2016年07月23日 新・週刊フジテレビ批評で放送
政治・政策

7月10日参院選挙とテレビ

7月10日(日)に投開票が行われた第24回参議院議員通常選挙。
総務省によると投票率は54.70%で、前回2013年の52.61%を
2.09ポイント上回りましたが、4番目に低い投票率となりました。

 今回の選挙は、去年6月に改正された公職選挙法により選挙権年齢が
「18歳以上」に引き下げられてから初めての国政選挙となったこともあり、
若者の政治参加という面も注目を集めました。新たに選挙権を得た世代の
投票率は、18歳が51.17%、19歳が39.66%、18歳・19歳を
合わせた投票率は45.45%という結果となりました。

 参院選後の会見で安倍首相は、
「アベノミクスをいっそう加速せよと、国民から力強い信任をいただけたことに、
 心から御礼申し上げます。」と
述べるなど、与党は「アベノミクス」の成果などを主張の中心にして選挙戦を戦い、
一方で野党は、経済情勢や憲法改正などについての政策を争点に、そしてメディアは
憲法改正の手続きに必要な“3分の2”などに注目し、伝えました。

 国の行く末を決める国政選挙に向けて、メディアにはその争点を
しっかり伝えることが求められる一方で、「政治的公平性」を留意するがゆえに、
争点を伝えきれていないという声も聞こえます。
 
今回の参院選でメディアはしっかり“政治の争点”を伝えることができていた
でしょうか。
コンパス・オピニオンリーダーの皆様からのご意見をいただけますよう
お願い申し上げます。

(付記)
調査会社の集計によると、今回の参院選に関わる、NHKと民放5局の参院選関連の
放送時間は36時間48分でした。この時間数は、先回の2013年の参院選挙の時に比べ、
9時間13分、率にして約20%の減少となっています。
一方、NHKでは地上波特番のネット同時配信を行うほか、フジテレビでは地上波特番と
連携してネット放送「ホウドウキョク」でも特番を配信しました。

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:今回の参議院議員選挙に関わるテレビメディアを
どう評価しますか?
Q2:問1の回答理由をお聞かせください
Q3:今回の選挙では、“18歳選挙権”が注目されましたが、低い投票率など
政治的な関心が低いとされる若者に向けて、テレビは政治を伝える役割が
果たせていたでしょうか。
Q4:さまざまな“政策”“争点”をテレビはしっかり伝えられていたでしょうか?
また、情報を適正に伝えるために、テレビに求めることはどんなことでしょうか?

オピニオンリーダーの回答

( 15件 )
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2. ある程度評価する

中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「2 - ある程度評価する」の回答理由
民放による選挙速報はタレントの雑音が障害。その点、NHKは開票状況のみを報道している。好みはあるだろうが、個人的にはNHKのアプローチが適切だと思う。
開票状況を刻一刻と報道するメディアとしてのテレビの役割は不動だろう。各局、それぞれに特徴を押し出そうと工夫していたように思う。その取り組みは高く評価しなければならないが、それでも個人的にはNHKにチャンネルを合わせてしまう。出口調査などの信頼度が高いからだと思い込んでいるからだろうか。民放ではタレントの雑音が多すぎるように思う。選挙速報はNHKのように淡々と状況を正確に伝えるだけで十分だと思う。
Q3. コメントする
若年層の意見を掘り起こすにはテレビよりもネットのほうが適している。この意味ではテレビとネットの使い分けが必要なのだろう。ビッグデータを解析するにはネットは欠かせない。
Q4. コメントする
テレビには報道時間などさまざまな制約がある。また、各局が特徴にこだわるあまり、選挙の争点を意図的に誘導しているのではないかと疑うような報道も散見される。憲法改正には時間が必要。一方で景気対策は緊急課題。双方とも争点であったかもしれないが、足元で重要なのは明らかに経済問題。ある政党はマイナス金利を撤回させるといった公約を打ち出していたが、これは中央銀行の独立性を損なう暴言。しかし、この点を指摘する報道はなされたか。テレビ、メディアの活躍の余地はまだまだある。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「2 - ある程度評価する」の回答理由
選挙報道においては、投票日当日の報道と、それ以前の報道は異なり、前者は開票結果とその分析と展望、後者は、有権者に判断材料を与えることだと思います。
開票速報は、以前に比べてお祭り的要素が少なくなり、すっきりしたと思いますが、ただ、どの局を観てもつなぎは小泉議員の応援風景ばかりで、まるで彼のPR番組のようでした。
一方選挙前報道においては、公平の原則という縛りがあるのなら、「投票率を上げる」ための報道にもっと力を入れてもよかったと感じます。
Q3. コメントする
若者の低い投票率は、政治に無関心、新聞は読まない、テレビは観ない、大学生などは住民票を移していない、などの理由があります。
若者に対してテレビの果たす役割は限定的でしょうが、選挙の時だけでなく、普段からテレビを観てもらう工夫から始めるしかないように思います。
Q4. コメントする
そもそも、今回の参議院選挙は争点がよくわからないものでした。与党は、アベノミクスは道半ばだが、うまくいっているといい、野党は失敗だと反対のことをいいます。消費税増税延期については、どの党も似たりよったりの立場でした。財政赤字については、ほとんど議論になりませんでしたね。
争点がシャープでないから、「三分の二」に焦点があたっても仕方なかったと思います。

