2013年02月23日 ザ・コンパスで放送
政治・政策

日米首脳会談を機に考える、日米で今すべき事は?

1:設問テーマの背景 (facts)>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

菅義偉官房長官は、2月15日の記者会見で、安倍首相が21日に訪米し、22日に
オマバ大統領と首脳会談を開催することと、岸田文雄外務大臣も同行し、ケリー国務長官との
外交会談を行うことを発表しました。
この会見で菅長官は、「2国間関係にとどまらず北朝鮮などアジア太平洋地域の情勢について
忌憚のない意見交換をし、日米同盟の強化を明確に内外に示したい」と述べました。

同日、ホワイトハウスからも首脳会談の開催が発表されました。カーニー報道官は、
「日米同盟や経済・通商問題を含め、2カ国の問題にとどまらず、グローバルな
多岐にわたるテーマで安倍首相と突っ込んだ議論を行い、日米関係を強化することを
大統領は楽しみにしている」と述べました。

翌16日、安倍首相は、自民党本部で開かれた会合にて、「日米同盟の絆が戻ったことを、
世界やアジアの国々に向かって示していくことが、領海や領土を守っていくことに
つながり、地域の平和と安定にも資するものになる。この観点から日米首脳会談を
成功させたいと思っている」と述べました。

各社の報道によると、今回の日米首脳会談では、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)、
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題、核実験を行った北朝鮮問題を含む
アジア太平洋地域の情勢、ハーグ条約(国際結婚夫婦の子の扱い)への
加盟などがテーマになると言われています。


2:番組として (our aim)>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

今回の日米首脳会談は、昨年11月20日にASEAN会議出席と合わせて野田首相とオバマ大統領間で
行われた日米首脳会談以来、約4ヶ月ぶりのものであり、安倍政権にとっては初のものとなります。

戦後の日本外交は、日米関係を基軸に展開してきましたが、2009年からの民主党政権下においては、
日米関係が停滞し、さまざまな問題が生じたという指摘もあります。
今回の会談は、日米関係、日本外交の今後を占う重要な意味を持つと考えられます。

しかし、日米が協調して今後、何をすべきかについては、取り組むべきテーマが多いこともあり、
なかなか明確になっていません。
そこで、番組では、コンパス・オピニオンリーダーの皆さまからご意見をいただき、番組ユーザー及び
視聴者とともに議論することで、今、日米が協調してなすべきことは何か、それをどのように成し遂げて
いくべきかそして、中長期的な視点に立って、日米関係の位置づけをどのようにしていくべきかに
ついて考えたく今回のテーマを企画致しました。
どうかご意見をお寄せいただけますようお願い申し上げます。

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:今、日米が協調してなすべき、一番重要なことはどんなことだと考えていますか?日米が協調してなすべき一番重要なことと、その理由をお答えください。
Q2:(問1つづき)一番重要なことと、その理由をお聞かせください。
Q3:問2でお答えいただいた一番重要なことを達成するためのプロセスについて(どのようなことから着手し、どのように進めていくべきか等)、ご意見があればお聞かせください。
Q4:中長期的な視点に立って日本外交を考えた時に、今後、日本は、日米関係をどのように位置づけていくべきだと考えますか?ご意見をお聞かせください。

オピニオンリーダーの回答

( 24件 )
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小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
アジアの外交・安全保障の基本的戦略の再構築
アジアの外交・安全保障の基本的戦略の再構築
Q3. コメントする
基本的な戦略を再確認する。

次に、沖縄の基地問題を解決する。民主党政権になる前の状態に戻すことを再確認する。

日本政府が、辺野古移転を含め、決断、国民との対話を通じて、当初の計画を実行する。
Q4. コメントする
世界の秩序の安定のために不可欠な存在。
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
強固な資本主義社会、厳格な階級社会の再構築のための原始資本の再蓄積に邁進するであろう。
彼らがやろうとしていることは原始資本の再育成、再蓄積だろう。労働を商品としてあらゆる状況、何にでも隷属する労働者を都市に囲い込み、真の資本家が再びこの世界を支配する、という復古的新世界を実現すべく望んでいるように思えてならない。今のように富みや知識が分散し、情報と権利が世界に充満する状況を放置すれば、さらに分散的エントロピーの増大が起こり、世界秩序は崩壊する。ノーメンクラツーラの立場からすれば、世界共通の喫緊の目標だろう。つまり具体的にはより一層、賃金格差、教育格差、情報格差、身体健康格差を醸成し、創造し、社会を秩序建てる事業、あるいは策謀を張り巡らすに違いない。だがそういった搾取の対象となる大衆に甘んじるか、搾取する側になるかは、個々の努力に100%かかっている。そういう意味では平等社会である。教育と知恵と知識と技能がしっかりと評価される厳格な階級社会の誕生である。不耕貪食(ふこうどんじき)は許されない社会だ。
Q3. コメントする
我が国が後塵を排しないために、あるいは主導権を握るためにはリベラル・アーツも含めた徹底した個々の人材の教育であろう。責任転嫁の方法や、無言だんまりしかとで難局を乗り切る事しか教えない今の賊省、文部科学省を即刻廃止し、卑怯な保身主義を徹底的に侮蔑するモラルの蔓延した教育環境を再構築し、しっかりとした教育を行う。これに尽きる。卑怯者は道を歩けない社会にすべきだ。
Q4. コメントする
日本は国家、それも国民国家であるが、アメリカは機関であり制度であり場所だ。皆が集って利益と安全と幸福を享受するきまりで運営されている。両者を対峙させることに意味はない、というかセンスのかけらもない!お前アメリカに行ったことあるんか!英語で普通に会話でけるんか?と尋ねたい。なーも知らないで能書垂れる奴らが多すぎる。日米関係云々ではなく、興味があるなら、面白いと思うなら、得すると思うなら、それでいいと思うなら、アメリカの制度に国として、個人として、団体として、人間精神として、参加しなさい!こういうのりで考えるべきだ。
 
 
伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
2010年代の国際経済の安定化と平和裏の成長促進
2010年代の国際経済の安定化と平和裏の成長促進
Q3. コメントする
安全保障が焦点となるが、これをいかに平和裏に進めて行くかが問われる。東アジア圏とりわけ中国・北朝鮮との間に、直接の武力行使でない成長の端緒をどう見出して行くかがポイントになる。
Q4. コメントする
日本には米国にはないいくつかのコア・コンピタンスがある。その国際的な価値確認を裏打ちに、規模だけでなく質において一目置かれる存在、かつてのヴェネチアのようなプレザンスを確保しつつ、実体経済に裏打ちがあるパートナーシップを構築してゆくべきと考える。
 
