2011年11月27日 知りたがり!Mr.サンデーで放送
社会・公共

新しい大阪市市長への期待と課題

新しい大阪市市長に橋下徹氏が選出されました。
大阪府知事として注目を浴びた橋下徹新市長は、大阪の行政のあり方を抜本的に再構築する大阪都構想を提唱。その実現のために市役所の改革を訴え、任期満了に伴う大阪市長選挙に立候補し、現職の平松邦夫前市長との一騎打ちとなりました。同時に、橋下徹前知事の知事辞職に伴う大阪府知事選挙では、計7名の候補者が立候補しました。

今回の市長選挙は、改革者という高い評価の一方で、その手腕を独裁的とも見る両極の評価を集める橋下徹候補に対して、既存の行政の枠組みを前提に、さまざまな政党から支援を得る平松邦夫候補、2人の資質・政治手法や政策に大きな注目が集まりました。
さらに新たな府知事として選出された、松井一郎新府知事とあわせ、大阪都構想の行方や大阪府・大阪市の今後、あるいは今後の地方行政や日本の行政・地域政党の在り方にも影響を及ぼすことも考えられています。

今回の選挙結果とこれからの影響をどう捉えるべきでしょうか。
オピニオンリーダーの皆さまのご意見をご覧ください。
構想か夢想か・・・真に問われる『大阪維新』

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:新しい大阪市市長に、どの程度の期待ができると考えますか?
Q2:問1への回答理由を、新市長の資質・政治手法・政策への評価、
および今後の課題等々の観点からご意見をお聞かせ下さい。
*コメント欄(文字数の制限はありません。)
Q3:大阪市長、大阪府知事のダブル選挙の結果は、大阪都構想の行方および大阪府・大阪市の今後をどのように左右するとお考えですか。あるいは、この結果は地方行政や日本の政治のあり方に何らかの影響を与えるとお考えですか。
ご意見をお聞かせください。
*コメント欄(文字数の制限はありません。)
回答の要点
大阪で40年ぶりに行われたダブル選挙は、大阪維新の会の橋下徹氏が新しい大阪市市長に、同じく大阪維新の会の松井一郎氏が新しい大阪府知事に選出されたことで、大阪都構想が実現化に向けた新たな一歩を踏み出すことになりました。

この選挙結果に、コンパス・オピニオンリーダーからは多角的な
見解が寄せられました。大阪の新市長にどの程度の期待が出来るか?という問いに対して、
これまでの閉塞感の打開、国政への展開も含めた変化への期待感などから、「期待できる」「まあ期待できる」という回答が多く見られました。

一方、独裁による首長の力も政策課題も地方に限られるという指摘などから、「あまり期待できない」「期待できない」というマイナスの評価も寄せられました。

ともに「大阪維新の会」の市長・府知事の誕生により、大阪都構想は否応なく、大阪市民、府民を交えながら地方自治や日本の政治に一石を投げる画期的な政策となるのか、あるいは机上の空論で終わるかを問われる段階になったと言えそうです。

視聴者の皆さまのご意見をお待ちしております。
《コメントを投稿する》から、ご意見を投稿ください。

オピニオンリーダーの回答

( 22件 )
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1. 期待できる

夏野剛
慶応義塾大学特別招聘教授
Q2. 「1 - 期待できる」の回答理由
今回の選挙は争点が極めてクリア(都構想という抜本的改革か現状維持しながらの漸進的な改革か)な上、市長選と府知事選を同時に行うことによって、都構想を実現する手段も用意したものであった。つまり、橋本新市長および松井新府知事は都構想の実現を明確なアジェンダとして掲げながら今後の市運営ならびに府運営が行われていく。依然としてハードルは高いものの、都構想の実現可能性は極めて高くなったと言えよう。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
都構想が実現するとなると日本第二の都市で大変革、大改革が起こることとなり、すべてをゼロから見直すことができれば、人口減少化の日本の今後の地方自治モデルのベンチマークとなる可能性がある。一方、構想が実現したとしても、中途半端な改革に終わり実効性が出なければ、日本の特に高齢者層の変革嫌い、改革嫌いの保守的な政治志向は強まることとなり、日本の低迷に拍車がかかることにもなりかねない。
橋下氏および松井氏は、大阪という一地方ではなく日本の将来を左右する賭けに打って出たと言っても過言ではないと思う。中途半端な改革に終わらせないよう、心から健闘を祈る。
 
