フジテレビジュツのスタッフ

楽器

テレビ美術としての楽器は“音の出る装飾“。実際に演奏できるようにすべての楽器を調整します。
年代や型などにも精通したプロ集団です。

インタビュー

岩崎 滋さん

株式会社サンフォニックス 
楽器事業本部長

岩崎 滋さん

楽器担当歴40年。担当は「Love music」「FNS歌謡祭」「夜のヒットスタジオ」、
ドラマ「ラヴソング」など。

ーテレビの「楽器担当」とは、音楽番組で使われる楽器を用意する仕事ですか?

岩崎

もちろんそれもあります。が、演奏されない、小道具としての楽器を用意するのも我々の役割です。ドラマで家にピアノを置いたり、部屋にギターを置いたり。トーク番組でも以前、「いろんな楽器がたくさん並んでるセットにしたい」と言われて、各国の民俗楽器を取り揃えたこともありました。楽器を使った装飾ですね。

『ラヴソング』ライブハウス

ー「装飾」で苦労した番組は?

岩崎

『ラヴソング』という、音楽をモチーフにしたドラマでしょうか。楽器を用意するだけでなく、セットをライブハウスに仕立てたのですが、音楽機材の質感や色味をセットに合わせるためにデザイナーと何度も打合せをしました。また実際に演奏もするので、その点からも機器を選定する必要がありました。特に監督がこだわった、「現代のライブハウス感がにじみ出る画(え)にする」というところに最も神経を注ぎましたね。

ー大変なのは揃える機材が多い時ですか?

岩崎

数もそうですが、それ以外では、ドラマで古い時代の楽器や機材を用意しなくてはならない時が悩みます。例えば昔の歌手の伝記ドラマを担当すると、「この時代のマイクはこれで大丈夫かな」とか。うっかり違う時代のものを出してしまうと、見てわかる人もいますから。

ーそうなると、あらゆる時代のあらゆる音楽機材を揃えておく必要があるのでは……?

岩崎

大丈夫です!サンフォニックスにはほとんどのものがあるので何でも揃えられます。昔のマイクも和楽器も、シェケレ、スリットドラム、カリンバ、レインメーカーといった民俗楽器も置いてあります。ピアノもフルコンサートピアノからベビーグランドピアノまで、全て揃えています。

サンフォニックス 楽器
サンフォニックス 楽器

ーどんな楽器を求められても、万全の備えですね。

岩崎

既存の楽器であればそうなのですが……バラエティ番組で「これで楽器を作って」という発注がくると、試行錯誤しながら自分達で作ります。フライパンで音階を作るとか。他に、楽器にして欲しいとこれまで言われたものでは、木魚、ブーブー風船、ガラス瓶……グラスハープも作りました。変わったところでは、クラクションとかピコピコハンマーで音階を作ったこともあります。

岩崎 滋さん

ーたとえばフライパンの場合、どうやって音階を作るのですか?

岩崎

基本は大きいものを叩くと低い音、小さいと高い音が出ます。あとは、形を盛り上げると音が高くなるので、
下から叩いて盛り上げたり、逆に上から叩いてへこませて音を低くしたりします。そうやって叩きながら、少しずつ音階調整をしていきます。
そんなことをしてきたから、普段でもつい、いろいろな物を叩いちゃいます。どんな音が出るんだろう、って。雑貨屋に行けば鍋も釜も叩きますよ(笑)。チューニングです(笑)。

岩崎 滋さん

ー40年間携わってきて、仕事に変化はありましたか?

岩崎

アコースティック楽器自体は、技術の進歩はあるものの、不変だと思います。電気楽器に関しては、デジタル化が進んで、扱う種類も増えました。
番組においても、スタジオミュージシャンの出演が多くなって、より演奏者に近い立ち位置で、細かい要求に対応しなければならなくなってきています。演奏者がどんな楽器を求めているのか、どんな「音」が欲しいのか。ミュージシャンと密にコミュニケーションをとることを常に心掛けています。

(2019年3月)