TPPにどう対処すべきか
TPP(Trans-Pacific Partnership)への交渉参加について、当面の期限とされる11月中旬のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に向けて、国内議論がにわかに活発になっています。
TPPはシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国が協定を締結済みですが、昨年11月のAPECで、オーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム、マレーシアの5カ国は、オバマ米大統領を議長として、今年2011年のAPECにおいて妥結を結論を得ることを目標にすると発表しており、その結果が注目されています。
日本では、TPPについて農業分野が特に注目されていますが、実際のTPPは、物品だけではなく金融や情報サービスや政府調達、知的財産など24分野に渡る内容となっており、参加した場合には日常生活にも大きな変化が起こることも予想されます。
東日本大震災で、議論の前提が変わってしまったという指摘の一方で、国内市場が飽和化するなか、TPP参加によって、新たな市場の可能性を得られるという指摘もあります。また、経済産業省による試算と農林水産省による試算結果が異なリ、政府内の見解も不統一のまま、日本経済全体に大きな影響を及ぼす事柄について、議論の性急さを危ぶむ声もあります。
TPPについて、私達はどう捉え、対応すべきでしょうか?
オピニオンリーダーの皆さまのご意見をお聞かせください。
※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:現在の日本をとりまく諸状況、および日本の各種産業の将来を考慮した場合、日本はTPPにどう対処すべきでしょうか。
下記からひとつお選びください。
Q2:問1への回答理由をお聞かせください。
特に、参加・不参加の場合の、日本にもたらす利益・不利益についてもご意見をお聞かせください。
コンパス・オピニオンリーダーの回答は、今回の設問に対して、半数以上の回答が参加の意思表示、議論に前向きという結果になりました。参加の意思表示と議論に前向きではない回答も含めた全回答からは、日本の交渉力の重要性が浮かび上がってきます。
回答全体の約7割(22/31回答)は、選択肢(1)(2)の、参加意思表示もしくは、参加の方向で議論するという回答です。
今後の日本の在り方を考えるときに、TPPに積極的に関わるべきという意見が寄せられています。また、複数のオピニオンリーダーから受け身の参加ではなく、主体的に参加し、不利な条件であれば変えてゆく必要が指摘されています。
議論をすべき段階である、参加すべきではないという、選択肢(3)(4)の回答では、きちんとした議論の必要性や、現在の日本の交渉力を危惧する意見、二国間協定により対応可能であるという指摘のほか、日本の独自の生産体制を活かした戦略を考えるべきという見解が寄せられています。
そのほかの考え方、視点である、選択肢(5)の回答では、未来を見据え、日本の在り方を考えるべきであるという指摘のほか、日米中で枠組みを協議しTPPを改良すべきという具体的な策も提案されています。
TPPへの対応については、入り口で恐れず、日本の利益をもたらすように能動的に対処する姿勢が求められていると言えそうです。
視聴者の皆さまのご意見をお待ちしております。
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( 31件 )
1. 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
円高が定着する今日、日本企業は外国での投資・生産活動を重要視せざるを得ない。そのためには外国企業と同じ土俵で対等に競争できる環境が必要だ。TPP締結は外国で事業活動を展開する日系企業にとって不可欠であり、日本政府はTPP締結により、側面から日系企業を支援していく役割を担う。TPPは同じ土俵での競争を提供する。TPP未締結の状態を放置すれば、日系企業は外国企業に太刀打ちできなくなる。円高対策が中途半端な今、TPP締結は日本経済にとって不可決と考える。
一方、TPP締結で外国企業が日本に進出すること、すなわち日本で投資活動を活発化させることも日本経済の活性化を誘発する。農業も含めて競争が激化すれば、日本産業の競争力が強化される。敗者は即刻、市場から退出していかねばならない。この過程を通じて、日本経済全体の強度が増す。
TPP締結を後ろ向きに捉えず、保護主義排除の防波堤とすべきだろう。TPP締結に不毛な議論は不要。締結することが日本経済の救世主となる。
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
