総選挙の争点!?TPPへの向き合い方は?
1:設問テーマの背景 (facts)>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
TPP(環太平洋経済連携協定)への参加を正式に表明するためには、既に参加している9カ国
すべてからの承認が必要なため現在、日本は各国との事前協議を行なっています。
6カ国(シンガポール チリ ブルネイ ベトナム ペルー マレーシア)からは承認を得られ
ていますが、米国、豪州、ニュージーランドからは承諾を得られていません。
すべての国から承認を得た後、日本が正式に交渉参加をすることになっています。
・
12月16日に行われる総選挙の争点のひとつとしてTPP交渉に参加するかどうかが浮上しています。
・
今月10日、野田首相は、「政府・与党の考えは、TPPも日中韓FTA(自由貿易協定)もRCEP(東アジア
地域包括的経済連携)も同時に追求するという姿勢ですから、それはたぶんマニフェストにも書く
ことにはなると思います」と述べました。
しかし、民主党内には、反対意見を持つ議員が存在しており、マニフェストへの取り扱いについても
調整が続いています。
・
自民党の安倍総裁は、今月15日、日本商工会議所の岡村正会頭との会談で、TPPについて
「我々は日米同盟関係にふさわしい交渉の仕方ができる」と発言し、TPP交渉参加に前向きな姿勢を
示しましたが、同日、同党の大島理森前副総裁は全国農業協同組合中央会の集会に出席し、
「安倍総裁と確認した党の方針」としてTPP断固反対を表明。安倍総裁は発言の真意として、
「民主党政権には交渉する能力がないと言った(にすぎない)」と釈明を行いました。
こうしたことから、自民党はTPP交渉参加に慎重と捉えられています。
・
日本維新の会は、今月17日に太陽の党と合併時に表明した、政策合意骨子のひとつとして、
と、交渉参加を前提にした姿勢を表明しました。
・
民主党、自民党、日本維新の会以外の各党のTPP交渉への姿勢は現在の所、以下のようになっています。
交渉参加に肯定的:みんなの党、新党改革
交渉参加に否定的:国民の生活が第一、共産党、社民党、新党日本、新党大地・新民主、
みどりの風、公明党
未表明 :国民新党
・
こうした中、19日、亀井静香前衆院議員は、山田正彦元農相とともに「TPP」反対を党是とする
政党を立ち上げる方針を固めました。
2:番組として (our aim)>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
TPPについては、これまでも国民への説明不足が指摘されています。
メディア報道では、実際のTPPの内容は24分野に渡るにもかかわらず、農業への影響など一部
のみが大きく取り上げられ、国民に間違った認識を植えつけているとの指摘もあります。
また、政府から事前協議の交渉過程が十分に明かされていないため、国民にとって理解が
難しい状況にあるようです。
そこで、コンパスでは、今回のテーマを「総選挙の争点!? TPPへの向き合い方は?」とし、
コンパス・オピニオンリーダーの皆さまのご意見をもとにTPPについて議論を行い、コンパスなら
ではの発信を行いたいと考えております。
是非ともご意見をお寄せいただけますようお願い申しあげます。
*昨年10月19日、本番組の前身であるオピニオンネットワークとしての「コンパス」で、
「TPPにどう対処すべきか」という設問に31名の皆さまからご回答をいただいておりました。
単なる賛否ではなく、日本の経済的利益をどう考えるかという観点が浮かび上がるものに
なっております。約1年の間の変化を踏まえ、今回ご参照いただければ幸いです。
(参考資料)
《TPPにどう対処すべきか(第28回)2011年10月19日》
サイトはこちらです。→ http://www.fujitv.co.jp/compass/view_28.html
※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:TPPへの国民の理解についてどう感じていますか?
Q2:問1の回答理由をお聞かせください。
Q3:日本はTPPにどう対処すべきでしょうか?
選択肢からひとつ選択いただき、ご意見をお聞かせください。
Q4:問3の回答に加えて、特に、利益、不利益についてTPPへの参加、
不参加によって日本にはどんな影響があると考えますか?
ご意見がありましたらお聞かせください。
( 27件 )
1. 十分、理解していると思う
Q2. 「1 - 十分、理解していると思う」の回答理由
TPPは実はわかりやすい。日本が強い産業が利益を得、弱い産業が現状よりは悪くなるということで、国民はこれを十分に理解している
多くの政策について、ほとんどの国民は完全に理解することはない。例えば、年金改革や消費税増税など、非常に現象としてわかりやすい政策ですら、年金改革を行わなければ年金がいつどのように破綻するかは分かっていない。
TPPは、貿易、サービスなどの自由化であり、強い産業のメリットになり、国際競争力の弱い産業のデメリットになる、ということが本質であり、その点についてはほとんどの国民が理解しており、相対的には、どの政策よりも本質、および、予測される結果の方向性について理解していると思われる。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
経済的には、他の国と関係性を深め、自由化を進めることは、多くの場合、トータルではプラスである。パイは広がる。だから、参加すべき。
そのパイの拡大の果実を、相手国でなく、自国に引き寄せるためには、交渉戦略とその果実が必要で、それをちゃんと取れよ、と言うことであり、参加するな、ということは経済的にはあり得ない。
Q4. コメントする
経済的じり貧による衰退を目指さないのであれば、交渉には必ず参加すべき。
適切な批判は、交渉が下手だ、ある業界に誘導され、国家全体の国益を損なう形で交渉している、という批判。
その批判は、参加してから行うべきだ。
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター 心臓外科医
Q2. 「1 - 十分、理解していると思う」の回答理由
それぞれのお立場で皆さんよくわかっておられると思いますよ。既得権益堅持にはみなさんそれぞれ才能をぞんぶんに発揮される方々の集まりですか。この国は。
いまのところ具体的によくわかっていないという点、アメリカと係ると必ず訴訟されて必ず裁判に負けて大金をふんだくられる結末に終わるであろう点、交渉は交渉が下手くそな外務省の役人が最悪のセンスで進めて行って、相当な不平等条約をどうせ結ばされてしまうであろう点、国債競争力がしっかりある企業はそれでも「世の趨勢やからしゃーないでぇ。むしろ世界から取り残されるのが怖いから参加せんとアカンがな」と躍起になっている点、韓国ではアメリカとの自由貿易協定で保険償還の薬剤がけずられてしまった事例があり開業医さんたちにとってはTPPというより、TPPを利用して日本の役人がこの機に乗じて攻勢に出て医師を干上がらせようと虎視眈々狙っているであろうという恐怖感がある点、農政では補助金の口実が結果的にまた増えるであろう点、などなどそれぞれの業界ではそれなりに理解して、自分たちの既得権益が脅かされてなるものかとしっかり理解していると思います。それ以外の方々が理解しても意味はないでしょう。つまり全国民が理解する必要はないのではないでしょうか。こういった多国間で「協商」の協定が結ばれるのは人類の叡智の結実、というふうにも思います。
いまどき政治家なんか全然あてにしていないので、誰が何を言おうが関係ないでしょ。政治家が一番わかっていないでしょうね。それとヤクニンどもが程度の低い英語力とセンスの悪さを自覚できないでいるのが心配です。恐らく大きく国益を損ねる結果になるんでしょうね。政府には人材はいませんから。外務省の奴らのことですから、TPPをダシにして予算を分捕り、いろいろな外郭団体や公益法人、独法がいろいろと出来上がって天下り先が確保されるんじゃないですか。全ては省益のため。今回もそういう筋書きでしょ。きっと。消費税増税と同じく、奸僚様の御意。既定の路線なんだからだれも逆らえないですよ。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
ちゃんと人の眼を見て原稿を読むだけじゃない、天下り先のことなどぜんぜん気にしていない、国家、民族の繁栄のために命を捧げる、そんな心意気のサムライがしっかりと交渉してほしいですね。無理でしょうけど。英語で言えない、表現できない、声小さい、覇気がない。内弁慶な厭味ったらしいおっさんばっかりで、人材が本当に枯渇しているんじゃないですか。外務省は。領土にしかり、TPPにしかり、拉致問題にしかり、レアアースにしかり、言われっぱなし、やられっぱなし、無視されっぱなし。頼りないですね。
数年前に脱北者の家族が中国にある日本大使館に家族で突入した時、哀れ阻止されてしまいました。小さな女の子の帽子が路上に残されたのですが、それを丁寧に官憲に手渡す日本人大使館員の得意気な顔。憐憫の状のかけらもない、日本の役人の歴史的映像です。この映像が国民の脳裏に焼き付いているんですよね。事なかれ、何もせず、自分の出世、天下り先だけが大切。そんな奸僚に任せるのはやっぱり無謀と言うか、愚作なんでしょうね。でも仕方がない。これを踏み台にしっかり国際社会でもまれましょう!外務省の職員さん達。最初はぜんぜん期待していませんから。
