2012年06月30日 ザ・コンパスで放送
社会・公共

「どうあるべき?これからの”電気”と日本人の生活」

7月1日から、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」がスタートします。この制度は、電気事業者に一定の期間・価格で、太陽光や風量、地熱などの再生可能エネルギーでつくられた電力の買取が義務づけられる一方、買取に要した費用は「賦課金」として消費者が負担し、電気料金の一部として支払う制度です。

6月18日に買取価格が決定し、代表的なものとして太陽光発電では、42円/1kwh(税込)を10年から20年維持することが、電力会社に義務付けられることが決められました。経済産業省が5月末、電力会社の発電部門と送配電部門を分ける、いわゆる「発送電分離」を2014年以降に進める方針を示したことと合わせて、この制度の開始によって日本での再生可能エネルギーの拡大が期待されています。一方、買取価格が世界の趨勢と比較して高額であることから、同様の制度を先に導入したドイツやスペインで起きたような賦課金に過度に依存した業界体質を生む可能性を危惧する声のほか、電力供給分野への外資系企業の参入を懸念する声もあります。

エネルギー自給率が4%の日本にとって、輸入に頼らない電力供給源をもつことは喫緊の課題です。それに加えて3・11以降の脱原発の動き、さらには地球温暖化のCO2削減と相まって、再生可能エネルギーの重要性はより一層増していると言えます。しかし、電気の利用者である私たち生活者から見れば、これまでの電力料金に加え、一契約者あたり全国平均で87円/月の「賦課金」を多く支払うことになります。この総計は日本全体で、約3000億円になると推計され、石炭や火力など5~6円/kWh程度で発電できる他の発電方法に比べ、経済性で劣る再生可能エネルギーによる発電を、利用者負担で強引に推進することになるという指摘もあります。

番組では、東京電力の値上げも近日中に行われることが予想されるなか、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」への評価と、生活にとって欠かすことのできない“電気”がこれからどうあるべきかを皆さまと考えたいと思いました。
是非、ご意見をお聞かせ下さい。

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:エネルギー自給率の改善と、経済性で相反する性質を持つ「再生可能エネルギー買取制度」による発電ですが、私たちの生活にとってどう影響するでしょうか。
Q2:問1への回答理由をお答えください。「再生可能エネルギー買い取り制度」に改善点があれば、その点もご指摘ください。
Q3:これからの日本人の生活を考えるうえで、理想的な電力供給のあり方はどんなものと考えますか。皆さまのお考えをお答え下さい。
Q4:本日6月27日、関西電力の株主総会では脱原発の議案が橋下大阪市長から提出され、また反原発の抗議集会が東京電力の株主総会の会場外で行われるなど、あらためて原発再稼働をめぐる反対の声も上がるなか、電力各社は「原発なき電力の安定供給はありえない」という立場をあらためて示しました。そもそも本制度はCО2削減を目指したものですが、それとともに脱原発を期待する立場から、世界的にも再生可能エネルギーへの期待の声も出ています。
そこでQ3にて「これからの日本人の生活を考えるうえで、理想的な電力供給のあり方はどんなものと考えますか?」と問わせていただきましたが、さらに追加として、
『・今後再生可能エネルギーは、日本の電力供給においてどのような位置づけとなるか、そしてどう位置づけられることを目指すべきか。』
をQ4として、回答いただければ幸いです。

オピニオンリーダーの回答

( 27件 )
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1. メリットの方が大きい

南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
打倒電力会社!の一助になる。
国全体マクロとしてどう動くかわからないが、消費税のかからない太陽光発電(次の国会は危ないかも知れない。誰かが『不退転の決意』で政治生命をかけて太陽光に税金をかけてくるかもしれない)を国民は大いに活用するべきだ。とにかく今回の買い取り制度で電力についての関心は一般家庭でも非常に高いものになり、また電力会社への国民の心の底から湧き起る遺恨の念も考え合わせると、全体としてははやはり国民の悲願である「打倒!電力会社」の方向に向かって突き進む点はメリットになるだろう。買取については個人の家庭と業者で価格に大きな差をつけるべきではないのか。家庭用の発電の規模は限られているので、そういった「家庭発電推進」のdriving forceを敷くつもりがないのであれば、初めから貧乏御用学者の策略にはめられた奸僚の「奸計」なのかも知れない。ところで今後はこの「発電」にからんで、「水が石油になる魔法のプラント」「セシウムが核融合で消滅する焼却炉」の類の詐欺商法やインチキ投資話でまだされる素人さんが続出することだろう。全国民はこういったエネルギー関係の投資話には絶対に耳を貸さない方がいい。出も無駄でしょうね。騙されちゃう人は必ず騙されますから。
ところで売った電力、つまり奴らが買った電力にも消費税はかかるんでしょうね。25%ぐらいは!
Q3. コメントする
これからの、というスパンがどれぐらいかわからないが、やはり電力は各家庭で自給できる状況が理想だ。一か所で発電して送電線を使って送電する方法はものすごく無駄が多すぎる。こういう仕組みに我々がならされている、いやはめ込まれているだけかも知れない。
発電の方法はいっぱいあるだろう。
映画「マトリクス」では人体に発電させていたが、遺伝子の操作や再生医療の技術を使えばそのよう生物発電も可能となるかも知れない。
細胞が直接発電しないまでも、筋肉が、特に酸素だけをエネルギー源に収縮を繰り返す心臓などを使って物理的仕事をさせる(モーターを回す、あるいは水をくみ上げる)方法も可能ではないか。それによって発電すればよい。心筋である限り太陽光と同じく、空気中の酸素がエネルギー源だ(これも将来危ない!)。フルオロ・カーボンのようなヘモグロビンのはたきをするであろう物質、あるいはヘモグロビンそのもので心筋細胞への酸素供給は可能になるだろう。
その前に、数多出現するであろうインチキ商品の勧誘や詐欺師の投資話をまず撲滅することが社会にとってまずやるべきこと、つまり整えられるべき環境だ。公的審査があっても、それがあてにならないことは国民はもう見通している。これから騙される人がおそらくいっぱい出るだろう。
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
現在の経済的効率性よりも、長期的な効率性、持続可能性を追求すべき。
現在の経済的効率性よりも、長期的な効率性、持続可能性を追求すべき。これは、公共事業と同じと考えて進めるべき。薬剤や米など、完全市場ではないものは、日本に山のように存在している。疑似市場でも進めるべき。
Q3. コメントする
人口減少、節電機器の普及で、日本の電力需要は数年前がピーク。そして、需要量は減少に向かう。このまま、原子力発電を徐々に削減しながら、再生エネルギーを徐々に増やすということで対応できるのではないか。
 