 
本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
 民主主義と新自由主義を国家基軸としてきた米国は、金を持つ者が政治を支配するために「格差拡大社会」の問題に苦しんでいる。中東やアフリカ等のテロ、南米を含めた発展途上国に見られる反米の動きは米国のあり方に反対する動きだ。富むものがさらに富む構図をいかに公正なシステムに持っていけるかが大きな課題。
 民主主義と新自由主義を国家の基軸としてきた米国は、金を持つ者が政治を支配する構造のために「格差拡大社会」の問題に苦しんでいる。現在の中東やアフリカ等のテロや、南米を含めた発展途上国に見られる反米の動きは、そのような米国のあり方に反対する動きだ。富むものがさらに富む、現在の構図をいかに公正なシステムに持っていけるかが大きな課題。
Q3. コメントする
 人類の悲しい性ではあるが、金に目がくらんだものが政治力を持つと、一方では必ず貧困等で虐げられる人々や国家が現れ、社会は混乱する。
 巨大隕石が落ちれば一蓮托生の地球。各国政府の利害獲得競争による軋轢を増大させる方向から、同じこの時に地球に住む同胞を思いやる気持ちを醸成させる思考や活動(種々のNPO含めて)の存在を拡大していく必要がある。
Q4. コメントする
 日本は、表面上は民主主義体制をとりながらもクレプトクラシー(収奪・盗賊政治)から脱却できず、さらに戦後は米国追従で新自由主義経済に巻き込まれ苦しんでいる。
 現在は日米両国ともに既得権や金を持つ者が強大な政治力を発揮した結果の「格差拡大社会」となっているが、TPPも富者がさらに富を集めるルールに落ち着く可能性が限りなく高い。
 一方欧州や発展途上国では、新自由主義社会の限界に気づいた動きや問題提起が着実に進んでいる。日本はすでにその限界を見せている「勝者総取りの米国型新自由主義」から、国民の医療や福祉充実にも気配りを行う欧州型民主主義国家へ脱皮を図るべきだ。
 
 
山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
日米同盟の重要性は、言葉だけでなく両国民と国際的にわかりやすい立ち位置をかたちにして具体的に示すべきである。
日米関係の重要性は両国とも認識している。しかし、それを言葉で確認・強調するだけでは、両国内及び対外的にもインパクトに欠ける。「米国を狙って北朝鮮が長距離ミサイルを発射すれば、日本は同盟国を守るためにそれを撃ち落すために全力を挙げる」というように、具体的に集団的自衛権行使の認識を明確にすべきである。
Q3. コメントする
中曽根元首相とレーガン元大統領のような首脳同士の信頼関係の構築に意を注ぐことから始めるべきである。
Q4. コメントする
増大する中国の軍事的圧力、不安定な北朝鮮、強い国家を標榜するロシア。そうした中にあって、オバマ政権は内政に力を削がれ、国際的プレゼンスが低下しているように見える。アジアシフトに転換した戦略の一翼を日本が担うなど、TPPなどで多少の軋轢があろうとも長期的に同盟関係はびくとも揺るがないことを内外に見せつけるべきである。
 
 
原田曜平
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
対アジア戦略で共同歩調をとることだと思います。
対アジア戦略で共同歩調をとることだと思います。

北朝鮮問題もさることながら、日中関係が最もこじれている今、対中戦略で共同歩
調をとることは最も重要な案件だと思います。
尖閣問題以後、中国の世論で主流だったのは、仮に戦争が起こってもアメリカと同
盟国である日本には負ける、という意見でした。
戦争は絶対に起こしてはならないものだと思いますが、アメリカとの共同歩調が抑
止力になったことは間違いありません。
領土問題以外でも、超大国になりつつある中国と対等に向き合うために、米国と同
じベクトルを持つことは、少なくとも当面は、日本にとって最重要なことだと思い
ます。

同時に、急成長中の対アセアン対策も共同歩調をとるべきだと思います。
ビジネス上も東南アジアには独自の規制や慣習を持つ国が多く、一カ国で交渉を進
めるよりも、二カ国で進めた方が有利に働くと思います。
また、アセアンは中国と利害が対立する国も多く、アメリカとそうしたアセアン諸
国と共同歩調をとり、大国中国と向き合うことも日本にとって重要になってくると
思います。

2050年に、世界のGDPにアジアが占める割合は5割になると予測されていま
す。
対アジア戦略なくして、日本の成長なし。
そのパートナーとして、米国と少なくとも当面は固い共同歩調をとるべきだと思い
ます。
Q3. コメントを控える
Q4. コメントを控える
 
 
松田千恵子
首都大学東京教授/マトリックス株式会社代表
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
日米同盟の確認及び強化-日本は実質的に自国の防衛を米国に委ねている。
一方、現実問題として隣国における非友好的行動が顕著になっている現況下において、
防衛を委ねた先と様々な軋轢が起こって、自国防衛の実効性が揺らいでいる状況を
修復することは、他とは次元が異なる最重要かつ喫緊のテーマである。
(自国防衛を他国に委ねている事の是非とは別の問題。現実に対処する緊急性がある)
Q3. コメントする
以下の三点をまずやるべきことと考える。

①日米同盟強化を明確に内外に伝える(戦略的対外向け広報を充実させる)

②東アジアの平和維持に向けた具体策を早期に日米で練り上げる(これは公開の必要はない)

③国内において防衛省と外務省の連携強化、業務整理、緊急対応体制の整備

アジアの平和維持のための軍事力(軍事同盟強化)を最優先にすべき(平和が侵されたら
その他のどんな要素に注力しても無駄)と考えれば、その他の要素については自ずから解決
の方向は決まるはず。

なお、TPPについては「軍事同盟強化とバーターで受けざるを得ないのでは」などといった
議論もあるようだが、そもそも「交渉にさえまだ参加していない」事態がおかしい。
得るものを得て守るものを守る
ために、交渉のテーブルにさっさとつくべき。遅くなればなるほど自縄自縛の
二者択一しか道がなくなる。
Q4. コメントする
防衛力の維持強化がたとえできたとしても、実際には抑止力としての使用であり、戦争になる前に
世界各国との対話によって様々な問題を解決しなければならないことを考えると、
日米関係をどうするかという以前に、中長期的に真剣に外交力の強化を考えないと、
日本は生きていけない。

交渉力、発信力、何をとっても世界第三位のGDPを持つ国のそれとは思えない。
国内におけるこうした能力、そしてそれに裏打ちされた骨太な国家戦略を作ることができるまでは、
これまでの日米関係を大きく変えるような無謀な冒険を安易に考えるべきではない。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
日本が米国の望む政策を前進させていくことが日米関係の安定を導いていく。
 現時点ではTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加が対米アプローチとして最重要と考える。オバマ大統領は現実主義者だと聞く。米国が日本に何をしてくれるのかではなく、まずは日本が米国が日本に望む案件を処理すべきではないか。
 TPP、尖閣諸島、普天間基地移設問題、為替といった諸課題は底流でつながっていて、日本がTPP交渉参加を表明することが米国の日本に対する当面の評価となるのではないか。
Q3. コメントする
 まずはTPP交渉参加を日本が表明すること。日本が米国を防衛できない以上、対等な日米関係はあり得ない。ここに日本のいわば負い目がある。TPPを突破口に日米同盟の再構築目指せばよい。TPPに参加しない日本を米国は信用しないだろう。
Q4. コメントする
 中長期的には米国は北米の米国に埋没していくだろう。このとき、米国関係一辺倒では日本外交は成立しなくなる。いつまでも米国に頼れない。そのためには日本の防衛力を強化し、海上輸送路の安全航行を日本自らが保証していかなければならない。
 
 
潮匡人
国際安全保障学者,拓殖大学客員教授
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
日米同盟の強化。理由;北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射、中国のFCレーダー照射や領空侵犯など、周辺地域の脅威が高まっているから。
Q3. コメントする
まず「集団的自衛権行使」を明言すべき。加えて「非核三原則」を見直し、核を搭載した米原潜の日本領海通過などを認めるべき。さらに策源地(敵基地)攻撃能力の保有に踏み出すべき。その他、個別案件としては能力向上型迎撃ミサイル(SM3ブロックⅡA)共同開発の前倒しや離島防衛共同訓練の強化が課題。
Q4. コメントする
日米同盟は今後とも日本外交の基軸であるべき。ともに戦略的環境を同じくする海洋国家であり、自由、基本的人権、法の支配、民主主義など普遍的な価値を共有している。地域の平和と安定を支える国際公共財でもある。間違っても、中国など大陸国家と手を結んではならない。
 