Q4. コメントする
敵を知らず、己を知らず。社会の実体を何も理解せず、現実を知らず、庶民を見下し、自分は何でも知っていると過信する奸僚どものままごとにTPPは利用さるのでしょう。慎太郎党首様の表現されるところの「わが民族の壊走」の終着点です。露骨な非関税障壁は全廃され、風通し良く海外市場に日本は蹂躙される。そこでこそ、日本人(我々庶民のこと)の本当のしたたかさが発揮されるのかも知れません。例えば一切金銭に拠らない、物々交換、モアイ(またはモヤイ)システムによる共助で市場経済、貨幣経済に対するアンチテーゼを実践する社会、なんていかがでしょうか。退嬰荒野の果てに明るい未来が見えますね。
2. まあ、理解していると思う
3. あまり、理解していないと思う
Q2. 「3 - あまり、理解していないと思う」の回答理由
ビジネス界、農業などの関連団体、外交関係当局者はその重要性を理解していると考えられるが、国民にとってあまり関係がない。無論、景気や物価動向には非常に関心があると思われるが、政財界を含めたTPPに関する論議が自分達の生活とはかけ離れていると考えている。また、その論議が両極端でありどちらに信憑性があるかの判断がつきかねているからである。
Q3. 交渉に参加し、その後、参加/不参加を検討すべき
日本をとりまく戦略環境が現時点では不透明である。中国の内政、経済状況、それに米中関係。また、米国経済のゆくえ。それに加え、韓国の大統領選挙も朝鮮半島がらみで不透明である。日米関係を重視であれば参加するべきであろうが、米国の対中政策は融和に向かうことも考えられる。そうなれば、日本は米中対立の構図に経済面でも巻き込まれることになる。もし、米中が対立にむかえば参加すべきであろう。したがって、ここ数ヶ月は様子を見るべきである。さらに、すでに日本はTPP参加に出遅れた面がありルール作りにどれほど参加できるかも懸念事項である。
Q4. コメントする
問い3でもある程度述べたが、参加することに対するプラスは、日米関係強化!米国の広げる経済圏に積極的に関与することで経済的利益がある。マイナスは、中国との対立をさらにあおり、特に、米中関係が進展した場合には日中が軍事面のみならず経済面でも対立構図に向かうこととなり、日本独自の国益追求の面からは独自性が失われる。さらに、農業等日本の安全保障の基盤とされる分野で脆弱性が増すであろう。
永濱利廣
(株)第一生命経済研究所 経済調査部主席エコノミスト
Q2. 「3 - あまり、理解していないと思う」の回答理由
日本が経済連携協定の構築に諸外国から遅れをとることで産業空洞化が進み、国内の雇用機会が奪われていることについて、国民の理解がまだ不十分なのではないか。
日本が経済連携協定の構築に諸外国から遅れをとることで産業空洞化が進み、国内の雇用機会が奪われていることについて、国民の理解がまだ不十分なのではないか。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
資源がなく人口が減少する中で経済成長を維持するためにも、世界との経済連携を一段と深めることは避けて通れない。
一方、現状の日本の農業は、従業者の3/4が60歳以上の高齢者であり、若年労働者の就業もあまり進んでおらず、将来像を描くことは難しい。このため、TPPによって農産品を輸入する一方で、日本から高い価格で輸出できる農産品の生産を推進することが日本の農業復活の正攻法と思われる。日本の農産品の中には、世界の人にとっては高くても買いたいものが沢山ある。場合によっては一部の品目について関税撤廃からの除外により守ることも必要だが、TPP交渉参加をきっかけに、自立し若者が夢を持てる農業を育て、かつ企業が活動しやすい国をつくることが重要である。
Q4. コメントする
(利益)
・関税低下を通じて輸出関連産業の競争力が向上することにより、産業空洞化の減速に繋がる。
・仕入れコストの低下から、外食や食品、小売にとっても原価率低下を通じた増益要因となる。
・医療や介護分野の規制緩和により、労働移動を通じた人手不足の解消に寄与する。
・災害や物流停滞の影響等で物資が不足する場合に輸入でまかないやすくなる。
・米国から安価なシェールオイルやガスの輸入が可能となり、エネルギー価格低下を通じて国民の生活水準が向上する。
(不利益)
・日本の農産品を競争力の高い貿易財にしなければ、海外から安い農産品が入るだけで食料自給率が低下する可能性がある。
松田千恵子
首都大学東京教授/マトリックス株式会社代表
Q2. 「3 - あまり、理解していないと思う」の回答理由
感情論やどこかで見たような論議ばかりが目立つ。
政治としても、これまで国民に対して理解を
積極的に促してきたとはいえない。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
Q4. コメントする
不利益があると考える分野があるならばそれについて交渉する場を
如何に有利に得るかが重要になる。TPPへの参加・不参加による利益・
不利益というよりも、TPP交渉への態度をずるずると引き伸ばし続けて
いることに大いなる不利益を自ら招いていると感じる。
Q2. 「3 - あまり、理解していないと思う」の回答理由
TPPの問題はつまるところ日本の成長戦略の問題である。日本は人口減少下にあり、経済が徐々に縮小している。その中で成長を志向しようとすれば、海外に市場を求めるか、あるいは国内市場をもう一度成長軌道に乗せて内需を拡大するかの二択しかない。TPPは、海外市場とのルールを共通化し関税を撤廃することで市場を共通化しようというコンセプト。もちろん、細かい点で有利不利はあろうが、内需が縮小している国にとっては取らざるを得ない選択。メディアでは負の側面をおおきく取り上げる傾向があるが、競争力のある分野では有利に働き、競争力のない分野では不利に働くだけの話。極端な話もし仮にすべての一次・二次産業の国際競争力がないとすると日本は純消費国となり貿易赤字は拡大するが、競争力がない製品を無理矢理買わされている消費者の負担が軽減されるので、一概に全体にとって悪いわけではない。単に永らく先延ばしし税金や消費者負担で延命措置をしてきた日本の産業構造の調整の早期実行を求められるだけの話とも言える。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
参加を前提にしなければ交渉はできない。最後に条件が揃わなければやめればいいだけ。
Q4. コメントする
日本の成長戦略をどうするのかという、根本議論をするべき。TPPに参加しないのならば、内需拡大戦略しかない。その場合、少子化対策だけでは足りず、外国人居住者や、移民の受け入れ大規模拡大は必須となる。経済のファンダメンタルである人口を増やすことが必須だからだ。アメリカはまさにそのやり方で経済規模を拡大してきた。その覚悟はあるのか。できるのか。
Q2. 「3 - あまり、理解していないと思う」の回答理由
日本の通商戦略の本質論が欠如したまま、「木を見て森を見ず」の議論が横行していることを憂慮
1 この段階で政治問題化するという、プロセス・マネジメントの異常さ
2 観念上の懸念に怯えている
3「米国に押し付けられる」という、ゼロサム的発想。背景に多国間交渉に対する無理解
日本の通商戦略の本質論(問3参照)が欠如したまま、「木を見て森を見ず」の議論が横行していることを憂慮する。その原因は、
1この段階で政治問題化するという、プロセス・マネジメントの異常さ
この問題を不必要に政治問題化させた民主党政権のプロセス・マネージメントの稚拙さが根本問題。党内で争点化させ、それがひいては総選挙の争点になるという異常事態。
交渉に参加するかどうかの段階で政治問題化すること自体が異常なこと。このような事態は日本だけ。私もこれまでWTOなど通商交渉を経験してきたが、日本でも前代未聞。
通商交渉では①交渉に参加するかどうか ②交渉結果に政府が合意するかどうか ③それを国会が批准するかどうか の3段階がある。今は①のステージであるにもかかわらず、②,③のステージの議論をしている奇妙さ(かつて米国も合意した京都議定書を議会の批准を得られず、不参加)。現に他のFTAの交渉参加についてTPPのような議論は行われていない。
なお、各党のポジションは、政権政党になる可能性があるところは、本音は交渉参加の必要性を理解しているが、選挙に対しては票を意識した言い回しになっている。これは「裏から言うか」「表から言うか」という、あくまでもレトリックの違いだけ。政権政党の可能性のないところは、対案を提示せず、無責任に大胆に反対を言える。
2 観念上の懸念に怯えている
① これまで出されたTPP交渉の懸念のほとんどは、今現に交渉対象にもなっていない(例えば、混合診療の解禁、国民皆保険制度、単純労働者の受け入れ、ジェネリック医薬品など)。観念的に交渉の可能性があるというだけで懸念を持てば、どんな交渉もあり得ない。