 
飯島勲
政治評論家
Q2. 「1 - 期待できる」の回答理由
小生自身、過去(総理秘書官在職中)太田元知事と大阪市元助役に何回も府と市の二重行政の廃止を言い続けました。
由に橋下氏に新知事と共に職を賭す覚悟と不退転の決意で着実に目的に向かって行動すると期待している。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
公約通り新市長、知事の活躍を期待したい。
二重行政廃止は法令上もキビシイ状況が先々あると想いますが、全国指定都市を抱える都府県知事も最大の注視をする事案であり、国も各政党も大きな問題と言えます。
橋下氏が困難と考える時、維新の会として、衆参国政選挙に候補者を100名単位で参戦すべきと考えます。
昔の新自由クラブ以上の選挙となり、国政改革にもなるといえます。
ともかく、全面的に応援したい!!
 
 
山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「1 - 期待できる」の回答理由
新市長橋本氏の政治手法について独裁との意見があるが、自治体の首長は総理大臣と異なり一種の大統領制であるので、知事、市長の職務遂行がトップダウンとなることは必然である。大阪市民が支持し期待したのは橋本氏の行動力と強いリーダーシップだったと思う。斬新な考え方での都市改革に期待したい。一部週刊誌の卑劣なプライバシー侵害のような記事にも、惑わされなかった大阪市民に拍手を送りたい。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
大阪都構想には国の法改正が必要だが、ドラスティックな改革推進を選択した大阪市民と府民の願いを国も重く受け止めなけれならない。そして今、多くの国民が望んでいるのも国家の変革であろう。そのために、国のリーダーに一定権限を与えるための首相公選制が必要である。首相が党内外の顔色をうかがわなければならない現体制では、真の行財政改革の実施など期待できない。
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「1 - 期待できる」の回答理由
橋下徹氏に大いに期待する。橋下氏の姿勢を独裁的と形容するが、批判を恐れずしっかり意見を言い、実行する姿勢は責任をもって政治を任された人間としてごく普通のあるべき姿勢ではないのか。責任回避の利権あさりの俗物政治家のイメージが「あたりまえ」という感覚に社会全体が埋没してきたせいだろう。橋下市長にとっては都構想はあまりにも当たり前で、それが革新的だという認識など本人にはぜんぜんなく、「なんで今までこんなアホなこと市民や府民が黙ってたんやろ?理解でけへんわぁ」と言うことに違いない。「税金は役人のもんでも政治家のもんでもない、国民のもの」という全国民の強い思いをどんどん行政に発揮して欲しい。それと、今回の橋下氏に対する一部メディアの出自に関する暴露的報道は多くの有権者にとって対立候補の史上稀に見る姑息で陰湿な謀略と写ったに違いない。結果、橋下支持をより強固にしたように想像する。大阪市民、府民の良識が覚醒された結果と言える。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
質問は愚問で、選挙の公約というか本質的意味において、大阪都の実現を目指して立候補した市長、府知事候補が勝利を収めたのだから、大阪都は実現に向かうに違いないし、それが府民、市民の選択ということだ。役所にはびこるごきぶり利権を一掃し、陰湿極まりない中央省庁の嫌がらせをかえって利用して強大なエネルギーに転換する方策は既に橋下氏らは準備万端に違いない。それにまんまと引っかかり打ちのめされる、小利口が精一杯の霞が関の厄人、奸僚どもの無様な醜態を全国民がしっかりと観察できるはずだ。橋下氏の義憤の高まりは大塩平八郎だが、智謀知略は楠公、いや孔明か。これから霞ヶ関幕府との間に一大痛快活劇が繰り広げられることになる。それにしても政治行政の垂直的区割り(典型的なvertical conflict)についてはこれまで数多の議論があったが、結局既得権益と利権あさりこそが自分たちの本業と考えるごろつき政治家や厄人どもによって骨抜きにされてきた感がある。今回の大阪都構想の実現で、全国都道府県の国、県、市町村による二重行政、三重行政のバカバカしさ、それが如何に恥知らずに政治家や厄人、奸僚の「打ちでの小槌」にされてきたか、既存団体の利権あさりの道具に使われてきたか、国民の前に鮮明に曝され誅滅されることを期待する。メディアの皆さんも記者クラブで既得権益側につくのか、改革側につくのか、決めかねているうちに、自分たちの屋台骨もぐらついてくるのでは?
 