参加することで、日本が主体的な形でTPPに関わっていくことができるし、自らに不利になるような部分も主体的に参加することで排除することが可能になる。もちろんTPPにはアメリカの思惑を始め、それぞれの国の国益が絡んでいる。「自由化」というきれいごとではない。しかし経済の自由化それ自体は世界の大きな流れであり、TPPもその一つである。そこから完全に孤立することや、遅れて参加するメリットはない。農業分野への不安が指摘されるが、参加しなくても今の農業政策では再生は考えにくい。国際化を前提に農業を強くする手段と、それでも援助すべきところを考えつつ、TPPに参加すべきである。
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
国際的な枠組み作りに乗り遅れると、日本は世界で除外される。グローバル化が進むと、公正、透明性及び説明責任が要求され、その一環として、TPPの参加問題がある。参加を決定し、その上で、農業の問題については、ルール化決定の際に、TPP交渉の土俵に乗ることが必要であり、国内的には、農業政策に軸足を持たせ、国際競争力を持てる農産物を育てる必要がある。いずれにしても、TPP参加を早期に決定し、積極的なアクションを起こすべきである。
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
すべての勢力を満足させる新しい政策は不可能である。必ず、利益、不利益を被る人々が存在してしまう。そして、新しい政策に反対する人々は、必ず正しい「理屈」を持っている。それを聞いていたのでは、前に進まない。
グローバル化による分業は、必ず、国の中で、比較優位の産業と劣位の産業がでてきてしまう。優位の産業を育て、劣位の産業を縮小しないと、国全体は必ず貧しくなる。TPPに限らないが、日本でも、産業のスクラップアンドビルドをしなければ、人々の生活水準はどんどん下がるだろう。衰退産業を守るために、私を含め周りの人がどんどん貧しくなるのは私はイヤである。
私は東アジアを調査しているが、スーパーでは、日本産の野菜や果物が高級品として、富裕層に大人気である。米も売れるであろう。農業の中でも、富裕層特化型の作物なら国際的、国内的に十分競争力はあり、巨大なマーケットが待っている。それが作れない農家には、補償をつけて徐々に退出してもらう以外に日本の豊かさを「維持する」道はもうないのではないか。
藤巻健史
株式会社 フジマキ・ジャパン代表取締役社長
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
TPP不参加論の人達の議論には消費者の観点が抜けている。米(コメ)に高い関税がかかっているのなら、消費者は、異常に高いコメを食わされているし、安い労働力が入ってくる(例えば看護師等)から反対と言うのなら、異常に高い看護師代を今、払わせられていることになる。なぜ日本人はいつも経営者の立場でしかモノを考えないのか?
そもそも農業は、現状のままでは、TPPに参加しようとしまいと遅かれ早かれ成り立って行かなくなる。自助努力で大規模農業にするなどの抜本的改革が必要だ。又、最近、とみに農業が衰退してきたのは円高で外国製農産物が安くなったのが最大の理由だと私は思っている。TPPで関税が廃止になり10%の関税が無くなっても10%円安にすれば外国製農産物は10%高くなりチャラだ。
TPPに参加して円を安くすれば問題は解決する。円安政策は極めて簡単出し、私自身は財政破綻で大幅な円安が来ると思っている。農業団体は「円安政策を打て」と政府に要求する(米国の農家は、よくドル安にしろ、と叫んでいる)のが先で、それをしないでTPP反対を主張するのは順番が違う。
この問題は、「世界経済とともに成長していくか?」はたまた「内にこもり経済を停滞させるか」どちらを選択するかの問題である。目先の利益にとらわれてはいけない。資源の無い我が国こそ世界で最も門戸を開かなければならないに門戸を閉じてしまえば将来はない。それはただでさえ財政破綻直前の日本がさらに貧乏になり年金が崩壊するような事態に陥る事を意味する。農業、金融と規制により国家に守られていた産業は国際競争力が無くなり地盤沈下をし、トヨタ、ソニーなど国際競争にさらされた産業のみが国際競争力を保持しているという歴史も忘れてはならない。
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
参加は参加でもTPPそのものへの参加ではなく、TPPの「交渉」には参加すべきである。現時点では「交渉」まで恐れる必要は全くない。
PPそのものへの参加・不参加の判断を今する必要はないが、交渉に参加するだけなら何ら不利益はなく、日本の利益が損なわれるならば、交渉を中断すればよいからだ。
交渉に参加することによって日本が21世紀の貿易ルール作りに関与することは将来の中国との関係でも極めて重要だと考える。