② またTPPの21の交渉分野についても、正確に理解されていない。医療、教育など日本の社会システム全体が対象になるとの説明も蔓延。あくまでもサービス貿易など、貿易・投資に関連したものであって、そのほとんどはかつてWTOでも交渉分野にされていたもの。目新しいものではなく、TPPだけ問題にするのは極めて奇異。
③ 紛争処理手続き(ISDS)についても、これまで既に導入されていても主権が侵されるような提訴はなし。
観念的に懸念を作り上げて、反対する異様さに気付くべき。これが「TPPお化け」と言われる所以。
3「米国に押し付けられる」という、ゼロサム的発想は多国間交渉に対する無理解による
これまで多国間交渉を担当してきた経験から言えば、複数国間の交渉で、特定国が主張する極端なルールが合意される可能性はゼロ。たとえ米国でも、である。百歩譲って仮に、将来的に議論になったとしても主体的に交渉することは十分可能。その際の交渉のポイントは日本が孤立しないこと。現に私自身これまでそういう経験を数々してきた。米国の利益を「押し付けられる」といった、被害者意識を未だ脱しきれないでいること自身成熟していない証拠。国際交渉では各国が自らの国益のために国家エゴを背負って交渉するのは当たり前で、米国だけが特別ではない。
4「例外なき関税撤廃」を額面通り受け取っての反応
「例外なき関税撤廃」と言っても、最初の触れ込みはそうであっても、現実にはあり得ない。米国も砂糖、乳製品など、カナダも鶏肉など各国ともセンシティブ品目をかかえており、常識的に「例外なき」はあり得ないことは、各国の交渉担当の暗黙の共通理解。最初から例外あり、と言ってしまえば、歯止めなく出てきて、高いレベルの自由化を期待できなくなるから、今の段階ではそう言っているだけ。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
1まず「戦略目標」を明確に。それは「アジア太平洋地域での自由な経済圏の確立」
①20年以上前、APECの設立を事実上日本が仕掛けた時からこの明確な戦略目標の下、政策を行ってきている。それはこの地域の活力、成長市場の取り込みなくして今後の日本の成長はないことは明らかだから。その際、日本は経済ルール作りに、受身でなく、主導権を発揮する。
②地政力学的視点
・米国を太平洋国家としてこの地域にコミットさせることが日本の安全保障面でも重要。
・中国は強大な市場を背景としたユニラテラルな動きが目立つ中、対中牽制のうえでも重要。
2そのための手段、戦術は何か
TPPはその戦略目標に向けた一つの重要な手段。同時に東アジア地域包括的経済連携(RCEP)及びそのための前提条件である日中韓FTAも併せて重要な手段。
多面的、重層的にすることによって、相互に刺激し合って前進する。例えば、RCEP、日中韓FTAはTPPがなければ、進展が期待できない
(中国はこの地域での米国との主導権争いのために必要と思わなければ、決して積極的には経済ルール作りには動かない。いわば政治的動機。また動いたとしても、貿易制限的歪んだ政策が横行している中国自身が参加した経済ルールは低レベルのものにならざるを得ないのが実態。日本にとってTPPを梃子に高いレベルの自由経済圏ルールにすることが重要)。
Q4. コメントする
メリットを挙げると次の通り
① まず関税撤廃によるメリット。米国市場での韓国企業との競争条件の不利を是正して「対等の土俵」を確保する。米韓FTAで自動車など日本企業は関税のハンディを負っている。(なお米国は日本と2国間FTAを結ぶ意思はない。)
これまでは定量化できる、この関税削減だけを取り上げられているが、本来定量化できない以下の②~⑥のプラスの方が①の何倍にものぼるにもかかわらず、注目されていないことが問題。
ただしこれらのメリットも早い段階から交渉に参加してこそ主張し、主導権を発揮して実現できるもの。
② 関税削減以外でも、サービス・投資の自由化によって、例えば、マレーシア、ベトナムで外資のコンビニの進出が禁止・制限されているのを緩和する。
③ 政府調達で国内製品優遇をしている国々(マレーシア、ベトナムなど)に対して、市場開放させる。
④ 各国でバラバラな貿易手続きを統一・簡素化することで、この地域全体にサプライチェーンが広がっている日本企業にとって、企業活動が飛躍的に円滑になる
⑤ 模倣品・海賊版対策が遅れている国々に対して、その強化を日米共同で迫る。
⑥ 資源・エネルギーの輸入国として、輸出国の輸出制限を抑制するルールを主導する
(なお、交渉に参加していないと交渉内容についての情報もなかなか得られない。そういう中で、経済利益、不利益がいくらかと試算すること自体無理筋で無意味。)
さらに米国との関係では、シェールガス革命で豊富な天然ガスの輸出がFTA締結国に限られていることから、今後の日本のエネルギー問題にとって必要な天然ガスの対日輸出への道を開くことができる。
最大の懸念の農業問題については、
① TPPに参加しても関税撤廃の期間は10年~20年の時間的猶予があり、その間に自由化に備えた強化策を早急に着手すべき。ただし20年前のウルグアイ・ラウンドを経験したが、その際の関税引き下げに伴う6兆円にのぼる農業対策費は農業の競争力強化につながらず、無駄な税金投入になったことへの反省は必要。
② また仮にTPPに参加しなくても、いずれのFTAでも農業問題がネックになり、日本の交渉力をそぐことになるのは明らか。日本の戦略目標のためには農業の競争力強化は不可欠
③ 関税による保護から直接支払いでの手当てに移行するのが世界のすう勢。
④ 農家の中には高品質、高付加価値化、輸出志向などでTPPに必ずしも反対でない層もあり、農業従事者にこういう前向きの将来展開を促すべき。農業輸出大国であるオランダも参考になる。
⑤ いずれにしても生産者だけでなく消費者の視点での農業強化策が大事
Q2. 「3 - あまり、理解していないと思う」の回答理由
国際政治、安全保障、経済実利の3つの観点から総合的に判断して、TPPに参加すべし。参加しないと日本は世界から取り残され、三流国家に陥落する。それも迅速に決断すべし。
TPPが、環太平洋戦略的経済連携協定であり、Trans-Pacific Partnershipの略であること、協定により国際競争力のない国内産業が不利で、競争力のある輸出産業は有利だという理解はある。
民主党がTPP、日中韓FTA(自由貿易協定)、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)を同時に追求すると述べているが、その3つの協定の違い、相互関係はどうなっているのか。実現可能性の順序は。その実現の順序は日本経済にどう影響するか。中国と韓国が日本を含めた3カ国FTAの締結を、優先的に検討しているのかどうか。これまでのTPP会合ですでに明らかになっている「大枠合意」と、米国がTPPと関連して日本に求めている障壁撤廃との関係はどうとらえたらよいのか。米国の要求の中身には、単に米国の国内事情から発生した「うわさ」の類はないのか。これらのことに問題の本質がありそうだが、このような各論になると国民はよく理解できていないと思う。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
迅速に参加を決断して関係国に通知すべき。カンボジアでの第7回東アジアサミット(EAS)で野田首相は米国にその意思を明確に伝えると思っていた。参加することの利益のほうが圧倒的に大きい。5つの観点から総合的に判断をすると次のようになる。
第1に、国際政治の側面だ。日米関係という視点から参加は不可欠だ。日本にとり米国との関係が重要であり、参加しない場合、日米関係は傷つく。尖閣諸島問題で日本を軍事的に支援してくれるのは米国だけである。日米安保条約第5条を読み直そう。もちろん「日米関係への配慮のみで国内産業に悪影響のある協定には参加できない」という反論には一利ある。しかし、今年8月以降の東アジアでの国際政治の動きを考えると、米国が主導する自由貿易協定に参加しなければ、日本は国際社会で孤立してしまう。
第2に、ASEAN(東南アジア諸国連合)と日本、中国、韓国、インドなどが加わった16か国が、包括的な経済連携協定を締結するべく、2013年初めから具体的な交渉に入る予定になっている。これを議論することは大切だし、日本は協力してゆくべきだ。ただ、参加国の顔ぶれを見ると、この枠組みは進展するのだろうかと不安になる。同じ理由で、日中韓の3か国FTAに関しては不安感がつきまとう。日中韓FTA協議を開始することで3か国は一致した。しかし、3か国が仲良く協議をする見通しがあるのだろうか。今年8月以降、日本と韓国、中国との関係は波瀾含みになっている。韓国は2国間のFTA(韓国と東南アジア諸国、韓国と米国の2国間)のみを実現してきた国だ。韓国や中国が日中韓のFTA協議に応じるのは、韓中FTAを進めるための条件作り(あるいは、言い訳)なのである。中国も韓国も「すべての問題は、尖閣と慰安婦問題の解決のあとで」という立場をとっているかのようだ。韓中FTAが韓国・中国の最優先であることは、両国の専門家も指摘してきた。両国が韓中FTAを優先的に進めるとき、日本が日中韓FTAに期待しながら、TPPへの参加決定を遅らせるのは、全く間違った選択である。
