2011年12月29日 知りたがり!で放送
政治・政策

「消費税二段階引き上げ案」

政府・民主党の税制調査会で『2013年10月に消費税率を8%、2015年4月に10%』という二段階引き上げ案を軸に、素案の取りまとめが行われていると報じられています。

消費税増税については、日本の社会保障制度の維持や財政健全化のためには、やむを得ないという見方がある反面、増税が東日本大震災後の国内需要を落ち込ませ経済成長のブレーキとなるという懸念のほか、消費税は滞納が比較的多い(消費税収 約10兆2千億円に対して、滞納は3千3百億円(平成22年度))という指摘もなされています。また「税と社会保障の一体改革」の素案骨子に明記されると報じられている『歳入庁』を、増税前に新設すれば、税と社会保険の徴収の一体化による業務の効率化と徴収漏れの縮小によって、数兆円から10数兆円の増収を見込むことができ、消費増税を急ぐ必要性は低いという指摘もあるなど、その見解は様々です。

一方、民主党内では、現在のところ、民主党議員のおよそ1/4、約100名の議員を集めたという「新しい政策研究会」、約30名の議員による「消費増税を慎重に考える会」が増税に反対し、若手議員数名が離党の動きをみせるなどの対立があります。予期しない経済状況となった場合には増税の執行を停止する「執行停止条項」や、国会議員の定数削減や公務員制度改革などの行政改革とセットで増税を進めることなどを素案に含めることで、「反対」していた議員の一部が「条件付き反対」に変わったという指摘もありますが、明確に反対表明をしていない中にも、公約にはない増税に抵抗感を示す民主党議員が存在すると思われ、野党による反対も合わせ、法案化に向けての先行きは予断を許さない状況です。

こうした状況下、これからの国家の形を設計する基本政策ともいえる「税と社会保障の一体改革」の中で、先行する形で議論されている、消費税増税の二段階引き上げ案をどう捉えればいいでしょうか。
オピニオンリーダーの皆さまのご意見をお聞かせください。
痛み伴う政策にこそ「信頼」を生む議論を!

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:政府による消費税増税の二段階引き上げ案
『2013年10月に消費税率を8%に引き上げ、2015年4月に10%とする』を
どのように評価しますか。
Q2:問1の回答理由をお聞かせください。
Q3:現在の消費税に関わる論議について、欠けている視点・論点があるとすれば、どのようなものでしょうか。ご意見をお聞かせください
回答の要点
政府による消費税増税の二段階引き上げ案について、
コンパス・オピニオンリーダーからの回答は、
評価できる方向(13回答)と、評価できない方向(12回答)に大きく分かれています。

「評価できる」「まあ評価できる」という回答では、
財政状況から見て、増税は不可避であるという指摘などが寄せられています。
一方、
「あまり評価できない」「評価できない」という回答では、
歳出削減の道筋が見えないままの増税には納得しかねるという意見のほか、
経済状況を見極めながら総合的かつ緻密な検討が行われるべきという
見解などが寄せられています。

今回、オピニオンリーダーの回答全体に通じているのは、将来像が示されないままに、
議論が増税という枠の中で行われていることへの懸念です。

より広い視点から、政府と国民の間に信頼をつくるための真摯な議論が求められているようです。

視聴者の皆さまのご意見をお待ちしております。
《コメントを投稿する》から、ご意見を投稿ください。

オピニオンリーダーの回答

( 29件 )
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1. 評価できる

小幡績
慶應義塾大学ビジネススクール准教授
Q2. 「1 - 評価できる」の回答理由
国債暴落を回避する、唯一の方法だから。
Q3. コメントする
最終的な消費税率がどのくらいになるのかの見通し。年金を真に改革し、医療も介護もやるとなると、かなり多くの税収が必要。一方で、社会保障以外の恒常的歳出のためにも税収は必要であり、今後、日本の金融資産が民間セクターや海外へ流出することが必至であるため、現在の借金も多少は返済する必要がある。つまり、毎年度の赤字を補い、過去の借金を少しは返済するとなると、社会保障以外にもかなりの消費税が必要で、30%などという持続不可能な(経済が大幅に停滞する)ものになる可能性が高い。そこの全体のデザインを示していない点。
 
 
木村太郎
ジャーナリスト
Q2. 「1 - 評価できる」の回答理由
橋本政権以降の各政権が必要と知りながら先送りしてきた課題を、野田政権が断行するのは評価しなければならない。
Q3. 回答を控える
 
 
森信茂樹
中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員
Q2. 「1 - 評価できる」の回答理由
社会保障を効率化・充実させることと、その財源を赤字国債でなく税財源で確保すること(財政再建)は、超高齢社会への対応と国際投機から、わが国経済を守るために、重要かつ緊急度合いの高い政策であるから。
Q3. コメントする
国会議員定数の削減と議員歳費の削減、国家・地方公務員給与の削減が必要なことは自明の理で、これができていないから消費税増税はダメ、というのは消費税引き上げを回避したい民主党議員の「先送り」である。
本当に議員削減等が必要と考えているのなら、自ら汗をかいて、消費税増税と議員定数削減や公務員給与削減とをパッケージとした「社会保障・税・行財政一体改革包括法」を来年3月末までに合意・国会提出すべきだ。それができず、危機意識や当事者意識もなく言い訳ばかり言う国会議員には、議員の資格はない。
 
