フジテレビジュツのスタッフ
植木装飾
スタジオ内での収録でも、リアリティのある、シーンに合った正しい草木を提供します。
芝生から樹木まで、普段から飼育にも余念がありません。
インタビュー
※所属・肩書きはインタビュー当時のものです

株式会社野沢園
フジテレビ担当チーフ
後藤 健さん
植木装飾歴17年。担当は「Love music」「トレース」「貴族探偵」「犬神家の一族」など。
ー「植木装飾」の仕事内容を教えてください。
後藤
一言で言うと、「自然の風景を作る」ことでしょうか。収録現場に本物や作り物の木などを置いて、時代や季節を作ります。木以外にも、土、石、砂利、コンクリート、アスファルトなどを扱うのは我々の仕事になります。

ーこの仕事に就いたきっかけは?
後藤
元々はシステムエンジニアだったんですが、アウトドアが好きで、外に出る仕事がしたいと思っていたところに野沢園の求人があったので応募しました。緑や自然は前から好きでしたね。植木には興味ありませんでしたが(笑)。
ー入ってから苦労したことは?
後藤
植木や土の勉強をしましたが、種類が多くて覚えるのが大変でした。でも机の上の勉強よりも、扱っているうちにだんだんと特徴がわかってきたという感じですね。スタジオでは特に、照明に強い、乾燥に強い木が必要になってきます。それでも長期の日照不足で枯れることがあるので、常に二番手、三番手も用意しています。
ー大変だった仕事は?
後藤
映画『信長協奏曲』で300mの城壁と中庭を作った時。地方の山奥に建てたオープンセットで、15人で3日間かけて作りました。夏場の1週間の撮影だったので、木を枯らさないようにするのも一苦労でした。散水車を呼んで水を撒いてもらって。
セットを全焼させる経験もしました。本能寺の変で。
ー苦労して組んだものが燃やされるのを見て、思うところはありませんでしたか?
後藤
いい画(え)がとれればいいです。
ーこれまでの自信作は?
後藤
バラエティ番組で組んだ流木ドームです。何人かで地方の川に行って、トラック2台分の流木を拾い集めて来ました。それを組む時は緊張しましたね。その下に演者さん達が入って演奏するので、「これが潰れたら一巻の終わり」と思ってものすごく神経を使いました。


ー仕事でのこだわりは?
後藤
収録後の清掃です。終わったあと、葉っぱや土が落ちていないようにきれいに片付けることを心掛けています。
以前、尊敬する美術プロデューサーに、「植木屋さんは最後の掃除をしている姿がカッコイイんだよね」と言われたことが、今でも心に残っています。
ー「植木装飾」の仕事の魅力は?
後藤
図面に細かく描き表せないものなので、デザイナーからの発注は大体「お任せ」になります。ですから、自分で組んだものがデザイナーの意図にばっちりハマった時は嬉しいですね。どう仕上げるかを考えるのがこの仕事の醍醐味でしょうか。
花壇やデパートのオブジェなどでいいものを見つけると写真を撮って参考にします。美術館にもよく行きますね。いい絵や彫刻を観ておくと、感性が磨かれて、いいものが作れるようになると思うので。
(2019年2月)