第3に、日本は東南アジア諸国との自由貿易や環境保護の協議の場を発展させてきた。日本は、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インドと二国間のEPAを締結した。2008年にはASEANとEPAを締結した。その後、東アジア地域の経済統合のために2006年、ASEAN+6の国を対象とする包括的経済連携(CEPEA)を提唱した。そして、ASEAN+6、及びASEAN+3を踏まえてASEANが2011年11月に提唱した、東アジア地域包括的経済連携(RCEP」)の実現に協力してきた。
TPP協議で日本が態度表明を遅らせると、いままで積極的に自由貿易を進める議論をしてきた日本なのに、東南アジア諸国からは、「自由貿易推進国ではなかったのか」と不思議な目で見られる。日本がすべての貿易自由化の国際的な流れから孤立することになる。日本国外務省が奮闘してこれまで蓄積してきた外交上の成果が台無しになる。
第4に、もちろん国内の産業保護という側面がある。米国のいうままに日本の市場を開放したら、日本の産業のうち脆弱なものは壊滅してしまうという意見がある。しかし、日本の国内産業の体質改善の良い機会であり、国際化の流れに対応するように努力すべきだ。貿易で生計を建ててきた国家として、TPP で国内の輸出産業は相手国の関税撤廃で有利になるという側面を重視すべきだ。
第5に、「参加申請をしてから、参加の最終決定はそのあとで」という、「国内政治を配慮した日本の理屈」は国際社会では通用しない。「集団的自衛権を有するが行使はしない」という理屈が意味不明なのと同じ。協議には加わり、参加は留保しておいて国内の調整を図るという姿勢は、不信感をもたれてしまう。国際協力の枠組みについて、かつて日本はほとんどのものに発足当初から指導力を発揮した牽引役だった。最近は日本の指導力の低下が目立つ。一歩遅れて検討を開始し、逡巡し、内部で対立して、決定ができないまま、国際社会で顰蹙をかうということがないようにしたい。日本の野田総理大臣は、2011年11月11日に「交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明したとき、「参加は五分五分」という程度に考えていたのを、米豪あたりは見透かしていた。だから日本の拡大交渉会合への参加は許可されなかった。米豪政府は、日本語で書かれた日本の「国内事情」に関する文献をすべてその日のうちに目を通して対日戦略を立てている。そして交渉会合中の情報共有や協議には応じない方針が明らかにされた。ものごとを総合的に判断して迅速に実施するということは大事なことだ。
Q4. コメントする
TPP参加に関しては、確かにマイナス面がある。いま大枠が決まっている協定のなかで、貿易の障壁として指摘されているもの以外に、米国が貿易の障害として見なしているものを、どこまで日本は受け入れる必要があるか。この部分が不透明なままだ。米国が主導している枠組みであるので、米国の日本に対する要求を無視することはできない。米国が障壁とみなしている項目について、日本は米国から改善を求められる可能性がある。資料によると、米国USTRが公表している「外国貿易障壁報告書」の2011年報告書で、米国が貿易障壁と見ている分野は次のとおり。農林水産物の輸入政策、郵政・保険・金融・物流・電気通信・情報技術(IT)・司法・医療・教育のサービス障壁、知的財産保護及び執行、建設建築及び土木工事・情報通信(IT)の政府調達、投資障壁、反競争的慣行、その他、透明性・商法・自動車及び自動車部品・医療機器及び医薬品・血液製剤・栄養補助食品・化粧及び医薬部外品・食品及び栄養機能食品の成分開示要求・航空宇宙・ビジネス航空・民間航空・運輸及び港湾を挙げている。
実はほとんどすべての分野ということになる。これらは、TPP の原協定と拡大交渉会合で貿易障壁とみなされるものとは無関係だそうだ。昨年、米国の財務次官は「日本の郵政改革に関心を持っている」と述べた。医療分野の自由化も米国の関心事である。米豪FTAではオーストラリアが米国から公的医療保険による薬価負担制度の見直しを要求され、市場価格並の高い価格が設定できるよう制度が改められたそうだ。米韓FTAでは米国の要請で薬価の見直し機関が韓国内に設置されたそうだ。米国が「薬価を含めた医療の自由化」を求めていることについては、米国の要請を聞きながら、日本はTPPに参加表明をしたあとの拡大交渉会合のなかで日本の立場を説明して導入の時期の問題については日本の立場を説明しよう。その過程で日本がいま国内でどのような措置が必要かというアイデアが出てくる。
農業分野では、コメを例外品目にすべきという国内の意見と、「例外のない包括的な協定を達成すること」を要請する米国の意見との隔たりは大きい。韓国が米韓FTAを締結したときに抜本的に国内農業の体質改善策を実施したように、いまから日本は国内農業の体質強化のための抜本策を開始する。
自動車製造業においては、心配は不要だ。日本の自動車市場は開放されている。日本の貿易障壁のために米国の自動車が日本で売れないのではない。私はいままでに、フォード・フェアモント、ニッサン・ブルーバード、スバル・レガシィ、スバル・インプレッサ、トヨタ・プリウスを購入して運転してきたが、ガソりンをガブ飲みする上に強度が劣り、故障が多い米国車を買おうとは思わない。「コンパクトだけれど、うまく造った」という印象が、米国車にはないので日本では売れない。TPPに加入しても日本で米国車が売れないとき、米国の自動車業界の体質改善を求める良い機会になるのではないか。
むしろ、経済産業省が試算するように、日本が TPPに参加しないままで、日本・EU、日本・中国・韓国のFTAが遅れて、韓国が米国・EU・中国とのFTA運用を本格化した場合、日本の自動車、電気電子、機械産業の3業種について、2020年に日本製品が米国・EU・中国で市場シェアを失って、実質GDP1.53%(10.5兆円)が減少し、雇用81.2万人を喪失してしまうという計算のほうに説得力がある。
TPPに参加することによる副産物も計算してよい。「日本はTPPの参加国として、貿易自由化を大々的に推進して、外国にオープンな国家に変貌した」という印象を定着させることができる。そして、外国からの投資を呼び込むことができる。そして、東京をアジアの金融センターにして、羽田空港をアジア最大のハブ空港にしようではないか。 その役割をシンガポール、香港、ドバイ、インチョンだけに任せておくのは残念だ。
Q2. 「3 - あまり、理解していないと思う」の回答理由
交渉分野が24もあることを知らない人がほとんどでは。各分野でどのようなことが交渉課題となっているかもほとんど知られていないはずである。その一方で公的医療保険のように交渉の対象外とされていることが交渉対象になると誤解している人も多い。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
TPPに参加することにより参加国と一層自由な経済、貿易関係を結べるはずで我が国にとってもメリットが大きい。
Q4. コメントする
TPP交渉が妥結すれば明らかに参加国相互の経済・貿易活動が拡大するはずであり、参加することでその利益を享受できる。その一方で参加しなければ、その利益を獲得することができないであろう。
Q2. 「3 - あまり、理解していないと思う」の回答理由
農業がつぶれるなど、マイナスの面ばかり強調されている。
農業がつぶれるなど、マイナスの面ばかり強調されている。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
日本の経済力を高めるためには、強い分野を強くするしかない。ここで、さんかしなければ、日本経済は、世界から取り残され、徐々に衰退の道をたどるだろう。
Q4. コメントする
結局、日本経済の構造転換をするめるには、外圧以外にない。農業であれ、金融であれ、それを強い産業に立て直すために、海外との競争にある程度さらす必要がある。
やっていけなくなる人々には、社会保障で下支えする必要はある。
不参加であれば、別の形で自由貿易を推進するという事がなければ、日本経済は徐々に衰退に向かうであろう。一人あたりの生活水準の徐徐たる低下にさらされるだろう。この衰退は、目に見えないだけに恐ろしいと思う。
Q2. 「3 - あまり、理解していないと思う」の回答理由
私自身もあまり理解していない。新聞は時に1ページを使って解説・まとめ記事を書いているが、どれだけの人が読んでいるやら?どれだけの人が記事を読んで理解しているやら?十分、あるいは、まあ、理解しているのは、専門家・学者・官僚・一部の政治家・TTPを担当している新聞記者、くらいしかいないでは。新聞の解説記事を読んでいるのは、そうした分野の人だけなのではないだろうか。
TTPに参加してプラスになると思っている業界・人、マイナスになると心配している業界・人も読んで「理解」しているかもしれないが、プラスになると思っている人がマイナスになる部分のことをどこまで「理解」できるか。マイナスになると心配している人がプラスになる部分のことをどこまで「理解」できるか。そんなことを考えると、国民全体としては「ほとんど理解してない」しか選べない。