 
石澤靖治
学習院女子大学長
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
 たぶん一般的に予想されるのは、「対中国あるいは対北朝鮮問題をはじめとする東アジアの安全保障について、日米が協調して対処する方針を内外に示すこと」ということだろうが、目先のことはそうだとしても、日本とアメリカが世界で中心的な役割を果たそうと考えるならば、次のようなことになるのではないか。
「日本とアメリカが自国内の利害の調整を超えて、東アジアや中東をはじめとして不安定化している国際社会において、経済も含めてグローバルな視点からのグランドデザインを示し、そのアプローチを探ること」。そのように考える。
Q3. コメントする
 日本では政治と政治家に対する不信感が強く、アメリカにおいては不毛な党派的な対立がこれまでになく高まっている。そのような状況では両国の指導者が、何を行い何を発言しようとしても、国内を抑えきれない。そこでまず、両国が国内における安定的かつ信頼性があり、そして生産的な政治システムを構築することが重要である。それがあってこそ、混迷する国際社会において建設的な提案と行動をとることが可能になる。
Q4. コメントする
 中長期的にも、日本はアメリカと一定の良好な関係を継続していくことが日本の国益につながると思われる。アメリカのもつハード・ソフトの両面でのパワーや地政学的なものなど総合的に考慮しての考えである。しかしながら、国際社会におけるアメリカの圧倒的なパワーは次第に弱まっているし、アメリカ自体も変質しつつある。そのような中で、現在ありがちな、「日本の外交、安全保障=単にアメリカと良好な関係を構築していれば安心」というように、思考を停止していいわけではない。安全保障についての認識を深め、自ら主体的な外交ビジョンを掲げつつ、アメリカ以外の諸国と柔軟で戦略的なな外交関係を築いていく必要があろう。
 
 
村沢義久
合同会社Xパワー代表/ 環境経営コンサルタント
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
東アジアの緊張感は、おそらく朝鮮戦争以降で最高レベルにまで高まっている。日米の確固たる連携が、この地の安定に貢献すると考える。
連携を密にして、東アジアの新たな脅威に対処すること。
Q3. コメントを控える
Q4. コメントする
以前は、「日米関係」から「日米中関係」に移行していくべきと考えたが、中国の特殊性が和らぐまでは、日米の同盟関係を軸とした外交を中心にすべきである。
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
対中国、対北朝鮮を念頭に、法制度や経済面における日米の連携を深めていくことが重要。
対中国、対北朝鮮を念頭に、法制度や経済面における日米の連携を深めていくことが重要。

日米は、法制度・経済制度において、相互に理解・交流しやすい基盤と歴史があって、価値観を共有している。もっとも、その実態は文化の違いから、相当の違いがあるけれども、中国や北朝鮮と比べれば、洗練された自由主義経済体制を構築して、法治国家、基本的人権の尊重、個人の尊厳などの価値観を共有している。

北朝鮮との関係は、日米共同して中国を味方につけて、どう抑え込んでいくかが課題となる。
他方、中国との関係では、中国の法制度や経済を、より日米に近づくような改革をサポートしていきながら、中国の軍事的な脅威は抑え込んでいくことが必要となろう。

こうした関係からすると、軍縮に向けた世界的な潮流をいかに形成していくかが課題となり、日米がその中心的な役割を果たしていくことが期待される。また、日米関係においては、法制度の相互理解の促進をさらに進め、経済的な連携を強めていくことが重要であり、TPPのルール作りに参加することは不可欠だろう。
Q3. コメントする
日米には民間において相当な経済的・文化的な交流があるので、それを一層促進しながら、政治的な連携を深めていくことが重要。当面の課題はTPP交渉の推進となるだろう。

日本国内のTPPに関する議論はすでに出尽くしているのだから、もう決断して行動していく時期である。

また、領土問題を含めた各種の利害対立や紛争については、法による解決を図るべく、世界的な法的解決の枠組みの構築ないし実質的・実効的な運用に向けて努力すべきである。
Q4. コメントする
現在の状況からすると、東南アジアにおいて、日本と中国の関係が基軸となる時機ではなく、日米関係を基軸とした外交を考えざるを得ない。

近時の状況からすると、米国の次には、ロシアとの関係が重要となりそうであり、韓国、フィリピンなどの国々とは、米国とも連携しながら関係の深化を進めていくことになろう。

そう考えると、日本としては、米国との可能な限り良好な関係を維持しつつ、中国をいかに抑制・コントロールするかが重要な時代がしばらく続きそうである。
 
 
細川昌彦
中部大学教授
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
「台頭する中国」を念頭に、経済、エネルギー、安全保障など多面的な東アジアの地域戦略を日米が共有すること。その際、ASEAN、韓国、豪州の取り込みが必要。

ただし今回の首脳会談は「仕切り直し」であり、次回の本格的首脳会談への布石
1 「台頭する中国」を念頭において、経済、エネルギー、軍事など多面的な東アジアの地域戦略を日米が共有すること。現在直面している尖閣問題、北朝鮮問題もそういう包括的な戦略の中で考える必要がある。
日米関係の最大のテーマは「台頭する中国」にどう向き合うか。
まず①日本の相対的地位の低下、②中国の台頭と対外膨張主義の懸念、という国際的な構造変化を大前提として考えるべき。
また米国側もオバマ政権はアジア・シフトを強めるとともに大幅な国防費の削減に迫られている。こういう中で、米国から見て、「欧州における英国の同盟国としての役割」を東アジアにおいて日本が果たせるかどうか、という視点で見ている。日本がよりどころとする日米安保体制、日米同盟もまさにそういうコンテキストで再定義される。
 
またASEAN、韓国、豪州を取り込んだ戦略であることが必要。

2 ただし今回の首脳会談は次回の本格的首脳会談への布石
(12年前に日米関係を担当し、小泉―ブッシュの首脳会談の準備をした経験から、コメントすると、)
今回の会談の意味は、オバマ第2期政権はまだ本格稼働ではないため、民主党政権で失われた米国の信頼を回復して、まず安心感を与えるための「日米関係の仕切り直し」のステージ。
日米関係の新たな包括的な枠組み作りはもちろん必要であるが、本格的な立ち上げは次回の首脳会談になるだろう。これは新国務長官、新国防長官のもとで実務的にきちっと議論を積み上げて出来上がるもの。それに向けた双方のすり合わせを今回スタートする。
Q3. コメントする
1 今回は「仕切り直し」のステップとして、当面の目的として
① 民主党政権下で普天間基地の問題、原発ゼロ問題を巡って失った日本への信頼感をまず回復することが先決。この2つの問題で米国の安心感を与えること。
② そして懸案のTPP問題で「聖域」を条件に参加への前向き姿勢を示すこと。
③ アベノミクスへの理解を得ること。
④ 喧伝される右傾化の懸念を払拭すること。
⑤ 尖閣問題。北朝鮮問題への対処のすり合わせ