 
竹中治堅
政策研究大学院大学教授
Q2. 「1 - 期待できる」の回答理由
橋下新市長は現在の大阪市政のあり方に明確な問題意識をもっている上、有権者にそれをわかりやすく説明する能力がたけている。維新の会は市議会で一定の勢力をもっており、政策も実現しやすいのではないか。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
大阪市民や大阪府民の民意が明確にしめされたということで、大阪都構想の実現に近づいたのではないか。すなわち、野田内閣としても法改正を含め、制度改正をすることを迫られるのではないか。次期総選挙で「維新の会」の協力を得ることを考えれば、法改正は単に「民意が示された」という抽象的な原理原則の問題にとどまらず、民主党にとって、政治的に実利のある政策となるはずである。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「1 - 期待できる」の回答理由
橋下氏の功績のひとつは、かつて府知事就任当初に、大阪の問題点、教育水準や生活水準の低さ、厳しい財政状況、市の不必要なサービスや過剰な公務員の実態などをあきらかにしたことである。それによって大阪府民は、改革への必要性を強く確信したのだと思う。
同時に全国の人々も、自分たちの住む自治体も同じような問題を抱えていることを認識したのである。
それは、地方行政が、とりわけ財政上、従来の行政の進め方ではもはやどうにもならないところまできているということである。だから、興味をもって橋下知事のやりかたを追っていた人は多かったと思う。
橋下氏の政治手法については、いろいろ批判はあるだろうが、大阪都構想とか、二重行政を廃すために府知事から市長に立候補をするなど、これまでの常識を覆すハッとするものを感じた。行政が今すぐ取り組むべきことについてもはっきりしている。
期待してみていきたい。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
大阪都構想については、府と市の二重行政を廃したいという以上にまだはっきりとした形は見えないが、大阪が力をつけて東京に拮抗したら面白いと思う。
また、今回の選挙は地方選挙での既成政党の相乗り的な候補者の作り方についても、一石を投じたのではないか。
 
 
本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「1 - 期待できる」の回答理由
本日つい先ほどまで緊急手術あり、簡単な解答をご容赦。
 ローマのカエサルも、改革を行おうとして既得権益者を敵に回して倒された。明治以来の「官尊民卑」体制を大きく変えるには、それなりの覚悟が必要。新市長には今後も種々の圧力がかかるだろうが、その志や良し。ぜひ二重行政の見直し、区長選挙実施、脱原発、発送電分離等々、今までの大阪の政治が果たせなかったことを実現して、国民に新しい時代の到来の可能性を見せて欲しい。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
民主党の政権交代を見ても明らかなように、この国は政権交代が起きてさえも、官僚主導政治から脱却することが難しいのが現実。国政で達成できなかったことをぜひ大阪で達成•実現して我々に見せて欲しい。その実現のためには今回の選挙で大阪府と大阪市がねじれ状態となっては不可能。ダブル選挙の結果が大阪府の政治を、官僚主導から大阪府民の民意が優先される結果になることを祈りたい。それが日本の国政を変えるきっかけとなる可能性があると期待したい。
 
 
朴斗鎮
コリア国際研究所所長
Q2. 「1 - 期待できる」の回答理由
大阪市長選での橋下徹氏の勝利は、大阪府の財政再建を果たした彼の実績を大阪市民が評価した結果である。この実績は、彼に対するさまざまなネガティブキャンペーンをも吹き飛ばした。やはり政治は結果を出すことが重要だということである。
既得権の上にあぐらをかく既存政党の完敗によって、大阪都構想をはじめとした橋下氏の政策推進力は弾みをつけるだろう。この流れは大阪にとどまらず、中央政界にも押し寄せると思われる。ただ、彼の構想を実現するためには、独善的と言われている手法を、より老練な手法に改善していく必要はあるだろう。橋下徹氏のチャレンジ精神、決断力、実行力に期待する。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
大阪府知事選で「維新の会」の松井一郎氏が勝利した結果、大阪府と大阪市のねじれが解消され、橋下氏に大きな推進力を与えることになった。大阪はこれまでの閉塞感を打破し、新しい政治的枠組みに進むだろう。この流れは中央にも及び、政界再編の導火線になると思われる。
 