テレビも解散になってからしかTTP問題やらないし、「いや、これまでやってきた」と反論するテレビ局があったとしても、芸能人が司会する「賛成は○。反対は×」というゲームのような番組だと思う。
Q3. 交渉に参加し、その後、参加/不参加を検討すべき
国論が割れている限りは、「2」がいいのではないだろうか。政党のスタンスもばらばらで、さらには政党内部でも賛否両論が渦巻く状態だからこれは「2」しかない。
Q4. コメントする
例えば、議論の中心にある農業で言うと、日本のコンビニで売られている「幕の内弁当」の材料が世界中から掻き集められていて、材料が動いた距離を足し算したら、なんと16万キロにもなっているという。ヒトもさることながら、モノも金も国境を越えることは止められるとは思えない。出来ることがあるならば、ただ一点、日本人の質を向上させることに限る。TPPによって、国民にとって選択肢も増えるなかで、現状の傾向としての「値段」だけの物差を卒業し、多様な価値観を持つ人が増えると良い。我々はすでに組み込まれている、日にちが経って栄養の無いどころか、防腐剤まみれで、むしろ体に毒で、環境に負荷のかけ、地域自立経済を崩壊させる食輸入というアグリーagri(農業)ビジネスは、十分アグリーugly(不細工)でもある。地産地消、身土不二や「四方三里病無し(三里の距離の中にとれたものを食べると病気にならない」など、振り子の原理で日本の良さの再発見や地域自立の経済がTPPを機に再び開花されるにむしろ期待したい。
また、TTP問題では農業ばかりが議論の対象となっているが、農業の現状を国民、特に大都会で生活する人たちはどこまで知っているのだろうか。そしてこのような「農業」になったのはどうしてなのか、を理解している人は都会にはいないのでは、とさえ思う。長い自民党政権時代、地方の農民にとっては自民党の候補者だけが政治家で、議席を独占し、農村地帯によって自民党が支えられた。その中で「お米を作るな」、「減反」、「補助金は出す」などの政策の中で、田んぼは荒れて、農民の心も荒んだ。安倍が交渉参加を言うのに対し、党の幹部がハチマキ巻いて「断固反対」と言っているようだ。政治家は、国内の特定の団体の利権や己の支持基盤などを度外視にして民の目線でTPP反対や賛成の議論をしているか見極める必要性もある。
日本の情報の持つ人と持たない人の差が激しい。老若男女の国民が日常の会話の中でTPPについても語り、議論するような日が日本に早く訪れてほしいと切に願っている。国民を育てる最大の教育機関はメディアだと考える。まずはTPPについても一過性にならず、継続的に、多角的にそして量的に情報を国民に提供して頂きたい。
4. ほとんど、理解してないと思う
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
政府からの具体的な説明が不足ししている中で、TPP参加によるメリット・デメリットに関わる各省庁見解は真っ向から対立し、GDPへの影響試算も全くバラバラである。これでは国民が理解できるわけがない。
国民は理解しようとしているが、政府が混乱させている。TPPに参加した場合の試算で、内閣府はGDPが2.4~3.2兆円増加するとし、農水省はGDP7.9兆円の損失と340万人の雇用喪失だという、さらに経産省は参加すれば大きな利益があり、参加しなければ10.5兆円GDPが減り、81.2万人の雇用喪失が発生するとしている。このようなバラバラで正反対結論を出した省庁試算をみて、国民が理解できるわけがないし、判断する材料が全く示されていない。
Q3. そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)
まず、政府として項目別のメリットデメリットを明確にし、国民にきちんと説明する責任がある。そして、今から参加して交渉の余地があるのかないのかと合わせて、日本経済に与える影響にかかわる統一試算を明示すべきである。今回の選挙に際し、各政党はTPPに対する姿勢とその根拠を国民にきちんと説明しなければならない。それは、経済的得失だけでなく、環境、文化、秩序、安全保障などに与える影響への見解も明確にする必要がある。
Q4. コメントする
日本を取り巻く国際環境は一年前と劇的に変化した。沖縄県尖閣諸島国有化に端を発した中国の異常な反日政策は、経済的側面だけではなく日本の安全保障に極めて深刻な影響を与えている。中国の一党独裁共産党政権と政治的な反日教育が続く限り、今後もこの脅威から日本が解放されることはない。また、米国の東アジア重視政策とTPP推進は帝国主義的中国脅威論と無縁ではない。米国にとってもTPPは極めて重要な対中国戦略の一つである。今や日本のTPP参加不参加は単なる経済政策ではなく、自由主義国家対膨張中国との安全保障マターとなっている。経済的メリットデメリットだけで議論すべきではなく、主権を脅かす中国に対する戦略的プレゼンスとしても議論すれば、日本はTPPに参加せざるを得ない。そして、参加によるマイナス面があるとすれば、粘り強くしたたかな交渉でマイナス影響を最小限にする努力をしていくべきである。
伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
交渉参加、即国内産業崩壊、といった極論がまかり通り、それが集票の具にすらなっているのを見る。
交渉参加、即国内産業崩壊、といった極論がまかり通り、それが集票の具にすらなっているのを見る。非常に間違った国民への告知がまかりとおっている。
Q3. 交渉に参加し、その後、参加/不参加を検討すべき
交渉のテーブルにすらつくべきでない、という意見が国際社会でどうみえるか、それが判るか、判らないかで、井の中の蛙とそうでないものの違いが判別できると考える
Q4. コメントする
各国は国際的な貿易協定に国益前提で参加する。あまりに当たり前のことが、極端にゆがめられて報道されている感をまぬがれない。
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
情報が十分に開示されているわけではないから、理解できないのもやむをえない。現段階で何をなすべきかについて、これだけ混乱しているのは、メディアの報道も政治家も、そして国民も、問題の本質を理解していないからではないだろうか。
情報が十分に開示されているわけではないから、理解できないのもやむをえない。
それに加えて、基本的な条約のしくみや国際的な合意に関する法的な理解もまた必ずしも広く共有されているわけでもないようだ。条約の交渉によって内容がどうなるかわからないし、条約がまとまっても、発効するには一定の数の国が批准することが必要であって、日本が批准するまでのプロセスもまだある。そうした一連の手続きの中で、現段階で何をなすべきかについて、これだけ混乱しているのは、メディアの報道も政治家も、そして国民も、問題の本質を理解していないからではないだろうか。TPP交渉には、積極的に参加していくべきものである。
TPPは、従前の二国間投資協定、FTA、EPAなどと似ているところもあるが、異なるところもあるので、それらに関する基本的な理解も必要だろう。しばしば議論されるISD条項にしても、投資協定仲裁やICSID仲裁が何かを理解しなければ、これについて判断することは難しいだろう。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
日本が鎖国的な政策を取れない以上、主要な外国と連携をとっていくことは不可欠である。
だからといって、領土問題が長引きそうであることから、中国や韓国との連携を強めて日本がリーダーシップを発揮していくといったことは困難な状況となっている。また、日本が個別にEPAやFTAを積み重ねていくということも、かなり遅れているので無理。このため、外交的な面から考えると、米国が主導するTPPを優先して考えることが得策である状況となっている。
また、国際取引の実務の観点からすると、これまでの日本の経済取引が欧米の手法をベースに発展し、成熟してきたことからすると、米国中心のTPPの枠組みの中で、国際的な経済秩序を形成していくことがスムーズに進むであろうし、日本としても合理的な制度にしやすいものと考えられる。
もっとも、その国際的な経済秩序には規律も必要であり、それぞれの国の主権を尊重することも重要であるから、環境規制や安全規制など、「非関税障壁」であるとの一事をもって規制撤廃・緩和になるわけではないはずなのであって、しっかりとした交渉をしていくことが必要でもある。その意味で、新たな秩序の形成のために、積極的に交渉に参加することが必要だろう。(たとえば、非関税障壁の最たるものは「日本語」であるが、「日本語をなくせ」ということには絶対にならないはずなのであって、きちんと交渉をして、合理的な内容にすることが期待される。)
Q4. コメントする
TPPに参加しないと、日本は経済的に孤立することになる。中国や韓国ともスムーズにいかないなかで、米国からも見離されてしまえば、円高さえ上手にコントロールできない日本の輸出企業は完全に立ちいかなくなり、経済が停滞するどころか、壊滅的な打撃を被る危険性さえある。そうなれば、農家にばらまくお金も無くなって、国家の破たん・衰亡を招きかねない。
外国から入ってくる輸入品もあまり安くならないことから、日本の消費者は高い買い物を強いられ、国民もますます貧困になっていく恐れがある。