 
南條史生
森美術館館長
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
基本的に何でも自由に発展する構造を作るべきだ。
基本的に何でも自由に発展する構造を作るべきだ。これは政治哲学の問題でもあるが。
そのためには多様な発電方による電気が買い取られるプラットホームが必要で、その方向を支持すべき
そうでないと新しい方法、アイデアに可能性がうまれない
守り、管理だけしていると、古いシステム、古い考え方のまま時代から取り残されて行く。
それでは日本は、負け戦ばかりになってしまう
既存の産業、業界に引きずられずに、イノベーションが生じやすいプラットホームを、はやく作るべき

具体的には掘り下げられないが、基本的に自由に参入でき、多様な発電がビジネス化できるように設計すべし
そのコストが少し高くても、今までの一社独占を崩し、多様な可能性をもつプラットホームを支えるための投資コストと考えるべきではないか
別のいいかたをすると、買い取り制度はこれまでのような一つの発電方法を支援するのでなく、多様な発電可能性を支援することを意味し、この二つは意味が違うということを理解すべきだ。
Q3. コメントする
多様な発電が、民間、公共ともに広く分散されて存在し、小さな発電が、各家、各ビル、各市町村に備わり、全体として足りている状態をめざすべき
巨大発電所が全てのエネルギー需要を支えるという考え方は古いのではないか
それは巨大な一個のコンピュータにたよるのでなく、並列した多数の小型コンピュータの集合体のほうが、フレキシブルでリスクが小さいのと同じではないか
もし買い取り制度が一般化すれば、あらゆる発電方式が実験され、それらが平行して存在し、常に改良されつつ前に進むだろう
それが一番はやく、現状の限定的なリスクを軽減する方法ではないか
 
 
坂東眞理子
昭和女子大学理事長
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
太陽光発電に偏り過ぎていることを懸念しています。中緯度のモンスーン地帯である日本では太陽光発電は条件がよくありません。
私はこの再生エネルギー買い上げが、太陽光発電に偏り過ぎていることを懸念しています。中緯度のモンスーン地帯である日本では太陽光発電は条件がよくありません。それより、地熱、小規模水力、波力など多様な発電を検討すべきですし、石炭やシュールガスを活用する火力発電の効率化を進めるべきだと思います。
また深夜電力を電気自動車などの古い電池に蓄電し、ピーク時の需要を賄うようにすることでもかなり余裕が生じます。問題はピーク時の分散であることをもっと知らせるべきです。最大のエネルギー対策は、民生用電力の省エネルギー化と節電です。
Q3. コメントを控える
 
 
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
石油埋蔵量の限界、環境保護、国際政治の変動に影響されやすい石油輸入を考えると、風力発電、太陽光発電、太陽熱発電などの再生可能エネルギー利用を急いで拡大すべし。普及すればコストが下がるので、現在のコストを心配する必要はない。
再生可能エネルギーを使用することで、家庭の負担は少し増えるけれども、長期的に見ると電力の安定的確保になる。埋蔵量に限りがあり、やがて底をつくことがわかっている石油や石炭を利用して発電する方法からはやく脱皮しなければならない。新しく化石燃料が発見されているといっても22世紀まで持たない。環境保護の観点からも二酸化炭素排出量を削減する必要がある。また、石油の輸入に依存していると、国際政治の変動に影響されるが、それを回避するのはエネルギー自給率を改善することだ。風力発電、太陽光発電、太陽熱発電などの再生可能エネルギーの割合を急いで増やす必要がある。その導入のためにコストがかかるのは当然。設備投資をした者が利益を回収するために過剰電力を買い取る制度は必要であるし、そのために国民の負担が増えるのは仕方ない。地球環境の保護、資源の節約、再生可能エネルギーの活用のための国民の負担と考えたい。
より安いコストで発電できる方法があるのに、消費者の負担で再生可能エネルギーの利用を促進する制度を導入してもよいのかという意見がある。「経済的かどうか」という観点でのみ、電力政策を推進したら、石油枯渇、戦争による石油高騰などに直面したとき、後悔することになる。再生可能エネルギー活用のコストが高いといっても、現在の需要にあう設備を生産し、利用するときのコストであって、大規模設備を大量生産すればコストは下がる。将来、化石燃料不足と石油価格高騰という事態を迎えるときには十分な競争力があることが判明する。原子力発電は災害に弱く、原発災害のときの補償金もコストとして計算したら、原子力発電はコストが高い発電方法だということが判明した。海流発電、波力発電、風力発電、太陽光発電、太陽熱発電などは、市場が拡大することは明らかであるのでコストは心配ない。
 環境省による「日本における普及費用と経済効果の試算」では、2020年までに年間5,824~8,358万t-CO2の排出量削減に相当する再生可能エネルギーを導入した場合、2011~2020年の間、対策費用や化石燃料火力発電への影響を含めて年平均で3.3~4.4兆円を投資する必要があるが、その代わりに、生産誘発額が9.1~12.2兆円、直接投資を除く粗付加価値額が2.5~3.4兆円、雇用創出が45.8~62.7万人、エネルギー自給率が10~13%に向上するという(2005年は5%)だそうだ。良いことづくめだから、進めるべきだ。
改善点は、今後の再生可能エネルギー利用分野での投資拡大は未知数であり、時代の変化が激しい。再生可能エネルギーの設備を導入したあとのエネルギーの買い上げ価格や設備導入への補助制度を柔軟に修正してゆく必要があるのではないか。
Q3. コメントする
日本は再生可能エネルギーに依存してゆくのが最善の道だ。しかも、風力、地熱、太陽光、太陽熱などによる発電は日本の地理的特性を活かせる発電方式だ。この分野ではドイツよりも日本は先行すべきであったが、いまからでも遅くはない。現時点でのコストを計算して導入をためらうことなく、大胆にこの分野に重点投資するべきだろう。
電力供給のありかたを考えるとき、重要なことは、次の3つである。第1に、電力の消費を減らすこと。一人当たりの年間電力消費量は、韓国よりは少ないが、ドイツよりも多い。個人生活では節電に心がける。深夜時間帯のテレビ放送の自粛、ネオンの削減、利用者の少ない昼間の地下鉄、電車の路線では運行本数を削減することなどが必要。パチンコ屋の店内は明るすぎる。電力消費の少ない電気製品開発を続けることも大事だ。第2に、資源に限りがある石油、石炭の利用を急いで減らしてゆく。石油をガブ飲みする自動車を、少々価格の高いハイブリットカーや電気自動車に買い換える人々が増えているのだから、石油依存度を減らすことは世論の支持を得ることができる。太陽、地熱、風を利用した発電設備導入のために追加費用が必要になっても、人々は支払う準備があるだろう。第3に、災害に強い発電方式に切り換えてゆくこと。
再生可能エネルギー利用のコスト減と技術向上を進めながら、太陽光発電、風力発電などの設備を大量生産して、外国に設置してその国で共同事業化することはできないだろうか。ミャンマー、モンゴル、中央アジアの再生可能エネルギー設備を拡大してその見返りに希少資源の安定的供給の契約を結ぶのである。
Q4. コメントする
福島第一原発事故は、原子力発電の技術に問題があるのではなく、原発を設置する場所の選定方法と、原子力発電施設の運用、すなわち、危機に瀕したときの技術者と政治家と官僚の対処方法に問題があったのであるから、「原子力発電は危険なもの」という一方的な決めつけ方には同意できない。長い間、原子力発電技術開発に関わってきた科学者に対して失礼な話だ。反原発運動を政治運動に利用することにも同意できない。日本は災害が多く地震が多い上に、海に囲まれており津波が多いのであるから、日本国内の原発の数を減らしてゆくという道を選ぶのは正しい。想定外の地震と津波にあっても安全という対策を確立し、大丈夫という立地条件を確保しないかぎりは、日本は脱原発を目指すのが最善だ。外国にはそのような立地条件に恵まれた国家は多いだろうから、日本で培われた原子力発電施設の技術は原発設備の新規輸出を拡大することにより、技術の温存を図る。日本は再生可能エネルギーを活用して必要な電力の半分以上、できれば8割以上をまかなうことをめざす。つまり、日本の電力供給の中心的存在にすべきであろう。設備の価格を下げて各家庭に太陽光発電などが普及し、海を利用した風力発電施設が増えると再生可能エネルギー活用は相当進むのではないだろうか。
 