TPPは単なる自由貿易の枠組ではなく、21世紀のアジア太平洋における新たな地政学的枠組作りとも連動する戦略的意義を持つものだからだ。
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
TPPは、ある意味で中国を取り囲む経済圏を形成することであり、経済問題以上に外交的に大きな効果があると考える。
かつてECの団結が、欧州で旧ソ連を封じ込めたように、中国の覇権主義を封じ込めるためにも、環太平洋諸国との連携は重要である。
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
日本は一国では生きていけない。何らかの枠組みには加わる必要がある。そのためには、あらゆる機会を捉え、早期に参加し、そのルール、枠組みを決定する主導権を握るべきである。だから、もう遅いぐらいだが、今からでも一刻も早く参加すべき。
米国もオーストラリアと農業問題があり、原則関税撤廃をまじめに鵜呑みにすることはない。原則賛成して、個別に交渉し、手段を採ればよい。日本以外の国は、みんなちゃっかりしている。日本も「ちゃっかり外交」を推進すべき。
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
日本は貿易立国であり、貿易を拡大するのに役立つと考えられるTPPに参加するべきである。
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
参加の意思表示とは、交渉に参加することだととらえるが、TPPの問題については、期限がポイントになる。早く交渉に参加して、ルールづくりなどの段階でイニシアチブをとり、日本の国益を反映させるべきである。
このような国際的な交渉ごとについて、日本は決して得意なわけではないけれど、今回は高度な戦略をもって日本の主張を通すようにしっかりやってほしいし、それを注視していきたい。
また、国民に対しては、TPPに関する情報をきちんと整理し、データも統一して出すべきであったと思う。TPP参加のメリットと懸念材料について、また、今、交渉に参加せず様子をみて、数年後に参加する場合と、交渉に参加したけれど協定締結には至らない場合の違いなどが知りたかった。
それともうひとつ、野田政権はTPPに関連づけて国民に、日本の将来についてのグランドデザインを示すべきであった。日本は今後、どのようにして生き残るのか、どこに活路を見出すのか。そういった全体像がないから、個別分野からの懸念や、製造業VS農業の対立がTPPを巡る議論の中心になってしまうのである。
米倉誠一郎
一橋大学イノベーション研究センター教授,同センター長
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
TPPには絶対加盟です。
日本は戦後アメリカが主導した自由貿易体制によって、経済発展と大いなる繁栄を築いてきました。
その恩恵を発展しつつあるアジアと分かち合うためにも、また安全で安心たる自由主義を先導するためにも、日本は自覚をもってTPPを推進すべきだと思います。GDP比2%、人口比3%の農業も重要ですが、世界に冠たる工業国家日本の果たすべき役割は自由貿易の推進にあります。
またいかなる国際条約でも国民の安全や健康に関しては国内法が優先しますので、TPP加盟によって遺伝子組み換え作物が無秩序に市中に氾濫するなどといったプロパガンダに乗ってはならないと思います。
吉崎達彦
株式会社 双日総合研究所副所長主任エコノミスト
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
交渉事なのだから、とりあえず参加して自国の利益を主張すればよく、それが通らないようなら抜ければいいだけの話。参加の是非がなぜ、これだけの問題になるのか、理解しがたい。あまりにも奇妙な反対意見が多く、貿易業界の一員として残念に感じている。
そもそも通商交渉を開始する際には閣議決定などは不要。交渉結果は、最終的に国会で批准が必要になるわけで、入り口で揉める必要はない。
反対派の間には、「わが国の代表は、かならず押し切られる」という不信があるのかもしれないが、過去の通商摩擦の歴史をひもといても、そんなに大きな失敗があるとは思えない。
野田首相が「手ぶら」でホノルルのAPEC会場に向かうのはカッコ悪いし、その場合、日本外交は当分の間、アジア太平洋地域では「無用の存在」ということになってしまうだろう。
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
1:手塚補佐官他、発言内容から、TPP等不利となる言動が多い。
2:特に、牛肉問題が、TPP全体協議の中で日本にとって重要なカードにも関わらず、
TPPと切り離した発言はどうかと思う!!
