2012年12月15日 ザ・コンパスで放送
社会・公共

どうする?インフラの老朽化

1:設問テーマの背景 (facts)>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

12月2日午前8時過ぎ、中央自動車道の笹子トンネル上り線内の天井板(横5m、奥行1.2m、
厚さ約8cm-9cm、重さ約1.2t)が約110mにわたって崩落、車3台が下敷きになり、
9名が死亡、2名が重軽傷の大事故となりました。

中央自動車を管理する中日本高速道路(NEXCO中日本)によると、今回の事件については、
天井板をつり下げていた「つり金具」をトンネル本体の壁に固定するボルトが抜け落ちており、
ボルトやその周辺部分の老朽化が事故につながった可能性が高いという認識を示しています。
また、これまでの中日本高速道路の説明から、該当箇所が老朽化していたにも関わらず、
十分な対策が行われてこなかったことが指摘されています。

国土交通省の調査によって、同じように天井板が設置された型のトンネルは、全国の高速道路と
国道で合わせて49(高速道路:39本、国道で10本)存在することが判明し、同省は、
安全性に問題がないかを全国の高速道路事業者、国道管理にあたる同省地方整備局などに
指示しました。

トンネルに限らず、日本各地のインフラの老朽化は以前から指摘されています。
総務省の調査(2009年4月現在)によると、
-約8500本あるトンネルでは、建設後50年以上経過するものが、現在約18%、20年後には約46%に増加。
-約67万本ある橋梁では、建設後50年以上経過するものが、現在約8%、20年後には約53%に増加。
-約500kmの防波堤では、建築後50年以上経過するものが、現在約5%、20年後には約42%に増加。
-約42万kmの下水道では、建築後50年以上経過するものが現在約3%、20年後には約22%に増加。
など、高度成長期に一斉に造られた各種の社会資本が、一斉にその更新時期を迎えます。

政府は、2007年度に「長寿命化修繕計画策定事業」を策定し、自治体による点検、修繕作業を推進している
ほか、2009年度から「社会資本整備重点計画法」に基づき、社会資本整備重点計画を進めています。
しかし、国交省の試算では、従来どおりに維持管理・更新の費用の支出を継続した場合、2037年度には
維持管理・更新費が投資総額を上回り、2037年度から毎年数兆円分のインフラの更新が予算面から困難に
なると試算しています。


2:番組として (our aim)>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

日本のインフラの多くは、高度経済成長期に急速に整備されてきました。
1975年完成の笹子トンネルもそのひとつです。
すべてのインフラを刷新することが最大の対策ですが、整備が急速であった分、
老朽化も一気に進んでおり、長命化対策などが行われているものの、政府、自治体ともに
財政状況は厳しく、人口減少も進み、インフラを整備した高度成長期のような経済成長が
見込めない中、インフラの老朽化に対する有効な対策はとれていないのが現状です。

老朽化によって危険が増してゆく日本全国のインフラの安全性をどのように維持していけばいいのか。
その改修の仕方、優先順位の付け方、資金調達の仕方など考えなければならないことが多く、
包括的な解決策をどう考えるかが大きな課題となっています。
そこで、「ザ・コンパス」では、コンパス・オピニオンリーダーの皆さまからのご意見をもとに、
インフラの老朽化にどう対処していけばいいかについて、視聴者とともに議論を行いたいと考え、
今回のテーマを企画しました。
各分野に専門的知見をお持ちのコンパス・オピニオンリーダーの皆さまから是非ともご意見を
お寄せいただけますようお願い申しあげます。

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:笹子トンネルの事故をどう受け止めましたか?
Q2:笹子トンネルの事故をどう受け止めましたか?
(コメント欄-文字数に制限はありません。)  
Q3:高度経済成長期に急速に整備された公共インフラ(高速道路)などが、一斉に老朽化を迎え、その改修等が追いついていないという、今の日本の公共インフラの状況についてどのようにお考えですか?
ご意見をお聞かせください。
Q4:今後、老朽化した公共インフラが急増してゆく中、こうした公共インフラの改修などに、どう対処してゆけばいいと考えますか? ご意見をお聞かせください。改修などの方法、資金調達の方法、優先順位のつけ方など具体的なアイデアがあれば、あわせてお聞かせください。

オピニオンリーダーの回答

( 25件 )
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1. 回答する(問2にお答えください。)

岩渕美克
日本大学法学部教授
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
 公共事業に対する投資は、新しいものを作ることで支えられてきたので、修理する、補修するという考えが希薄であったのかも知れません。
 比較的よく利用する道路であったので衝撃を覚えました。あわてて、知り合いに連絡をして確認をした次第です。日本の経済成長を支えてきた公共事業は、次から次へと新しい建物を作り続けることによって景気を浮揚してきたものであるので、修理するないしは補修するという発想があまりなかったのかもしれません。一方では、身近な道路については年末、年度末になると、舗装をはがして再舗装するというような不必要な修繕?はするものの、大型建造物や高速道路などの大規模補修はあまり耳にしません。たまに聞くとしても、きわめて限定的なものであったり、大きな亀裂が見つかるなど緊急避難的な色彩が強いものという印象があります。定期点検で重大な欠陥が見つかるというニュースに接した記憶もあまりありません。頑丈なのか、点検がずさんなのかは分かりませんが。
 トンネルに対する恐怖感はぬぐえないと思いながら、結局は自分だけは大丈夫だと思い利用するのかもしれません。
Q3. コメントする
 高速道路のみならず、さまざまな立派な市庁舎、今問題となっている原子炉にしてもそうですが、目先の利便性だけ、あるいは予算があるからという単純な理由だけで作られてきたものが多い印象があります。10年後、20年後にどうするのかという発想がなく、一応文章を作っていたとしても、事故が起きなければ、騙し騙し使っていくという方向性が強く打ち出ているように感じます。
 したがって、原子炉にしても耐久年度を過ぎていても、事故さえ起らなければ使い続ける風潮があるようです。道路や建造物も同様です。それはそれで、戦後の復興の際には歴史的な役割を果たしてきたのでしょうが、いつまでもそこから抜け出せない政治の状況が最大の問題であると思います。過去の遺物からの脱却を図ることが肝要です。そのための政権交代であったはずが、期待はずれであったのが残念です。
 政治の役割に尽きるのではないでしょうか。
Q4. コメントする
 現在あるものについては、設立年の古いものから順番に点検をしていくことが必要となります。その際にコストパフォーマンスなどを第三者機関で評価することも必要です。理想論になりますが、各党から推薦した識者で構成するのみ良いかも知れません。そうすると決まらないことにもなりかねませんが、こうしたことにはイデオロギーや理念も関係は薄いので、可能かもしれません。
 その際に破棄して作り直すことも視野に入れなくてはなりません。もちろん、財源の問題が最も重要ですが、新幹線などを含めて、新規事業の前に行うべきです。そうすることで公共事業そのもの規模は、拡大することもなく、現状の予算規模で可能になるかもしれません。場合によっては削減も可能です。既存施設の再利用も含めて、合理的な使用を考えるべきではないか。
 
