第11回 2004年12月14日(火)放送 あらすじ

#11 最後のクリスマス

 瞳(篠原涼子)は仕事中もつい、にやけてしまう。何しろ恋人のいるクリスマスは久しぶりなのだ。いくら真吾(坂口憲二)だってクリスマスまでマリア(松坂慶子)と過ごすとは言わないはず。だから麻衣子(矢沢心)から「まさか彼、母親と3人でとか」と念を押されても、瞳は「もしそんなことになったら暴れるかもしれない」と冗談混じりに受け流した。片や真吾も恭介(金子貴俊)から「どっちと過ごすの?」と同じことを聞かれて、圭(水川あさみ)からは「3人はダメよ」とクギを刺されていた。圭も予定があるらしく、クリスマスは稽古を早めに切り上げてくれるらしい。それでもイブの夜を1人きりで過ごすマリアのことを考えると、真吾はじっと考え込んでしまった。
 そのマリアは浮かない表情の紀子(上村香子)のグチに付き合っていた。「子供が大きくなったらクリスマスなんて全然つまらないのよね」。真吾が幼かった頃、マリアはサンタの扮装をしたこともあった。楽しい思い出にふけるマリアを紀子の一言が現実に引き戻した。「息子と2人で過ごせるのは最後かもよ」。真吾が瞳と結婚したらもうクリスマスを一緒に迎えることはない。漠然と覚悟していたとはいえ、マリアは憂鬱になった。
 一方、瞳の浮かれ気分は高まるばかり。仕事中にちゃっかりプレゼントを買っていると、マリアから呼び出された。瞳が不審げに待ち合わせ場所の喫茶店にやってくると、マリアはいきなり切り出した。「クリスマス、真吾と2人で過ごさせてほしいの。最後のわがままなの、お願いします」。いくら頼まれてもこれだけは譲れない。そう断るつもりだったのに、気がついたら瞳はうなずいていた。会社に戻った瞳は呆然自失。あんなに必死なマリアに嫌だとはとても言えない。とはいえクリスマスを1人で過ごすのはもっと嫌だ。あきれ返る麻衣子の前で瞳は「もう駄目」と力なく崩れた。
 マリアからこの一件を伝えられた真吾は複雑だった。マリアから「ごめんね、勝手なことして。最高のクリスマスにするから」と謝られても、怒る気にも諭す気にもなれない。真吾の胸をよぎった思いはただ一つ、いつもの母さんらしくない。すぐに瞳のマンションに駆けつけた。「来年楽しみにしてるから。私なら全然大丈夫」。言葉とは裏腹に瞳がショックに打ちひしがれているのは真吾の目にも明らかだった。
 マリアだって自分の身勝手さを分かっているから、1人でいると自己嫌悪に陥る。だからいつものごとく庄二(蛍原徹)を呼びつけて部屋のクリスマスの飾りつけを手伝わせた。すでに庄二は結婚している。クリスマスは奥さんと過ごすのが当然だ。「せめてお母さんにメリークリスマスって言ってあげて。それだけで幸せなのよ」。庄二は笑顔でうなずくと帰っていった。
 そして当日がやってきた。サンタの扮装をした真吾は「メリークリスマス!」とクラッカーを鳴らしながら現れた。とにかく目いっぱい楽しもうと決めたのだ。真吾の気持ちをすぐに感じとったマリアも、陽気にシャンパンのグラスを合わせると七面鳥をほおばった。真吾はこの日のために練習したマジックを披露した。マリアは「すご~い」と拍手喝采。そしてセルフタイマーで2ショットの記念写真を撮影した。昨年までと変わらない、幸せな母と息子だけの岡崎家のクリスマスがそこにあった。
 片や瞳はデパートでいくつものプレゼントを買い込むと、スキー客に混じって高速バスに乗った。たどり着いたのは実家、久しぶりの帰省だ。くよくよと1人きりでマンションにいても仕方ない。真吾に倣って今年のクリスマスは両親と迎えようと気持ちを切り替えたのだ。ところがチャイムを鳴らしても誰も出てこない。電話をかけてみるとなんと両親そろって沖縄のホテルにいるというではないか。こんなことならしつこく誘ってくれたアザラシ課長(田山涼成)と飲みに行ったほうがマシだった。「最悪だ」。瞳は真っ暗な実家の前でガックリと座り込んでしまった──。

キャスト

岡崎真吾 … 坂口憲二
杉浦 瞳 … 篠原涼子
     ●
永野 圭 … 水川あさみ
中町恭介 … 金子貴俊
神野麻衣子 … 矢沢 心
種田庄二 … 蛍原 徹(雨上がり決死隊)
     ●
岡崎マリア … 松坂慶子 
 ほか

スタッフ

■脚本
 岡田惠和
■演出
 三宅喜重(関西テレビ)
■プロデューサー
 安藤和久(関西テレビ)
 東城祐司(MMJ)
 伊藤達哉(MMJ)
 吉條英希(関西テレビ)
■音楽
 寺嶋民哉
■制作
 関西テレビ
 MMJ

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