 
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「1 - 期待できる」の回答理由
韓国の大学に専任教授として着任して6か月、韓国と日本の政治、行政を比べながら観察しています。日本は韓国に学べべきことがたくさんあります。韓国国会での催涙ガス使用は学んではいけませんが。日本が学ぶべき点、例えば、
(1)行政のムダを無くすべきです。そのためには強い政治の指導力が必要です。橋下氏のようなタイプこそ行政改革のために必要です。強力に市民、府民を引っ張る力があります。
(2)地方自治体や国家が、改革をして、発展してゆくためには、大きなビジョンを描いて迅速に細部を決定し、内輪もめすることなく、手続きという方法論で時間を浪費することなく、行政の現場が協力しながら、迅速に実行してゆく以外にありません。橋下氏は、そのすべてを実行してきているではありませんか。
(3)国政のレベルの話ですが、先頃問題になった、TPPにしても、早くから、日本が、二国間FTAと、日中韓のFTAに迅速に取り組んでいたなら、TPP参加議論で苦労することはなかったのです。韓国は、二国間FTA政策で成功を収めました。ヒョンデイ自動車、サムソンは躍進中です。韓国の輸出産業の発展に日本が苦戦するという事態も、今なかったはずです。(3)新しい市長の課題は簡単です。初志貫徹という気持ちで、訴えてきたことを、これまでのスタイルで実行してゆく以外にないでしょう。そして、大阪市民は、大阪の街作りのために、協力することは間違いありません。日本で新しいものを真っ先に取り入れる地域は大阪ですから。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
自分は神戸出身、京都育ちで、家内は大阪生まれ、親戚が大阪に多く住んでいるということもあり、関西の動向には常に関心を持って見ています。地方自治体の投票率が3割を切ってしまうということが起きていた大阪で、今回のような6割を越す有権者が投票所に向かったということだけでも、橋下氏が大阪の政治に対して、どれだけの貢献をしたかがわかります。そして、当選後の言葉も優等生的だ。反対票の立場に対しても心配りを忘れていない。改革を叫ぶ候補者を独裁者と呼ぶのはどこでもある話ですが、独裁者という言葉を連発して改革を封じること自体、全体主義な香りがします。効率の良い、大阪の人たちの立場に立って、大阪府と大阪市の若いのもとに、赤字を減らして美しいひとつの大阪を実現してくれることを願っています。
 
 
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2. まあ期待できる

宮家邦彦
外交評論家,株式会社外交政策研究所代表
Q2. 「2 - まあ期待できる」の回答理由
個人的には大阪府民でも大阪市民でもないので、本来責任あるコメントができる立場にはありませんが、敢えてコメントするとすれば、一般論として、地方自治体首長のユニークな政治スタイルが地方の頑強な既得権にどこまで切り込むことができるかを試す上で、非常に重要な政治的実験だと考えます。改革は実務のレベルでも強力な抵抗に遭遇するでしょうが、こうした外連味たっぷりの手法が「尻切れ」とならないよう期待しています。
Q3. 回答を控える
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「2 - まあ期待できる」の回答理由
既成政党、平松陣営は、現実に対する危機感がなさすぎた。何も具体的な案を示さない既成政党よりも、多少の危なさは感じられるものの、思い切った改革案を示した橋下氏が支持されたのは当然のことだろう。そうした民意を受けて、日本の既得権益や現状の閉塞感を打破していくことを期待したい。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
既成政党は、国民の期待をどれだけ裏切っているかを深刻に受け止めてほしい。改革が遅々として進まない中で、多少、強引そうではあるけれども、具体的な改革案を示して実行に移そうとしている橋下氏の姿勢が大阪では支持されたのだろうが、恐らく他の地域でも同じような意識が広がっていると考えられる。
大阪都構想は、住民の意思を尊重して、中央で妨害すべきではないだろう。そうしなければ、次には中央政権の無策や矛盾が攻撃されることになる恐れがある。
日本の政治のあり方については、より明確でわかりやすい説明責任を果たすプロの政治家が求められている。また、現状の閉塞状況を打破できるような政治が中央でも求められており、橋下氏の台頭を中央政界は深刻に受け止める必要がある。
ただ、その実績がきちんと上がっているかの検証は必要である。また、橋下氏・維新の会が地方行政の質をレベルアップさせていくために、どのような人材を登用していくかについても注目したい。
 