また、選挙結果が、各メディアが伝えた投票前の世論調査の通りになっていることもここ何年かの特徴だと思います。以前なら、それに危機感を覚えて逆の投票行動の動きが出てきたりしたものですが、今は、自分も皆と同じようにしようという感じなのでしょうか。
 
 
砂川浩慶
立教大学社会学部メディア社会学科教授
Q2. 「2 - ある程度評価する」の回答理由
一定の役割は果たしたが、報道量調査にあるように、消極的(いわば義務的)な報道が多く、
問題に切り込む報道が少なかった印象を受けた。
Q3. コメントする
開票特番でも18歳を意識したタレントを起用した系列が多かった(NHKとANNを除く)が、かえって焦点がぼけていて、当事者には伝わりにくかった。この問題は日ごろの報道で培っていくテーマであり、継続的な取り組みを期待する
Q4. コメントする
開票特番でオーソドックスなNHKと池上無双のTXNが視聴率1、2位を占めた。
他の民放4系列は20時~21時は開票特番、23時から全体分析など、メリハリの効いた番組編成が求められる。
絵になりにくい争点をどうテレビ的に日常的に扱っていくかはテレビの永遠の課題であり、
今後の取り組みを期待したい。
 
 
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3. あまり評価しない

浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「3 - あまり評価しない」の回答理由
改憲勢力と一括りにする報道はミスリードだった。都知事選のドタバタの影響を受けたこともマイナス。
「改憲勢力」という表現が使われ過ぎ。

特に、公明党の立場を考えれば、改憲勢力と一括りにする報道はミスリードだった。一応の解説は一応あるにしても、その意味が曖昧な「改憲勢力」という表現の使い方は、必ずしも正確だったとはいえないのではないか。

都知事選のドタバタの影響を受けたこともマイナス。

結局、参院選の争点が盛り上がらず、分かりにくくなった。
Q3. コメントする
多分、若い人たちには、伝わっていなかった。

選挙直前だけの放送では限界があるにしても、もう少し切実な問題として理解できるような番組がもっとあるべきではないか。
Q4. コメントする
政策も争点も、時間が限られていて、十分に伝えられなかった。