3:日本医師会のTPPを利用しての「診療報酬予算」引き上げになるような行動は、政府民主党は見ぬくことができないのは残念
4:農業問題に対し、日本政府と過去、FTAが成立した、ブタ肉等のメキシコ、フィリピン、タイ、マレーシア等の
農業問題と比較した場合のTPPの問題などは何なのか?具体的に国民に示すべきである。
5:TPPに不参加の場合、企業はTPP参加国に進出すれば関税問題における輸出は支障をきたすことはなくなる。
但し、国内空洞化は進むことになる。
森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員
Q2. 「1 - 1:11月のAPECで参加の意思表示をすべきである。」の回答理由
競争というのは、競争している人には利益がないどころか、負ければ大きな損害を被る。したがって、競争すること、競争になることは、当事者にとってはつらいことである。しかし、競争の結果サービスや品質が向上するメリットは、競争している人以外の多くの消費者・お客に及ぶ。
TPPの締結は、わが国の様々な分野に競争を強いることになるので、抵抗が強い。メリット、デメリットを比較するにも、どうしても特定の人(競争当事者)のデメリットが強調されがちである。しかし、当事者以外の国民全体に利益が及ぶことがわかれば国民は冷静な判断が行える。
TPPやFTAの締結が進まない場合には、わが国農業は依然として非効率なままで、結局消費者は高いものを食べさせられる。また、競争上不利になる企業は、海外に拠点を移さざるをえなくなるが、製造業の拠点を失えば、雇用の減少につながり、サービス業等他の産業にも影響を及ぼし、結果として国家衰退の道をたどることになる。
わが国は、自由貿易で戦後の復興を成し遂げてきたし、今後も、環太平洋を中心とした自由貿易で生きるしか道はない。その意味で、TPPは、わが国の今後100年の国家としての存立基盤をどう考えるかという問題である。
つらいけれど、自由貿易で食べていくしかない我が国にとっては、参加し競争に勝ち抜いていくことしか残された道はない。もちろん絶対に譲れない分野(例えば水資源)を必要最小限確保する努力は必要だし、競争の敗者には、時限的に補償をしていくことが必要だ。
交渉はこれからであり、シンガポールが主導権を発揮しているということからして、わが国経済が決定的な打撃をこうむるというような過剰な懸念はいらないと思う。日本国民の\\\"宿痾\\\"(しゅくあ:前々からの治らない病気)の「先送り」がわが国を第2次世界大戦に追い込んだし、不良債権処理に手間取り失われた20年にした。今回はそれだけはやめるべきだ。
2. 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。
Q2. 「2 - 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。」の回答理由
日本の国益という視点から、トータルでみたメリット、デメリットを考えるべき。特定の分野でのプラス・マイナスで判断すべきではない。トータルで考えた場合、輸出国家体制を守ることが日本の将来にとってはプラスか。
伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「2 - 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。」の回答理由
国内の特定産業保護の観点からの議論が目立つが、市場拡大の観点からTTPは戦略的に利用できる可能性があるように思っている。経済圏を拡大しつつ国内生産者を守るという観点では、EU内各国政府の取り組みなどもあり、方法はあるように考えている。社会孤立的な孤立がむしろマイナスとなるリスクも検討してよいように思う。
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター 心臓外科医
Q2. 「2 - 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。」の回答理由