 
伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
起きてはいけないことながら、起きるべくして起きた事故。
起きてはいけないことながら、起きるべくして起きた事故と受け止めました。
Q3. コメントする
原発事故、JCO事故などにも通低する、物理的現実を見ず、あるいは軽視する経営判断の必然の結果という面があろう。この点ドイツのアウトバーンなど、無料(フリーウエイ)が抱える同様の問題への対応、メンテナンスなどの内外比較は有効と思われる。
Q4. コメントする
直接の解答になっていないが、独立行政法人となった東京大学でもインフラ改修に本部が出費しなくなり、教授職の研究費を削って積み立てを行うことになる見通しの部局がある。官費の処理には費用対効果の感覚が薄いなどいくつか特徴があり、建物寿命は考慮しても高速道路やトンネルの寿命やメンテナンスには脇の甘い面があった。大きな破壊が起きてから、では遅すぎる。今回の事故から、大きな影響の出る前、小さな破壊のうちに手を打ってゆく体制と、それらを小さな予算でも有効に実施する、受益者負担システムを検討すべき。優先順位はあくまで実地の調査測定に基づき、リスクの大きなものから手をつけねばならない。
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
日本の建築物は、木造建築の発想で作られきたのでは。
一つは、日本社会制度の賞味期限が切れ始めていることの象徴のように感じた。これは、本題ではなく、感想である。
本題としては、「耐用年数」の考え方が、欧米とは異なるような気がした。建築の専門家ではないが、欧米の建築物は、何百年使っているものも多く、常に修理、改装しながら長持ちさせているように思う。
日本は、どうせ壊して新しいものを作るのだから、4,50年持てばよいという「木造建築」の発想で作られてきたのではないだろうか。
Q3. コメントする
都市部で不足、過疎地で過剰であることはいうまでもない。人口減少が確実に見込まれる中、通行量は確実に減少する、特に、高齢化が進む地方では相当程度減少すること念頭に置くべき。
Q4. コメントする
必要なところは改修し、過疎地であまり使用頻度が高くない道路等は、廃道にするなどの思い切った措置をしなければ、財政がもたないのでは。日本は人口減少社会に入っていることを忘れてはならない。
長期的に消滅が予測される過疎地では、集団移住も含めた措置も消滅前に検討したほうがよい。
 
 
山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
「恐れていたリスクが遂に顕在化し始めた」と受け止めた。建設当時はフェイルセーフ思想(ミスや問題が発生しても安全側に傾くための措置を講じる)が定着していなかった。たとえば、天井を支える取付金物を固定するボルトが鉄筋溶接ではなく、上部コンクリートに接着剤だけで固定していたこと。高性能の接着剤であっても欠点は経年劣化であることは常識。引っ張り荷重がかかる部位に接着剤固定だけとは通常考えられない。そういう工法を用いるのであれば、経年劣化などで万一ボルトが抜け落ちても、天井コンクリート落下という「最悪」を防ぐためのセフティワイヤー設置などのフェイルセーフ的対策が必須であった。
せめて一定期間経過後は、重要部品の交換ローテーションなどを厳しく定めること。また、劣化を前提に年を追うごとに点検・維持管理を強化(予算の増額化)していく必要があったがそれもされていない。ここまで来てしまった以上は、点検だけでなく、今そこにある危険な施設のフェールセーフ対策が焦眉の急である。
Q3. コメントする
このままだと、笹子トンネル事故と同じような事故が各所で発生する可能性がある。
Q4. コメントする
増大する社会資本の維持・更新投資額に対応するためには、公共部門と民間部門の連携(公民連携・Public Private Partnership,PPP)が不可避である。これまでのように社会資本整備を公共部門だけに任せるのではなく、民間部門の資金とノウハウを積極的に利活用していく必要がある。たとえば、社会インフラ維持・更新専門会社を発足させ、株式を公開し市場からの資金調達も検討すべきではないだろうか。
 
 
坂野尚子
株式会社ノンストレス社長
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
大変ショックでした。誰でもが事故の被害者になりえます。事故が起きてからでは遅い。これは311の原発事故と同じです。しかし、笹子トンネルの事故が予想外の事故と言えないのは、老朽化という客観的な事実です。日本にはトンネル、橋、建物、道路など老朽化が指摘されているものがかなりあるのが今回わかりました。新規の造作を行うのではなく、インフラ整備に予算を確保すべきだと思います。
Q3. コメントする
土木や建設にお金を使うことで経済をまわしてきたのが過去の日本のやり方でした。これからは同じ土木や建設でもインフラの整備に廻していくべきだと言う宣告のような事故だと思います。
Q4. コメントを控える
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
デタラメ公共工事の当然の結末。犠牲者は天下りどもに殺されたようなもの。奴らの焼け太りだけは阻止したいが・・・。
デタラメ公共工事のいい加減保守点検の犯罪行為で犠牲者は「殺された」も同然。
国土交通省に厳罰を果たすべきだ。
誅滅すべき天下りどもに何とか責任をとらせることはできないものか。
反対に奴らは保守点検予算を要求し、「焼け太る」のだろう。
Q3. コメントする
道路が老朽化するのは当たり前で、公共工事なので間違いなくて抜きも在るだろうからそれが顕在化するのは予想以上に早いだろう。こつこつと修繕していくしかない。当たり前のことだ。がしかし今日も道路の工事をしている。あれなんじゃ?何をやっているのだろうか?毎日どこかで工事ばかりしているのだが、あれは何の効果もない、「そういう」工事なのだろうか?全くふざけた話だ。
Q4. コメントする
高速道路は有料道路であり、その保守点検費用はその利用料金に含まれているはず。その資金で合理的に科学的に保守点検は行われていてしかるべき。それが全くできていないということは結局、組織自体が意味をなさない、ただ存在するだけの、そして天下り官僚どもに給料を支払い続けるだけの機関で会ったことが証明された。大金を懐に入れた天下りどもからそれを吐き出させ、多数ぶら下がっている在ってもなくてもいい関連会社を全敗し、あるいは不要な職員、特に社長をはじめとした幹部どもを全面リストラし、資金を捻出することをまず実施すべきだ。予算をぶんどろうとする関係省庁の指令で御用学者がここぞとばかりにインチキ理論を展開し、訳のわからない委員会や独法を量産し、いわゆる「焼け太り」を画策するに違いないが「公共事業の利権を取り戻します!」と政見放送で豪語している政党による新政権では、奴ら奸僚どもの思うつぼの展開になるのではないか。
その観点から考えると、インフラ老朽化を示す資料、つまり提出されている数字はすべて信用できない。奸僚の出してくる数字は常に「ねつ造だ!」とまず疑ってかかる必要がある。
毎度のことながら、どうしようもない。賊省、国土交通省をまず全面廃止するのが先決だろうか。
 