 
鈴木豊
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・公認会計士
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
エネルギーを維持することは、我が国の国民の生活と経済にとって絶対的に不可欠である。代替的なエネルギー確保は必要である。しかし経済的負担の増大は経済の活性化によって賄われる可能性も将来ありうるが、短期的には難しい。そうであれば当然、コスト圧縮のスキームを確立させるための制度構築が求められる。
1.エネルギーを維持することは、我が国の国民の生活と経済にとって絶対的に不可欠である。代替的なエネルギー確保は必要である。
2.しかし経済的負担の増大は経済の活性化によって賄われる可能性も将来ありうるが、短期的には難しい。そうであれば当然、コスト圧縮のスキームを確立させるための制度構築が求められる。
3.ある程度国の関与を強めることも必要。だが国の関与は我が国の場合、国民的立場からは3Eの効率性・有効性という観点で、水準が落ちる可能性もあり外部の監視が必要である。
Q3. コメントする
1、発送電分離は、競争性確保からも必要である。
2、多様な代替的エネルギーの開発を急ぐべき。
3、コストは受益者が負担するべき、ただし開発費用が必要な時点では公金の投入も必要。
4、公共・公益的事業の国の関与は必要だが、我が国の場合は非効率・非有効となる可能性も高いので監視・公監査体制の構築が必要。
Q4. コメントする
1.再生可能エネルギーのコストを低減することができるかがカギとなる。
2.学・政・官が一体となって早急に開発研究に当然かかるべきである。
3.国全体のエネルギー政策を立案しコストとリスクを国民に開示すべきである。
 
 
伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
率直に「買取制度」自体はデメリットが大きいと思う。ひとのふんどしですもうをとることを電力会社に覚えさせる部分が最低。それでも「メリットが大きい」というのは、発電という実際の物理プロセスの進展を評価するもの。
率直に「買取制度」自体はデメリットが大きいと思う。ひとのふんどしですもうをとることを電力会社に覚えさせる部分が最低。それでも「メリットが大きい」というのは、発電という実際の物理プロセスの進展を評価するもので、経済的な面はこれから始まる制度を徹底して破壊しつくした先から、まともな1の1が始まると思ってみています。
Q3. コメントする
1 電力供給産業の完全自由化 2 健康な市場と競争の導入 3 これらを背景として、官費を含むR&D投資の効率的な増大と グローバルイノベーションを牽引する新エネルギー産業の立ち上げ 
Q4. コメントする
電力各社が商法にも縛られる企業である以上、とりわけ現在のバランスシートで「原発なき安定供給はありえない」という答えを出さざるを得ないの「は」、無理ないことと思う。まずはその状態を軽減してゆく段階的な移行措置、ソフトランディングが決定的に重要だとおもう。ドイツで見る「脱原発方向」政策指導としてもっとも有効なものは電力の自由化と原子力発電による電力を分別し、税を含めコスト高として市場から離反させるというものがあった。私も実際ベルリンの家では安価な再生可能エネルギー電力会社と契約して電気代を安くあげていた。

コスト面、経営面をきちんと考えた新規エネルギー移行をまともに考えるアタマが必要だ。デモの類もそういう視点があればいいのに、と思う。

こあれからの日本人の生活を考える上で、理想はわからないが、より望ましい電力供給のあり方としては、より成長させたい発電法に基づく電力の料金引き下げが絶対的に必要と思う。これは逆を考えればよい。原発電力には「廃炉財源」を含む税加算など検討することが必要不可欠だ。

同じ100Wなら100Wという電力を消費しても、その発電の結果、後始末に金額の掛かる電力には、それを負担する分を 消費者に 負担してもらう という方向で 「これは原発由来の電気」 と振り分けることで、エネルギーの世代交代が進む。