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
ほとんどの国民は理解してません。農業従事者だけが農業については
多少の理解をして反対をされているようです。
メディアも各政党が賛成か反対かは報じますが、中身に触れません。
しかも急に野田首相が争点に持ち出し、民主党内では公認の要件に厳しくいれてしまった。
小泉の郵政選挙をまねした戦略なのだ。
Q3. 交渉に参加すべきではない
これは世界のすう勢でもなく、アメリカにいわれてやるかどうかだ。日米同盟から参加せざるを得ないというのであれば、
それる国策かもしれない。だが、プラザ合意でアメリカ経済を救い、日本は大店法で商店街はすたれ、保険の解禁で保険業界が縮むことになった。
国策はあるのか。
円安では関税の撤廃があっても、ほとんど日本にメリットはない。
アメリカを助けることが目的ならいいが、決して日本のためではない。
ボーダレスに時代背景はわかるが、国家がある以上どういう国づくりをするかが大切だ。
日米の関係で仕方ないのなら、そう言って欲しい。
その場合は、日本も何か勝ち取って欲しい。
Q4. コメントする
問四に応える前に問三で答えました。
日本からの輸出に余りメリットはなく、アメリカものを買わないとtpp違反になってしまう。
だが、体格が違ったり、より安全を求める日本とでは、薬や注射針や農作物などの農薬は基準が違う。
それを、度外視して輸入禁止にするというのは、アメリカから裁判を起こされると負ける。
自国を自ら弱い立場にするのもどうか。
自国を、国家を守ることこそが政治の役割ではないか。100年後に世界が一つになった場合は、その時は仕方ないが。
村沢義久
合同会社Xパワー代表/
環境経営コンサルタント
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
反対の気持ちは分かるがそれでは鎖国だ。日本は貿易立国。「強いものは輸出するが弱いものは輸入を阻止する」では「ガラパコス」どころか「忘れられた島」になってしまう。結局は、強い製造業からも輸出できなくなって国が衰退する。参加した上で、農業などの強化を図るしかない。
政治家や関係者の発言も、また、それらを伝えるマスコミも、「賛成」「反対」の意見を断片的にしかカバーしていない。政府はしっかりと広報し国民に伝えるべきだ。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
反対の気持ちは分かるがそれでは鎖国だ。日本は貿易立国。「強いものは輸出するが弱いものは輸入を阻止する」では「ガラパコス」どころか「フォークランド」になってしまう。
Q4. コメントする
参加しなければ農業など弱い産業は当面守れるかも知れないが、強い製造業からも輸出できなくなって国が衰退する。TPP参加した上で、農業強化を図れ!
競争原理のない電力は高コストで日本の産業の足かせとなっている。同じく競争原理のない農業は衰退の一途。
農業に限らず、守りに入るだけでは発展がない。TPPを好機と捉えて、農産物の輸出を図る農家も。
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
TPPに賛成する経済界は、どうすればTPPによって国民全体に恩恵がもたらされるかについて説得的な説明をしていない。TPPに反対する農業団体は、どうしてTPPに参加しなくても日本経済に活路があるのかを説明できない。賛成側も反対側も、国民が虚心坦懐に議論できる材料を提供するに至っていない。
TPPに賛成する側は、自由貿易の利点を掲げる。経済学的には正論だが、経済学者とて一般国民に自由貿易の利点を説得しきれていないのが現状で、それはTPPの賛否以前の問題である。極言すれば、自由貿易によって恩恵を受けるはずの製造業や多くの第3次産業に従事する国民の大半が、自由貿易に賛成意見を持つほどに理解を浸透させられなければ、他産業の従事者への説得もままならない。
ましてや、恩恵を受けるはずの製造業や多くの第3次産業の従事者の家族(専業主婦や未就業の子や退職した両親など)にも、自由貿易は何故恩恵をもたらすかについての理解が、現状では浸透さえできていない。極言すれば、製造業に勤める従業者の無業の配偶者が、農業団体のTPP反対論に賛同するというありさまでは、とても自由貿易の利点についての理解が浸透しているとは思えない。
他方、TPPに反対する側は、非論理的でもいかなる理由でも挙げて、「腕力」でTPP交渉不参加に導けばそれでよく、この国の経済がどうなろうと構わない、というような対応が目につく。これでは、賛否を正当に評価できるだけの情報が共有できない。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
Q4. コメントする
TPPの内容次第では、不利益を被る恐れのある国民がある。そこで、どれだけ正当に補償できるかも、TPP交渉と同時並行で議論しなければならないだろう(ただし、ごね得を許してはならない)。そうすることを通じて、TPP参加により多くの賛同を集めることにもつながる。
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
TPP参加は規制緩和・撤廃を見据えた日本の未来を左右する。反対する農協はもはや既得権にしがみつく抵抗勢力。即刻、解体しなければならない。農協がTPPに対する国民の理解と評価を歪めている。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を拒否する見解は農協を中心とする農業関係者によるものと理解している。農協は確かに票田だが、改革の抵抗勢力でもある。そこに地元のドンが居座り、既得権益層を形成している。次の総選挙に出馬する候補者は当選後、勇気をもって農協解体を目指すべきだろう。農協の存在がTPPに対する国民の理解や評価を大きく歪めている。
日本の景気改善には規制緩和・撤廃が欠かせない。TPPに参加しないことは直線的に規制を温存することを意味する。これでは国民悲願の景気浮揚は実現しない。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
没落する日本の閉鎖性を除去しない限り、世界を怖がらない強い日本の再生は成し遂げられない。そのためには門戸を世界に広げることが不可欠だ。外国から優秀な人材と企業を受け入れると自ずと競争は激化する。競争力のない人や企業は淘汰されていく。しかし、競争の過程を経て、日本全体の競争力が強化されていく。TPP参加は日本の内なる国際化の一つの手段に過ぎない。目的は日本産業の競争力強化にある。自由化、規制撤廃は避けて通れない大潮流。日本を鍛えるためにもTPPなど自由化を促進する国際的枠組みに参加することは当然である。
Q4. コメントする
TPPを含む自由化を目的とする一連の国際的枠組みに参加しない場合、グローバル展開する日系企業が不利益を被る。日本企業の国際競争力は円高で極度に低下している。それに加えて、外国企業と同じ土俵で戦えないとなると、明らかに日系企業は劣勢に立たされてしまう。
外国から優秀な人材や企業を受け入れた場合、日本国内では人材や企業が一時的、短期的に淘汰されていく可能性は高いが、それは競争力強化のためには必要な淘汰である。国際的競争を拒否するのであれば、日本は埋没する一方である。
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
TPP交渉に関しては、その詳細についてすべてが明確になっているわけでなく、交渉過程で内容はいかようにも変化する可能性が高い。国民が十分に理解することは困難。
TPP交渉に関しては、その詳細についてすべてが明確になっているわけでなく、交渉過程で内容はいかようにも変化する可能性が高い。国民が十分に理解することは困難。
Q3. 交渉に参加すべきではない
交渉に一度参加すれば、その後に日本独自の対応を取りにくくなることは、戦後続く米国追従による沖縄基地問題、オスプレイ配備等の実態を見れば明か。大変情けないが、シロアリ退治と言って消費増税を平気で先行させる我が国の政治家を信用することは危険!。
Q4. コメントする
日本とは異なり、すべてを戦略的に考えている米国。日本国民の幸福度向上のためにTPP導入を進めているわけではない、という事実を冷徹に認識すべき。米国内の格差拡大が問題になっている現状、米国が最大利益をえるためにTPP推進を強行しようとしていることは間違いない。
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
農業の面ばかりのことが言われ、分かっていない人が大多数だと思います。
Q3. そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)
正確な捉え方がアピールされていないので、選択できません。
Q4. コメントする
利益、不利益といっても、いつに焦点をあててのことか分からない。
10年先、あるいは明日のことなのか、説明不十分です。
森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