農産物など、TPPの導入でこれまで役人が業界からみかじめ料を巻き上げてきたようなシステムは完全に破壊され、貿易業界も役人という反社会的勢力と縁が切れるのではないかと想像するが、これは単なる素人の空想であるのかもしれない。私は一介の、毎日医療の現場で額に汗して口に糊する無産階級の労働者であるので、ほかの分野はいざ知らず、医療の分野からの意見を申し上げなければならない立場にあると思う。ならば、やはりTPPは大いに歓迎だ。医療現場ではおそらく経営や医療法人の経営陣構成や社員権習得に海外企業から合理的な資金の参入がおこるのではないか。国民皆保険制度とあいまって医療法人の経営のロジックが新たなパラダイムに突入し、拝金主義でエクジットだけが目当ての狡猾なファンドの餌食になって医療法人の大量座悦滅が起こるなど、相当な混乱が生じる弊害もあるかもしれないが、こういった「医療経営、並びに医療行為の可視化」によって、これまで医師の質が全く管理されてこなかった非文明化社会であった我が国の医師社会が驚天動地の刺激を受け、例えば無能医師が現場から淘汰され、がんばる医師がしっかりと報奨されるなどしてあたりまえの「プロの社会」が構築されるであろうことを予想する。入試の偏差値にそのまま一生涯便乗して閉鎖的排他的「真空地帯」を我が国の医学界、あるいは学術界に構築してきた不耕貪食の偽学者どもの特権もたちまち消滅するのである。つまり創生的混乱が生じるであろうことを予測もするし、期待もする。
Q2. 「2 - 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。」の回答理由
自由化レベルが高く、極めて包括的であるTPP に対して農業関係をはじめ国際競争力に懸念を持つ分野の人たちが反対する気持ちは理解できる。
しかし日本は、高技術力を持つ輸出立国の国である。その強みを生かすためにはTPPに参加すべきだろう。不参加を決め込みいつまでも関税の壁の中にいることの不利益の方が大きいと思われる。
心配される農業部門についても、その品質と技術力は世界のトップ水準を維持している。今後日本政府が農業の構造改革を積極的に支援し、低価格競争にも耐えられる体質に作り上げていけば、簡単ではないだろうが、世界農業における日本農業の存在は確保できるに違いない。
大局的な見地からの利益の計算が必要と思われる。
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「2 - 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。」の回答理由
日本の国際競争力を確保するために不可欠。
食料自給率のことが心配ならば、海外の穀物メジャーなどを買収するといったことも検討する価値がある。円高のメリットを活かした戦略も考えるべきだ。
日本の交渉力が弱いのは、前々からのことだが、逃げていては何も改善・克服できない。英知を結集して、交渉には参加して日本の世界におけるプレゼンスを上げる努力を放棄してはならない。
ここで不参加となれば、ますます内向きに陥り、構造改革は進まず、これまでの失敗をさらに繰り返すだけのことになり、何も得るものはないだろう。世界はどんどん変わっている。現実を直視して、対応することが必要だ。
Q2. 「2 - 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。」の回答理由
TPPへの参加の議論は現在の日本のシステムそのものを根幹から見直すための討議をする良い機会であり、いつまでも、既存の体系を保護していくことはどの分野においても望ましい成長促進につながっていかないと思う。農業がだめになり、健康に悪い食べ物が蔓延し、失業者が飛躍的に増加し、費用が高く医者にかかれなくなり、何よりアメリカに支配されてしまうかのような不安が先行しているが、日本のベンチャーの成長は既存業者を保護するが故の規制により阻害されてきた。全ての分野に渡り、まず議論のテーブルにつくことが復興と新たな成長への一歩であると思う。参加するかどうかはまずその後の結果であると思う。
牛尾奈緒美
明治大学情報コミュニケーション学部教授
Q2. 「2 - 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。」の回答理由