憲法問題には比較的多くの時間が費やされていたが、逆に、そのために、他の争点や政策に関する議論が消化不足に陥った。

憲法に関する議論は、不毛な議論にとどまっていた印象。

ただ、野党が力不足で、テレビ以前に、映される側の政党がダメならば、どうしようもない。特に野党側の経済政策の不十分さは、テレビでカバーしようもない。
 
 
岩渕美克
日本大学法学部教授
Q2. 「3 - あまり評価しない」の回答理由
 報道も含めて、とりわけ情報系番組での参院選の取り上げ方が少なく、そのためもあり、争点が明確化できずに低投票率の一因となった可能性が高い。
 相対的にということではあるが、報道量が少なかったような印象を持ちます。とりわけ報道以外の番組、いわゆる情報番組やワイドショーなどの番組では、舛添問題から都議会にいたり、いわばスキャンダルネタが目立ち、政治の関心を参院選から都知事、都議会に奪われていたのではないだろうか。その結果は、争点の不明確さ、選択基準のあいまいさなどから低投票率にケツしているように感じる。
Q3. コメントする
 どのような役割があるのかないのかを含めて、ややあいまいではあるが、少なくとも新有権者へに対する政治情報の発信は十分ではなかったように思う。若者に特化したものではなく、有権者全体に向けた情報の発信が少なかったように思う。
 量的な側面でも、今回の多数を占める新有権者は、高校生ではなく、この3月に高校を卒業した若者であるはずが、高校にだけこだわり、多くの新有権者にメッセージが届いていない状況があったと思う。これは政府にも言えることであるが、高校生という話題にだけ注目し、木を見て森を見ず的な対応がとても残念でならない。
Q4. コメントする
 テレビの性格上、選挙の報道は難しいことは承知しているが、政策は報道しやすいものであるにもかかわらず、報道量は多くはないように感じた。また、メディアの議題設定機能というマスコミュニケーションの効果研究の成果にあるような争点の選定にも成功していたとは言えなかったように思う。
 党首討論についても、公示後も行うべきであり、それを拒否するようであればそのことを報道するなり、賛同を得たものだけで討論会を行うなどの積極的な姿勢を打ち出してもいいのではないだろうか。与党の報道弾圧?の影響すら邪推してしまうことは残念である。
 
 
村沢義久
合同会社Xパワー代表/ 環境経営コンサルタント
Q2. 「3 - あまり評価しない」の回答理由
「3分の2」の意味についての取り上げ方が少なすぎた。小池百合子氏の出馬宣言など、都知事選に時間が割かれすぎた。
「3分の2」の意味についての取り上げ方が少なすぎた。小池百合子氏の出馬宣言など、都知事選に時間が割かれすぎた。
Q3. コメントする
テレビは役割は果たせてないが、やむを得ない面も:①若者の政治意識アップのためには幅広い施策が必要;
②テレビを見ない若者が多くなった。
Q4. コメントする
しっかり掘り下げるためには、「公平性」のタガを多少緩めることも必要ではないか。アメリカのように、メディアごとに、立ち位置がある程度違っても良い。
 
 
江川紹子
ジャーナリスト
Q2. 「3 - あまり評価しない」の回答理由
そもそも放送の最大の役割は、人々に考える材料を提供することである。
選挙報道に限った話ではないが、最近のテレビは「なるべく文句を言われない」ことを気にしすぎる。
さらに、選挙となると、自民党が文書で「公平・公正」を要求したり、
高市総務相の発言の影響もあるのだろうが、お上からも視聴者・支援者などからも
「文句を言われない」ことを最優先にしているように思う。

 公平・公正は、一つの番組、それも1回のみではなく、テレビ局全体として、
あるいはテレビ界全体としてバランスが取れていればよいのに、一番組で「公平性」を完
結しようとするから窮屈になる。
 選挙が終わって、開票速報やりながら、今まで取材した素材を出すくらいなら、
選挙期間中に放送して、有権者の判断材料を提供してもらいたい。
 選挙期間中に党首討論が1回(それも初めに)しかないというのは残念だ。
もし、呼びかけても「この局には出たくない」という党首がいれば、その人抜きにしてやればよい。
全員揃ってないと……という形式主義に陥ってはダメだと思う。
報道だけでなく、情報番組やバラエティ番組も、工夫すればできることはあると思う。
その点で、7月19日のフジテレビ「バイキング」が都知事選の有力3候補を呼んだ番組はよかったと思う。
確かに政策論争は少なかったが、互いに質問をぶつけ合ったり、柔らかい質問もしたりして、
それぞれの人の人柄がよく出ていた。
そもそも放送の最大の役割は、人々に考える材料を提供することである。
 
Q3. コメントする
それなりに伝えようと努力していたとは思う。ただ、まだ物足りないし、これで終わりではないと思う。
特に19歳の投票率が低かった原因を分析して、制度の問題点を伝えたり、今回の18歳のその後の選挙に対する投票行動を専門家と一緒に追跡してみて欲しい
Q4. コメントする
そもそも「政策」「争点」がかみ合っていなかった。
「アベノミクス」の「果実」と言うが、そもそもそれは実在するものなのか、
蜃気楼のようなものではないのか。あるいは「改憲勢力」というくくり方は
実態に即したものなのか。
どちらも漠然として、分かりにくい。
それを、選挙期間中に党の責任者でもいいし、候補者でもいいが、
もっと追及できないのか、と思う。
1党だけに対してそれをやれば「公平性」で問題になるかもしれないが、
すべての党の弱点を突くのであれば、問題はないと思う。
 