 
永濱利廣
(株)第一生命経済研究所 経済調査部主席エコノミスト
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
老朽化が事故原因である可能性があり、懸念が現実のものとなった印象。耐用年数を超えたインフラ対応への緊急性が高まったといえる。
老朽化が事故原因である可能性があり、懸念が現実のものとなった印象。耐用年数を超えたインフラ対応への緊急性が高まったといえる。
Q3. コメントする
少子高齢化で生産年齢人口が激減していく中、社会保障費も伸び続ける厳しい財政状況を勘案すれば、インフラに潤沢な予算を割くことは困難。
しかし、人命にかかわる大惨事と隣り合わせにあることからすれば、耐用年数を超えたインフラを放置するという選択肢はない。
ただ一方で、人口が減少する中では、既存インフラや公共サービスを全て維持することも現実的ではないと考える。
Q4. コメントする
新設を抑制する一方で、国や自治体による予防的取り組み強化でインフラ寿命を延ばし、維持・更新費用を圧縮する。
民営化等により民間資金を有効活用する。
自治体間での共有や用途変更等により既存インフラを有効活用する。
コンパクトシティーを推進し、インフラ整備や公共サービス提供の地域を集約する。
 
 
有馬晴海
政治評論家
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
民主党政権前夜、自民党のムダをなくす、理念の無い予算を組み替える、コンクリートから人へという民主議員の言葉に
万が一トンネルが崩落したら、橋が崩落したら、ということを再三意見をしました。
「万が一人命が損なわれた場合は、つくらなくていいと言ったあなたが責任を取るのか」 と言葉を突き付けもしました。
中国の建物が崩壊、アメリカのミネソタ州の橋の崩落を受けてのことでした。
そういう情報や、将来を見据えた政策は民主党内では皆無だと感じました。

参考文通り、日本のインフラは東京五輪に合わせたものが大半です。
それから47年になります。建物の耐用年数が50年、60年。構造物が70年です。2、3年前には東名高速の片側が崩落して通行止めになりました。
日本のインフラは寿命の時期に差し掛かりました。
形があるものは安全に見えますが、
人間の老化と同じように見えない劣化が確実に進んでます。
そういうものに目を向け、命を守るのが政治家の仕事です。
税金を納める代わりに、命を預けているのです。
にも拘らず、口だけであれもしたこれもしたと選挙でいっている政治家の言葉がむなし過ぎる。
政治家としてこういう事故が起こらないような注意と改善が求められているのだ。
事故かおこってから慌てて考えるのなら誰でもできる。
政治家に求められるのは、負の遺産をどうやって解決するかだ。
世界の橋や建物の崩落の事故を見て、事前に予測して対処しろと言いたい。
政治家って何をする仕事なのか。
私ごときでも、すでに数年前から番組で指摘していたことだ。

ついでに原発事故においても何の反省もないような。
Q3. コメントを控える
問2にて包括回答しております。
Q4. コメントする
建設国債も含めて、寿命を考えて50年償還で利用者の受益者負担を基本に返済する。
党名も第二東名が一部でできてますが、今から独立させて作り変え、元々の東名は壊し、再構築するということを50年交代でやっていく必要がある。
場合によっては、日本橋で議論されているように、
日本の歴史や文化を残す意味でも、再構築の際は、観光や利便性、今後の人口の推移を考えて
時代にあったものを再構築していく。
ただつくるということではなく、都市政策とともに街づくりを考えたインフラの整備をする必要があるのではないか。

言い尽くせません。
ダムの決壊も起こりますよ。
老朽化と土砂の堆積。
アメリカはダムを壊す公共事業を行っている。自然に戻した方がいいものは自然に戻し、
便利なものはより便利に安全に。
お金の使いようや、日本をどういう国にするか、それがわかればメリハリの利いた、国づくりができるのだが。
「雨が降ると土にしみこみ、30年かけて地下水から川に流れ、じわじわ流れるから川が蛇行し急流を防止します。それで石が小さくなって砂になり、
それらが建築資材になる。今はダイナマイトで壊すからいい砂、いい石ができずもろい建築資材になっている。海砂は塩分を含むから鉄筋コンクリートの徹がさび腐る。地球をコンクリへとで土を覆うと、雨水は一気に川に流れ氾濫します。だから護岸工事やダムに繋がるが自然に任せればいいものだ」。そういう自然を生かした考えがあるかどうかだ。
 
 
長田渚左
スポーツジャーナリスト
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
日本のインフラの老朽化を指摘する声は以前からありました。ただあまり現実的な実感がありませんでした。
今回のことは氷山の一角だと思います。
Q3. コメントする
作ったものはそこで完成ではなく、必ずその後があります。
今の時代新しいものを作るのではなく、上手に点検をして使い続ける努力と工夫が大切だと思います。
Q4. コメントする
勿論専門家の意見も大切にして即、誠実な対応をしていかなくてはならない。
寒い時期も夏の暑さもなかなか日本は厳しいです。
日本中の公共インフラの徹底管理と点検が求められます。
即時対応をしないと、今回の9人の方の生命が無になります。
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
いつ誰が遭遇してもおかしくない。
老朽化した施設に囲まれている危険を感じた。
前の点検では異常がなかったとのことであったが、その安全管理のあり方の改善が早急に求められる。
いつ誰が遭遇してもおかしくない。
老朽化した施設に囲まれている危険を感じた。
前の点検では異常がなかったとのことであったが、その安全管理のあり方の改善が早急に求められる。
Q3. コメントする
財政状況がひっ迫している状況であるため、より効率的・効果的な安全対策を図る必要がある。