逆に「再生可能エネルギーはコスト高」とやっていると、永遠に世代交代など進むわけがない。

もし政治にまともな指導力があるのなら、そうした方向性を的確に政策立案、実行完遂するアタマと胆力を持ってもらう必要がある。

なお橋下市長のパフォーマンスなどは、考慮に値する内容レベルが見えないので言及しない。
 
 
本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
 改善点は総括原価方式で世界に比較して高く設定されてきた電力料金を抜本的に見直して電力料金の引き下げを行うこと。一方、資源も土地も乏しい日本。今後の放射性廃棄物の処理を考えると、今以上の廃棄物の増加は食い止めるべき。クリーンエネルギーを一大産業として世界に打ってでるチャンス。
 まず改善点があるとすれば、今まで総括原価方式で世界に比較して高く設定されてきた電力料金価格を基本にして買い取りの料金が決まっていること。買い取り価格を適正化する意味でも総括原価方式の抜本的見直しによる電力料金の引き下げ努力が必要である。
 ただし一方、資源も土地も乏しい日本。今後の放射性廃棄物の処理を考えると、今以上の廃棄物の増加は食い止めるべき。そのためにも再生可能エネルギーへの転換は将来の日本の運命を決める最重要課題だ。
 またクリーンエネルギーを開発し一大産業として世界に打ってでるチャンスだ。震災と原発事故という21世紀に日本を襲った最大のピンチを大きなチャンスに変える覚悟が必要だ。
Q3. コメントする
 理想的と言われれば、風力、地熱、波力、水力•••等、電力の地産地消だろう。
 狭い国土の我が国、今後また原発災害が起これば人が住めない国土となることを正視しなければならない。過度に電力に頼った今までの生活を見直し、シンプルな生活に切り替える、まさに大きな転換点である。
Q4. コメントする
 資源と国土に恵まれない日本こそ技術立国を目指すべきである。
再生エネルギーの実現は日本の21世紀の輸出産業を支える核となる可能性が高い。過去の石炭、石油、原子力の時代からの脱却を図るべく、国内のすべての叡智を結集して世界のトップリーダーとなることを目指すべき。
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
再生可能エネルギーを推進するためには、「固定価格買取制度」のようなインセンティブが不可欠。
太陽光発電は、なかなか多くの家庭に普及しない現状からすると、このまま自然普及を待っていては、まったく推進できないことになってしまう。これを推進するためには、再生可能エネルギーの固定価格買取制度のようなインセンティブが不可欠。

住宅における太陽光発電が広がらないのは、その初期投資の負担のほか、将来になったら状況が変わるのではないかとの疑心暗鬼、そして、マスメディアがいろいろと疑問を指摘していることから、将来のリスクを考えて二の足を踏んでいる。実際のところがどうなのか、なかなか分かりにくいところもある。

いまだに、買取制度があるといっても普及が順調とはいえない状況からすると、さらなる推進策が必要かもしれない。
Q3. コメントする
発電と送電の分離は絶対に必要。そのうえで、各種の再生可能エネルギー事業を育成していくことが重要。それが新たな技術の開発を刺激・促進し、新たな産業を創出することにもつながる。

電力供給分野への外資系企業の参入を懸念する声もあるというが、競争を促進していくために、外資系企業の参入も大いに歓迎すべき。ただ、電力事業の安全性や公正な競争が行われるように、厳しく規律する必要はある。
Q4. コメントする
日本の電力供給において、再生可能エネルギーを中心になるように目指すべきである。

技術開発で知的財産権を獲得すれば、電気を輸出することができなくても、技術を輸出して外貨を稼ぐことができるだろう。そのためにも、出口の見えない原子力発電はほどほどにして、もっと広い視野から、地震国でもある日本の国情にあった発電・電力供給事業の発展を目指すことが必要。
 
 
夏野剛
慶応義塾大学特別招聘教授
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
これまでの原子力偏重主義による電源確保に対して、買い取り制度の導入により社会全体での再生可能エネルギー開発へのインセンティブが大きくなる。この分野での技術革新のスピードは非常に速く、発電単価の低下も十分に予想されることから、買い取り価格については、様々な再生可能エネルギーの中から競争力のあるものに合わせて低下させていき、効率の悪いものは自然淘汰されていくように設計すべきであろう。一方で、買い取りをしたくない電力会社は陰に陽に抵抗してくることが容易に想定される。このような抵抗に対する強い促進措置も必要となる可能性がある。
買い取り制度の導入はほんのスターティングポイントであり、実効的な運用ができるよう社会全体での状況ウォッチが必要だろう。
Q3. コメントする
昨今の国民感情、地元意識等考慮すると、既存原発の再稼働は可能であっても、新規立地はほぼ不可能であろう。となると、30年単位で見た場合、新しい電源開発は必須となる。そのためには、
①発送電の分離
②原子力から再生可能エネルギー(特に太陽光と地熱)への研究開発費の大規模シフト
が必須と考える。
世界一の自然エネルギー大国をめざし、その技術と運営ノウハウを世界に広めることで国としての競争力強化を目指すべき。
Q4. コメントする
まずはベース電力の供給を地熱で確保することを目指し、そのための技術開発と立地開発を官民挙げて取り組むべき。既存原発が順次廃炉になる今後30年間をかけて、順次ベース電力の地熱移行を進めていく。同時に蓄電技術、太陽光発電などについても技術開発を加速させ、将来的には現在の原発依存と同じ全電力の3割から4割の完全自然エネルギー移行を目指す。
 
 
石黒不二代
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役兼CEO
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
日本は資源小国。エネルギー自給率の低さも、そのまま経済の脆弱性に繋がっています。すでに顕在化しているわけですが、もっと外的要因で顕在化する前に手を打つべきであると考えます。
経済性といってもレベルの問題であり、だからこそ買い取り価格をいくらするかという議論が持ち上がりますが、それ以前に、日本はエネルギー自給率が低すぎます。欧米の経済を実際に目の当たりにすると、日本は著しく資源が少ない国だということを認識せざるをえません。経済の根幹であるエネルギーを依存しているということは、そのまま経済の脆弱性を意味します。つまり、エネルギー自給率は経済問題であるのです。これが大きく顕在化する前に手を打つべきだと思います。
Q3. コメントする
・エネルギー自給率の上昇
・供給側(電力会社およびその代替機関)への競争制度の導入
・プロダクトの種類の増加

すべて依存体質から抜け出すための方策、バランスのよい供給をめざします。
Q4. コメントする
再生可能エネルギーが結果として日本の電力供給に大きく位置づけられることを期待しています。私たちが脱原発に目覚めたのは東日本大震災という不幸な出来事が大きな要因でした。再生可能エネルギーを電力供給サイドだけではなく、新しい産業や安心できる生活の創造に結び付けていかなくてはなりません。投資を分散させず、新産業である再生エネルギーや代替エネルギーに集中すれば、日本がグローバルで覇権をとれる産業を生み出すことができます。それは震災を経験した日本がやるべきで他国であってはなりません。
 
 
枝廣淳子
環境ジャーナリスト
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
短期的には負担もあるが、中長期的な世界情勢や安全性を考えると、火力や原発に頼らないエネルギーにしていくために、いま力を入れることが必須であるため。
Q3. コメントする
高品質・大量・安定供給の電力が必要な産業用に比べ、家庭用に必要な電力のス
ペックは異なる。特に家庭用は、各家庭で発電できるように、また地域で融通し
合って供給の安定につながるような、社会インフラが必要である。
Q4. コメントを控える
 