 
鈴木豊
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・公認会計士
Q2. 「2 - まあ期待できる」の回答理由
1.今回の橋下氏の方針が、市民・納税者のことを第一に考え、税金の無駄・効果的な政策実行に絞られれば成功する。2.1があまり前面に出ないようであれば失敗する。すなわち市民の期待ギャップが起きる。3.反対派と全面対決の姿勢をとるならば失敗する。4.実質の、実のある政策実行と監視のシステムを確立するために行動すべき。5.都構想の要諦は、税金支出の厳格なパブリックアカウンタビリティを追求することである。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
大きく影響するが、根本の府民・市民・納税者のための立場にたたなければ効果はでないであろう。立場とは、税金支出の説明がはっきり出来るものだけに限ること、公経営の国際標準の政策実行の効率性・有効性・公平性・倫理性を充足するものでなければならないことである。
 
 
稲増龍夫
法政大学教授
Q2. 「2 - まあ期待できる」の回答理由
ともかく大阪市/府民は、「現状」を否定し「改革」を選んだのである。たしかに独裁的手法は危うさをともなうが、軍事クーデターではないのだから、ダメだったら次の選挙で落とせばいいわけで、それほど、大阪の現状に対する不信感や閉塞感が強かったということであろう。現時点では、大阪市/府民のダイレクトな民意を受けて、改革に邁進することを期待したい。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
既成政党が束になっても1人のカリスマにかなわないという構図は、名古屋でも起こったことで、それは橋下新市長のパーソナリティもさることながら、顔の見えない「組織」に対する生理的反発が広がっていることを意味している。ただ、最終的には、カリスマといえども、政策を実現するために「組織」を固めなければならないという矛盾をかかえており、次々に「新たなカリスマ」が生まれては消えていくという流動的未来を暗示している。
 
 
坂東眞理子
昭和女子大学理事長
Q2. 「2 - まあ期待できる」の回答理由
閉塞感の強い現在の政治に大きなインパクトを与える。新しい手法でかなり独裁的で危険であることは危惧されるが、いままでの府政市政がよいとはだれも思っていないので、破壊効果はある。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
民主党、自民党に飽き足りない国民の受け皿になるだろうが、みんなの党と同様再編の目になれるかどうかは不明。
 
 
吉崎達彦
株式会社 双日総合研究所副所長主任エコノミスト
Q2. 「2 - まあ期待できる」の回答理由
自治体としての大阪市、大阪府はどちらも大変な問題を抱えており、
微温的な方法ではどうにもならないことは自明だと思う。
橋下新市長の手法には首肯できない部分もあるが、
「このままジリ貧になるのを待っているくらいなら、
若くて元気のいい人に暴れてもらう方がいい」、
というのが民意なのだと思う。
Q3. 回答を控える
 
 
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3. あまり期待できない

石澤靖治
学習院女子大学長
Q2. 「3 - あまり期待できない」の回答理由
 今回の選挙は、橋下氏という人物が引き起こしたイベントについてのものであり、大阪市民が行政の本質的な問題を考えてそれなりに結論をだして投票したわけではないと思われる。問題はそれほど簡単なものではないからだ。つまり気分的に橋下氏を「なんとなく」支持したかどうかという結果であり、彼が行政について示したことへの支持ではないと推測する。したがってこれはいわゆる、あぶくのような「世論」による結果にすぎない。これから実際に大阪都への転換を図るなかで、どれだけの支持を維持できるかは、疑問である。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
 今回の選挙は、表向きは行政のあり方が争点となっているとされているが、実際は橋下前府知事についての投票であったと考えるのが妥当である。確かに自治体がどうあるべきかは深く議論すべき問題だが、今回の選挙結果が、日本全体の地方行政の今後の姿に大きく関連するかは疑問である。
 
 
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4. 期待できない

小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「4 - 期待できない」の回答理由
大阪のローカルな問題をあえて国レベルで派手に宣伝することによって、選挙に勝ち、また、今後もスタンドプレー的に政策を打ち出すと考えられるため、真に必要な政策は実現されないと予想されるから。
とりわけ、地方政治というものは地味なものなので、全国的に話題になるような政策が重要だ、と主張する時点でおかしい。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
特に影響はない。予想されたとおり。
 