設計・施工において最大限の安全を確保する技術者の倫理とともに、道路管理者(今回の事故であればNEXCO中日本)の善管注意義務・安全配慮義務を明確にして、責任をもって重要な施設の改修を進めることが求められる。

幹線の交通量、リスクの度合い等をも計算に入れて、優先順位を誤らないように公共インフラの改善を進めていく必要がある。
Q4. コメントする
現代における最高の技術を結集した改善方法を選択して、迅速に改修などを進める必要がある。

基本的には事業者が有効な資金調達をするべきだが、一定の受益者負担の増加も避けられないだろう。国家財政は赤字が大きすぎるので、税金投入は抑制せざるを得ないのではないか。

優先順位は、交通量(利用量)、老朽化の度合い(危険性の度合い)などを考慮して、迅速に整理する必要があるが、これを短期集中で結論を出すための外部専門家委員会を組織することも考えられる。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
悲劇が発生しないと問題の解決策が模索されないのは残念だが、今からでも遅くはない。自然災害とは異なり、人災は未然に防ぐことができる。気の遠くなるような作業だが、一つずつ丁寧に対応していくことが何よりも重要だろう。
 大惨事が発生しないと社会的な問題として取り上げられないのは残念である。戦争が勃発して初めて、メディアが戦場の様子を映し出し、その重大性に関心が集まる構図と酷似している。道路、鉄道を問わず、トンネル事故は明日にでも遭遇する事故である。橋梁を含めた社会インフラの老朽化に伴う事故を未然に防ぎ、再発を防止するには国全体が真剣に取り組む姿勢が必要となる。
Q3. コメントする
 新規のインフラ整備に対する関心が集中するあまり、既存インフラのメンテナンスを軽視する傾向が大惨事を引き起こす原因になったと思われる。既存インフラのメンテナンスは新規インフラの整備に比べて、経済効果が低いがゆえに疎かにされてきたのだろう。具体的な対策方法を真剣に検討しなければならない時期を迎えている。
Q4. コメントする
 財政難の今日、資金調達の問題がもっとも難題であると思われる。そこで一つの私案を提示してみたい。
 公共インフラといえども不動産資産である。インフラをこのように位置付けて、管理者にはまず当該インフラの不動産価値を厳密に査定する作業を実施していただきたい。不動産評価が算定された段階で、入札方式よって売却する作業に入る。想定される売却先は外国も含めた、投資信託を手掛けるファンド会社や投資会社、それに不動産会社だ。幸い、日本の地価は底値の状況にある。金融緩和策とも相まって今後、値上がりする確率が高い。そこで、当該インフラを投資信託会社がポートフォリオに組み入れ、土地、オフィス、物流施設も合わせた金融商品を開発し売り出せば、貴重な投資対象となる。もちろん、金融商品である以上、転売は可能となる。
 このようにして調達した資金を原資としてインフラの再整備に役立てれば、老朽化防止策が活性化するだろう。整備の進んでいるインフラの価値は高まるから、それが魅力的な人気商品となっていくはずだ。
 要するに、社会インフラを不動産資産と位置付けて、民間に放出し、金融商品化によって資金調達を容易にし、老朽化防止策に役立てるという発想が重要なのである。
 
 
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
多くの人が利用する公共インフラが構造的な問題を抱えており、人命に関わる問題であることがわかった。昨年の地震・津波被害からの復興と同じくらいの優先度で改善にとりかかるべき
 事故の第一報を聞いたとき、すぐにインターネットをつないで、救出活動の模様を注視していた。この事故は他人事ではないと思うのは、中央高速道路はたまに利用することがあるし、日本の道路にはトンネルが数多くあるからだ。他のトンネルでも同様のことが起きる可能性がある。老朽化したトンネルを、危険性を知らないまま利用する国民も多い。国民のすべてが真剣に対策を考えるべき深刻な問題だと思った。改善対策のためには膨大な予算が必要になるという意味で、日本経済にとって深刻な問題だ。
 
Q3. コメントする
 70年代から80年代にかけての経済成長のときに作られた公共インフラが多いから、多くの構造物で同じことが起きている可能性があるだろう。多くの公共インフラが建築後40-50年が経過しているのである。接着剤の劣化という問題を見落としていたのであるから、他の公共インフラの総点検が必要になっている。
Q4. コメントする
 第一に、先入観や見た目に頼ることなく危険性を疑うべきだ。「現存する施設は安全第一を考えて維持されている」というのは神話だとわかった。トンネル施設以外にも安全だと思われている施設を再点検する必要があろう。接着剤でボルトを固定して天井をつり下げて、その下を自動車が走っていたという。そのようなことは一般国民は知らない。接着剤が劣化したら天井が落ちるということを技術者は考えていなかったのだろうか。接着剤などというのは、接着剤の会社の悪口ではないが、「重いものもつり下げることが可能」という宣伝が書いてある接着剤を買っても、期待以下の接着能力であることが多かった。錆びないはずのものが錆びていないか。接着したものが劣化していないか。ボルトがはずれていないかどうかを点検する。
 第二に、いま公共インフラか一挙に老朽化している可能性があるから、他の全てに優先して公共インフラの抜本的改善に着手することが重要だ。空港整備事業、新規道路建設などよりも優先する。災害復興事業費をあいまいな基準で使っていたのに、老朽化した公共インフラが放置されていたということは、政治と担当官庁の責任でもある。一定の改修予算を毎年の予算に組み込んでゆくことになるが、災害復興と同じ程度に重要な事項である。
 第三に、危ない橋、トンネル、危ない地下道、危険な海底トンネルが世界にはたくさんある。安全維持のノウハウを世界各国と共有したい。このような施設の劣化がどのような材料であれば、どのように進むのか。どのような安全対策が有効なのか。どんな材料を使用したときに、改善が有効であるのか。すでに欧米の専門誌や、海外の事故報告書ではそのことを分析して、警告を発していたという話だ。日本でも専門家らが入手して危険性を知っていた。問題はそのような事故原因を特定したあとの警告、事故の経緯の報告書の中身を国内の皆が共有する必要がある。事故報告書と安全対策の主要部分を安全担当の機関、作業員が共有していないことが問題だ。対策のマニュアルが日々、ハンマーやドリルを片手に現場で安全点検している人々の頭にはいっていなかったら、重要な報告書は何の役にもたたない。そのために、資料、情報、データを集約して、必要なものは翻訳して、そのうえで、安全点検のための作業関係者のマニュアルとしてわかりやすく編集する。そして周知徹底する。現場の要員が「形式的な目視のみで安全を確認していただけ」ということにならないように、点検の方法は、各道路管理機関が統一したマニュアルと点検確認表を作成し、共有して、「各施設の安全度」をインターネットで公開するのはいかがだろうか。
 