 
若狭勝
弁護士
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
これからは、原発に頼らず自然再生エネルギーに依存した社会にすべきであるところ、その開発等に拍車をかけるには、こうした買い取り制度は大変に良いことです。
これもだめ、あれもだめでは、社会の健全な構築はできません。問題は優先順位だと思います。今後の日本社会で優先順位が高いものには、そこそこ費用がかかっても致し方ないところです。
その意味では、まさしく自然再生エネルギーの開発は優先順位が高いうちの一つですから、エネルギー自給率の改善のため、みんなで強くこの制度を推進すべきと思います。
Q3. コメントする
自然再生エネルギーによる供給が一番です。必要は発明の母です。原発の再稼働はやめて、国民は一定の期間、不自由に耐える。しかし、そういう状態であればこそ、一層、新たなエネルギーシステムの開発に勢いがつきます。
原発は、地震・津波もさることながら、テロの攻撃対象になっていることが懸念されます。自分の経験からして、テロは自然災害を上回る危険があるものと想定しています。この対処ができていない現状では、原発再稼働をあきらめ、自然再生エネルギーに早急に振り替える必要があると思います。
Q4. コメントする
自然再生エネルギーは、日本の電力供給において重要な位置づけになるし、なるべきだと思います。その開発は、国の最優先重要の施策課題とすべきです。日本人なら、すばらしいシステムを迅速に開発できるはず。国民をあげてその開発に力を注ぐ、それに尽きます。
 
 
稲増龍夫
法政大学教授
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
「経済性」の根拠自体、原発事故が起きないことを前提としているので、「再生可能エネルギー買い取り制度」が現状で多少は非効率でもやむおえないかもしれない。むしろ、原発を止めたままの背水の陣で、システムや技術の改善が進むことに期待したい。まずは「発送電分離」を早く進め、健全な競争原理を導入してほしい。
Q3. コメントする
原発については、安全確保のシステムが完全に整備されるまでは稼働させず、整備後は、「再生可能エネルギー」のつなぎとして再稼働するのは過渡期的選択として仕方ないだろう。
Q4. コメントする
確率論的に考えれば、大地震でもこない限り原発事故が再発する可能性は低いかもしれないが、重大な事故が起きてしまった現状を忘れて、安易に原発に回帰するのは避けるべきで、「再生可能エネルギー」は今は経済効率は悪くとも、将来の技術改善の進展も含め、長期的ビジョンで産業構造やライフスタイルの転換を目指すべきである。
 
 
にしゃんた
羽衣国際大学教授/落語家
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
電力に限らず、選択肢が無いことは、人間にとっての最大の貧しさである。
選択肢が増えることは、つまり私たちは幸せに一歩近づくことである。
Q3. コメントする
今までの電力供給は結局のところ、電力会社が儲かるようになっていた。再生可能エネルギーも同じ構図ではいけない。電気なんて、誰かが儲かるためのものじゃないハズ。だからこそ、電力会社は「公共性・公益性」を求めたられてきた。
日本におけるエネルギーにあり方に改めて公共性を求めたい。この時代、公共性を言うのは時代遅れ!?
Q4. コメントする
世界・アジアの再生可能エネルギー国家、No1になれ!
世界に原発ではなく、再生可能エネルギーの知恵を輸出を!

電力会社の、Co2排出が少ないなどそんな次元の話は、3.11までならまだしも、世界が恐怖に貶めた原発事故を経験した今、通じるハズがない。ましてや、Co2こそは出ないものの、大量の処理不可能な放射能廃棄物が出ていることも広く知る切っ掛けとなった。

エネルギーにおいて、私たちに次のステップへ進化する、まさに「ピンチをチャンスに!」の機会を与えられており、無視・素通りは今更出来ない。

原爆投下された国として「平和」を訴える使命が日本にあるなら、原発事故を起こした国として先頭に立って「再生可能エネルギー」を訴える使命もある。

「再生可能エネルギー」の位置づけは国家プロジェクトであることが望ましい。

電力のあり方が国家としての最大の課題である以上、政治家やメディアは自らの強みを生かし、国民の意識向上や新しい価値観の提供に努める使命を担なっていることも忘れてはいけない。
 
 
木村太郎
ジャーナリスト
Q2. 「1 - メリットの方が大きい」の回答理由
「電力の鬼」に聞け
「電力の鬼」松永安左エ門は、戦後日本発送電を9分割民営化すると同時に、電離料金を大幅値上げして電力事業の再建を果たした。
「再生可能エネルギー買取制度」は、標準世帯で月平均87円の負担増になるが、日本の電気事業の新たな展開のためには消費者の非難をものともしなかった松永の勇気と先見性が今求められている
Q3. コメントする
多様なエネルギー源の電力を効率よく、安価に提供するためには「発送電分離」と「スマートグリッド」の導入が不可欠。
Q4. コメントする
再生可能エネルギーは「太陽光」や「風力」だけではない。「地熱」「潮力」「バイオマス」等多様な可能性がある。
2020年までにエネルギー消費の20%目標のEUや、2025年までに25%を目標とする米国並みの普及がなければおかしい。
 
 
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2. デメリットの方が大きい

潮匡人
国際安全保障学者,拓殖大学客員教授
Q2. 「2 - デメリットの方が大きい」の回答理由
エネルギー自給率の改善は日本国にとっての課題ではあるが、私たちの生活には直接、影響しない。むしろ電気代が上がるデメリットの方が大きい。電力は公共性が高く、完全自由化に馴染まないとはいえ、少なくとも、買い取り制度と自由化は相反する。
Q3. コメントする
国としては、いわゆるベストミックスに尽きるが、生活を考えるうえで、なら、できるだけ安く、高品質な電力が安定供給されること。
Q4. コメントする
その比率を高めるべき、との方向性に、異論を持つ人はいないのでは。リスク分散の上からも、原子力であれ、火力であれ、特定の発電への依存度を過度に高めるべきでない。いまだ全体の消費に占める割合が低い再生可能エネルギーの普及を図るのは当然。特に海洋国家、火山国などの特性を活かすべき。
 
 
松田千恵子
首都大学東京教授/マトリックス株式会社代表
Q2. 「2 - デメリットの方が大きい」の回答理由
このままでは再生可能エネルギーという美名のもとに事業者のモラルハザードが起こる。
再生可能エネルギーへの代替を図っていくことに異存はない。そのうえで三点デメリットがあると考える。

(1) 買取価格が高すぎる。ドイツにおいて同程度の価格設定が既に失敗であるという明白な実験結果が出ていることに学ぶべきである。

(2) 民間事業者はこれまで再生可能エネルギーへの取組に対して補助金も得ているのに失敗し続け、その理由や現況に対する情報開示は殆ど無い。このままこれらを救うような価格措置を設けるのは、これまでのツケを国民に回して失敗を糊塗しているだけ。このままでは再生可能エネルギーという美名のもとに事業者のモラルハザードが起こる。現況に関する徹底的な情報開示を求めたうえで、モラルハザードを防ぐ仕組みの構築が必要である。