 
中野晃一
上智大学教授
Q2. 「4 - 期待できない」の回答理由
結局は、テレビなどでもてはやされている「芸能人」としての人気によって当選しただけで、その言葉のもっとも空疎な意味での「ポピュリスト」に過ぎない。上滑りな言辞を弄し、広げた大風呂敷の収拾がつかなくなると、論点を逸らし、目くらましのための仮想敵を作り上げて攻撃をしかけ、再び衆愚の喝采を求めてきたことの繰り返しになるだろう。
こと教育に関わる影響を思うと暗澹たる思いを禁じえない。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
大阪都構想と言われるものは、草の根から生まれ、市民や共同体に支えられた運動が結実した結果ではなく、一人の衆愚政治家の人気取りのための最近の思いつきにすぎない。テレビの露出が続くかぎりは、テレビが話題にするので話題になるだけの話で、実体は何もない。
独裁が通用するのはせいぜい地方自治体内に限られ、対外的な調整に必要とされる根気ややる気などはなから持っているわけではないのだから、最初の暗礁に直面したら最後、大阪維新の会内部のボロが出るか内部分裂が始まるかとなり、急速に勢いが衰えるものと名古屋・愛知の先例から類推する。
そうすれば、今度は(東京都の先輩のように)大阪にオリンピックを招致するというようなことを言い出すか、市職員や教員、組合員を非国民に祭り上げて目線を逸らすことを画策するだろう。
 
 
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5. そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)

伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
率直に、何も先行きが見えないまま、改革風のイメージで表を動かした感がある。そうであれば選挙そのものが社会の末期的な症状を見せていることを危惧する。もしも広範な社会的波及効果を含むフィージビリティ=実現可能性の顧慮なしに短兵急な「改革」の旗印を掲げ、それと直結しないマッスに受け易いキャンペーンで集票するような「手法」があるなら、社会全体の病理として考察する必要があるだろう。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
例えば企業経営でも比較的短期間に「財政再建」が出来たような帳尻を作ることはできる。その結果コア・コンピタンスを喪失し、失地回復に苦労する企業は幾つもある。それと大変似たものを感じる。まずは推移を見るべきであるし、それ以前に「影響」などが出ておかしなことにならねば、という心配の方が先に立つ。
 
 
森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
新市長の政治手法には、疑問が多くあるが、選ばれた以上、市民の代表としてさまざまな課題を実行に移してほしい。
「二重行政」ばかりが話題になっているが、大阪市固有の大きな問題は、膨れ上がる生活保護費への対応である。一方で生活保護ビジネスの存在も言われており、厳しく対処し財政を立て直す必要がある。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
「地方分権」がこれまで進んでこなかった理由は、本音ではだれも望んでいない政策だからだ。
国(総務省、財務省、各省)や国会議員は、自らの権限や財源を失いたくないので反対するのは当然だが、住民も、分権の具体的なメリットが見えず、本当に分権を望んできたとは言えない。
そこで、新市長が、大阪都構想を実行に移していく過程で、分権の住民メリットの中身が具体的にわかってくれば、今後のわが国の在り方の議論に大きなプラスになる。
 
 
石川和男
社会保障経済研究所代表
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
期待できるかできないではなく、期待するかしないかであり、
私は「大いに期待」しています。

直近の民意を後ろ盾とすれば、短期間のうちにマニフェスト通りの政策を断行できるはず。様々な異論や反論はあるだろうが、それは選挙前からわかっていたことであり、それを跳ね返す勢いが、今の「維新の会」にはあると見受ける。
最初のうちは是非ともマニフェストに則った「改革」を断行していただきたい。
 今後の課題を挙げたらきりがない。とにかく課題が山積していることを前提として、一つでも良いので前に進んでいただきたい。当初は役所やその後ろにいる既得権者たちと戦う姿勢を大きく示すことも必要だろうが、それと並行して「儲かる大阪、儲ける大阪」になるよう経済政策、特に大阪以外からの資本流入を起爆するような施策を断行してもらいたい。
それが国政にとっての好き(よき)雛形にもなると考える。
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
大阪都構想の詳細はさておき、首都東京の政治的バックアップ機能を持つことと、我が国の「西の経済都」としての力を持つような施策を断行してもらいたい。
上記2で述べた「大阪以外からの資本流入を起爆する」ための各種の規制や既存の旧い制度の大幅改革を断行すれば、国政に必ず跳ね返って国全体の底上げ効果を出せると思う。
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「5 - そのほか(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
2「まあ期待できる」と3「あまり期待できない」の間
二重行政の解消という方向は正しいと思う。
ただ、その他の地方行政政策については未知数
Q3. 大阪ダブル選の結果の影響についてコメントする
結局、「既得権」を持っている層への反発が橋下新市長への支持につながっている。小泉元首相が、そして、民主党が、既得権を壊すという期待をもって政権を取ったときと同じ心理が続いている。
 一部の既得権をたたくのではなく、根本的に社会の仕組みを組み替えて、安心安全な社会を実現するという事ができるのか、それを実現する道筋が付けられるのか、青写真が描けるのか、課題は多い。
 