TPPへの参加によって、日本の農業、特にコメ農家への打撃と、農業団体など既得権益を享受している人たちの利益が損なわれることが予想される。鎖国を継続することにより、平均年齢65歳の日本の農業が栄える保障はなく、むしろ衰退の憂き目となることは自明の理である。
自由化のもと、新たな活力を生み出すことが今後の日本を活性化する唯一の道であることを自覚し、前向きかつ慎重な歩みを始めるべきであると考える。
鈴木豊
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・公認会計士
Q2. 「2 - 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。」の回答理由
分野によって利益・不利益は当然あるものの、将来の世界と日本を、この経済・国際環境で考えた場合、参加の方向で議論することが国益に資する。理由は、日本の民・官総力を挙げて不利益に対応することは可能と思うからである。日本の潜在的な民間の能力を引き出し、活力ある政策と、企業の経営努力を支援する農・工・商・情報・金融への政策を駆使し難局を乗り越える道しかわが国の生き残る術はないように見えるため。
Q2. 「2 - 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。」の回答理由
目先のマイナスには対処すべきだが、長い目で見て貿易の障壁が取り除かれることは望ましいので、とりあえず参加を前提に議論のテーブルにつき、原則例外なしとはいえ、農業分野などでの交渉の余地を模索してほしい。
Q2. 「2 - 2:期限にこだわらず、参加の方向で議論すべきである。」の回答理由
本来11月APECを期限に結論が出すべきだが、昨年の菅総理の発言以来ほとんど議論らしい議論がされていないので、11月まで残り時間があまりにも少ない。
感情的対立にならないよう時間をもう少しかけ、せめて年内めどで。
今回の韓国とアメリカのFTAで危機感に火がついたように、APECで流れができ、日本の立ち遅れがあぶりだされるでしょう。
わたしは日本の農業を再生させるためには、大規模化しかないと思います。平均年齢66歳、兼業農家ガどんどん引退して耕作放棄地が増え、若者が参入しない農業をこのままにしていては日本の未来はありません。TPPは農業再生のきっかけになるはずです。
3. 3:参加・不参加の前提なく、議論すべき段階である。
Q2. 「3 - 3:参加・不参加の前提なく、議論すべき段階である。」の回答理由
ほとんどの国民にとって降ってわいたような話で、メディアでの取り上げ方にしても「電車に乗り遅れるな」という恫喝めいた煽り方や小沢グループの動向や農業保護に矮小化した捉え方がほとんどで、24分野の多岐にわたる影響についての議論はまだまだこれからというところであろう。
TPPに限らず国境を越えた経済活動の自由化(広い意味でのグローバル化)が、実は一部の大企業やグローバル・エリートを潤すだけなのではないかという疑念は、日本に限らず全世界的にうねりのように盛り上がってきている。その一端を示すのが、最近のOccupy Wall Street運動の世界的拡大という面もあり、実際、TPPに対して懐疑的な意見が国内に根強いのは日本に限ったことではない。
企業が収益を上げ、GDPが増えれば、国民総体がその恩恵に浴した時代は明らかに終焉している。何の代替策、移行措置、補償もないまま、「開国」したら途端に未来が描けなく人たちに向かって、「開国しないと未来はない」と言ったところで説得力はない。冷や水を浴びれば身体がいずれ強くなるといった空疎な精神論の域を出ない掛け声ではなく、すでに悪化の一途を辿っている貧困・格差社会などの問題にどう対処するのか、きちんと議論をすることを前提とすべきである。
Q2. 「3 - 3:参加・不参加の前提なく、議論すべき段階である。」の回答理由