 
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2. まあ評価できる

伊藤惇夫
政治アナリスト
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
我が国の財政状況、人口構成の推移、国際社会の変化の中での日本の立ち位置等からみて、方向性としては仕方がない。
Q3. コメントする
「一体改革」といいながら、その先の「国家ビジョン」が提示されていないことは問題。10年、20年先の日本をどういう社会にしていくのかという「目標」設定があった、その手段としての「改革」のはずが、それ自体が目的化している。財務省の「帳尻合わせ」に終わらせてはいけない。ここで失敗したら5~6年は手がつけられなくなる。そうした状況こそが日本の危機につながる。
 
 
竹中治堅
政策研究大学院大学教授
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
いきなり倍の10%に引き上げるのでは衝撃も大きいので、段階的に引き上げることは賛同できる。もう少し小刻みに、2012年10月から6%、2013年10月に7%、というように毎年1%ずつ引き上げていくことも検討するべきである。
Q3. コメントする
財政再建というとともすれば歳出カットか歳入拡大の方策ばかりかたられるが、日本銀行の金融政策とセットで語られるべきである。バブル経済崩壊後、日本経済が低迷し、税収が伸びなかった背景には日銀の金融政策が十分緩和的でなかったのが大きな要因の一つとしてある。財政再建と金融政策の関係についてさらに議論すべきである。
 
 
山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
増税しなくて済めばそのほうが良い。しかし、国の借金が増え続けている現状でこれ以上増税を先延ばしすることは許されず、放置すれば国家の破綻は目に見えている。しかし、どんな理由があっても増税には痛みが伴う。痛みを少しでも和らげるために段階的引き上げもひとつの方法である。
Q3. コメントする
ただ金が必要だから増税というのではなく、政府や政治家は将来のあるべき国家像を示すべきである。このまま、泥沼のように増税を繰り返さなければならないのか。そして、10年後、20年後に日本という国家の形がどうなるのか、超高齢化時代の社会保障や国家が目指す方向を具体的に国民に説明しなければならない。トンネルの先に少しでも明かりが見えれば、苦難を分かち合い耐えることはできる。
 
 
若狭勝
弁護士
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
破綻状態にある日本財政。時間の猶予は全くない。鶏が先か卵が先かの議論では日本は沈没する。増税とともに、議員定数の削減等の歳出削減を合わせて断行することが唯一生き残れる道。
Q3. コメントする
今の財政状態に対する認識を共有すべく、既に危機的状況を通り越している破綻状態にあることを、なお一層誠意を持って総理が説明する。そうすれば、猶予が許されない状態であることを共通認識として持て、そこをスタートすべきである。ただ、表現ぶりとして、国債等の暴落につながることに留意して工夫する必要はある。
 
 
海老原嗣生
株式会社ニッチモ代表取締役 HRmics編集長
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
最終的にプライマリーバランスを整えるためには、もうどうしたって増税をせざるを得ない。世代間の負担公平性なども考えると、消費税アップは避けて通れないこと。
多くの政治家がこの話題を避けてきた。野田さんは、党総裁選の時から「消費税アップ」を言明してきたこと、そしてそれを何とか実現しつつあることは評価に値する。
Q3. コメントする
野田さんへの批判ではないが、民主党が政権に就く前に話していた、「特別会計の改革で16兆8000億円が捻出可能。だから増税は不要」という話はどうなったのか。この件にきっちりケリをつけて、「ごめんなさい」をすべき。8月に赤字公債発行に際し発した「お詫びコメント」では甘すぎる。なぜなら、特別会計には大規模に圧縮できる余地がほとんどない、ということが明らかにされていないから。
マスコミも財務省の発表する「特別会計のはなし」を精査してほしい。200兆円もある特別会計と額だけが一人歩きしているが、この半分は国債借り換えに伴い一時的に通過していくだけのお金。残りのうち、社会保障(年金・保険)関連が50兆円。いわゆる「通り過ぎていくだけ」のお金で4分の3が消える。この他にも、地方交付税なども、「一時的に通り過ぎていくお金」として、ここを通る。こうした見せ金を省くと、裁量的な予算は10数兆円しかないという現実。つまり、どう転んだって、大がかりな財政改革は、特別会計から発することはできない。なぜ、この事実を民主党は話さないのか。政権を獲るためだけに、こんな大ウソをついたことを詫びるべき。そうしないと、第二・第三の「マニフェスト詐欺」が起きてしまう。
 
 
山田秀雄
弁護士
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
現在の日本の財政状況は危機的であり、国民が歯を食いしばって増税を受け入れなくてはならない。もちろん、無駄を減らしていく努力は並行して行うにしても増税はやむなしと考える。しかも所得税や相続税で富裕層や資産家にこれ以上の負担を強いるのは問題。薄く広く税を課すとすれば消費税しかないだろう。二段階増税は一種のレトリックだろうが本質的な問題ではない。
Q3. 回答を控える
 
