強くなっています。
 ですから、沖縄の観光産業を更に盛り上げる、という意味で、アジアの若いツー
リストを沖縄に呼び込むための施策を国や県をあげて取り組んでいく施策も
必要となってくると思います。

 例えば、吉本興業が、「沖縄国際映画祭」をやっていますが、ああいった試みも
その一つだと思います。特に中国、台湾、韓国などでは、日本のお笑い芸人ファンも
増えてきているので、「沖縄観光×お笑い芸人」という明確なコンセプトを打ち出した
ツアーが あれば、芸人目的で沖縄観光をするアジアの若年層が増えていくことでしょう。

 日本のアイドルのコンサートも沖縄でもっと開催しても良いかもしれません
(例えば、アジアで人気のある「ジャニーズのコンサート×沖縄観光」など)。
 日本のアニメもアジアで大人気ですから、アニメフェスなども開催することも一
つの方策かもしれません(例えば、アジアの若者たちの間では「名探偵コナン」
「ワンピース」「ナルト」「スラムダンク」などが人気なので、「アニメフェス×
沖縄観光」など)。

 コンテンツの多さと強さは日本の強みの一つです。この日本のコンテンツと沖縄
を掛け算することで、沖縄が元々持っていた「スローライフの象徴」、南国的なリ
ゾートとしての立ち位置を超えた、新しい沖縄の魅力をアジアの観光客に提示でき
るかも知れません。

 観光以外の産業振興という視点でいいますと、アジアの優秀な若者を沖縄に呼び
込み、起業をしてもらう、というのも一つの方法かも知れません。日本の若者たち
はドメスティック志向になってきていますし、それどころか地元志向になってきて
いるので、なかなか違う県の若者たちを沖縄に呼び込むことは簡単ではありませ
ん。

 アジアの最先端国である日本は、アジアからの留学生が増加していますが、それ
でも日本語という独特の言語が故に、旅行先としては選ばれ易い
 ものの、留学先としては敬遠されてしまう傾向が出てきています(特にアジアの
エリート層に。彼らは英語圏に行ってしまう傾向があります)。
 沖縄であれば、尚更です。

 しかし、別府のアジア太平洋立命館大学(APU)や秋田の国際教養大学(AIU)が
ある程度優秀な留学生を呼び込むことに成功しているように、
 沖縄でもできるはずです。国や県をあげてアジアの優秀な大学生を沖縄に呼び込
み、彼らにビジネスを起こし易い環境を整える特区にしていくことも一つのアイ
ディアだと思います。海外からの観光や留学生や起業環境の整った国際都市に沖縄
を変えていくことが、日本の国益にも叶うのではないでしょうか。
 
 
常見陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師
Q2. 「3 - どちらともいえない」の回答理由
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基地依存型経済からの脱却は1つのキーワードである。沖縄県内の産業と仕事をもっと作らなければならない。
沖縄の大学生の内定率は大学4年の秋の段階で20%程度。

県をあげてキャリア教育に力を入れているが、就職先がなければしょうがない。
優秀な人材は大学進学の際と、就職の際に県外に流出していく。
雇用をうむためにも、産業・企業の振興、働きがいのある仕事づくりをするべきだ。
例えば、株式会社レキサスという企業がご当地企業を目指し、県内外から注目を集めている。
沖縄のIT企業だが「基地経済が2000億なので僕らは2030年までに2000億企業になります」と宣言し、県外や国外(シリコンバレーにオフィス開設)で精力的に動いている。設立から15年弱だが、「沖縄の雄」だ。
レキサスのような理念を掲げる企業が各分野に出てきて互いに協力し合えばいいと思う。

また、リクルート沖縄じゃらんのように、大手企業が沖縄県を盛り上げるために、進出していくとよい。

産業をつくるのだ
 
 
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