政府・民主党は、みずからの態度が定まらなかったので、国民に発信することをためらってきた。
党がTPP交渉参加を決断した以上積極的に情報開示を始めるべきだ。
これまで政府・民主党の態度が定まらなかったので、国民に発信することをためらってきたのではないか。現在の政府はTPP参加を唱える民主党なのだから、遅ればせながらも積極的に情報開示を始めるべきだ。
実際交渉に参加していないので、内容についてもほとんど情報がない、というのは国民を欺くような稚拙な説明だ。交渉参加国を通じていくらでも情報は入っているはずだ。
とりわけ、交渉に参加した結果、わが国の国益に反する、といって交渉から離脱することができるのかどうか、それがどのような意味を持つのか、この点すら政府から説明されていない。
Q3. 参加を前提に積極的に交渉に参加すべき
労働人口が減少していく中で、わが国が、アジア・太平洋地域の活力を利用しながら生きていくほかないことは自明だ。国を開かずに、成長を遂げる(雇用を確保する)方法があるのなら、その具体策を語るべきだ。
これまで我が国は、「外圧」をうまく活用しながら国を開いてきた歴史と経験がある。
沈みゆくタイタニック号のデッキチェアを確保することの是非を問うべきだ。
実は、この問題は、わが日本人の気概の問題でもあるような気がする。最近の若者が、海外留学や海外勤務をいとう状況が続いているが、この背景にある縮み思考をどう克服し変革していくか、という問題でもある。農業や医療・保険サービスなど、産業の保護問題に矮小化してはならない。
Q4. コメントする
競争の敗者には、年限を限って、きちっと補償することを制度化する必要がある。
私自身、WTO,日米欧で、「焼酎とウイスキーの6倍の税率格差」が問題とされた国際交渉に、日本側責任者として携わった経験がある。
交渉の結果、焼酎の税率を3倍にしウイスキーの税率を半分にし格差をなくしたが、焼酎業界の努力により、焼酎は売れ、ウイスキーは売れなくなったという歴史的事実がある。
競争は努力を生み出し、事前の不安を成果に変えることができる事例だ。
原田曜平
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
このテーマに関して調査を行っているわけではありませんが、
マーケッターとして、様々な生活者に日々インタビューする中で、そう感じていま
す。
「TPPに参加すべきか否か」という定量的なアンケート調査であれば、実は明確
な根拠がなくとも一応の回答はするでしょうが、定性的な聞き取り調査などを実施すれば、ほとんど
の国民が「TPPとは何か」及び「TPPに賛成する(反対する)理由」を明確に答えられ
ない状況だと思います。
TPPが何の略なのかも、即座に答えられる国民は半数もいないと想像します。
この状況で賛否が議論されていることが良くないと思いますから、決して冗談では
なく、池上彰さんなど分かり易く解説できる人材を使い、TPPについての正しい情報を
国民に伝え、賛否を考えさせることが、まずは重要だと思います。
Q3. 交渉に参加し、その後、参加/不参加を検討すべき
賛否が割れていて、かつ、多くの政党が支持団体等々の影響もあり、
はっきりとした決断ができない現在の状況を考えると、どちらにでも
転べる2であれば、賛成派・反対派どちらにとっても問題がないはずで、
良いか悪いかはさておき、現実的に考えると、今はこの選択しかしようが
ないように思います。
Q4. コメントする
私はTPPの専門家ではないので、TPPについての賛否は言えません。
ただ、あくまで私の専門領域である、アジア市場に精通するマーケッターという
立場での視点を出させて頂くことにします。
少子高齢化、人口減少社会の日本において、内需の縮小は中長期的に見れば、
避けられない状況にあります。そうした中で、日本にとって特に重要になってくる
のは、今後発展していくアジア市場です。
アジア市場で日本製品がどのような立場に現在いるのかと言えば、商品ジャンル
にもよるので一概には言えませんが、アジア各国の生活者から「品質が良い」という
認知は、されていると思います。しかし、好調な日本の商品・サービスは多いものの、その
伸び率が円高によって抑制されてしまっており、他国がTPPに参加すると今後更に厳しく
なる、と考えている日本企業が多いように思います。これはある程度事実だと思います
し、これがTPP賛成派の拠り所となっているように思います。
しかし、重要なのは、円高じゃなくなったら本当に日本製品が今よりも劇的に市場でシェアを
伸ばせるのか、ということです。私は様々な商品ジャンルの日本企業と協働させて頂き、アジア市場で
マーケティングを行っていますが、多くの日本製品の価格は円高に関係なく、他国製品と比べて
相対的に「そもそも高い」のではないでしょうか。つまり、本当にアジア市場を
狙うのであれば、そもそもの製品の値段、そこから遡ってモノ作りのあり方が本格的に議論される
べきだと思います。日本製品はよく「オーバースペック、オーバーコスト」と揶揄されますが、
まさにアジアの生活者の多くにそう認識されているのが現状です。
玄葉光一郎外相が「アジア太平洋地域で豊かで質の高い社会を構築するため、アジア諸国の中間層を
強化・拡充することが重要だ」と講演で語られるなど、日本ではアジアが発展し、アジアで中間層が
増えていけば、一億総中流文化で育まれた中間層向けの商品に強い日本企業にとっては追い風だ、という
議論が多く見られます。
が、そもそも日本の中間層の定義されている所得レベルは高く、アジアでの中間
層の定義されている所得レベルは日本に比べると圧倒的に低いので、アジアで中間層が増えても、
日本で考えると中間層以下の人たちが増えることになるのです。アジアの中間層の多くは、所得レベルの
高い日本の中間層向けに作られた日本製品よりも、質も良くなってきていて、日本製品よりも安い韓
国製品に手を伸ばすようになってきています。これは、サムソン、LG、様々な韓国コスメ、ゲンダ
イ、KIAのアジア市場での伸長を見れば明らかです。
発展著しい韓国ですが、1人あたりGDPはまだまだ日本とは比較になりません。
つまり、韓国の中間層はこれから増えるアジア全体の中間層に近く、韓国製品の方
がそもそも価格的に
有利であると言えます。余談になりますが、アジア全ての国で、韓国ドラマと
KPOPスターは大人気で、韓国や韓国製品のブランドイメージもその影響で高くなっています。
アジアでの中間層とは、日本で言えば低所得者層であり、アジアの富裕層と言え
ば、日本の中間層より上の所得レベルの人たちであるので、アジアの中間層は韓国製品を買い、
アジアの富裕層は
高級ブランドに強い欧米製品を買ってしまう可能性があると思います。よって、円高を解消すれば
日本製品が売れると必ずしも考えるべきではなく、そもそもアジアにおいては高い
日本製品のコストを下げる努力をしなくてはなりません。つまり、日本の中間層相手ではなく、
増加するアジアの中間層向けの商品作りを日本企業がやっていけるかどうか、その意思や
環境整備をしていく前提があって初めて、
TPP参加の意味が、少なくともモノづくりのジャンルにおいては出てくると思います。
日本人向けに作った製品を現地にローカライズさせるのではなく、始めからアジ
アの中間層向けに製品を作ることが(つまり、効率も悪くなるし、利潤も国内とは比べモノにならな
いくらい低いのが受け入れられるか)、日本企業にどれだけ本気でできるかどうかに、日本の未来
はかかっているように思いますし、TPPを論ずる上で必要な視点なのではないでしょうか。
こう考えると、現状では、TPPに参加して、最も得をするのは韓国だと思いま
す。韓国は排他的な市場であるため、自国では自国の商品を売り、他国でも自国の商品
を売るという状況になる可能性が高いと考えます。
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
マスコミ世論には陰謀論が渦巻く。TPPをアメリカ陰謀論と主張する本がベストセラーとなり、著者はマスコミの寵児。もし国民が正しく理解しているなら、起こり得ない現象である。
Q3. 交渉に参加し、その後、参加/不参加を検討すべき
世界第4位の海洋大国である以上、交渉参加は当然の結論。交渉にも参加しないなど、あり得ない。
Q4. コメントする
輸出産業を中心に利益を得る産業がある一方、農業など不利益をこうむる産業もある。それはFTAその他の協定でも同じこと。日本としては国益の増進を図るべきだが、そもそも何が国益か、どんな優先順位で産業を保護すべきかのコンセンサスもない、あるのは陰謀論だけ。
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
賛成派も反対派も論点を外している
選挙の争点にはならないので関心は低いと思うけど・・・
報道ではTPPが関税の問題(したがって農業の問題)であるかのように取り上げられている.日本の弱い農業を守るのか,製造業を優先するのかという問題のように……この切り口は二重に間違えている.
・日本の農業は弱くない
・TPPは関税だけの問題ではない
のだ.その一方で,熱心なTPP反対論者は内国民待遇やISD条項に関してあまりにも無知(ネット上のデマに左右されすぎ)だ.