 
石川和男
社会保障経済研究所代表
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
消費税が短期的な景気動向に大きな影響を与えることは間違いない。今の景況感が今後しばらく続くだろうとの想定の下では、段階的に行う「刻み」を更に細かにしていく方が望ましい。(もちろん、課税コストを最小限に抑えるための工夫を可能な限り行うことが前提。)
Q3. コメントする
少子高齢化が進む我が国において、国の役割として最も重きを置くべきは、現役世代(特に若年層)に対する政策。現役世代の「元気」なくして、国の維持・発展はあり得ない。それによって経済も社会も活力を維持できる。消費増税分の全額を社会保障に充てることには賛成するが、その資金使途が現役世代に回るようにするとともに、それをきちんと明示すべし。保育・学童・介護・医療など少子高齢社会を支える各サービス産業に現役世代がこぞって職場として選ぶような報酬体系や業務体系を確立させることが必要。消費増税も含め、増減税政策は何らかの政策誘導のための道具であって、それ自体が目的ではない。増税収の資金使途や増税収の歳出規模が現役世代の将来への大きな投資になるということが現役世代にすぐに理解できるような絵姿を同時に明示すべし。
 
 
石澤靖治
学習院女子大学長
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
 日本がGDPの2倍の規模という世界では類のない巨額の公的債務を抱えながら、ギリシャやイタリアのようには国債が暴落しないのは、日本では消費税率を上げる余地があり、それによって公的債務の増加に歯止めがかけうるという前提で見られているからである。それが不可能であるということになれば、ほどなく、日本国債と円は暴落するだろう。事実上財政が破たんしている中で、消費税上げは当然のことである。
 消費税率をアップすると、経済弱者へしわ寄せが行くということが指摘されるが、それについては2つの点を言っておきたい。一つはそれに対しては税金の還付を行うことで対処できるということ(その手法には注意を要するが)。もう一つは、消費税を上げずに日本国債・円が暴落した場合には、日本は悪性のインフレに陥ることが予想される。そうなった場合に最も被害を受けるのは所得の低い人たちであり、それに対して政府は対応できないだろう。国民を守ろうと思うのなら、消費税アップは当然すぎることである。
Q3. コメントする
 民主党の議員たちが、「マニフェストを守るべきだ」とか「経済に悪影響を及ぼす」などという理由で、消費税率アップに反対しているとして、そのコメントがそのまま報じられているが、そうだろうか。消費税をアップすることで、自分たちの次の選挙に逆風になるから反対しているのではないだろうか。少なからぬ国民もそう感じていると私は推測する。
 政治家として日本のことを考えるのであれば、消費税を上げるべきであり、その必要性を説得することである。もし自らの議席を守るための消費税反対であれば、それは欺瞞である。このことは民主党だけに言えることではない。野党もこの問題については踏み込んだ発言をしていない。国民を考える政治家であり政党であるならば、消費税率アップを言及すべきである。もしそうしないのであれば、そうしないですむ理由と、今後の日本経済と将来像と財政の処方箋を具体的に示して欲しい。
 
 
藤巻健史
株式会社 フジマキ・ジャパン代表取締役社長
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
明日にでも入札での未達(国債を完売できない)が起き、財政破綻が起きそうなときに2段階上げなどという悠長なことをいっている暇はない。
政権与党ならば少しでも、財政破綻回避の道を探るべき。人事を尽くすのが政治家だ。

といいながらも、財政破綻は不可避である。
今年44兆円の国債発行(借金)を計画しているが、借金は借りると言っても貸すお金がなければ借金は出来ない。
その貸すお金がもう枯渇してきている。個人金融資産がこの10年全く増えていないからだ。今までは不景気で融資がが減った分で金融機関が国債を買っていた。しかしやりくりだけでは、もう新規の国債を買うお金はない。
さらに、今は金利がほぼ零だからよいが金利が上昇し始めたら、1000兆円の金利支払いはとんでもない金額となる。
すぐにではない、とはいえ1%あたり10兆円の金利支払い増だ。5%金利が上がれあれば50兆円の金利支払い増である。
(来年度の歳入予想は46兆円でしかない)

金利が上がる前に元本を減らそうと思っても1000兆円の借金は10兆円ずつ返しても100年かかる。
来年度46兆円の歳入に対して36兆円まで歳出を減らしてやっと10兆円が浮く。それなのに今年は90兆円も使おうとしている。
200年たっても300年たっても返せっこない。
36兆円の歳出におさえるのなら年金、健康保険等社会保障費はすべて廃止である。

それがいやなら消費税上げしかない。44兆円の今年の赤字を解消したうえに10兆円辺足するには消費税をただちに35%にしないといけないが、それは財政破綻のようなショックがないと国民が受け入れないだろう。
だから破綻は不可避だと私は言っている。国債未達に伴う社会混乱の鎮静化のため日銀が禁じての国債引き受けを始めるだろう。
それによりものすごいインフレが起こる。
1000兆円の借金もタクシー初乗り100兆円の時代になれば、国の借金1000兆円は実質なしになる。
この解決方法(ハイパーインフレ)しかこの巨大な借金を消す方法は無い。
これは国民の財産の没収と言う意味で、まさに大増税と同じである。

だからと言って、政治家が何もせずに今の事態を放置するのは職務放棄である。
破綻回避の可能性はごく小さいが小さな可能性を信じて国の混乱を避けるよう最大限の努力するのが政治家の役目である。
Q3. 回答を控える
 