TPPへの参加は、我が国の安全保障上、重要な問題である。日米安全保障条約と絡めて参加の必要性を説く向きもあるが、東シナ海を中心とした海洋安全保障上は慎重に対処すべきである。特に国境離島の安全保障が懸念される。現状で参加の方向に動くと南西諸島以南の島嶼の経済、社会は衰退する。南の島々は、農業中心の社会であり、サトウキビ、肉牛、豚、米が主要な生産物である。これらの産品は、TPPの導入により壊滅的な被害を受ける。島の過疎化が進み、大東諸島や先島諸島では、無人島になる島も出てくることだろう。人が暮らしてこそ、他国の侵入の抑止となり、また阻止することができるのだ。TPPの参加意思を示す前に、具体的な島嶼政策を実施し、島の社会構造を特定農産物に依存する体制から変革しなければならない。並行して、東シナ海沿岸部における防衛体制、沿岸警備体制の強化も必要だ。無人島、人口の少ない島が危機に他国の侵略の危機にさらされることは、南シナ海の情勢を見ても明らかであり、TPPの参加への意思表示は、島嶼における社会基盤、安全保障を構築してからの話だ。
4. 4:TPPには参加すべきでない。
Q2. 「4 - 4:TPPには参加すべきでない。」の回答理由
TPP推進派の一番の眼目は経済活性化だ。しかし交渉過程でポイントとなるのは、交渉相手国との力関係だ。情けないが現在の日本が米国との交渉で自国の都合を相手に飲ませられるとはとても考えられない。
今回の経済活性化の美名に隠れた、推進派の目的を冷徹に考察しなければ、他国の経済活性化のために、日本は農業だけでなく保険等の金融分野、医療等の福祉分野までボロボロにされてしまう危険性が高い。
戦後、民主主義と資本主義の最先端を走り、世界をリードしていたはずの米国で、その象徴であったはずの ” Winners takes all \\\" に対する若者の抗議が燃え上がり、その炎は世界に広がろうとしている事実は重い。
経済理論とは異なって、現実世界では力のあるものが(金•権力•情報を持つ)有利になる、とても「公正とは言えない社会システム」が厳然と存在している。その現実を本家本元の米国の若者も肌で感じ取ったのだ。まさに今現在は、戦後世界をリードしてきた、「米国型資本主義•民主主義の終わりの始まり」の時代だ。
日本もかつては「富国強兵•殖産興業」で国力増強のために世界の顰蹙を無視して大陸へ侵攻、戦後は「富国強経•殖産興業」で全国民の臥薪嘗胆の努力によって世界から注目される経済発展を成し遂げた。
しかしその結果はバブル崩壊に、サブプライムローン問題が重なって、自殺大国、格差拡大、医療崩壊の日本となり、震災復興と復旧、原発問題にも国民が納得いく対応が取れなくなっている。
その疲弊した日本に、大国の経済問題の解決のためにTPP導入が要求されている。今のままでは各国の利害が相反し、交渉力が弱い日本が標的となって、その踏み台とされる。その結果日本国民の虎の子の資産が海外に吸い取られる可能性が高い。その構図と思惑がTPP問題に隠されていることを私たちは決して忘れてはならない。
歴史を振り返れば、力ある(金•権力•情報)勢力が進めた施策の結果、戦争にしろ、経済にしろ、いつも「塗炭の苦しみ」を味わうのは弱い立場の一般国民だ。
「温故知新!、過去の歴史に学ばずしていつ学ぶのか」すべての日本人に問いたい!。
Q2. 「4 - 4:TPPには参加すべきでない。」の回答理由
農業だけを例にとっていえば、TPP参加による食料自給率を急減させる可能性が高い。タイの広域洪水のように、世界的異常気象が常態化している今日、世界の食料供給量は大変不安定になっている。TPP参加は食料安全保障の点からも拙速は厳に慎むべき。一部に「カロリーベースの国内自給率は40%だが、生産額ベースでは70%だから自給率はそれほど落ちない」などという主張もあるが、それは全くの間違い。食糧難のとき、高級農産物の金額ベースで満腹になるのではなく、一定のカロリーで満腹になるのだから、議論をすり替えるような主張は論外である。関税障壁撤廃は必要だし国際的趨勢、しかし個々の国々にはそれぞれの文化や培った伝統もあるので、お互いが協調し合える二国間協定を地道に進めるべきではないだろうか。
海老原嗣生
株式会社ニッチモ代表取締役 HRmics編集長
Q2. 「4 - 4:TPPには参加すべきでない。」の回答理由
相変わらず、マスコミも政治家もオリジナリティがなさすぎると、まずは指摘したい。
日本が他国と明らかに違う生産体制を敷いていることに気付かないか?