・ISD条項はこれまで日本が締結してきたのFTA,EPAの多くに含まれる一般的な条項である
・企業が国を訴えることは今でも出来る……裁定者が変わるだけの話
・国内の法・制度の変更を求められる部分は少ない.一次産品への補助金ルール以外のものはこれからの交渉で新たに出てくるか否かに注目が集まっているという程度.協定締結後に追加的に求められることも,現在の協定であれば考えづらい(求めては来ると思うが受諾する必要は無い).
Q3. 交渉に参加し、その後、参加/不参加を検討すべき
交渉参加さえしないというのではアンチ自由貿易・反国際協調的とみなされてもいたしかたない.
日米の二国間交渉よりは譲歩を引き出しやすいという点でもっと積極的に交渉すべきだろう.
Q4. コメントを控える
海老原嗣生
株式会社ニッチモ代表取締役 HRmics編集長
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
1)まず、金融やITなど包括的な話であり、それが認知されず、農業と工業一辺当の話となっている。
2)日本の産業構造が全く理解されず、陳腐化した「過去の日本の姿」で論理が展開されている。
3)過去40年以上にわたり、全く対策が進まなかったこと(国内農業の生産性アップ)が根本にある。
1)まず、金融やITなど包括的な話であり、それが認知されず、農業と工業一辺当の話となっている。
2)日本の産業構造が全く理解されず、陳腐化した「過去の日本の姿」で論理が展開されている。
3)過去40年以上にわたり、全く対策が進まなかったこと(国内農業の生産性アップ)が根本にあることを忘れている。
とくに、2・3について言及しておきたい。
まず、2について。
日本が他国と明らかに違う生産体制を敷いている。
プラザ合意以降の円高を受けて、25年かけて、海外生産比率を世界一のレベルにまであげたことだ。
欧州諸国の域外(非EU、旧植民地以外)生産比率や韓国の海外比率とは比較にならない。結果、日本は、世界中の生産拠点から、関税の一番かからない方法でいくらでも迂回輸出が可能。これこそ、他国には真似ができない強みだろう。TPPで一律の制約をうけるようりはm、相手国の関税は「迂回輸出」でうまく切り抜け、こっちが輸入するときや、国内の金融に関しては、フリーハンドが有利ではないか?もし、必要ならFTPを選択すればいい。この日本のみの「強み」になぜみな気付かないのか。
過去の幻影はまだまだある。
●日本の第二次産業での就労者比率は23%。うち、建設業と鉱業を除いて製造業のみだと、16%。もう、ここまですでに空洞化は進んでいる。何か、今でも世の中の大半の人は製造業で働いているというような議論がされていることは大間違い。今、日本に残っている工場の多くは、「技術守秘のため」「マザープラントとして」「特注・特急対応」「国内消費向け」などの理由がある。これらの理由がある限り、全量が海外移転などできない。空洞化はあるとしてもあと2~3%の雇用の喪失にしかならないだろう。
●日本は貿易立国だ。これも相当なアナクロ。国際収支で一番の稼ぎ頭は、すでに貿易ではなく、2004年から所得収支となり、その差はどんどん開いている。要は、海外事業所でモノを作って、それを海外で販売し、そのアガリだけが日本に来る、という形。
3)についても書いておきたい。私は、上記2)や1)を考えると基本的にはTPPに後ろ向きだ。ただし、対農業という意味では「TPP推進」という立場をとる。つまり、全く真反対(普通は工業賛成、農業反対)なのだ。
農業面でTPPに反対する人たちの論拠は、食料自給率の話で「日本はやばい」、だから国内農業をもっと守らなければ!という意見が多数となるだろう(これに、「自然環境の保全」「食料安全保証」などが加わる)。
しかし、今年48歳になる私が小学生時代に学んだ食料自給率はどうだったか?当時から、小麦・大豆・とうもろこし・大麦・からす麦など主要な穀物は9割を超える輸入依存度で、食料全体でも自給率は6割を切っていた。もう、壊滅的状態だったのだ。輸入依存は、その後40年続き、全く改善が見られなかった。この状況こそ、真摯に反省すべきことではないか?
結果、日本人は世界でも突出した値段の高い米を食べている。どんなに安価な無銘柄米でも、1キロ300円近くすることに、私たちは違和感さえ感じない。小麦の場合、海外から輸入し、輸送費・保険料・諸手続費用などのコストを上乗せして、農畜産業振興機構等のまだるっこしい仲介があって、さらに粉に挽いて、それでも1キロ100円で市場に出回っている。これだけ安い。仮に、小麦を輸入規制して、コメのように1キロ300円以上に値上がったら、国民は怒りくるわないか?パン1斤300円とかなったら、生活が成り立たないだろう。だが、コメではそれが常態化して全く文句も言わないようになっている。この矛盾。昨今、コメの消費量が減り、小麦が増えている(これは50年来の長期トレンド)のも、こうした、あまりにも大きい「価格差」が原因の一つにあるのではないか?
本来なら、大規模化や効率化、法人化、非JA化などなどで、もっと効率的に「儲かる」国内農業を推進すべきだった。フランスやイギリスのようなそれほど国土に余裕がない国でも、農家一人あたりの作付け面積は日本の5倍を楽にこえる。40年も真剣に頑張れば、日本もここに近づけたに違いない。それが、結局、農業対策は農民とJAの「過保護」に堕したことが問題だ。そこを真摯に反省するためにも、TPPで論議を起こしたほうが良い。たとえば、交渉にて、米の完全即時自由化は謳わず、10~15年をかけて段階的に自由化することにし、その10~15年で農家の土地の集約、休耕田の一括型法人経営、北海道を中心にした大規模農家の保護、などを行い、国際価格に近い米を作れる体制をめざしたらどうか?
Q3. そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)
問1参照
Q4. コメントを控える
Q2. 「4 - ほとんど、理解してないと思う」の回答理由
TPPについては、一昨年の菅政権で交渉参加方針に唐突感があったこともあり、当初から、テレビ、新聞、雑誌、書籍などあらゆるメディア媒体で参加反対論や米国陰謀論が蔓延しているように見受ける。
交渉主体は政府なので、国会での閣僚答弁や政府資料を見聞きすれば、TPPに関する参加各国の現況や交渉対象について正しく理解できるはずだが、そうはなっていない。
反対論に勢いがあり、それをマスコミが増長させたのではないかと思う。これでは、正しい理解は浸透しにくい。それが今の状況であろう。
Q3. 交渉に参加し、その後、参加/不参加を検討すべき
問4に回答しています。
Q4. コメントする
一般論としても、貿易活性化は経済を好転させる。従って、我が国としては、可能な限り自由貿易の国際的枠組に参画しておくことは国益上必須である。
TPPについては、これが将来どのような内容で妥結されるかが殆どわからないので、協定参加後に予想される具体的な利益・不利益は、実際にはまだ見通せる段階にはない。
だからこそ、我が国に有利な内容を一つでも多く勝ち取るためにも、なるべく早いうちに交渉のテーブルに着くことが重要である。
最終的には、我が国にとって全体としてプラスかマイナスかを比較衡量しなしがら、妥結ないし批准の是非を判断すればいい。
5. その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
関心があり、十分理解している限られた人も少なくは無いが、一般国民にとって、直接関与する事という認識や理解は低いと思う。賛成、反対を唱えるどちらも、やや感情的な意見が多いのでは。短中長期にわたる展望を、利益の有無や、不参加により起こりうる事態と対処法を含め、数字や具体例を伴って説明すべき。与党や最大野党が推進しているから反対、でも無いだろうが、少数派の政党がこぞって反対しているのは単なる偶然なのか。
Q3. 交渉に参加し、その後、参加/不参加を検討すべき
ゲームに入らなければ、中身は分からない。日本国内だけの議論と並行し、関係各国と摺り合わせをし、次のステップに行く時期だ。米国を含む他国の要求を呑む必要は無く、パートナーになる条件の理論展開を代替え案や是正案を示してすれば良い。ちなみに韓国は、事の是非は別として、FTAに加入し独自の方針を打ち出している。言うまでもなく、交渉参加、イコール加入ではない。
Q4. コメントする
関税の撤廃による自由貿易がもたらす大きなマイナス点の一つが、農水産食品だが、その中でも、牛肉などが基準が緩い米国から日本国内にはいるリスクがあると言う議論だ。TPPの本質は流通の緩和であって、安全基準の緩和ではない。日本での安全基準を貫けば良い。ただし個人的には、この議論には非常に抵抗が有る。いかにも米国の牛肉は危険という印象を与えている。我々米国人の牛肉消費量ははるかに日本人より多い筈。そして、健康に生活しているのだが。
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