 
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  • 大阪市民です。
    17人もの有識者の集まりであり、いろんな意見があって当然だと思いますが、上智大学中野教授のコメントは正直がっかりしました。
    次 の中野氏のコメント「結局は、テレビなどでもてはやされている「芸能人」としての人気によって当選しただけで、その言葉のもっとも空疎な意味での「ポピュ リスト」に過ぎない。
    大阪都構想と言われるものは、草の根から生まれ、市民や共同体に支えられた運動が結実した結果ではなく、一人の衆愚政治家の人気取り のための最近の思いつきにすぎない。テレビの露出が続くかぎりは、テレビが話題にするので話題になるだけの話で、実体は何もない。」

    のような芸能ニュースでするような無責任な低次元のコメントは誰でも出来ると思います。
    私は大阪市民であり本日投票に行ってきましたが、真剣に大阪(日本)を 変えて欲しいと思っており、決して橋下さんが好きとか嫌いで投票しておりません。
    少なからず大半の人がそうではないでしょか。投票率も40年ぶりに60% を超えていることが、単なる人気だけでなく関心の深さが伺えると思います。
    これではまるで大阪府市民をバカにしているのではないでしょうか。橋下さんを否定するのもいいですが、もっと建設的な意見をコメントしてほしかったです。
    中野氏には是非このような意見もあることを伝えて頂きたいと思います。

    以上 
  • フジテレビの番組を拝見して、小幡准教授の意見が紹介されていましたので私見を述べさせていただきます。

    大阪のローカルな問題をあえて国レベルで派手に宣伝することによって、選挙に勝ち、また、今後もスタンドプレー的に政策を打ち出すと考えられるため、真に必要な政策は実現されないと予想されるから。
    とりわけ、地方政治というものは地味なものなので、全国的に話題になるような政策が重要だ、と主張する時点でおかしい。

    ① >大阪のローカルな問題をあえて国レベルで派手に宣伝することによって、選挙に勝ち
    ・彼は本当に、国レベルで派手に宣伝をしたのでしょうか。
    ・大部分は、特に週刊誌・TV局が(見当違いの題材も含めて)
    勝手に大きく取り上げたように一般の人は感じていると思います。
    ・ローカルな問題を日本全国民が関心をもってはいけないのでしょうか?
     大阪府・大阪市を含めて2重行政の問題は全国で他にも抱えている
    地域が存在し、国民皆で考えて行かなければいけないと考えるのが
    普通ではないでしょうか。

    ・>選挙に勝ち
     選挙に勝ったのは、大阪市民の民意以外に考えられません。
     私たち他府県の人間の票は1票も入っていないはずですので、他府県
     の民意は反映されているはずは有りません。他府県で大きく注目 
     されたのは、それだけ全国的に注目される政策を示して、
     大阪市民に民意を問うたからではないでしょうか。

    彼が<選挙に勝つ>ために集票手段として用いたとの意見は100%否定する気は有りませんが、(これが、選挙戦略の要とは考えられません)
    貴方が<国レベルで派手に宣伝する事によって、選挙に勝ち>が勝因と判断されていることに驚きを禁じ得ません。

    ② >地方政治というものは地味なものなので、全国的に話題になるような政策が重要だ、と主張する時点でおかしい。

    ・地方政治は地味なものでで、全国的に話題になるような政策があっ
     てはいけませんか?
    ・彼がローカルな問題を軽視すると言う趣旨の発言しているのであれ
     ば、問題は有ると思いますが。
    ・全国民的に考えるローカルな問題の必要性を提起しているのではな
     いでしょうか?
    ・貴方の発言では、「ローカルな問題は、全て自分たちでで処理し
     ろ」的に聞こえますが、今回のテーマもそのようにお考えでしょう
     か?。
    (ローカルな問題を全て逐一取り上げる事は無論、常識的に考えられ
     ませんが・・・)