2 その後、本格的な日米関係の新枠組み作りに入る。12年前の政権交代期においても、クリントン政権下で冷え切った日米関係を立て直すべく、新政権発足後、日米の当局者間では新たな日米関係の枠組み作りを精力的に行っていた(私も参画)。それが5月のブッシュ・小泉の日米首脳会談で結実したことが参考になる。

3 いくつかの分野を例示的に挙げると、以下のとおり。これらを一つ一つ積み上げていく「ブロック積み上げ方式」で、最終的に多面的、包括的な日米の枠組みの形を目指す。

① エネルギー分野での日米協力は最も大事なテーマに一つ。日本の民主党政権下での脱原発の動きに対する米国の反発、懸念の払拭は必要。
米国のシェールガス革命で天然ガスの対日輸出が今後の日本のエネルギー供給にとっても重要。同時に再生可能エネルギーや省エネなどエネルギー分野での日米協力も日本の先進的な技術を武器に具体的に進めるべき。

② 安全保障面では、米国の今後10年間の新国防戦略の指針でも、アジア太平洋に防衛増の優先度を移しており、その一環で米国は日本を組み込んだ形で「対中ヘッジ戦略」を立てている。これに対応する形で、約束した南西諸島の防衛力の体制強化を財政難の中で防衛費を確保して、どう具体化するかが大きな課題。
また、日本との相互運用、共同対処の強化をさらに求めてくることにどう積極的に対応するかがポイント。

③ 経済面では、TPPとともAPECを使いながら東アジア戦略をどう展開するかが重要。その際、RCEPなど東アジアの他の枠組みも併せて進めることによって、米国への交渉力を強化することが大事。

4 これらを日米間で進展させるためには、日本自身がASEAN、韓国、豪州などとの関係を強化して、これを基盤に米国と交渉することが重要。
Q4. コメントする
 10年前と違って、米国から見れば、日米関係は独立変数ではなく、「米中関係の従属変数」になってしまっているという現実を直視した戦略を考えるべき。あくまでも米国がアジア戦略を展開するうえで、英国のような不可欠のパートナーとなること。日本も台頭する中国とどう向き合うかが最大の外交となる中で、そのことが不可欠の対中牽制力になる。
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
東アジアの安定。中国のプレゼンス、北朝鮮の暴走に対抗するために、アメリカの東、東南アジア戦略にゆるやかに協力する。
東アジアの安定。中国のプレゼンス、北朝鮮の暴走に対抗するために、アメリカの東、東南アジア戦略にゆるやかに協力する。
ただ、日米だけというのは望ましくない。中国などに日本だけを標的にされ、アメリカが日本を捨てて中国と妥協するという選択肢に魅力を感じるようにさせてはいけない。
常に、アメリカは自分の国益を考えているため、日本を捨てるという選択肢があることを念頭に置くこと。
Q3. コメントする
TPP参加は必須だと考えている。
東アジアでも、包括的な協力関係を推進する必要。
Q4. コメントする
問1にも書いたが、アメリカが日本を捨てるという選択肢があるということを前提に考える。これは、アメリカに媚びるというよりも、捨てさせないように気をつけて東アジア諸国との外交にあたるということ。あまり中国と対立しすぎると、アメリカが日本を捨てるという選択肢を現実化させる。
 
 
神保謙
慶應義塾大学総合政策学部准教授
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
北東アジアの危機に備えるための日米同盟強化と、台頭する中国を国際秩序に取り込むための対中政策強化の双方を両立させること。
北東アジアの危機に備えるための日米同盟強化と、台頭する中国を国際秩序に取り込むための対中政策強化の双方を両立させること。

中国の軍事的台頭と北朝鮮の核・ミサイル開発の進展は、北東アジアの安全保障環境をさらに厳しいものにしている。危機のレベルに応じて、日本が独自に対応すべき事態と、日米での共同での対処のあり方を再整理し、新しい日米防衛協力のガイドラインに結びつけていくことが重要。

他方で、米国のアジア回帰 (strategic pivot/rebalancing) は単に中国を牽制するだけでなく、中国を国際秩序に取り込むための外交的梃子でもある。日本側でも同盟強化と価値観を共有する国々との連携という軸に加えて、日中の共存戦略を描く必要がある。これらを両立させることが、日米関係の最大のアジェンダである。
Q3. コメントする
日米同盟強化のアジェンダについては、日米間の「共通の戦略目標」を改めて定義した上で、日米の新たな任務・役割分担の整理が必要。東シナ海における低強度の非軍事的・軍事的攻勢については、可能な限り海上保安庁、自衛隊が独自に対応できる範囲を増やし、日本側の紛争管理の自律性を高める。陸海空自衛隊の南西方面への展開能力の強化は必須である。中強度・高強度へのエスカレーションが生じた場合には、速やかに米国の軍事介入が可能となるように、日本における施設区域を強化・整備し、自衛隊との相互運用性を高める。この意味において、集団的自衛権の行使を可能にしておくことは不可欠。

日中の共存戦略において重要なことは、(1)日中の危機管理メカニズムの構築と、(2)戦略的互恵関係のアップグレードの2つ。(1)については、海上における事故防止のための連絡メカニズムの運用(特に海上保安庁・自衛隊の中国側カウンターパートの明確化)、エスカレーション防止に関する暫定合意(互いの挑発的行為を慎む政治的合意)、危機が高まった際の回避手段の相互シミュレーションなど、着手できることは多い。(2)については、2008年の日中共同声明を未来志向の共存と協力を謳うアジェンダへと深化させる。日中間の政治・経済・学術・文化などのコミュニケーションチャネルを拡大させる。
Q4. コメントを控える
 
 
有馬晴海
政治評論家
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
安全保障。特にアジアの問題はアメリカにとっても大切。
ただ、経済的に考えれば蔑にできない。
日本だけの方を持つわけにはいかないが、出方をけん制していくことが大切。
そこに沖縄基地が絡み、尖閣で日中が緊張状態になり、アメリカの立場も微妙。
日本が、何処までアメリカの方針に沿えるのか。
Q3. コメントする
日本の日米同盟のスタンス。何処まで協力ができるのか。
安倍首相は一気に辺野古を進め始めたのも、アメリカへのお土産。
今回は避ける方向だが、TPPも関税という意味合いより、日米安保との交換条件ではないか。
第二の安保と考えれば、参加するしかないことになる。
Q4. コメントする
アメリカの属国、傘のなかであり続けるのであれば、
アメリカの方針に従い、アメリカの考えに協力するしかない。
食料まで委ねて言いたいことが言えるのか。
今のうちから「ノー」と言える関係を構築する必要があるのだが。
中々難しいような気がする。
 