 
米倉誠一郎
一橋大学イノベーション研究センター教授,同センター長
Q2. 「2 - まあ評価できる」の回答理由
全体ビジョンの無さ、発表の仕方、夢や希望とワンセットになっていない点などどうしょうもないが、消費税増税を日程に上げた点は今後の議論活性化にとって評価出来る。
Q3. コメントする
財政破綻国家であるから、日本に於ける消費税増税は当然である。
しかし、将来ビジョンと「鞭に対する飴」の用意がなければが、
日本経済に元気は出ない。日本政府が伝えるべきメッセージは、

1)この不況下と震災復興が重なるタイミングにあって、2013年まで増税しないという強いメッセージなのである。したがって、2012年中に復興需要を通じた辺から強い経済回復とあらゆる分野のスマート化を実現し、その上で2013あるいは14年から増税に入っていくというビジョン提示が必要である。まるで、何よりも先に増税ありきといったメッセージになっているのが情けない。

2)また、消費税上げ前に大幅な駆け込み需要を喚起し、しかも日本経済を強くするようなインセンティブ・パッケージを用意することが重要である。企業のスマート技術(省・新エネルギー)開発に関する研究開発投資優遇策(加速度減価消却など)、国内工場維持のためのインセンティブ税制、より良く設計されたエコポイントの導入、環境車・スマートハウス購入に対する減税、オフィス・住居のスマート化に対する奨励金あるいは減税などを用意して、国内需要を大きく喚起しながら、日本経済を長期的な成長軌道に乗せる施策の重層的実行である。こうすれば、2013年までに日本経済は脱原発・脱炭素社会のリーダーに変身し、そこで開発されたイノベーションはすべて新興国へ輸出可能となり、まさに世界は日本を見直すこととなると思う。

3)さらに、増税に当たっての国会議員定数の大幅削減や無駄な歳出の大幅カットなど自らも襟を正す姿勢が重要である。国民に苦難を強いるときは、政治家は自ら血を流さなければならない。
 
 
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3. あまり評価できない

夏野剛
慶応義塾大学特別招聘教授
Q2. 「3 - あまり評価できない」の回答理由
現在の税収構造と税収規模を考えると増税は忌避不可能であり、その中でも消費税の上げ余地は 他の先進国に比べても大きい。感情的に国民が反発し易い消費税率の引き上げを政権が反発を覚悟であえて主張していることは評価できる。ただし二段階引き上げの必要性はまったく理解できない。むしろ8%という中途半端な税率は計算のしにくさや小銭の煩雑さを増し、感情的反対派に対する小手先の懐柔策とも見える。POSレジの対応や税額計算という観点からも、一段階引き上げにすべきと考える。
Q3. コメントする
①公務員の徹底削減や徹底効率化、予算制度の根本からの見直しといった歳出側の努力が足りない、
②計算しにくい8%という二段階引き上げの必要性が疑問、
③経済縮小下における日本の進むべき道(新しい成長戦略)という基本政策が提示されていないどころか、議論もされていない、
など、説得力に欠ける点が多々ある。
消費税増税という「正論」を貫き通す覚悟があるのであれば、議員定数の削減、公務員の削減、予算の大幅な組み替えなども正論として聖域なく議論し改革、改善し、増税への国民の理解を深めるべきと考える。
 
 
坂東眞理子
昭和女子大学理事長
Q2. 「3 - あまり評価できない」の回答理由
それよりも歳出努力が見えないのが気がかりです。復興という大義名分を得て大喜びで予算をばらまいているように見えます。
行政経費はもちろん無駄が多いので削る余地は多々あります。しかし国民に痛みを強いるなら、政治家がまず自分たちの身を削らなければ誰も受け入れません。政治的に一番難しい定数削減には時間がかかるかもしれませんが、総額で国会経費3割減として、政党助成金、議員歳費、国会職員、政策調査費、海外視察費、公設秘書などを削ることをただちに実行すべきです。
熊本県知事の蒲島郁夫さんも率先垂範で知事報酬を9割削減して行政経費の削減に取り組み成功しました。
Q3. 回答を控える
 
 
山田昌弘
中央大学教授
Q2. 「3 - あまり評価できない」の回答理由
消費税を上げることは賛成である。率もいいと思う。
しかし、子ども手当が廃止され、ダムが復活する。コンクリートから人へ、税と社会保障の根本的改革といいながらほとんど変わらない。まったく政策が逆行している中、消費税を上げることには反対。単に、今まで通りの制度が継続し、消費税だけが高くなる。そんな社会に希望はあるだろうか?
Q3. コメントする
単に額の帳尻あわせに終わっている。
税収や保険料などがどれくらいで、増えた分の使い道はこのようになるというモデルを出さずに、議論されている。
 
 
吉崎達彦
株式会社 双日総合研究所副所長主任エコノミスト
Q2. 「3 - あまり評価できない」の回答理由
消費税増税にはもっと精緻な議論が必要。現状では、「足りないから上げさせてください」「その前にもっと身を削れ」というだけに終わっている。特に増税をお願いする側が、あらゆる懸念を想定して疑問に答える真摯な姿勢が必要であるはず。今のような粗雑な態度では、通るものも通らなくなってしまう。
Q3. コメントする
かつて竹下内閣は、消費税導入に当たって下記の「6つの懸念」をみずから提起した。