(3) 上記のような内容を、政府はまったく熟考していない。本件が閣議決定されたのは2011年3月11日である。可決したのは菅前総理が居直っていた時期であり、内容を吟味もせずに火事場にごり押しで通してしまっただけの法案である。3.11後の大局的なエネルギー戦略立案のもとに、国民の視点に立った内容の再考が求められる。今のままでは、既得権益だけを拡大し、国民に再生可能エネルギーに対しての忌避感(高負担ゆえに)を将来的に醸成しようとしているものとみられても仕方ないだろう。
Q3. コメントする
もういい加減に発展途上国型経済成長至上主義的な考え方は止めたらどうか。先進国がまだどこも打ち出せていない新しい国の在り方を真剣に考えられる良いチャンスであり、それが議論されればおのずから電力供給に対する需要も定まってくるだろうに、既得権益を失うことの怖さに前時代的なモデルにしがみついているだけのようにみえる。
Q4. コメントする
前述したような業者のモラルハザードなどの問題をクリアしたうえで、という条件付きだが、再生可能エネルギーが電力供給の有力な選択肢の一つとして存在していくことは重要と考えている。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「2 - デメリットの方が大きい」の回答理由
 再生可能エネルギー買い取り制度は消費者・利用者に企業補助金を負担させる悪質な仕組みだ。天然ガス火力を中心とする発電体制をまずは構築すべきだろう。そこでは安価な天然ガスを安定的に調達できることが前提となる。再生可能エネルギーは天然ガス火力発電の補完的手段でしかない。
 消費者・利用者の立場から見ると、買い取り制度は理不尽な仕組みである。本来ならば、生産者・供給者間の競争で価格は低下するはずだ。元々、日本の電気料金は世界最高水準である上に、さらに上乗せされるとなれば、消費税率の引き上げと相まって、消費者に過度の負担を強制してしまう。
 もちろん、理想は再生可能エネルギーで電力を100%賄う供給体制の構築だろう。原子力はそのゴールに至る中間方法として位置付けられていた。しかし、例の大惨事で原子力で電力の半分を賄うというシナリオは白紙撤回されている。結果として、中間的方法は液化天然ガス(LNG)火力、あるいは天然ガス火力ということになる。それを補完するのが石油火力と石炭火力、それに再生可能エネルギーである。発電源の主力をガス火力とした上で、補完的措置として石油火力、石炭火力、再生可能エネルギーを位置付ける視点がまずは重要である。幸い、日本の石炭火力の技術水準は世界最高級で、地球温暖化ガスの排出量は天然ガス並みに抑制されている。
 この際、ロシアの極東・サハリン地方から海底パイプラインを建設し、ロシア産の天然ガスを受け入れる方策も真剣に検討すればどうか。LNGは生産地と消費地とを点と点で結ぶだけだが、パイプラインであれば面状に広がっていく。要するに、日本が今求められているのは安価な天然ガス(LNG)の調達力の強化なのである。
 再生可能エネルギー買い取り制度のみが一人歩きすれば、消費者無視の形態が定着してしまう。一定価格の電気を電力会社が買い取り、コストを上乗せして供給すれば、一方的に消費者に負担をかけることになる。これは形を変えた企業補助金に他ならない。補助金を消費者が負担することになる。このような甘えの構造では企業間競争が軽視され、電力生産者はそれに相応しい企業努力をしなくなる。メガソーラー発電に参入する企業が相次いでいるが、姑息な補助金狙いに過ぎない。買い取り制度がなければ、参入する企業は皆無だろう。最近、再生可能エネルギー関連企業の株価が上昇しているが、それも買い取り制度に支えられていることを理解すべきだ。買い取り制度を導入せずに、再生可能エネルギーを定着させる方策を編み出すべきだろう。
Q3. コメントする
 発送電分離としばしば指摘されるが、それでは不充分である。電気の卸売市場と小売市場の整備を前提として、発電、送電、配電の三つの部門がそれぞれ分離されるべきだろう。それが直線的に電気料金引き下げを誘発するかどうかは断言できないが、少なくとも企業間競争を促進できるかもしれない。
 東京電力が1兆円の公的支援を受けるが、なぜ、東電は発電所を売却して、必要な資金を確保しないのか。電力会社は全体として、横並びで甘えの体質から脱却できていない。公共財を保持することに安住している。消費者・利用者の視点から電力体制を全面的に見直す必要がある。
Q4. コメントする
 向こう10年間は新規の原子力発電所の建設を凍結した上で、天然ガス火力を中心とする供給体制の構築が模索されることになろう。また、石炭火力についても、安価であること、地球温暖化ガスの排出を極力抑制した技術も開発されていることを考慮すれば、頭から否定すべきでない。天然ガス火力を補完する勢力として位置付けるべきだ。と同時に、再生可能エネルギーに関しても補完的位置づけとなろう。主力とするにはまだまだ乗り換えなければならない課題が山積している。たとえば、価格。電気は日常生活に不可欠なので、安価で安定的であることが求められる。現段階で再生可能エネルギーに過度な期待はできない。太陽光パネルを衛星で打ち上げ、マイクロ波で地上に送るシステムの構築は理想的だが、克服すべき経済的・技術的障害が数多くある。
 天然ガスを主力エネルギー源とすることを提案したい。ロシアからの大量受け入れとメタンハイドレートの開発で潤沢な天然ガスを確保できるはずだ。天然ガスは発電のみならず、日常生活のさまざまな場面で活用できる。また、天然ガスは液体燃料(GTL)にも加工できる。再生可能エネルギーの将来性は認めるが、用途の限定性と経済面では天然ガスに劣る。
 
 
小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「2 - デメリットの方が大きい」の回答理由
コストがかかりすぎる。多くの再生可能エネルギーはトータ
ルで見ると、資源の浪費であり、地球環境を破壊することに
なり、より罪深い。
コストがかかりすぎる。そして、太陽光をはじめ、多くの再生可能エネル
ギーはトータルで見ると、資源の浪費であり、地球環境を破壊することに
なり、より罪深いと思われる。
Q3. コメントする
ビルゲイツなどと一緒に、より安全な原子力発電のシステムを開発、それ
を使いこなす行政、社会システムを構築することが重要。
Q4. コメントする
あくまで話題性、政治的、メディア的な注目を集める客寄せパンダに過ぎない。
そもそも再生可能エネルギーというモノは存在しない。装置に多くの資源を使っているし、
地熱も風力も水力もすべて環境を変化させるものである。
 