 
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
北朝鮮の核実験直後の首脳会談であり、世界が注目していることを念頭において首脳会談に臨み、両国が3つの宣言をしていただきたい
いまの安倍総理にとって初めての日米首脳会談であり、これまでギクシャクすることが目立った日米関係が回復する兆しのあるなかで両国首脳が会う。円安基調で日本経済が回復する方向にあり、日本には日本の国際的役割を語ることができる余裕が生まれつつあるので、重要な会談になる。大きな成果を期待したい。日米の首脳が議論すべきことは多い。北朝鮮の大量破壊兵器開発への懸念、日米ミサイル防衛体制の強化、中国の軍事動向がアジア太平洋の安定に与える影響、中国のサイバー戦争能力、中国の動向に不安を感じている東南アジア諸国に日米が一緒に支援すること、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の促進、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題、ハーグ条約(国際結婚夫婦の子の扱い)への加盟など、日米で議論すべきことが山積している。
 一番重要なことは、ひとつに絞り込む必要があるので、「アジア太平洋の安全保障環境の急速な変化に、日米がどう協調して取り組むか」というテーマが最も重要なテーマになる。3つの宣言をしていただきたい。
 具体的には、(1)北朝鮮の大量破壊兵器開発への対応である。その大量破壊兵器開発の目的が、大陸間弾道弾の開発、弾頭数を増やすこと、米国の本土防衛を脅かすこと、そして、朝鮮半島の有事のときに米国の軍事介入を阻止することにあることが明確になってきた。北朝鮮は核抑止力を完成したら、通常戦力で朝鮮半島統一に向かうと言っているのと同じなのである。世界は北の核問題を語るときに、ようやく「大陸間弾道弾」という言葉を使うようになったが、まだ危機感が足りない。ミサイル防衛体制の強化のために、米国と日本の一層の協力が必要になっている。ミサイル防衛体制改善の予算の前倒しを双方が宣言する。(2)尖閣諸島の安全は風雲急を告げている。中国の政治と軍、政府と民間が一体となった尖閣諸島に対するさまざまな動きによって、この地域は一触即発の状態だ。民兵が上陸してきて支配を宣言して、尖閣諸島は中国が施政権を行使していると宣言をするシナリオが現実のものになったとき、日米がどう対処するか。具体的な軍事的対応措置を詰めると宣言する。中国の海軍力と核戦力の強化、資源輸出を戦略的に使う経済戦略、環境汚染、発展する中朝経済関係は、この地域の戦略状況を急速に変えつつあることへの不安を宣言することも大事だ。
(3)このとき、日米の認識はほとんど一致している。首脳会談で大きな成果を得ることは間違いない。しかし、朝鮮半島における北朝鮮問題、核兵器開発の解決に重要な鍵を握っているのは韓国だ。日米韓が協力して、北朝鮮の大陸間弾道弾開発に対処すべきときだと宣言する。朝鮮半島の安定を維持するためのミサイル防衛強化には、日韓情報保護協定締結が不可欠だが、韓国はどう考えているのだろうか。「日韓協力を進める時期ではない」「安保問題の論議のときではない」「慰安婦問題の解決が先決」と考えているのである。ソウルの国際会議で、私が朝鮮半島の動向を説明して日韓安保協力の提案をすると、「謝罪なしに安保の話を始めるとは、誠実さが欠如している」と発言した専門家がいた。「19世紀以降のアジアへの侵略の歴史を反省して、1910年の日韓併合条約、1951年のサンフランシスコ条約、1965年の日韓基本条約の締結をやりなおすくらいの覚悟をしないかぎり、日韓の未来志向の協力はありえない」という点で、韓国の次期政権、有識者、国民の見解が一致している。「安倍総理が靖国神社を参拝したら、次期政権下での日韓友好関係は終わり」と公式の席で指摘する有識者は少くない。「右翼政権の安倍内閣に対処するために、中韓協調を」という意見は、韓国人の多数が持っている。尖閣諸島問題でも韓国民は心情的には中国を支持している。また「安倍政権が自国の輸出産業保護のために、国をあげて円安を誘導している」と韓国の政策決定者たちは信じており、ドイツとの協調で「円安を誘導する日本の政策」を転換させようとしている。「円安は、韓国輸出産業を潰すための日本の安倍政権の陰謀だ」という論議まで、韓国にはある。この誤解を解くために私は韓国で毎日、苦労しているが、韓国ソウルの会議では孤立無援である。
 北朝鮮の大量破壊兵器が米国の本土を脅かすようになったにもかかわらず、ミサイル防衛体制の強化を含んだ日米韓協力体制を議論する環境にはないのは残念だ。日本はこのことを憂慮していると明確に首脳会談で米国に述べるべきだろう。過去の歴史に関する議論に照準を合わせて、日韓が政策志向的な観点で信頼構築の議論をすることを拒否したままの韓国。当惑する日本。この両国が、信頼を回復できるように、米国は仲裁の労をとるべく、日米首脳会談の場で言及をしていただたい。いまの世界秩序の出発点は、サンフランシスコ条約(1951年)にもとづく戦後体制であり、それは、米国が作った体制なのであるから。
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 重要なことを推進するプロセスで必要なことは、次の3点である。
 第一に、重要なことを達成するために、日本の国内体制を改革する。そのために日本側が政策決定プロセスで迅速な意思決定を行なう。日本は意思決定に時間がかかる。あらゆることには、賛成と反対があるのは当然だが、反対意見を聞きながら、反対意見が鎮静化するまで、協議と妥協を繰り返す結果、時間だけが過ぎてしまう。すると日本が何を考えているのかわからないと世界が考える。玉虫色の結論を出すのが良い指導者であるとの誤解が日本社会にはあるが、指導者に必要なのは決断力と勇気である。TPP参加問題、日米同盟強化、沖縄の米軍基地再編問題で日本国内の見解の相違を埋めるという過程は大事であるが、いま指導者に必要であるのは、日本がどう考え、どうしようとしているかを、世界に向けて明確な言葉で発信する能力である。
 明確な言葉で発信しないと、世界は「自分で判断をしようとしない日本」と冷やかかに見ることになる。例えば、日本自身が抑止力を保持することに関して、日本の国内では「日本が通常戦力による抑止力を模索すると、米国が気分を害する」として、その議論を自己規制してしまう。しかし、米国は自己規制する日本を、「自分で自分のことを考えることができない日本」と見ているのである。米国の有名な高齢の元国務長官や大統領補佐官に、日本のメディアがインタビューをする番組を観ることがある。そこで日本のインタビュアーが、「中国の動きについての見解がよくわかりました。では、これから日本はどうすればよいと思いますか」と聞いている。その有名な米政府の元高官は苦笑している。「そんなこと、自分で考えなさい」という笑いである。しかし、日本社会はその笑いの意味が理解できない。米国の元高官に「日本はどうすればよいのですか」と聞くのに、日本の専門家に対して日本の進むべき道を聞かない。
 第二に、その次に日韓関係の改善を急ぐ。日米が解決すべき問題をみると、日米の問題は、日韓関係と連結していることがわかる。日米で合意できることは多いので、あまり心配していないが、日韓の意見の違いがあまりにも多い。北東アジアの安定のために、米国、日本、韓国の3か国の協力関係を促進することを急ぎたい。
 韓国の主張は、「1910年の条約は当時の朝鮮半島の人々が自主的な判断ができない状態のときに無理やりに締結させられたものであり、無効。1951年のサンフランシスコ条約は、戦勝国の米国が朝鮮戦争で苦戦していたこともあり、日本との平和条約締結を急いで、戦後支配の構図を迅速に作りたかったので、韓国の主張を無視して締結を急いだ。韓国にとって不公平な条約であり受け入れられない。日韓基本条約は朴正煕政権が急ぎすぎた条約であり、当時、明らかになっていなかった問題は未解決のままであり、韓国は補償の権利を留保する」という点である。国際社会で戦後体制の基本にあるのは、サンフランシスコ条約であり、日韓基本条約はその条約を前提として締結されたもの。日韓基本条約以降の日韓関係の積み重ねを前提として、1998年、小渕・金大中の両首脳による日韓共同宣言ができあがった。「時計の針を100年前にリセットしないかぎり、日本との対話は困難だ」と考える韓国の立場と、日米同盟はアジア太平洋の安定と発展に不可欠という米国の政策は矛盾していないだろうか。戦後体制が確立したことを前提として「未来志向の米韓同盟」があるのは厳然とした事実であることを、米国は米韓首脳会談で指摘してくれても良いのだが。
 第三に、その次にすべきことは、アジア太平洋地域で重い責任を負っている日本が、自主的な判断に基づいた長期的な国家戦略を持っていることを世界に発信することである。日本は過去の歴史を背負いながら、北東アジア各国と共存してゆかねばならない。だから中国、韓国、北朝鮮との協議の道を閉ざしてはいけない。日本が日米関係重視というと、対中国強硬姿勢、日朝協議拒否、日韓懸案事項先送りと解釈されてしまうが、そうではない。国家戦略とは、そのような二者択一ではないし、米国への一方的依存で日中、日韓関係を打開できるものではない。日米同盟強化のあとは、日中、日韓、日朝の関係改善のために、「領土問題解決、先にありき」「歴史認識の転換、先にありき」という隣人らとじっくりと対話を進めてゆく必要がある。
Q4. コメントする
 世界の平和と安全を維持する上で、日本と米国が同じ程度の義務を負っている関係にしてゆくべきだ。日米安保条約は、米国の日本防衛義務を明記しているが、日本が米国の本土防衛のためにできることは規定していない。第5条で「各締結国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」とある。米国は日本防衛のために行動する義務があるのに対して、日本は同盟国である米国を防衛する義務がない。米国という同盟国が攻撃されたとき自国に対する攻撃とみなし、実力でそれを阻止することができるように、日本は努力をすべきだ。主権国家同士の条約として対等の義務を負う条約にするのである。長期的には、日米関係は米英関係のような相互主義を前提とした同盟関係にしたい。もちろん米英の国力が同等ではないので、米英は対等ではないのと同様、日米は対等になることはできない。しかし、少なくとも明白な片務性の事例として指摘されている「集団的自衛権を行使しない」という政策は廃止して、片務的でない同盟条約を持った二国間関係にするように努力したいものだ。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
日本、アメリカとも新政権の最重要課題は、間違いなく自国の経済成長、経済の活性化だと思います。それによって、政権が安定するからですが、一方でそれは一国では成し遂げにくく、自国の利益を追求すると相手国が困るという、かなり実現が難しい課題です。
経済活性化のために両国が協調することによるお互いのメリットは何かを、まずはきちんと話し合うべきです。
また、日米関係は外交の基軸であることは昔も今も変わりませんが、両者の関係の近さは、政権のトップによってずいぶん開きがあるように感じます。同じ民主党政権でも鳩山首相の時にはギクシャクしましたが、野田首相のときには比較的良好だったように思います。
そういう意味で、今回は、トップ同士の信頼関係を構築することがまずは大切になってきます。トップ同士、ファーストネームで呼び合えなくてもいいのです。いつでも会話の道が確保されていて、きちんと意見が言えて、お互い味方であることが確認されればいいのではないでしょうか。
Q3. コメントを控える
Q4. コメントする
安全保障においても、経済においても日米関係の重要性は変わらないでしょうが、それ一辺倒ではない、他国との関係も良好に保ち、絆を深める必要があるように思います。
 