    今回の大阪市長選(知事選も含めて)特に、大阪市民の投票率もアップし、今まで関心の薄い若い人達も投票に足を運んだと聞いております。
    また、大阪市民以外の全国の国民が、大阪市民の民意に注目しました。
    これで、大阪市民の民意が示されたわけですので今後の橋下市政に期待したいと考えております。
    これが、地方自治の在り方として良いケーススタディに発展していってもらいたいと思います。
    東京在住の身では有りますが、大阪の発展を切に望みます。
    小幡准教授のご意見、またCOMPASSをご覧の他の方の意見を伺えたら幸いです。
  • 7年前までは豊中市に住んでいたのですが、今は兵庫県加古川市に住んでいます。 この調査で、期待できないと答えた方は、はっきりと申しまして既得権益容認者だと考えます。 これは「闘いです」!戦いには必ず戦法と言う物があり、戦法を疎かにする者は戦いに敗れます。 橋下氏を無条件で絶対支持するものでは決してありませんが、 では聞きたいのですが、今まで改革を唱えながら成し得た方はおられたのでしょうか? 彼の唱えている事の本質はこれまでの方々と違った、全く新しいものとして庶民に受け入れられていると考えます。 反対する方々の中での意見で、これまで前へ進んだ事が何かあったのでしょうか? その様な方々は何かと言うと直ぐ民主主義を口にしますが、 其れが弊害となって庶民の利益を圧迫してきたのが実情ではないですか? 日本型民主主義の体たらくには、これまで嫌と言うほど酷い目にあわされてきた一般庶民達。 これは料理で言うレシピであり、例えばカレーを作るとして、 同じカレーでありながら作り人が違えば出来栄えも味も変わってきます。が、でもカレーなんです。 同じ材料同じレシピを使っても違ったものが出来上がる不思議! 料理人が違えば味も出来栄えも違ってくると言うのは、まさに政治行政とリンクするところがある。 これまでは材料だけを変えてきたが、これからは作り手だけでは無く使う道具、 鍋釜から使用するコンロまで替え、これまで炭火を使っていたものをガスにしてカレーを作ろうと言うのだ。 早い話が、古く時代に合わない物を、形を今に合った様な物に変えやって行こうと言う事なのだ。 目的は簡単明瞭、「庶民に利益を」である。其れが庶民の利益になるか否かはやってみなければわからない。 少なくともこれまでのやり方では何の変化も見えなかった。戦後65年も経っているにも拘らずで有る。 どの様な事もやってみなければわからず、先に答えを求めるのは「愚の骨頂」! 食べるばかりで文句ばかりを発する「愚か者」で、訳の分っていない子供の論理である。 かの、ケネディー大統領も言った言葉が思い出される、今の日本人に最も当てはまる言葉だ。 何時まで経っても国民は政府役人に「おねだりばかり」!何に対しても意思表現もしない! これが政府役人達が「のさばる」要因になっていて、これが国民無視を続ける結果となる。 此の事が橋下氏を以て動かせた理由だと私は分析する。 反対論者に何の根拠もない、少しでも理があるのなら何故あなた方が動かないの? 何時まで経っても動かない貴方がたが、反対する資格すらも疑われる。 何時も肉ばかり食している人には、野菜の味は分らないのである。 改革者橋下氏を論評批判する以前に、貴方がたが今迄何をしてきたかが問われる浅はかな論理だ。 今では反対論者までも橋下氏擁護派にすり変わろうとする見にくい状況が起きている。
  • 山田昌弘氏「民主党が、既得権を壊すという期待をもって政権を取ったときと同じ心理が続いている。」
    に対して、
    民主党政権には何の期待もしていませんでした。
    バラマキマニフェストが実行されるわけがない。
    そもそも、そんな財源がどこにあるのか?
    既得権を壊すどころか、民主党そのものが既得権益者では?
    私は期待なんて一切しなかったので、当然民主党には投じていません。
    民主党政権と橋下市長を一緒にするのはやめていただきたい。
    『橋下徹』は、『橋下徹』なのである。

    また、中野晃一氏曰くのように、芸能人だから投じたのではない。
    橋下市長に投じた大阪人をバカにしないでください。