 
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3. どちらでもない

山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
1、旧来の再生可能エネルギー技術だけで、火力、原発の供給量をすべて補い、まかなうことはできない
2、当面は再生可能エネルギー買取制度を推進するにしても、それだけでは十分ではない
3、たとえば「新エネルギー技術革新コンテスト」などで技術革新促進を具体的に推進すべき
特措法に基づきすでに始まろうとしている現時点で、買取制度のメリット&デメリットを論じるのは意味がない。全量買取制度と発送電分離などによる送電システムへの負荷状況も踏まえ、向こう一年程度買取制度の推移を見守り、課題の検証、評価が必要。それにより買取価格を含め特措法の再検討を図る必要がある。
買取制度推進と同時進行で国を挙げて取り組まなければならないのは、エネルギーにかかわる技術革新の促進。たとえば、全国の研究機関、民間企業、大学(高専も含む)などを対象とした「新エネルギー技術革新コンテスト」などを具体的に推進することが重要である。
Q3. コメントする
省エネ、節電はモラルとして国民に定着しつつある。それをさらにもう一歩進めるためにも、無理なく、楽しく、節電・省エネ生活をしている人たちを顕彰するなど、奨励インセンティブ政策を推進すべきである。
 
 
森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
原発事故のことを考えれば、再生可能エネルギーの育成は、国家的な政策となるべき。その観点からは、買い取り制度はきわめて有効な方法といえる。ただし、買い取り価格など中身は、不断の検証が必要で、少なくとも3年ごとに国民的な検証を行い、「買い取り価格」の見直しを行う必要がある。この価格の付け方次第で、メリット、デメリット両方が生じる。ドイツの経験からは、メリット・デメリットの双方が学べるので、あらゆる課題を学ぶべき。
Q3. コメントする
時間をかけても、原発の依存度を下げていくという方向は、変えるべきではない。それが、原発事故を起こした国の世界への貢献、メッセージの発信ではないか。
 
 
土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
再生可能エネルギーによる発電で、技術革新が促されてより安価な電源となるなら、買い取り制度にはメリットがある。しかし、技術革新が促されず漫然と買い取り続けるままなら、非効率な発電に事実上の補助金を出して温存するだけで、無駄な公共事業も同然の結果に堕する。そうならないようにするべきだ。
再生可能エネルギーによる発電で技術革新を促すには、買い取り価格を時限を決めて段階的に引き下げてゆくことを事前に決め、既定の買い取り価格を既得権益にしないようにすべきである。
Q3. コメントする
原子力発電であれ、再生可能エネルギーによる発電であれ、より安価で安定的な電力供給が理想といえる。それゆえに、再生可能エネルギーによる発電がどこまで安価になるかがカギとなる。
Q4. コメントする
脱原発を経済性の面からも妥当なものにしたいなら、再生可能エネルギーによる発電で、原子力発電よりも、ないしはそれと伍するほどに、安価な電力供給ができるよう、技術革新に取り組むべきである。
 
 
飯田泰之
明治大学政治経済学部准教授
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
買い取り制度はよい.問題は発電方法別の買い取り価格設定だ.
固定価格買い取り制度は再生可能エネルギー普及のために非常に重要だが,現在の全量買い取り制度は全く間違えている.コストに利潤を乗せる方法では高コストの発電方法の設置が優先されてしまう.

発電方法によらない固定価格買い取り制度と買い取り価格の5年ごとの見直しによって,低コストで可能な発電方式を各供給者に選択させるべき.
Q3. コメントする
原子力発電所はリスクを含めるとコスト計算ができない.少なくとも,現実の問題として「いやなものはいや」という感情をはねのけるだけの圧倒的なコスト優位があるわけではないことは明らかだ.

小規模水力・火力発電所・再生可能エネルギーのミックスへの時間をかけた移行が望ましい.

買い取り制度をにらんだ再生エネの新設がすでに原発2基分に到達しようとしている.10年後に再生可能エネルギーによる発電が原発の発電量を代替し,それによって原発の順次廃炉を目指すべき.

将来の廃止時期を決めた上での再稼働
火力発電所の拡大
再生可能エネルギーへの移行
という順序で脱原発に向かっていくべきだろう.
Q4. コメントを控える
 
 
諸葛宗男
東京大学公共政策大学院特任教授
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
エネルギーを如何に確保するか、は国の存続、文明の存続にとって最重要課題であることは歴史が証明している。至近の第2次世界大戦に我が国が参戦する破目に至ったのは、列強から石油供給を断たれたためである。古くはローマ帝国が滅亡した原因も、当時のエネルギー源だった木材を確保するため、森林伐採が進み、土壌が痩せて食料確保がままならなくなって、兵力が衰え、外敵の侵入を防げなかったためと言われている。

エネルギー源が木材から石炭に、さらに石油に代わって約1世紀が経った今日、その文明を支えてきた石油資源にも限りがあることが解り、さらに地球温暖化と言う環境制約も明らかになってきた。
いまや、どのエネルギー源をどれだけ使おうか、と言ったのんびりした議論をしている時ではない。国の生き残り、文明の存続をかけて、可能な限り、環境制約を守りつつ全てのエネルギー源を動員しなければならない段階に至っている。

その現状認識に立てば、完全な国産エネルギーである再生可能エネルギーを最大限活用しなければならないことは当然のことである。国土が狭い我が国で広大な面積を必要とする太陽光や風力をどれだけ増やせるかは容易なことではないが、再生可能エネルギー比率を一定程度に高めることは、国の生き残りのために必須なことである。
したがって、それを政策的に後押しする、固定価格買い取り制度は生活にどう影響するかの次元で論ずることはナンセンスである。
Q3. コメントする
問2の回答に述べたとおり、現在の我が国が置かれた状況は、どのエネルギー源を選択するか、という自由選択権は全くない。化石燃料は環境制約が大きい上に、資源量の限界があり、調達価格が法外に高騰しており、原発停止による追加調達費用だけでも今年は約3兆円にも達している。再生可能エネルギーはFIT制度による政策的後押しを行っても、電力供給量がまだ少ないので、停止している原発の穴埋めとしては、とてもカウントできる状況ではない。仮に原発を次々と再稼働しようと思っても地元自治体の了解取得が難関なので、いつまでにどれだけ再稼働できるか、という計画を立てることは難しい。
 この状況は当分継続すると考えられるので、「理想的な電力供給」などというのんびりした議論を行うことはナンセンスだと考えます。