 
マリヨン・ロバートソン
都市開発会社Metplan社Chairman and CEO
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
不本意だが防衛問題では。
今、すべき事は日本と東アジアに於ける日米防衛ラインの見直しと強化、特に対中国に於いては。尖閣はもとより、フィリピン、ベトナムの島々を含めて、中国による海洋支配地域拡大行動は、これまで保たれていた東アジア・太平洋地域での緊張のバランスを崩している。特に日本への高圧的な外交姿勢は、尖閣諸島を支配し太平洋へのアクセスを手に入れるに留まらず、経済、技術力等で、洗練された国家であり、東・東南アジア諸国へ友好国として影響力を持つ日本を制圧下に於く事が、中国のアジアでの絶対的な支配を確立する手法と考えている筈。既に一部の中国本土の新聞紙上では沖縄諸島は中国に属していると言う暴論記事も有り、言論規制が厳しい筈なのにこういった報道へは野放し状態だ。
更に加えれば、レーダー照射や米国へのサイバー攻撃疑惑で浮き彫りになった中国政府内の問題、共産党と中国軍の意思統一が不安定なのも気になる。米国政府の懸念はまさしくそこに有り、日本への威嚇は、その防衛を担っている米軍、米政府への牽制と考えるのが当然。
日米が協調してする事は、TPP問題など経済政策の議論を含め多々有るが、今日現在は有事下に有ると認識し、確固たる防衛対策を協議すべき。
Q3. コメントする
在日米軍の段階的な移設、縮小は、日本の自国防衛体制の強化が有って始めておきうる事、しかし現時点では。日本の防衛力が増し強化されたとしても、米国は手を引くつもりは無いだろう。普天間の移設は継続して議論を進めるとしても、日米が不協和音であると言うのは見せてはならない。あくまで、アジア太平洋地域の平和維持を担う同盟国としての一体感を見せ続けるのが必要。
Q4. コメントする
安倍内閣発足後、積極的な外交が展開されているのは好ましく受け止めている。前政権では日米間で外交と言えるべき類もの無く、鳩山氏の行った安易な発言、愚行しか記憶に残っていない。
外交に於いて最も大切なのは、互いの文化、国民性を理解した専門家を育て、政権が変わっても外交がその時の政治のイデオロギーに左右されない体制を確立する事。外交に携わる人たちの人間関係の構築は不可欠。日米関係は。前述した防衛問題だけでなく、アジア太平洋に於いて、経済や政治の安定を保ち繁栄させる為の使命と責務を担っている。領海と排他的水域支配では世界有数の大国である日本は、米国と強調し、必要な協力を引き出しながら、アジア太平洋地域に留まらず、東南アジア諸国との経済協力や共存を図るべき。
 