第1の懸念=逆進的な税体系となり、所得再分配機能を弱めるのではないか。
第2の懸念=中堅所得者の税の不公平感を加速するのではないか。
第3の懸念=所得税のかからない人たちに、過重な負担を強いることになるのではないか。
第4の懸念=税率の引き上げが容易に行われるのではないか。
第5の懸念=事業者の事務負担が極端に重くなるのではないか。
第6の懸念=物価を引き上げ、インフレを招くのではないか。

上記のうち、第1(逆進性)と第3(低所得者の負担)は今も重要な論点であるし、税率を上げれば第5(事務手続き)もまた問題になってくるだろう。
今回はさらに下記の6点の懸念を追加してみたい(順不同)

○税率を上げた瞬間に生じる駆け込み需要と反動減による歪みをどうするか。
○欧州債務危機などにより、急速に景気が冷え込んだ場合にどう対応するか。
○エネルギーや自動車などの二重課税を見直すべきではないか。
○公共交通や医療サービスには軽減税率が必要ではないか。
○被災地の復興に影響が出るのではないか
○税率の上げ幅とスピードはどの程度が適当か。

用意周到な論議を期待したい。
 
 
鈴木豊
青山学院大学大学院会計プロフェッション研究科教授・公認会計士
Q2. 「3 - あまり評価できない」の回答理由
12年度の予算案を見ても、国民・納税者の最も気にしている、又は最も批判している歳出のムダをほとんど見直していない現状では、消費税増税を進める与党・政府の手法には納得いかない。やるべきことは、①ムダの歳出削減、②剰余金・積立金等の出来る限りの取り崩し、③不用資産の売却・移転、④公務員・議員の人件費・経費の削減を実行することによって増税率の圧縮を行うべきである。
Q3. コメントする
内閣・政府・議員・自治体関係者及び税金・公金歳出額に対する利権・権益関係者が、国民・納税者・将来世代の負担を強いられる気持ちを公平的・倫理的に深く感じるような教育・思想・メディアを育てなければ、財政・行政活動に将来の希望がもてなくなることを国民・納税者は、すでに気がついていることを認識しなければならない。
 
 
山崎元
経済評論家
Q2. 「3 - あまり評価できない」の回答理由
消費税に関する議論を整理すると、
現時点に近い将来でのその可否について、
(1)経済状況にとって増税が適切か?
(2)税の中で消費税のウェイトを増すことが適切か?
の二つに分けて考えるべきであり、
その次に、
(3)仮に消費税率を上げる場合にどのような手順・方法であるべきか?
という問題があります。

これらについて区別せずに、
「財政再建は急務だから消費税率を引き上げるべし」とか、
「消費税は逆進的(比率的に低所得者の負担が重い)からダメ」とか、いうような意見は適切な議論につながりません。

上記(1)〜(3)に対する私の意見は以下の通りです。

(1)現状の日本はデフレであり低金利で、且つ失業率は高い。
目下の低金利・デフレそして、その結果としての円高は、
財務省の喧伝と異なって、
金融市場では「日本国政府の債務」に対するニーズが高く、
信認も高いことの表れです。
特にデフレは日本政府の債務(貨幣も多くは国債が裏付けです)に対する、
「過剰な信認」といわざるを得ません。
加えて今後欧州やアジアの不況の影響が日本に及ぶ公算が大きい。
この環境下ではマクロ経済的には、
増税による財政再建はデフレ対策よりも優先度が落ちる課題ですし、
不適切ではないかと思います。

(2)消費税は税源として安定しており、
また脱税が難しい点でも比較的公平な税でしょう。
「税金全体の中で」消費税の割合を上げることに対して、
私は賛成です。

※(1)と(2)をしっかり分けて論じて欲しいと私は思っています。

(3)一般的に財政再建を考える場合に、
財政支出を削ることと、
増税では、
ウェイト的にも手順としても、
前者が先であるべきです。
公務員給与も殆ど下げず、
支出の見直しも不十分なままに、
消費税率の引き上げだけが先行して実施される、
という形は政府のムダが温存されやすく好ましくありません。
徴税の効率から考えても、
消費税率の引き上げはいずれは必要ですが、
政治家は官僚に対して、
その前にやるべきことをもっとマジメにやらせるべきでしょう。
消費税率の引き上げは、
少なくとも、
公務員給与の引き下げ、歳入庁の設立、インボイス方式の導入、
くらいを法律ではっきり決めてからとすべきです。

現状は財務省が政治家をコントロールすることに成功しつつある、
という風に見えます。
TPPでもそうでしたが、
日本の重要な案件に関しては、
政治家が議論によって決めるのではなく、
実質的に官僚があらかじめ方針を決めていると見ることが出来ます。
この「偽装民主主義」的国家運営は遠からず大きな弊害を日本にもたらしそうです。
Q3. 回答を控える
 
 
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4. 評価できない

浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「4 - 評価できない」の回答理由
「税と社会保障の一体改革」とか『歳入庁』を増税より前の段階で新設するという指摘に対しても、誠実に対応していない。消費税増税前になすべき改革が先送りになっている。これまでの民主党の動きからすると、消費税だけ上げて何も改革がされないということになりかねない。

