フジテレビジュツのスタッフ

持道具

眼鏡や靴、傘、鞄など、出演者が身に着けるもの全てを用意します。
出演者が役で吸うタバコも、使う携帯電話も、時代に合わせて何種類もストックしています。

インタビュー

佐々木 ちほさん

有限会社京阪商会
フジテレビ担当

佐々木 ちほさん

持道具担当歴17年。「最高の離婚」「最後から二番目の恋」「ラスト・フレンズ」「プロポーズ大作戦」
など主にドラマを担当。

ー持道具スタッフの仕事について教えてください。

佐々木

ドラマ担当について言えば、役者さんが身に着ける物や手に取る小物を用意します。靴、カバン、アクセサリーなどですね。その役のイメージに合う物を在庫の中から探したり、ない物は見つけてきたり、自分で一から作ることもよくあります。

佐々木 ちほさん

ーこれまでで特に大変だったドラマは?

佐々木

 『女の一代記 向井千秋~夢を宇宙に追いかけた人~』でしょうか。向井さんのご実家が老舗のカバン専門店で、100個以上のカバンを集めなくてはならなくて、そのうえ時代設定が「戦後すぐ」だったので、年代物のカバンを一通り揃えるのにかなり苦労しました。売れ残りの緑色のランドセルというのが出てくるのですが、当時の型のランドセルを必死に探して、見つけたものが赤だったので緑に染めて、それを売り物の新品に見えるように仕立てて……。集めるのも大変でしたが、あれだけの数を全部飾らなくちゃならない装飾さんはもっと大変だったと思います(笑)。

ー自分で作った物で誇れる持道具はありますか?

佐々木

実写版ドラマ『サザエさん』のニット帽かな。サザエさんはあのような“おだんごヘア”なので、小さい帽子しかかぶれないのですが、当然そんな帽子はどこにも売っていません。なので作るしかなかったのですが、実は私、編み物が出来なくて……。得意な同僚に頼むことも出来たのですが、アニメ原作の世界を出来る限り忠実に実写化したものに仕上げたかったので、スタジオに泊まって、夜なべして作りました。サザエさんとカツオとタラちゃんのニット帽3つ。人間、やる気になれば意外と出来ちゃうものですね。それ以来、編み物は全くしていませんが(笑)。

佐々木 ちほさん

ーこの仕事に就いたきっかけは?

佐々木

小さい頃からドラマが好きで、学校でも図工や美術が得意だったので、将来はテレビの美術に携わりたいと思っていました。それで、高校卒業後は放送関係の専門学校に入って、自分に向いているドラマの仕事は何だろう、とずっと考えてました。学校の寮では友達と皆でテレビを見ながら、エンドロールの会社名を全て書き出して調べたりもしました。そんなことをしている時に、京阪商会の仕事内容を知ったんです。これは面白そうだと思って連絡して、今に至っています。

佐々木 ちほさん

ーまさに、念願かなった感じですね。

佐々木

はい、やりたいことをずっと追い求めてきて仕事に出来たので、とても幸せだと思っています。初めてスタッフロールに名前が載った時は本当に嬉しかったですね。私はもちろんですが、実家の母も電話してきて、嬉し泣きしてました。

ー仕事をする上でこだわっていることは?

佐々木

役柄に合う物をどれだけ集められているかを常に考えています。以前担当したドラマで、独特のキャラクター、ひとことで言えば“変人”の役があったのですが、モデルになる人がいなくて、衣裳、メイクのスタッフと一緒に試行錯誤しながら、演者さんの役作りを盛り上げました。いつもニット帽と手袋を身に着けているキャラにして。
自信のもてる持道具を揃えて仕事に臨んで、撮影の後、役者さんに「これがあったから役に入れた」と言われると、この仕事をやっていてよかった、と心から思います。それが持道具スタッフとして、一番幸せを感じる時ですね。

(2019年1月)