 
にしゃんた
羽衣国際大学教授/落語家
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
日米関係にとどまらず国家間が協調して取り組むべき最大の課題は世界の、そして日本が入っている以上とくにアジア地域における平和で持続的で共に笑える国家間の良好な関係構築だろう。国家首脳同士が会談するのは、大いに結構だが、日米首脳会談の場合、訳が違うのではないか。長期にわたる自民党単独政権のもと、首相が代わると就任すぐにアメリカに行き、「ひとつよろしく」という、徳川幕府の時代の参勤交代を思い出させる、ごますり的儀式をしに今回も行くだけではないか。アメリカの手のひらで自民党政権の首相はあれこれエラそうにもの言ってきた。エラそうにもの言って相手が本気になって怒ってきたら、すぐに「助けて」とアメリカに大きな声を上げる。今回は、いつも以上に弱って、八方塞がりの日本が「何とかして下さいと」お願いしに行くのだから、足元を見られているのを良いことに、安倍首相の手土産こそが先方さんの最大の関心事ではないか。今回の会談は、米国のためにあり、気遣いの日本は、TPPや米軍基地などの先方の要望を鵜呑みしますとわざわざ出向いて言いに行っているだけではないか。TPPも在日米軍基地も、日本のためにあるのではなく、米国の利益のためにあるというのは解りきった事実であって、日米協調とは、主体性を持たずにアメリカについていくことではないハズで、安倍首相が言う「日米関係の復活」は、「米国にとって都合の良い関係の復活」になっては困る。
Q3. コメントする
先ず、現状の皆無に近い情報を出来るだけ多く国民に開示し、国民や市民の十分な議論後のコンセンサス得た方向で国内関連の政策もさることながら、外交的課題も取り組む。現状では、国家の将来を左右する大きな意思決定に関してさえ、国民は不在で、精々声の大きい人たちの声だけしか届いてない。例えば、TPPに関しては国民のコンセンサス得るどころか、国民にはTPPの本質も見えてないどころか、考える材料すら与えてもらっていない。米軍基地は地元民が猛反対しているのに耳を傾けない。国民不在で、一握りの人間だけでもって、重大な案件が決定されるのは、民主主義が進んだ先進国で外にあるだろうか。まず、国民の生活が第一、地域住民が第一をはっきりさせた上で、対等な立場で揺るぎない姿勢で日米協調にも取り組む必要である。「国民の声」が外交の際の大きな説得力をもつのだから、国民も思っている事をもっと大きな声で口に出そう。対米関係でいえば、最近だとエジプトで民衆を無視してムバーラク政権が崩壊したことへの教訓もあって、現モルシ大統領が、米国とは対等な関係を表明している。そこまで行かなくても、日本も参考に出来るのではないか。
Q4. コメントする
現状、日米は同盟以前の段階にあることの自覚がまず大事。従属は最大の貧しさである。外務省を笑いものにして「ワシントンがクシャミすれば東京は風邪ひく」とか「(米ソ対立の頃は)モスクワが咳すると、東京は風邪ひく」という話を聞いたことがある。中長期を待たなくても良い、対米に関しては早い段階で、いまの従属的な関係から解放され、対等な関係を確立させ、中長期的にまで継続させる。日本の自主・自立な立場を確立し、貫く必要がある。米国に一々お伺いを立てないと何一つ出来ず、対等にものも言えない、逆らうとお叱りを受けて干されるというこの窮屈な上下関係をまず何とかしよう。喧嘩する必要は勿論なく、米国は親友の1人で良いが、自助努力のなかで、他の国々、まずは周りの国々とも均等のとれた外交関係を進め、数多くの親友をつくっていこう。

少しドイツの場合を考えてみよう。20世紀の2つの世界大戦で2回とも同盟国として敗北し、国も国民も想像を絶する苦しみを経験してきた。しかし、第2次大戦後のドイツは、周辺諸国=かつてドイツが侵略した国々=との友好を推し進めた。長く敵対してきたフランスとは、極めて関係が良い。東側の国も、ポーランドやハンガリー含め、いい関係を保っている。ソ連が解体する以前でも、西ドイツとドイツ人はポーランド、ハンガリー、チェコなどの東ヨーロッパ共産圏諸国で、特に国民には人気があり、受け容れられていた。歴史を、侵略の歴史を事実として認め、相手国と国民に謝罪し、許しを請う。ブラント首相の「東方外交」である。その姿勢が認められて、ヒットラーのナチスドイツとは異なる平和国家になって周辺国にも受け容れられた。

なぜ、日本が、あと2年半で戦後70年になるのに、周辺国家から信頼されないのか。なぜ、隣の国に受け容れられないのか。日本人はいまこそ、この事実を考えなければならないと思う。大戦後のドイツが周辺国家との間で「領土問題」がなかったわけではない。なかったどころか、領土は(ドイツからすれば)不当に奪われた。東側を見れば、旧ソ連が戦後、西の方に領土を膨らましたから、その分、押し出されたポーランドは西に、すなわち以前のドイツ領に張り出し、ドイツは領土を失っている。またフランスとの関係では、あの「アルザス・ロレーヌ」地方はドイツとフランスとの間の紛争のたびにドイツ領になったりフランス領になったりしたが、大戦後は両国の平和共存の象徴として、いや、ヨーロッパ統合のシンボルとして国際機関の本部が置かれたりしてきた。ドイツはかつて侵略した国・国民と平和に生きるために、「失った」領土は口に出さなかった。
 
 
川上高司
拓殖大学海外事情研究所教授
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
 ずばり言うと、今回の日米首脳会談の目的は「日米同盟の強化」にあります。日米が協調して、今、なすべき重要なことは大きくわけて「リージョナル(地域的)な協力」と「グローバル(世界的)な協力」の二つあると考えられる。
 「リージョナルな協力」は、先ず、北朝鮮の度重なる核実験、ミサイルテストにどう対応すべきかということ。北朝鮮に対しては、「抑止」と「対話」で臨む必要があるし、関係諸国や国連との連携がかかせません。今後、国連安保理が国連憲章41条(経済制裁)を北朝鮮に課すであろうが、それに対して、さらに北朝鮮がさらに核実験やミサイルテストをした場合、国連はさらなる措置、国連憲章42条(軍事政策)を課す可能性もある。その際、日本は米国とともに行うことができるのかが試練であろう。当然、集団的自衛権の問題がでてくると考えられる。さらに、北朝鮮のICBM保有が目前となった場合には、米国の北朝鮮に対する先制攻撃の可能性の論議が米国の議会を中心としてでてくると考えられる。それに日本はどう対処するのか。この点、日本は米国と綿密な打ち合わせが必要となる。
 次に、南シナ海や東シナ海で軍事的に強硬に進出する中国に対してどう日米が対応するかという問題がある。米国はたびたび尖閣諸島に関しては、日米安保第5条の適応を約束したり、日米もしくは多国間での軍事演習を行って抑止力の強化を行ってきた。今回は、第二次オバマ政権としてもう一度、日本に対して確約することが求められる。
 それに対して「グローバルな協力」を日本が米国と共同して行う協議も必要でありましょう。オバマ大統領は特に、「法と秩序の遵守」(Global Common)を求めています。米国は現在、軍事費削減が行われようとしている。その分、日本がGlobal Common(例えば、航行の自由の確保)の担い手として米国と役割分担をすればオバマ大統領の賞賛を得ることができるでしょう。また、アフリカではアルジェリア型人質事件が今後も起きる可能性が大いにあります。そのあらたな形のテロに備えて、日米で話し合うことも重要だと思われる。
Q3. コメントする
 まず、アメリカとの関係では、まだ日米安全保障協議委員会(2011年の2+2)で決められた「共通の戦略目標」と「日米同盟の安全保障及び防衛協力の強化」の実施がまず重要。具体的に北朝鮮問題に関しては、国連安保理の制裁に協力すること、それに対する国内の法整備を行うこと。また、仮に、米国がPSI(拡散に対する安全保障構想)を実施した場合には協力する。また、米国が2005年にマカオの銀行『バンコ・デルタ・アジア(BDA)』の北朝鮮関連口座を凍結した措置のように、金融制裁でも日米で協力sることが考えられよう。さらに、日米韓の連携強化とともに、中国にも協力を求めていくよう日米で働きかけることなどがある。
 次に、中国であるが、これはオバマ大統領から直接、尖閣をめぐり中国と紛争が勃発した場合には、日米安保第5条の適応を明言してもらうことが重要であろう。さらに、そのシステム作りをするためにガイドラインの見直し(中国向け)が必要である。また、それと同時に、日本側からは集団的自衛権行使へ向けた取り組みが明示されねばならい。
 また、Global Commonに対する取り組みとしては、日本側からアルジェリア型人質事件が起こった場合には、米国やNATO諸国と協力してC130輸送機の支援など具体的な協調体制の話し合いをする必要があると考えられる。
 