 
山田吉彦
東海大学海洋学部海洋文明学科教授
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
 現在の道路行政では、必然的に起こり得る事故。トンネルのみならず、橋の倒壊、道路の側面の崩壊、道路の陥没等、多くのリスクが存在している。細心の注意が求められるが、手が回らないのが実情だろう。高速道路行政は、新規拡張と利用料金が議論されるが、本来の安全性を守ることを第一とすべき。
 インフラ整備に対する公共投資罪悪論が、今回の事故の原因のひとつになっていないか。検証する必要がある。
Q3. コメントする
 公共投資は、景気対策として有効である。また、雇用状況の改善にも寄与する。公共投資、公共インフラ整備の予算を潤沢に確保し、国民の生活の安全と利便性の向上を再び考える時期に来ているのであろう。
 新政府は、ばらまき型の社会福祉政策を考え、国民の生活の根幹を支える事業を進めるべきだ。
Q4. コメントする
 国費をもって充当すべき、一斉に全国の老朽化した公共インフラの確認を行い優先して予算化して行く。景気回復にも寄与することだろう。
 
 
潮匡人
国際安全保障学者,拓殖大学客員教授
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
頻繁にトンネルを利用する一国民として大きな不安を覚えた。事故後、点検整備体制の不備が指摘されたが、報道が事実なら、驚きを禁じ得ない。かつて航空機整備の職に就いていた者として、理解を超越している。刑事責任を含め、厳しく追及されるべき。
Q3. コメントする
戦後の高度経済成長に伴う「右肩上がり」のモデルが破たんした。その象徴的な事故・事件と考える。老朽化は事前に予測できたはず。国家的な戦略を欠いたまま高度成長を続けてきた戦後政治の代償とも評し得よう。成熟期の社会にふさわしい、新たなモデルが求められている。
Q4. コメントする
民間投資を促進する税制改正など、考えられる政策をすべて検討すべき。今後、より大きな利用者負担も避けがたい。いずれにせよ、ビジネス・モデルとして成立することが大前提。いくら「再発防止」を叫んでも、新たなモデルは描けない。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
道路やトンネル、橋など、建設後年数がたった公共施設について、いつかこのような事故がおこると感じていたので、そうなってしまったかという感じです。
公共事業については、今から10数年前くらいから、「新しく造るのではなく、補修や点検により費用を充てるべき」という意見が出ていましたが、なかなかそうはなりませんでした。
道路など新しいものをつくるほうが簡単で、人も比較的容易に手配でき、目立つので政治家の功績になるなど、さまざまな要因があるでしょう。
今回の事故の検証を見ても、点検には、専門家が必要で、しかも手間がかかリ、交通をストップするなどそう簡単ではないこともわかります。
しかし、もちろん今のままではいけませんし、今回の事故はその意味で、公共事業を見直す転機になったといえるのではないでしょうか。
Q3. コメントする
今後、公共インフラについては、「新規増設より、修理点検に重きを置く」という発想の転換が必要だと思います。
Q4. コメントする
道路などの運営会社が、同時に点検・改修などを担当するのは、やはり無理があります。高速道路を止めれば収入にも影響が出ますし、どうしても、「たぶん大丈夫だろう」的な希望的観測を持って点検してしまうでしょう。
原子力規制委員会のような、運営母体とは独立した点検をする機関を設けたほうが、、安全については徹底できるように思います。
 
 
夏野剛
慶応義塾大学特別招聘教授
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
高度成長期の列島改造論にもとづく地方への公共投資拡大の副作用がこれからどんどん現実化する。景気刺激策としての公共事業投資が、実はその後に大きなメンテナンスコストやリプレースコストを要し、成長に対してのマイナスになり得るという事はあまり考えられていなかった。今回の事故でこれから起こるであろうさまざまな事故事件を想像させられた。
Q3. コメントする
日本は人口が減少傾向にある。今と同規模のインフラを維持する事はもはや不可能。どこはリプレースし、どこは廃止するといった、取捨選択をしなければいけない。特に公共事業に強く依存してきた地方でこの問題が現実化する。
さらに安易な国土強靭化と称する今後の公共投資もそのリプレースなどを考えながら慎重に検討すべきである。防災対策と居住地移転や過疎地の集約化を両方検討し、将来の日本に禍根を残さないようにすべきであるという事を、今回の事故は示唆している。
Q4. コメントする
税金を財源とする公共投資とそれに伴うメンテナンスコストは、人口一人当たりで見れば、過疎地が最も優遇されている。しかし縮小する日本経済の中で、政府および地方自治体がこれまでと同じような負担をする事はもはや不可能。ある一定の人口密度を切った地域については公共サービスの提供を段階的に縮小していかざるを得ないと思う。過疎地の方々が可哀想だとか、切り捨てるのか、という議論になりがちだが、公共サービスの提供という観点から見ればすでに十分過疎地は優遇されているのだ。長らく住んできた、という郷愁のためだけに巨額の財政負担ができる時代ではなくなったという現実を冷静に見つめ直さなければならない。
 
 
伊藤惇夫
政治アナリスト
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
インフラは整備するだけでなく、その後のメンテナンスが極めて重要。そこについての認識に甘さがあったのではないか。
Q3. コメントする
道路や橋梁、箱モノの新設は政治家にとって、きわめて有力な「地元対策」となるが、補修や長命化は票にならない。そうした風潮を改めることが求められているのではないか。
Q4. コメントを控える
 