 
音好宏
上智大教授
Q2. 「3 - あまり評価しない」の回答理由
 相対として参院選報道は盛り上がらなかったが、その一つの原因に、参院選テレビ報道の低調が挙げられよう。
 毎日新聞と調査会社・エムデータによる調査結果が報じられているように、参院選の報道量は2013年の前回の参院選選挙に比べ、少なかったことは明らかである。人々はより特定の事象に関する情報に多く接触するほど、その事象への関心が高くなるとする「単純接触モデル」を挙げるまでもなく、参院選の情報量の少なさは、人々の参院選に関する関心の喚起に影響すると考えられる。
今回の選挙において、政治を扱う番組枠が減少傾向にあるのに加え、今回の選挙期間中に、政治資金の公私混同使用疑惑によって辞任に追い込まれた舛添要一東京都知事の後任問題が本格化する一方、7名の日本人犠牲者を出したバングラデシュ・ダッカでのレストラン襲撃人質テロ事件も発生するなど、他に「画になる」ニュースが多発。当初から与野党の逆転などは考えられない状況での参院選より、それらの「画になる」ニュースに多くの時間が割かれていた。
 高市総務大臣の「電波停止発言」に象徴されるように、この1年あまり、テレビ報道のあり方については、政権与党側から積極的に発言がなされる場面が多かったことも確かで、テレビの製作現場に、それを理由にグチャグチャ言われる政治ネタを避ける傾向はなかったかが気になるところ。
Q3. コメントする
今回の選挙から18歳に選挙権年齢が下がったことは、テレビ報道においてもしばしば取り上げられていた。ただ、それらの報道が、直接的に若者の政治に対する関心の喚起につながっていたかは疑わしい。
 ただ、若者のテレビ離れが指摘される状況があるなかで、若者の政治への関心の喚起ができていたのかをテレビにのみ問うことは出来ないのではないか。総務省の発表では、18歳の投票率が51.17%だったのに対して、19歳の投票率が39.66%だったことと考え合わせると、高校等で、18歳から選挙権を行使できることについての教育がそれなりに効いていたことが窺える。他方で、19歳の投票率が18歳に比べ大きく落ち込んでいることを見ると、この世代が自ら積極的に政治に関心を持ち、政治に参加をしていくかについては、疑問を持たざるを得ない。大学等、高等教育機関における若者の政治に関心を持たせる教育のあり方については、より一層議論がなされるべきであろうし、それらの議論にテレビというメディアも関わっていくべきではないか。
Q4. コメントする
 今回の参院選報道においては、アベノミクス、改憲、福祉といった争点提示はなされていたものの、いずれもより踏み込んだ形での報道、解説が極端に少なかったように思う。
 例えば、アベノミクスと呼ばれる一連の安倍政権の経済政策に関して、具体的にどの政策がどのような経済効果を生み出し、また、何が政策として効いていないのかといった報道は少なかった。アベノミクスに関して言えば、現在の日本社会において、経済格差や貧困層の拡大は、経済学者によってしばしば指摘されるところであるが、日本の格差、貧困がはどのように進んでおり、それに対する施策の有効世はどのようなものなのかといった具体的な事象の提示は弱かった。
 「アベノミクスの評価を問う選挙」といった争点とされたキーワードは連呼されたが、そのキーワードの関する具体的な事象と私たちの暮らしとを結びつけて報道した事例が少なかったのが気になったところ。
 
 
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4. 評価しない

潮匡人
国際安全保障学者,拓殖大学客員教授
Q2. 「4 - 評価しない」の回答理由
面白おかしく伝えただけで、何が争点かさえ分からなかった。「改憲勢力」が三分の二を超えるかが争点とした番組もあったが、ならば「改憲」が主権者の意志となる。だが、なぜか、そうは報じない。
Q3. コメントする
ほとんど果たせていなかった。そもそも若者のテレビ離れが進んでいる。
Q4. コメントする
伝えられていなかった(問1)。
「政治的に公平であること」などを求めた放送法や関連法を改正し、原則自由とすべき。そうすれば市場原理が働き、適正化が進む。
 