 
Q4. コメントする
 第二次オバマ政権の外交・安全保障政策に対するスタンスは国際協調、外交優先と考えられる。特に、中国に対しては「対中関係の強化が重要である」(ケリー国務長官)と認識しており、日本と中国が尖閣諸島をめぐり争うことは好ましく思っていない。つまり、紛争に「巻き込まれる」ことを恐れている。
 これに対して、日本側のスタンスは、中国と尖閣諸島をめぐり偶発的にでも紛争が勃発した場合には当然ながら日米安保第5条の発動を期待する。つまり、米国を「巻き込む」ことが自国の安全保障の担保となる。ここに日米両国の温度差が存在する。
 安倍総理があまり米国に安全保障面での対中抑止を要求しすぎれば、米国は日本をうとんじることになろう。現在、米国ではJIBs(Japan, Islael, British)問題が起きている。米国にとり本来一番重要な同盟諸国が米国が起こして欲しくない紛争(日中、イスラエル・イランなど)を起こすことにより、米国が「巻き込まれる」。それは米国が欲してないことである。一方、もしそのような事態が起これば、同盟の信頼性を維持するためにこれら同盟国に加担せざるを得ない「同盟のジレンマ」状況に米国は置かれている。
 以上のような状況のなか、日米はお互いの利害関係の一致点を探りあい、中国に対してはResponsible Stakeholder(責任ある利害関係国)になるべく関与をさせていくことが重要である。
 また、米国はこのままでは強制的な軍事費削減はまぬがれない。この日米同盟に及ぼす影響ははかりしれないと考えられる。つまり、在日米軍は日本から次第に引かざるを得ない状況が年年強くなる。そのためには、日本は自衛隊の増強が必要であり、防衛費もせめてヨーロッパ諸国なみのGDP比2%くらいは必要となるであろう。そのための法整備が急務である。
 
 
朴斗鎮
コリア国際研究所所長
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
日米が協調してなすべき最も重要な課題は、東アジアを中心とする地域の平和と安定を強化することだ。特に北朝鮮の核の脅威が現実のものとなりつつあり、中国の覇権主義が顕在化する中で、この問題は緊急性を増している。
アジアの平和と安定があってこそ、日本経済の成長も可能であり、いま日本が行なおうとしているデフレからの脱却も可能となる。TPP問題においても純経済的損益だけでなく日本の平和と安全に寄与する視点からも接近する必要がある。
Q3. コメントする
変化した東アジア情勢を勘案した時、日米安保体制の強化が求められるが、それは従来の延長線上のものとなってはならないだろう。
まずは沖縄基地問題の解決に決着つけなければならない。そこでは沖縄県民の反基地感情と沖縄基地の戦略的重要性とのバランスをどう取るかが求められる。
そのためにはまず、普天間基地の移転を急ぐ必要がある。移転場所についても沖縄県民の意向をできるだけ尊重しなければならない。そのことで経済的負担が増すとしても日本国民の理解は得られると思う。
それとともに基地問題では「日米地位協定」の改正も必要であろう。米国が日本の防衛に責任を持ち、日本はそのための基地を提供し守ることで日米安保条約が成立しているとしても、婦女暴行などの米兵の犯罪に日本の捜査権が制約を受けるというような「不平等」は無くさなければならない。こうした問題で米軍の利益が優先されるべきではない。
次に集団的自衛権の問題である。戦後65年を過ぎた今もなお、同盟の相手国を守る上で行なえることと行なえないことがあるのはやはり不自然だ。ここでも能力に応じた平等な権利義務関係が必要だと思われる。そうしてこそ「日米地位協定」の改正も応分に主張できるのではないだろうか。ただ集団的自衛権の問題については、国際的関係、特にはアジア諸国との関係に配慮し慎重に進める必要があるだろう。例えば慰安婦問題などの過去認識などでアジア諸国を始めとする世界の国々から不信感をもたれては、米国も積極的に動きにくいことになる。
今回の日米首脳会談ではこうした懸案での突っ込んだ話し合いが必要だと思われる。また北朝鮮の金正恩政権が核を振りかざし日米韓を恫喝している状況で、日本防衛のフェーズも変わった。米国の核の傘がどれほど信頼がおけるものなのかも具体的にしっかりと確かめておくことが重要だ。日本や韓国は、米国とは違い実戦配備されたノドンなどの射程距離内にある。核を持たない日本にとって北朝鮮の脅威は米国の比ではない。
Q4. コメントする
どのような場合も能力を無視した平等関係はありえない。人間関係も国家関係も、人格や尊厳における平等であって能力を無視した絶対的平等ではない。それぞれの平等関係は地位と役割に応じたものである。
日米関係を考えたときも、今のところ日本と米国の間には歴然とした能力の差がある。政治力、経済力、軍事力のどれをとっても米国の能力とは大きな差がある。とくに軍事力行使については、日本国憲法で自衛の場合のみに極めて厳格に制限されている。
こうした状況下で、自国民の生命や財産や安全を守るには、民主主義の価値観と市場経済原理を共有する米国との同盟を基本とするのは自然であるし、その理念の下に外交を展開するのは国益に合致するといえるだろう。
ただ、能力差があるからといってすべて米国の方針に従うということはあってはならない。いかなる国もその国が置かれている立場や地政学的条件によって利害は異なる。日米関係もそうした事を理解し合った上での関係となる必要がある。現在のところ、その点では改善しなければならない点は多い。
だからといって、米国と対立する国を利用した形で自己主張する対米外交を展開したり、中国と米国の間でバランスを取るなどといって無原則な方法で日本の立場を主張するのは百害あって一利ない。何事も軸がブレるとロクなことは起こらない。
 
 
宮家邦彦
外交評論家,株式会社外交政策研究所代表
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
東アジアの戦略環境が激変しつつあるにもかかわらず、過去数年間、日本は対外関係よりも内政上の変化を優先したため、安保・外交面で後れをとってしまった。こうした地域国際情勢の変化に対応すべく、同地域の安定に向けて日米が協調し、安全保障面の協力関係をより堅固なものにすることが最も重要である。
Q3. コメントする
陳腐に聞こえるかもしれないが、やはり日米首脳間の信頼が第一である。これがあれば、TPPでも、沖縄でも、事務方は動いていく。逆にこれがなければ、いかなる努力もあまり報われない。このことは過去3年半に日本が学んだ教訓でもある。
Q4. コメントする
自由と民主主義、法の支配と人権などの普遍的価値を共有する国々との広い意味の連携・同盟関係の中で最も重要な枠組が日米関係である。
 
 
結城未来
灯りナビゲーター/新潟大学非常勤講師
Q2. 「1 - コメントする」の回答理由
核実験を行った北朝鮮問題を含む
アジア太平洋地域の情勢など。なかでも、台頭著しい中国対策など
経済大国として急成長をとげた中国もアメリカも
大国としてけん制しあっています。
日本は、アメリカから見ると防波堤のように中国の前に
横たわっています。
中国がフィリピンや日本の海域を脅かすのも
アメリカを牽制するためのひとつの策といえます。

この2国間のバランスをとることは、
北朝鮮問題やさまざまな問題の道につながるのだと思います。
Q3. コメントする
まず、これまでの日米関係で結ばれている事項を洗い出し、
さらに対等なパートナーとして組むための道筋をみつけていくことです。
Q4. コメントする
一方的ではなく、互いの利益を尊重したパートナー
 
 
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