 
若狭勝
弁護士
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
 安全は自分たちが守るとのプロ意識の欠如を見たように感じた。
一般的に、業務上過失致死傷罪にいう「過失」とはどのようなものをいうのか。
極めて簡潔にいうと、過失があるといえるためには、次の2つの事情のうちいずれかに該当する必要がある。
すなわち、
①事故の発生を予測しようと思えば予測できたのに、その予測をしなかった場合
②事故の発生を予測していたが、その予測を踏まえて適切に対処しなかった場合
今回のトンネル事故を例に取ると、①天井崩落を予測しようと思えば予測できたのに、予測しなかったというのであれば、①パターンの過失(結果予見義務違反)を認定できる。
次に、もう一つとして、②天井崩落は予測できたが、その予測を踏まえて事故の発生を防止する適切な措置を講じなかったというのであれば、②パターンの過失(結果回避義務違反)を認定できる。すなわち、天井崩落を予測できたのであれば、事故を防ぐべく、天井やアンカーボルト等の強度をしっかりと点検・修復すべきであったにもかかわらず、その点検・修復を十分にしなかったことが、②パターンでの過失認定の具体的理由となる。
今回の事故は、「老朽化が原因です」などと安易に言って欲しくない。そのようなスタンスであれば、上記2つのどちらかの過失が問える可能性が高いように思う。まずは、今後の再発防止のためにも、事業者ないし担当者の刑事責任、民事責任を厳重に追及すべきであると受け止めた。
Q3. コメントする
民主党が提唱する以前から、高速道路はそのうち通行料が無料になると言われていた。しかし、それは、人間の生命と同じく、年を重ねれば老いるという自然的現象を無視し、高度成長期のもとで、修繕費など何とでもなるという間違った思い込みがあったと思われる。本来、修繕積立金(引当金)を毎年積んで行くのが継続的事業のためには当然必要だったことに政府等が考えてこなかったことが不思議な位である。
Q4. コメントする
①国家予算の単年度主義を法制度ととにも抜本的に変更し、もっと容易に修繕積立金を毎年引き当てることが可能となるように制度化する。
②それでも一度に全てを修繕することは予算上不可能であるので、事業者において、安全を守るとのプロ意識をもっと強く自覚し、丹念な点検を励行し、修繕が必要な物については、優先的に予算措置を講じられるようにする。
③事業者だけにその修繕の要否の判断を委ねることできない場合(大規模修繕による通行止め等の採算悪化を避ける思惑など)であれば、第三者の専門委員会を設け、その判断を委ねることも考えられよう。
④さらに、事業者担当者において、安全を守るとのプロ意識を著しく欠如し、適切な点検の不履行および怠慢があれば、民事及び刑事責任の追及を徹底する。
 
 
クロサカタツヤ
株式会社 企 代表取締役/ 総務省情報通信政策研究所コンサルティングフェロー
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
インフラがどうなっているのかが、もはや誰も分からない状態になっているのでは
事故原因の一つとして、つり金具を固定するボルトの点検を怠っていた、という可能性が指摘されています。

仮にそうだとすると、自分たちの目の前にあるトンネルというものが、一体どのように作られ、どういった構造を持っているのかが、すでに分からない状態になっている、と考えられます。

すなわち、自分たちは何を相手にしているのかが、分からない状態だということです。これは、インフラという公共性のきわめて高い資本財を相手にする姿勢として、実におそろしいものです。
Q3. コメントする
保守点検や改修は、もちろん可能な限り行われるべきなのですが、とはいえ資源制約や経済成長の限界もあり、すべてを今まで通り維持するというのは、難しいのではないかと思います。

では何を残し、何を諦めるか。それを考える際の評価軸の一つとして、21世紀に私たちは日本という国土でどのように生活したいのか、というグランドデザインが必要です。

特に過去20年、日本は「東京への過度な一極集中」を進めてきました。その結果、ヒト、モノ、カネ、情報の多くは東京圏に集中し、「東京でなければ仕事はできぬ」という状況がもたらされてきました。しかもこれはフィードバックがかかるので、一度そのループに入ると、東京中心主義は半ば自動的に強化されていきます。

実際、首都圏の公共交通機関のラッシュ時の破綻ぶりであったり、数分ごとに発車する東海道新幹線の異常さ、あるいはケータイ基地局が需要家とトラフィックの集中でパンクする事態など、東京への集中がもたらした歪みだと言えるでしょう。

一方、今回の中央道も、東京と長野経由で名古屋を結ぶ動脈の一つです。だとすると、たとえば中央道の保守・点検を強化するということは、結果的に東京中心主義の維持・拡大を目指す、ということになります。

この先私たちが日本で生きていく際に、そういう社会構造でいいのか、他に何かオプションはないのか。そういったことを吟味するのが、「何を残し、何を諦めるか」を決めていく上で、重要な手続きとなるのだと思いました。
Q4. コメントする
資産担保証券(アセットバックセキュリティ)のような方法で、事業者と資産を分離した上で、資産に対してファイナンスするというのが、妥当なのだろうと思います。

ちょうど高速道路会社が地域分割されている状態でもあり、受益者負担により引き寄せる形で、地元の道路に対してどのようなファイナンスを行うのが地元(=当事者)にとって幸せなのか、という議論を進めるべきでしょう。

公共インフラくらいになると、作る人、守る人、稼ぐ人、使う人、というあたりがプレイヤーとして登場し、ポジションが日々変化している状態なので、金融の技術を使って、既存の資産とこういうプレイヤーのポジション闘争を、互いに恨まれない形で切り離しておくということが、まずははじめの一歩かなと思っています。
 
 
土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
維持補修費用までも含めた全体的な費用を考慮せずに、社会資本整備を進めてきた日本の公共投資政策の失敗が象徴的に現れてしまった事故といえる。最近の公共投資額の減少とは直接無関係のものである。
日本の公共投資政策は、1970年代以降顕著に、「国土の均衡ある発展」という目標から促される悪しき平等主義的な地域配分に基づく社会資本整備が行われてきた。まだ整備されていない地域への新設投資を優先したいがために、維持補修費までも含めた全体的な費用を考慮しきれないまま事業を実施してしまった。

2000年代以降、わが国の公共投資は減少傾向にある。しかし、これは今回の事故とは直接関係がない。公共投資を増やしたい要求を通そうとするがために、公共投資の削減をこの事故の一因と結びつけるのは間違っている。
Q3. コメントする
政府債務が未曾有の規模に達しているわが国において、これ以上建設国債をさらに増発までして維持補修費を含む公共投資を増やすことは困難である。また、人口減少が予想されている中で、公共投資を増額することは間違っている。短期的な景気刺激策としてさえ、公共投資を用いるべきではない(もし必要ならば公共投資ではなく、社会保障給付などビルトインスタビライザー機能を活用すべきである)。

むしろ、限りある予算の範囲内で、新規、既存の維持補修を、優先順位を勘案しながら、戦略的に公共投資を行ってゆくべきである。
Q4. コメントする
できるかぎり負債に依存しない資金調達でインフラの整備・補修をしてゆくべきである。政府債務がこれだけ累増しており、社会保障面から見ても、ただでさえ世代間格差が大きく、将来世代にこれ以上過大な負担を負わせるべきではない(それが、たとえインフラとして将来世代に便益が及ぶといえども、これ以上の将来世代への負担転嫁は過大である)。しかも、将来世代にまだ選挙権がない中で、勝手に現存世代が(将来世代が欲してもいないような)インフラの存続を決めて、その資金を負債で賄うということでは、将来世代に対して申し訳が立たない。
 