どんな形でお金を集めても、どうせ無駄遣いされるような税金であれば、現場で「徴収漏れの縮小」などということは期待できないのではないのか。経済対策を含めて、行政の非効率や無責任さを改めなければ、どうしようもない。結局、それらの重要な改革議論を後回しにして、消費税率論議だけを先に進めるということにしかなっていないというのでは評価に値しない。

狡猾な官僚に乗せられることしか繰り返していない民主党政権に、もはや国民は何も期待できない。「そうでない」というのであれば、民主党は、消費税増税の前に「税と社会保障の一体改革」とか『歳入庁』を実現して、まずはそれを動かして見せてもらいたい。それが政権をとってから4年以内にできないのであれば、何年政権にいても何もできないことは明らかである。
Q3. コメントする
消費税率そのものの議論についても問題があるし、その周囲を取り巻く制度改革の議論についても足りないものが多い。

消費税については、先に消費税増税ありきになってしまっている。資産税とか、相続税とか、他の税源を十分に検討しているのか。それに対する国民への説明が十分になされているようには見えない。

徴税漏れについては、徴税担当者の能力の問題もあるのではないか。権限はあるのだが、十分な法律知識がないために、時として不十分、時として過度な権力の行使となっている。法科大学院の卒業生などを有効に活用するなどして、税務に携わる人々の能力アップを図るべきである。これは、国税、地方税両方に当てはまることである。

国内産業の空洞化をどうするのかも大問題である。日本の産業の収益力が下がれば、いくら税制をいじっても、税収は増えない。これは単なる景気対策だけでは不十分である。

外国との税金の取り合いでも、日本は十分に取りきれていないのではないか。外資系企業に対して、十分な徴税を実現するためにも、国際法にも精通した有能な法律家が必要である。

少子化で人口が減っていくことに対しても、より積極的な対策がなければ、税収が減って、社会福祉の支出が増えるばかりでジリ貧である。

少数精鋭だというのであれば、高度教育を充実させる必要がある。有能な人材をつぶして、「平均的な凡人」を大量生産するだけでは困る。法科大学院などの専門職大学院は、いずれも困難に陥っているが、近視眼的な内向き思考に陥ることなく、強い人材を育成するという観点から、それらの高度専門教育などにも、より力を入れて取り組むべきである。そうした総合的な施策なくして、税金だけ集めても、ナンセンスである。
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「4 - 評価できない」の回答理由
行政の無駄、天下り行政法人の全廃、議員報酬の撤廃=無償化、参議院の廃止などを行わずして増税を行うことはあまりの愚作。増税で労働者を締め上げる安易な政策はいまどき安物の時代劇にも出て来ない悪代官、バカ殿ぶりだ。奸僚の捏造データと御用学者の思いつきに踊らされているのだろうか。消費税増税で日本経済は確実に完全崩壊する(その前にボン官政治家も絶滅するだろうが)。この国も進退極まれりというところか。それに震災を経て一般社会では節約の気運が高まっている。ことの是非はさておき、脱原発、脱二酸化炭素、脱消費税でただでさえ消費は極限にまで冷え込む流れにある。個々の我々の価値観は社会全体一様の共通認識の構造にとり取り込まれているとフーコーは指摘しているが、それが正しいかどうかは別として、今吹いている風を読み取ることができない政府にはただただあきれてしまう。ただし消費が徹底的に冷え込むことで、「地上で得られる幸福を追い求めること」で罹患する「死に至る病」(キルケゴール)から逃れ、真の精神的幸福を手に入れる人々が増えることになるのは喜ばしい事だ。労働者を低賃金で雇用して生産した製品を再び労働者に消費させ、資本家が賃金を取り戻すという重商主義とは正反対の政策であって、ある意味良心的といえるかも知れない。
それとアホな評論家が日本の消費税の税率は世界に比べて低い、などと間の抜けた説明をして消費税増税を肯定する可能性があるが、環境や条件、産業構造、名称、そしてそもそも税制が全く異なる社会と消費税だけ取り出してその数値を比べることには何の意味もない。鮮烈な御用学者の御用学者たるべき御用学者であることを如実に証明する論調だ。
Q3. コメントする
奸僚は放置すれば自らの仕事を増やすよう、勝手に増殖して行く、という法則が古くから指摘されているが、今の日本はほとんどその極限にまで放置された実験国家と言えるのではないか。何から何まですべて無駄、そんな行政が出来上がっていることには未来永劫、人類史が賞賛を与えることだろう。威張るだけ、人がいるだけ、社会にとって何もしない、悪は見逃し、場所を占拠し、現場労働者を惑わせる。数字はごまかし、時に現場の産業を威圧し、排除する。反社会的勢力に他ならない。予算計上でインチキが見つかってもお咎めなし。例えば保養施設のグリーンピアでドブに捨てられた年金について、厚生労働省の奸僚どもは誰も責任を取らない。そして今も年金は「運用」という名も下に、巨額が国民に密かに政商に流れていると言う話も聞く。それに飽き足らず増税する。これを誰も止められない。どうしてなのか?その点を国民全体で議論してみてはいかがだろうか。具体的には繰り返しになるが①保養施設のグリーンピアの損失を責任者に弁済してもらう法律を作ること。②今現在国民の年金が誰によってどのように運用されているのか、しっかりと説明してもらう。ここからはじめよう!
 