 
常見陽平
千葉商科大学国際教養学部専任講師
Q2. 「4 - 評価しない」の回答理由
報道時間が減っていることは数字から見て明らかだ。政権の圧力が話題となるが、それに対してすれすれのことをやるのがジャーナリズムだ。メディアの萎縮や責任放棄は明らかだ。評価を得ている番組(たとえば池上彰のテレ東の番組など)もマンネリ感、予定調和感があった。
Q3. コメントする
若者が誰でもテレビを見ている時代ではないが、政治とは何か、その諦念ととはいえ権利として行使しなくてはいけないことを伝えきれていなかったと思う。テレビこそが投票率アップの生命線だったのではないか。もっとも、若者を啓蒙する番組も、彼らの問題意識、置かれている環境などをバカにしたものが多かったのではないか。若者=知識がないというわけではない。若者をバカにしてはいけない。
Q4. コメントする
伝えきれていないだろう。与党を中心とした政党も、争点の明確化が弱いというかズルかった。自民党は政策と利権のデパートだ。私の問題関心である雇用・労働分野は野党が言いそうなことを、与党が取り込み、焦点が見えない状態にもともとなっていた。このあたりの交通整理をし、わかりやすく伝えることのできるテレビ局とパーソナリティーはいなかったのではないか。
 
 
クロサカタツヤ
株式会社 企 代表取締役/ 総務省情報通信政策研究所コンサルティングフェロー
Q2. 「4 - 評価しない」の回答理由
「改憲勢力」という言葉に振り回された
NHKと民放、あるいはいわゆる4マスの如何を問わず、「改憲勢力」という言葉が跋扈していました。

しかし憲法改正の議論はそもそも深まってもおらず、一方でとても重要な話題なので、もっと丁寧な「架け橋」がメディアには求められたと思います。少なくとも断片的にしか報道に接しなかった私の場合、報道に触れるたびに「気持ち悪さ」が残りました。

そう考えると、ある意味で選挙そのものと同じく、告示されてからが勝負ではなく、告示された時点(つまり事前の準備)で決着が付いているのは、報道も同様かもしれません。
Q3. コメントする
東京大学による直後の社会調査によると、あらゆるメディアを相対的に評価する(つまり特定の何かを信じない)というメディアリテラシーが、どうやら若い層はある程度身につけているようです。その意味で、テレビも\\\"one of them\\\"としての役割は、半ば自動的に果たしていたのではないでしょうか。
Q4. コメントする
選挙期間中だけを考えても仕方ないと思います。政策論争を理解するには政治のリテラシーが必要で、その啓蒙を日頃から情報メディアは果たす必要があるでしょう。
 
 
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5. その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)

石澤靖治
学習院女子大学長
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
 放送法を鑑みて「公平」な報道を行うというのが現在のテレビ局の基本的な方針であるならば、選挙報道というこは、今回のような内容のものになるというだろう。したがって、その枠内のものとして考えれば評価できるということになる。
 しかしながら、どのような人を参議院議員に選ぶのかという視点で考えた場合、その報道は本来、選挙期間中だけのものにとどまらないはずである。また衆院選とは違って参院選は行われる時期が決まっているから、報道する側も報道する準備ができるはずである。しかしながら、報道は選挙の直前から始まるにすぎず、候補者の資質や政策について事前に十分な調査報道ができていない。そのような点については全く評価できない。その理由が視聴率がとれないからというのならば、今後もあまり期待できないということになる。
Q3. コメントする
 これについてはテレビの問題ではなく、若者自身の問題であり社会の問題だと思う。もしテレビに問題があるとするならば問2で回答した内容と同じことになるが、それでもそれを18歳選挙権問題と直接関連づけるには無理があるように思う。
Q4. コメントする
 選挙とは、それぞれの陣営がいかに自分たちに有利な問題を争点とするかであり、選挙は争点奪取あるいは議題設定の戦いであるということもできる。そしてかつてメディアは、例えば小泉政権において、小泉首相が望む「郵政選挙」という争点の設定に加担した苦い経験を持っている。したがってこのことは重要であり、それ以来、メディアは争点に関与することを慎重に行ってきた。
 今回の参院選では、野党が自民党の「改憲を争点とすることを隠している」と激しく非難した。しかしテレビでは、野党がそのような指摘をしていることきちんと報じていたはずだ。そこに大きな問題があるとは思わない。にもかかわらず争点とならなかった。国民がそれを争点とは認識せず、反応しなかったということではないだろうか。
 