 
にしゃんた
羽衣国際大学教授/落語家
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
この事故で亡くなられた人には誠に申し訳ないですが、この事故を契機として国は道路管理会社に命令して、古いトンネルの総点検をさせるだろう。

運転免許をもっていない私は、車の助手席に座ることが多く、周りを見渡せる余裕も少しはある。新しいトンネルは広くて明るさもあって快適だが、古い高速の古いトンネルの中には、「これ、突然崩れてくるのではないだろうな」とか、「あれ(ぶら下がっているように見える大きな換気扇)、落ちたらアウトだな」などなど、走りながら怖いと感じのするトンネルもある。この事故がなければ、総点検もなされないまま、いつか、とんでもない事故が起きて、その事故にこっちが巻き込まれることもないとは言えない。役所もとんでもないことが起きないと腰を上げない。高速道路の民営化で、どうしても利益第一になり、安全点検が経費との絡みで後回しになる、それが背景にある。亡くなられた方には申し訳ないです。これでやっと総点検をやるだろう。
Q3. コメントする
事実上国営の道路公団を作り、高度経済成長の波に乗って自民党の有力議員が大蔵(現・財務)官僚を使って自分の選挙区に税金をつぎ込み、高速道路網を張り巡らせたが、作ってしまえば、政治家も大蔵官僚も仕事は終わり。建設省や運輸省(現・国土交通省)、道路公団も、「新しく作る」ことに比べれば、改修工事なんかに熱は上がらない。改修工事は利用者から見ても、スムーズな走行の邪魔になる、なんて見方になっている。地元選出の政治家だって、「邪魔くさい工事だな」と思うだろう。

「そろそろ古くなってきたなあ」という時代になって、景気が落ち込み、税収は増えず、道路公団は民営化され、民営化されて効率あるいは利益が優先され、補修は後回しになり、安全点検も手抜き。今回の事故は起こるべくして起きた、と言えるのではないか。
Q4. コメントする
直接のアンサーにはなっていないが、今回の事故(老朽化、補修の遅れ、点検のずさんさ、など)を選挙に利用して自民党は「コンクリートから人へ」という民主党の政治が間違っていた証拠だ」などと民主党政権批判に利用しているが、これは許しがたいだろう。空白の20年を作り、高速道路の民営化を図り、利益第1・安全第2の道路管理にさせたのは自民党長期政権であったはず。安倍氏が言う200兆円の公共投資の中に、「老朽化した公共インフラの改修」はどれほど頭にあったのかを是非聞いてみたい。

民営化された道路管理会社に改修資金まで負担させるのは無理だろう。負担を押し付けたら、会社は莫大な支出を余儀なくされ、また利益第1・安全第2になる。税金の投入は避けられないだろう。車に乗らない、乗るけど高速など走らない、という人たちからの税金も使うの?という意見も出ようが、そういう人たちも、日常の物流によって生活が成り立っている部分もある。ガソリン税アップ、という意見も出てくるだろう。改修方法は専門家に任せるしかない。僕たち素人だから解らないこともある。ただ、政治家に介入させたらアカンだろう。優先順位で自分の選挙区を上の方に持っていこうとするから。
 
 
マリヨン・ロバートソン
都市開発会社Metplan社Chairman and CEO
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
2007年、ミネソタ州、ミネアポリスで起きた、ミシシッピー川をまたぐ老朽化した橋の倒壊を思い起こした。当時、テレビ報道で、メンテナンスをおろそかにした古いインフラ施設は危険な罠と伝えていた。今回、笹子トンネルは、いずれのケースも管理側の怠慢によるのは明白。
Q3. コメントする
日本に於ける公共インフラは、高度成長期にインフラ整備を早いピッチで進め、相乗効果として公共事業での雇用を多く生み出した経緯がある。
その時代では、大変意義あることであったが、費用対効果の少ない地域、過疎化が予測、あるいは進みつつあった地方に展開されたはず。
施設使用頻度の低い地域は、生活インフラである電力や水道とはべつの、道路・トンネル・橋など交通インフラには点検や修復にかかる維持費を減らすべく見直すべき。
又、東京を筆頭とした大都市はどうなのか。頭上を走る都市高速道路はもとより、ゆうに半世紀以上前に造られた地下鉄、東京湾や大阪湾などで見られる、地続きではない埋め立て地ゆえ、架けられた多数の橋などなど、目の前の問題は山ほどある。まず手始めにすべきは、すべてのインフラ関連の建造物を点検する事。
神戸地震で露見した、高速道路を支える橋桁のずさんな工事を例に出すまでもなく、
新しいから大丈夫、安全とは言い切れないのが現実だ。
Q4. コメントする
人の命に関わる公共インフラ整備は、最優先事項であり、ビル・住宅・リゾート開発とは違い、直接には利益に絡みはしない。資金の捻出をPPP、PFI、インフラ・ファンドなどに求め、そのスキムができてからと云う類の話ではなく、国、自治体が率先して進める姿勢が、大切かつ重要。
資金難・財源が乏しいからできないという、\\\"鶏と卵\\\"の議論は当てはまらない。
消費税を上げる代わりにインフラ整備・災害復興(東北地震も含め)への公共事業投資に特化した税を、一定期間、国民に要望するにも一計かも。
地震や台風など災害が多い国、日本で人々は自然の脅威と対峙し戦う為、土木工学・建築技術を磨いて来た。それをしめすように、ミャンマーやベトナムでインフラ整備を手助けしている。
日本は指導者としての威信にかけて技術力を示し、少なくとも笹子トンネルやミネアポリスであった、怠慢から起きる人的要因による災害を起こしてはならない。優れた頭脳、高度な技術は末端まで機能してこそ安心や信頼を生み出す。
 
 
本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
 高度成長期に後々必要不可欠となるメンテナンスにかかる費用や人材を無視して、イケイケドンドンで作った公共事業の問題を白日の下にさらした歴史的重大事故。
 高度成長期に後々必要不可欠となるメンテナンスにかかる費用や人材を無視して、イケイケドンドンで作った公共事業の問題を白日の下にさらした歴史的重大事故。
Q3. コメントする
 ローマ帝国時代、帝国内に張り巡らされた道路は綿密なメンテナンスが行われていたと聞く。現在の日本でも個人レベルで考えれば、車でも家でも、購入してしまえば後は使用している間中メンテナンス費用がかかることは常識。
 将来まで見通さずに作られてきた公共インフラ全体に対する長期的展望をしっかりと作る良い機会。また同時に大震災後に震災対策として新たに予定されている公共事業のメリットとメンテナンス費用まで含めた予算についても詳細に見直すべき。
Q4. コメントする
改修法はその費用対効果を最大限にする方法を新技術導入も含めて模索すべき。