(付記)
理想的な電力供給とはS2E2を満たすものでなければならない。S2E2とは2つのSと2つのEのことである。2つのSは安全性(Safety)と安全保障(Security)である。生活や社会・経済活動を脅かすような危険なものであってはならないし、停電の不安がないよう、安定的に供給してもらわなければならない。2つのEとは、地球環境問題(Environment)と経済性(Economy)である。子供や孫の世代が安心して暮らせるよう、地球環境を守ることは忘れてならないし、電力料金は我々の生活や経済活動に支障が生じない水準を維持することが必要である。
Q4. コメントする
我が国は70年代まで化石燃料に過度に依存していたが、石油ショックによってエネルギー安全保障と経済性の重要性を身に沁みて認識させられた。その反省に立って、原子力比率を30%まで高める一方、石油の電力供給に占める比率を10%まで低くし、S2E2の条件を満たす電力供給が行われてきた。このため、2008年に原油価格が1バーレル当り125ドルに高騰するという、石油ショック以上の価格変動があった時でも、我が国は社会・経済活動に大きな影響を受けることがなかった。再生可能エネルギーの比率が低くても余り困ることがなかったのである。
  ところが、今回の福島第一原子力発電所事故で30%を占めていた原子力がすべて停止すると言う事態に見舞われた。その穴埋めをしようにも、火力発電比率を増やせばひとつのSと一つのEが満たされない。すなわち、供給不安定な化石燃料に過度に依存すれば石油ショック以前のようにエネルギー安全保障(Security)が脆弱になり、CO2排出量削減目標が達成できなくなって、地球環境問題(Environment)が疎かになる。
  S2E2の目標を維持しつつ、エネルギー供給体制を改善しようとすれば必然的に再生可能エネルギー比率を高くするしか道はないのである。再生可能エネルギーならS2E2が満たされるか、を検証する。運転ではCO2を排出しないから、地球環境問題のEは満たされる。安全性のSもこれまで大きな事故が起きた報告もなく、問題ない。課題の1つは安全保障のSである。供給能力が天候に依存するため、変動が避けられない。風力比率が高いスペインやデンマークでは効率の高い複合火力発電によりバックアップし、変動対策を行っている。気象予報の精度を高め、あらかじめバックアップの準備指示を出す等の工夫を行って電力供給の安定性を維持しているのである。我が国もこのようなシステムを準備することにより再生可能エネルギーの安全保障のSはクリアできる。最後の課題は経済性のEである。現在の再生可能エネルギー価格は原子力や火力に比べると何倍もコストが高いが、数多く建設されるようになれば大幅にコストが低下することが期待される。このため、我が国は今年度から固定価格により電力会社が再生可能エネルギーによる電力を買い取る「固定価格買い取り制度(FIT)」をスタートさせる。今年度は太陽光の電力は42円、風力の電力は大規模の場合、約23円、小規模の場合、約58円で買い取ることになっている。買い取り価格が高くなる分だけ電力料金が押し上げられることになるが、まだ量が少ないので電力料金への影響は限定的である。量が多くなってくれば買い取り価格も引き下げられることになり、電力料金への影響は抑えられる予定である。これにより経済性のEも概ねクリアされる。
 再生可能エネルギーはこれらの対策によりS2E2の目標が満たされることになり、今後大幅に増加することが期待される。
 一方、原子力については、今回の事故の教訓を活かし、野田総理が繰り返し世界に向けて公言している通り「世界で最も高い安全性を実現」させることにより、安全性のSがクリアされ、国民の納得が得られれば、安全保障のSとE2は満たされるので、一定の比率で活用していくことが科学合理的な考えなのではないかと考える。
 
 
熊谷亮丸
大和総研チーフエコノミスト
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
中長期的に「太陽光バブル」が発生する可能性があり、要注意である。
「再生可能エネルギー買取制度」は、再生可能エネルギーの普及を助長する意味で、基本的に好ましい制度である。ただし、太陽光発電の42円/1kwhという買取り価格は高すぎるのみならず、算定根拠が曖昧である。市場原理を歪められる結果、中長期的に「太陽光バブル」が発生する可能性があり、要注意である。
Q3. コメントする
「経済合理性(供給の安定性等を含む)」と、「安全性」のベストミックスを追求すべきである。
Q4. コメントする
将来的にはエネルギー供給の中核を占めることが期待されるが、相応の時間がかかるだろう。政府には、民間部門の活力を上手く引き出すような、電力供給システムの制度設計が望まれる。
 
 
岩渕美克
日本大学法学部教授
Q2. 「3 - どちらでもない」の回答理由
 過渡期としての制度策定は評価しますが、問題点はないわけではありません。国民的議論に発展させるための手段としての制度設計は良しとせざるを得ないかもしれません。
 再生エネルギー買取制度の制度としての是非を論じる前に、現在の日本で行われているエネルギー政策について考えなくてはならないと思います。国策として推進されてきた原発は、今回の東日本大震災というよりは津波によって安全性神話が崩壊されました。したがって国策そのものの見直しの必要性が生じたわけです。メディアなどでは株主総会における猪瀬氏や橋下氏の発言を取り上げて報じていますが、もちろん東電や関電などの独占を享受してきた電力会社に問題があることは間違いありませんが、そのことを論じる前に、もっと政策面での決定を論じなくてはなりません。したがって、脱原発も含めてエネルギー政策の見直しを早急にはからなくてはなりません。
 私見ですが、再生エネルギーへの移行は必要だとは思いますが、当面は原発に依存しなくては日本の産業に大きなデメリットが出てくるでしょう。共存しながら依存度を下げていかざるを得ないと思います。その意味では再生エネルギーの意識を国民に植え付ける試みとしての買取制度は、もろ手を挙げて賛成するわけではありませんが、一定の評価をしたいと思います。
Q3. コメントする
 電力会社の独占・寡占は、安定的供給を可能にする反面、企業エゴによる弊害を生み出す危険性を秘めていることが今回の一連の出来事で明らかになりました。その意味では発送電の分離などの様々な手立てを打つ必要性と必然性はあると思います。
 その上で多様で、安全な供給源を確保することが急務です。安定に目を向ければ原発は必要ですし、安全性などの重く受け止めれば再生可能エネルギーの研究はますます重要度が高まるでしょう。ゆくゆくは原発の依存度を減らして再生エネルギーの割合を増やすべきだと思います。
Q4. コメントする
上記と同じです。安全な供給源を確保することが急務です。安定に目を向ければ原発は必要ですし、安全性などの重く受け止めれば再生可能エネルギーの研究はますます重要度が高まるでしょう。ゆくゆくは原発の依存度を減らして再生エネルギーの割合を増やすべきだと思います。
 
 
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