 
本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「4 - 評価できない」の回答理由
 2013年、2015年それぞれ時点での経済状況はどうなるのか等が不明の現時点で増税の時期と税率を決定してしまうことは大問題。増税を予定する時期までに国民が納得できる種々の改革がどこまで進捗しているか、経済状況はどれだけ解決しているのか、それらを一切考慮せずに増税だけを表明すれば、国内経済は悪化して、財政赤字がさらに拡大する危険性が大きい!。
Q3. コメントする
 まず第一に現在の消費税論議は、財務省主導の財政赤字解消が最優先で、日本が増税の結果、将来どのような国家を目指すかの視点と議論が欠けている。先進国未曾有の高齢化社会を目前にした日本が、今後米国型の自己責任社会(低福祉•低負担)を目指すのか、北欧型の福祉国家(高福祉•高負担)を目指すのかをしっかりと議論することこそが増税の前に行うべきことだ。多くの国民は増税の結果、北欧型のような国家(医療•福祉•教育充実)を目指すのなら、その負担を受け入れるはずだ。
 
 第二の問題は現在の増税論議に、多くの国民が日本が抱えた問題の根底に、資本主義の父と言われる渋沢栄一が指摘した「官尊民卑」→官民格差、税の中抜きと、経済界の「道徳経済合一論」不足→電力会社や大型公共事業等に代表される既得権益維持とノブレスオブレージュ不足(派遣切り等々)があることを問題視していることが考慮されていないことだ。日本国家が抱える根本的問題を改めないままの増税論議では、国民は負担が増加しても、官民格差や税の中抜きは放置で、マニフェストを破って将来継続的なメンテナンス(=予算)を必要とする大型公共事業を断行する等が継続されるだろうと、政治に信頼を持てない。

 上記の問題を解決しないまま増税だけを予定すれば、日本社会全体に将来不安が増大し、経済だけでなく国民の士気が落ち込むのは火を見るより明らかである。
 
 
永濱利廣
(株)第一生命経済研究所 経済調査部主席エコノミスト
Q2. 「4 - 評価できない」の回答理由
消費税増税自体は社会保障財政維持のために必要だが、経済環境を無視して時期を設定する部分に問題がある。事実、97年度の消費税率引き上げの際には、経済がデフレ下にある中で特別減税廃止や社会保障負担増も行ったことから、翌年度以降から却って税収が減ってしまっている。上げる時期を事前に設定するのではなく、消費税を上げる経済条件を設定して経済成長に軸足をおき、その条件が整う度に段階的に上げていくべき。
Q3. コメントする
そもそもいくら税率を上げても、経済がデフレ下の中では国民が痛みを伴うだけで税収は増えない。その意味では、政府がいくら税と社会保障の一体改革をしても、日銀がデフレを放置している限り意味が無い。90年代に欧米が財政再建に成功した際にも、中央銀行の支援が大きかった。世界中どこを見回しても日本以外にデフレに陥っている国が無いことからしても、税と社会保障一体改革の議論の際には日銀の金融政策も議論されるべき。
 
 
坂野尚子
株式会社ノンストレス社長
Q2. 「4 - 評価できない」の回答理由
消費税をあげる前に国会議員の定数はどうなったのか?国家公務員の給与削減はどうなったのか?削れるところを全て削ってから国民に理解を求めるべきである。景気を拡大し、税収を上げる努力をしつつ、消費税の引き上げを国民に問うべき。
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内税表記はやめてほしい。二段階の引き上げがあるとすると、企業(小売・サービス)は二回表記を変更しないとならない。外税表記にしてほしい。
 
 
中野晃一
上智大学教授
Q2. 「4 - 評価できない」の回答理由
消費税増税を含む税制改革の必要性を否定するものではないが、いびつな形で消費税増税の引き上げ案だけ先行していて、まったく「税と社会保障の一体改革」の体をなしていない。
Q3. コメントする
国民にとって本当に重要なのは、税金をいくら払うかだけでなく、社会保障や教育などのさまざまな分野でどれだけの公共サービスを引き換えに享受することができるのか、という「収支」全体である。だからこそ「一体改革」が必要なわけであるが、消費税増税や財政赤字ばかりが喧伝され、社会保障のあり方やその社会経済的効用について充分な議論がなされているとは思えない。公共サービスを充実させることによって、より良い未来が描けるはずなのに、財政的な「危機」ばかりが強調され、社会的な「機会」としての認識がマスコミの議論の扱い方にも欠けているように感じる。
 
 
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5. その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)

伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
間接税を財源に、社会保障の拡充をゴールの一部に、という基本的な姿勢は大きく外れるものでないと思うが、それを消費税に集中させるべきなのか? とりはぐれの少ない政策案として試算したい考えは理解できなくないが、景気後退など波及リスクをどこまで評価してのプランか、正直なところまったく見えず、評価の高を言うことができない。
Q3. コメントする
この設問自体も含め、もっぱら「消費税にかかわる論議」になっている事、その視野狭窄を自覚し、問題をより大きくみるよう気を配るべきでは?
選挙等見据え、家計や(とくに中小)企業経営にも直結する話題で、注目があつまるのは当然ながら、財政再建の全体像の中で「受益者負担」よろしく「税と社会保障の一体化」が謳われ、それに国民の耳目が慣れてしまうに任せるのが、果たして最良の推移と言えるのか?財源と使途を巡る、より突き詰めた議論の中で、消費税の役割が再検討されるべきで「消費税ありき」的な話はいかがなものか?と疑問に思う。
 
 
原田曜平
博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
問3を回答しています。
Q3. コメントする
毎日新聞の世論調査では、消費税増税に「賛成」45%、「反対」54%。東京新聞の調査では「賛成」47.8%、「反対」51.4%という結果が出ました。両紙の結果とも、反対意見の方が多くなっていますが、それでもここ数年単位で見れば、消費税増税やむなし、という理性的な空気が全体的には生まれ始めているように思います。
今後、「増税の結果、一体何が得られるのか」というゴールを、しっかりと生活者に明示していけるかどうかが、増税か否かの分かれ道になってくると思います。
その際、最も大事なのが、生産力のある現役世代、特に先の長い若年世代にとってのメリットを最大限に示してあげられるか、という点だと思います。年金問題にしても、今の若者たちは、「払った以上に貰えない」、下手をすると、「全く貰えない」と思っている人達さえ多くいます。
上の世代の尻ぬぐいばかりをさせられていると実感している若年現役世代のモチベーションを更に低下させてしまうと、もちろん、短期的には人口の多い団塊世代を中心とした高齢者の合意を取り付けることが、数がモノを言う民主主義では重要なのかもしれませんが、長期的に見れば、国力の衰退につながっていきかねません。

日本の人口ピラミッドが極めて歪な逆三角形になってしまっている以上、それでいて若者が最大の労働力であることが変わらない以上、若者たちがどれだけ納得できるかどうかが、増税の可否以上に、日本の未来に関わってくると思います。
 
 
渋谷和宏
作家・経済ジャーナリスト
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
日本の財政状況や膨張する社会保障費を考えると、消費税の引き上げは避けて通れないと言わざるを得ません。しかし、その実行には徹底した歳出改革が大前提です。とりわけ議員定数の削減や公務員制度改革など、政治家や公務員自身が痛みを甘受する歳出削減策を打ち出さない限り、消費税上げへの広範な理解を醸成することはできないでしょう。
Q3. コメントする
 消費税率の引き上げは、経済に対して間違いなくマイナスの副作用を及ぼします。個人消費や企業収益の減少を通して、景気後退が加速する負のスパイラルさえもたらしかねません。
 いっそうの量的緩和や投資減税、規制緩和など、考え得るあらゆる金融・産業政策を講じて、景気の底割れを防ぐ必要があります。また起業家や消費者のマインドを刺激する成長戦略も不可欠でしょう。
現在の消費税論議には、副作用をどのように克服するかの視点にいささか欠けている気がします。
 
 
岸本裕紀子
エッセイスト,政治コラムニスト
Q2. 「5 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
消費税増税については、何%という率と、いつ上げるかという時期についてしか議論されていない。そんなことより、まずはきちんとした試算に基づき数字を入れた何通りかの将来のケースの説明が重要だと思う。
現状の景気と消費水準のまま、高齢化がどのように進むと財政は今後どうなるのか。市場はどうなるのか。それが、消費税8%アップだとどうか。10%だとどうか。それに、経済成長した場合、景気が減速した場合、歳出カットが実現できた場合、などのシナリオを加えて、あらゆるケースを説明してほしい。それを、野田総理が国民に向け時間をかけて説明し、「だから消費税増税が必要だ」と説得すべきだ。税金を払うのは国民なのだから。
増税反対派は、「それは公約にないことで、国民の理解は得られない」などと感情的で無責任な主張をしているが、公約を持ち出すより、それなら財政健全化の代案を数字を出して説明してもらいたい。
消費税を巡る論議で政治家が口にする言葉は主に、いつと、何%と、公約がどうこうと、まずは支出削減と、財政破綻だけ。消費税増税派も反対派も、あまりに意見が素人レベルで大雑把であり、だからちっとも議論が先へ進まない。
国民が考え、十分検討し、覚悟する材料をまず出すことだと思う。
Q3. コメントする
上の論点に加えて、ですが。
消費税増税論議は、単に私たちの毎日の生活に直接影響するという以上に、日本の財政に関わる重い問題であるという認識が、国民には広く共有されていると思う。だから、増税はやむをえないと考える人が世論調査でも約半数もいるのである。
なのに、政治家は、今回の予算をみても、整備新幹線とか高齢者の負担増になる政策は先送りとか、次の選挙を意識したことばかり主張しているように感じる。本来長期的視野に立つべき政治家と、国民の意識が逆転しているのは嘆かわしいことである。
また、消費税については、税の直間比率をどう考えるかの議論もあるし、格差が拡大している今の社会で消費税を上げる場合、どのような方法があるかも示してほしい。例えば食料品と薬は例外にするなどの具体例や、世界各国の消費税の徴収方法も紹介してほしい。
 
 
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