優先順位については全国と地方レベルでの優先順位(実際に使用されている頻度や将来の見通し含めて)の検討を行い、情報公開して広く議論した上で決定すべき。

ローマ時代には道路作成やメンテナンス費用が、私的な資金提供(ノブレスオブレージュ)によって行われた部分も少なくないと聞く。現在の日本にも社会貢献可能な企業や個人が存在する。企業や個人の資金提供を促す、税制等を改正するのも一方では?。
 
 
小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
明らかな氷山の一角
インフラ整備について、根本から考え直さないといけない
明らかな氷山の一角。あるいは重要な警鐘。

この機会に、同種の総点検だけでなく、インフラ整備について、根本から考え直さないといけない。
Q3. コメントする
新規建設、予算配分をゼロにし、維持、補修、改善にすべての費用を投じるべき。

実は、これこそが、成熟経済、成熟社会の普通の姿。
Q4. コメントする
維持、改修にすべての費用を投入する。新規インフレ建設はゼロ。人口が減るのだから、当たり前。

これは、景気にはプラス。

なぜなら、人件費の占める割合が、補修の方が圧倒的に高いから。

コンクリートから人へ。

まさにそれは、新規建設から補修へ。
 
 
細川昌彦
中部大学教授
Q2. 「1 - 回答する(問2にお答えください。)」の回答理由
過去の日本のシステムのツケ。「建設」から「維持管理」へ、「集票目的の公共事業」から「票にならない公共事業」へ。政治の意識変革が必要。
1過去の日本の成長システムのツケが噴き出した象徴的な一例が、公共インフラの老朽化問題。総選挙の時期に起こったのも偶然ではあるが、政治家はこの問題を深刻に受け止め、これまでのような「集票目的での公共事業」という発想・意識から脱皮して、今後の公共事業のメインテーマは維持管理という「票にならない公共事業」であることを認識すべき。そういうメッセージと受け止めたい。

2公共インフラの老朽化問題については後述するとして、それ以外の組織論の視点も必要。

打音検査の有無という検査の在り方の責任も問われるべきだが、本質的には安全管理体制の甘さにある。現在の高速道路会社には「役人以上に役人的」な組織体質も根底にあるのではないだろうか。民営化してトップは民間出身であっても。旧道路公団から引きずった組織体質自体はなかなか変わらない。これを機会に、民営化の先例JRと対比しながら、組織の在り方をも検証すべき。

3また今回の事故後、他の同型のトンネルの緊急点検を実施したのはよいが、もっと深刻な危険が迫っている橋、ダムなども、優先度をつけて早急に緊急点検すべき。
Q3. コメントする
1高速道路だけでなく、橋はもっと深刻。上下水道管も破裂の危険。80年代か橋が落ち始めるなど米国各地で直面している、枢要深刻な公共インフラの老朽化の問題が日本にも本格的に来た。5年前のミネアポリスの橋の落下事故もあって、やっと日本でもインフラの長寿化などの取り組みが始まったところ。
問題は資金。米国でも補修費は焼け石に水。米国よりもより深刻な点は、日本の人口減。その結果、税収、公共料金収入、通行料収入は今後、減少見込み。

2この問題の本質は自治体問題。公共インフラの9割は国ではなく、地方自治体の管理。自治体の首長も事態の深刻度をどこまで理解しているか疑問。老朽化の実態も把握していないので、今後想定される維持管理費の規模もわからない。仮に理解していても、呆然として何ら手を打てていない。自治体財政は国以上に火の車。また選挙の票にもならない。要するに地方では「公共インフラのマネジメント」が欠落している自治体がほとんど。

3過去の日本の成長システムのツケが一挙に噴き出したものであり、「建設」から「保全」へといった、これまでの日本社会のマインドセット自体を変えなければ根本解決にならない。
Q4. コメントする
まず前提として、自治体による、老朽化の実態把握と優先順位付けをした計画作りが不可欠。壊れてからでなく、壊れ始める前から対処することで無駄なコストを減らす(治療より予防医学で医療費を削減するようなもの)

そのうえで、財源問題には決定打はなく、以下のいくつかの対策の合わせ技になる。

1 「間引き」と「身の丈」と「広域連携」で、「インフラの効率化」を。

(1)現在ある公共インフラの「仕分け」が必要。
現在公共インフラのストックは700兆円を超える。今後人口減の中で、これら全てを更新する必要はない。交通量の少ない道路、橋を閉鎖するなど、「更新するインフラ」と「間引きするインフラ」の仕分けをすべき。その際、費用と便益の比率を新設だけでなく、更新についても厳しく設定すること。
反対は必ずあるが、痛みの受け入れと政治の覚悟が必要。

(2)「身の丈戦術」として、欧米で行われている「減築」も有効。使われなくなった大きな建物を身の丈に合わせて小さくして再生する。今や空室が多いニュータウンの改修など。

(3)「フルセット主義」からの脱皮。
これまで自治体は自前の施設を全てそろえるという「フルセット主義」。その結果、近隣自治体と同じような施設整備をしてきて、重複投資も。上下水道事業などもっと広域で一体的に取り組めば効率化もできる。道州制の議論もインフラ整備の広域化の視点も必要。

2民間資金の活用

インフラ事業を民間に運営委託をしたり、運営権を譲渡するなど、PFI,PPPなどの民間活力を活用する仕組みをもっと活用する。豪州、米国の例も参考に。
例えば、老朽化して空室が目立つ公営住宅を集約化する事業、空港、上下水道事業の包括委託、運営権譲渡など。

3コスト縮減のための技術開発

劣化を早期検知する監視センサー・システムとITを活用したシステム開発を国家戦略として行い、早期に導入する。道路補修も従来の工法を時間的にもコスト的にも短縮する革新的新技術も開発されており、導入に向けて道路管理行政の保守的体質が変わることが必要。
これらのシステムは今後中国など諸外国でも必要になるのは必至であり、インフラ輸出も新規建設だけでなく、先進的維持管理システムも含めて考えて収益をあげるべき。
 
 
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2. 回答を控える(問3以降にお答えください。)

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