プラザ合意以降の円高を受けて、25年かけて、海外生産比率を世界一のレベルにまであげたことだ。
欧州諸国の域外生産比率や韓国の海外比率とは比較にならないだろう。結果、日本は、世界中の生産拠点から、関税の一番かからない方法でいくらでも迂回輸出が可能。これこそ、他国には真似ができない強みだろう。すれば、相手国の関税は「迂回輸出」でうまく切り抜け、こっちが輸入するときや、国内の金融に関しては、フリーハンドが有利ではないか?もし、必要ならFTPを選択すればいい。この日本のみの「強み」になぜみな気付かないのか。
そのほかにも、TPP推進論者に対していくつか反論を挙げておこう。
1.海外空洞化がさらに進むというウソ
日本の第二次産業での就労者比率は23%。うち、建設業と鉱業を除いて製造業のみだと、16%。もう、ここまですでに空洞化は進んでいる。何か、今でも世の中の大半の人は製造業で働いているというような議論がされていることは大間違い。今、日本に残っている工場の多くは、「技術守秘のため」「マザープラントとして」「特注・特急対応」「国内消費向け」などの理由がある。これらの理由がある限り、全量が海外移転などできない。空洞化はあるとしてもあと2~3%の雇用の喪失にしかならないだろう。
2.日本は貿易立国だ、というウソ。
これも相当なアナクロ。国際収支で一番の稼ぎ頭は、すでに貿易ではなく、2004年から所得収支となり、その差はどんどん開いている。要は、海外事業所でモノを作って、それを海外で販売し、そのアガリだけが日本に来る、という形。
こんな基礎知識も知らない人が話をしている。
しかも、反対派の論理が「農業」一辺倒なのも???だ。設問にあったとおり、金融や情報など全くどうなるかわからない問題が多々ある。
海外空洞化が進んだ日本ならではの戦略を、考えろ!といいたい。弱みこそ、すなわち武器に転じられるのだ。
5. 5:そのほか(設問・選択肢以外の考え方、視点)
Q2. 「5 - 5:そのほか(設問・選択肢以外の考え方、視点)」の回答理由
人口減少下で市場が縮小傾向にある日本には二つの選択肢しかないことを国民は認識すべきと思う。
一つは徹底的な開国による日本という市場と他の市場の一体化。TPPやFTAがこれに当たる。競争力のある産業はますます栄えるが、競争力のない産業は滅びる。しかしもともと競争力のない産業の財・サービスを高い価格で買わされていた消費者にとってはいい話。
もう一つは徹底的な内需拡大。開国しなくても国内の市場が大きくなりあるのであれば、急いで海外市場としますなくていても良い。そのためには、まず大量の移民受け入れ。経済のファンダメンタル要素である人口を増やすためには、少子化対策も大事だが、まったく追いつかない。大規模な移民あるいは外国人居住者の受け入れが必要になる。次に、停滞しているカネを動かすこと。日本はこれほどの不景気であり、政府債務は世界最高レベルにも関わらず円高になってしまう一つの要素に金アマリがある。個人金融資産1400兆円、上場企業内部留保200兆円。これを動かすことで経済を活性化させる。例えば、個人金融資産は年金受給でも有利な立場にいるが消費性向の低い高齢者に偏在しているので、譲渡税を大幅に下げ、若い世代に移転するインセンティブとする。同時に資産課税と相続税課税を強化し(評価額と市場価格の乖離をなくすなど)、実質資産保有コストを上げる。また、徹底的な人材の友好利用を図るために、子育て中の女性が安心して働ける仕組みを国として完全整備する。これほど能力と学歴の高い人たちが仕事をしていない先進国は珍しい。他にも…。
と書いていると、やっぱり両方やらなくてはダメかと思ってきました。
ともかく、今のまま、を続けていると、日本はジリジリと経済力も競争力も落ちて行き、気がついた時にはもう遅い、という状況になることは間違いありません。もちろんそうなるのは20年から30年先の話なので、今の政治のリーダーや高齢者には関係ないことかもしれません。でも日本の未来がなくなることだけはしないで欲しい。TPPの議論は未来を見据えた議論なのです。
Q2. 「5 - 5:そのほか(設問・選択肢以外の考え方、視点)」の回答理由
TPPはもともと小国のシンガポールなど国内地場産業のない国、つまり加入デメリットのない国が提唱したもの。自由貿易の推進という意味では総論賛成だが中国や日本にとっては農業だけでなくデメリットもある。遅れた国内産業の改革促進という意味では有益な外圧だが設計当初から参加していないので内容的には不利なものになるかもしれない。 米国がフラフラしているうえに我が国は国内政治が混乱している。そんな中で単に自由化賛成、国内変革の道具として参加するのは早計。むしろこれをきっかけに日米中の3か国で代替の枠組みを協議し、TPPを改良すべき。国内の遅れた産業を批判するのはたやすいが雇用問題もある。大きな国内産業を抱えた3か国が協議した案とTPPをぶつけていくのが本筋である。つまり主導権を取れる形に変えてから参加というか主導すべき。
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