 
松野良一
中央大学総合政策学部教授
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
「政治的公平性」がうるさく言われる中で、選挙が近づくとテレビメディアは自主規制をせざるを得ない状態になっている。以前はできていた注目の選挙区を掘り下げる報道、あるいは、「政治と金」、「選挙と金」、「政治家と支援団体・背景」などの報道も少なくなった。今回は、「憲法改正の手続きに必要な“3分の2”」をめぐる報道については取り組んでいたが、各政党の主義、主張とその根底、背景については、十分掘り下げられずに終わっていたように思える。
Q3. コメントする
政治的公正性の足かせがあって、十分に「議題設定機能」を果たせてなかったのではないか。選挙が近づくと自主規制せざるを得なくなるのであれば、日常の報道で、社会問題の可視化と解決のための政策論議を取り上げていくことが大事だと思う。
Q4. コメントする
選挙になると「PRしたいもの」と「隠したいもの」を、各政党はうまく使い分ける。報道は各政党の政治的プロパガンダのツールになってしまってはいけない。社会問題とそれを解決するための政策について、わかりやすく説明し、解説することが大事。投票行動につながるための「議題設定」「アジェンダセッティング」の機能を発揮してほしい。そのためには、池上彰さんのような、わかりやすく背景と論点を教えてくれるような番組が、もうすこし増えるとよいと思う。
 
 
原田曜平
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
18歳選挙そのものの総括もされていません。
今回の18歳選挙は、18歳・19歳の投票率が全世代に比べて大変低い、という大変悲しい結果に終わりました。
特に19歳の投票率が著しく低い結果となりました。
私はこれにはメディアの責任もあると思います。
一言で言えば、改憲勢力が2/3を超えるかどうかに関心が行き過ぎ、18歳・19歳に選挙への関心を高めさせるという煽りが足りなかったように思います。
選挙後も同じ状況が続き、18歳選挙そのものの総括もされていません。
シルバーデモクラシーという言葉もありますし、未来の主役は若者ですし、若者の政治離れとずっと言われてきたので、もう少し若者にフューチャーすべきだったように思います。
初回でこれだけ盛り上がらず、若者の投票率が低かったことを考えると、今後の都知事選も含め、恐らく長期的に見ると更に下がっていくと思います。
なんとか挽回すべく、若者にフューチャーすることをメディアには求めたいと思います。
Q3. コメントを控える
Q4. コメントを控える
 
 
石川和男
社会保障経済研究所代表
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
 7/10参院選の開票日の夜8時からの選挙特番は、日曜出勤していたためテレビで見ることができなかった。
 しかし、ヤフーニュースをスマホ上で登録していたため、瞬時に様々な開票速報や当確速報が流れてきて、テレビを見なくとも次々と当落を知ることができた。
 当落情報に限らず、速報で流すべき情報については、もはやテレビの時代は完全に終わって、ネットの時代になっていると改めて感じた。
 テレビメディアの役割は、速報はネットで流し、それ以外の取材コストのかかるものをテレビ電波で流す、ということに集約していくべきと思う。人的物的資源の有効活用の観点からも、そうなっていって然るべき。

 投票率の高低は、今の時代、テレビメディアの責任云々とは思わない。選挙・政治も含めたあらゆる情報は、テレビではなくネットで取得できるし、ネットの場合には自分から取りに行くこともできる。
 そんな技術が一人一人に普及している中では、選挙・政治への関心の高低は、有権者一人一人の意識の問題であると思う。

 テレビメィデアは、ネットメディアのような有象無象を取捨選択する役割に特化していく必要がある。
 テレビ局の持つ取材力とは、本来そういうものなのではないか。
Q3. コメントする
 上記に同じ。
Q4. コメントする
 上記に同じ。
 
 
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