第1回 2004年10月5日(火)放送 あらすじ

#1 マザコンで何が悪い!?

 秋の訪れが感じられる東京の街。恋人たちばかりのレストランに、ちょっと人目を引いているカップルがいた。「いま僕の前にいる女性が、僕が世界で一番愛する女性だ」。岡崎真吾(坂口憲二)は気取らない服装だが、清潔感のある青年。向かい側に座る美人は岡崎マリア(松坂慶子)。そう、真吾の母親なのだ。恋人以上の仲むつまじさ。だから人は真吾のことをこう呼ぶ。マザコンと。

 真吾は小さな劇団で役者をしているが、生活費は人力車のアルバイトで稼いでいる。一緒に働いている中町恭介(金子貴俊)は同じ劇団の看板的役者。劇団は次回公演に向けて稽古に余念がない。「ちゃんと考えて動いてよ」と、真吾にダメ出しているのは座長の永野圭(水川あさみ)。稽古が終われば一同はなじみの居酒屋に自然と足が向く。今夜は真吾のテンションが高い。さっきまでの稽古の別れのシーンを自らの引っ越しにダブらせて、涙まで浮かべるものだから他のメンバーはしらけるばかり。しかも実家を出たといっても週1回は何かと理由をつけては帰っている。その時、外国人窃盗団の被害が続出しているというニュースに、感傷にふけっていた真吾の表情が変わった。そして実家と同じ区内と聞いて真吾は店を飛び出した。
 音大卒のマリアは自宅でピアノを教えながら、女手ひとつで真吾を育ててきた。真吾は実家の前まで戻ってきたものの、理由が理由だけにマリアと直接顔を合わせるのは照れる。そこでマリアの無事を確認してからそっと帰ろうとしたら、運悪く近所のコンビニ店主の種田庄二(蛍原 徹)に見つかり「自分ちの前で何やってんの?」と言う庄二の大きな声が家の中のマリアにも聞こえてしまった。マリアは「バカねえ」と言いながらも、真吾の気持ちが嬉しく、いそいそと夜食の支度を始めた。「彼女はできた?」「できないよ」「彼女でもできれば親離れできるのにねえ」と、いつもと同じやりとりの挙げ句、二人は飲みにいくことに。そして真吾が酔いつぶれたマリアをおぶって帰ってきたのは、もう明け方近く。「なあ、1人で寂しい?」と真吾は声をかけるが、マリアは真吾の背中で幸せそうに寝息をたてていた。
 ある日、真吾が人力車の客待ちをしていると、タクシーを降りたOL風の女性が書類を道に散らばせてしまった。急いでいる様子だったから真吾は一緒に拾ってやると、全力で人力車で運んであげた。「ありがとう」「いいから早く」。真吾はそのまま帰るつもりだったが、彼女が店長に頭ごなしに怒鳴りつけられているのを見ては黙ってられない。「この人は、必死で間に合うように走ろうとしていたんだよ。あやまれよ!」。その女性、杉浦瞳(篠原涼子)は真吾の気持ちが嬉しく礼を言おうとしたが、真吾の姿はすでに消えていた。
 瞳は都内のレストランチェーンのスーパーバイザー。仕事はできるが、恋愛のほうは30歳を過ぎてもまるで縁がない。その日オフィスに戻るなり、瞳は部下の神野麻衣子(矢沢心)に思いきりノロけた。「いい男だったんですか?」「うん、(胸が)きゅんとした」。仕事が手につかない瞳を見かねて、「男っ気がないからのめりこんでしまいますよ」と麻衣子がクギを刺し、瞳はすっかり見透かされていた。
 翌日早速、瞳は真吾に会いに行った。「昨日はありがとう」「いいっすよ、俺が無理やり乗せたんだから」。お礼を兼ねて、瞳は改めて貸し切りで人力車に乗せてもらった。真吾のさりげない優しさと屈託ない笑顔に、瞳はまたきゅんとなった。二人は互いに名前や仕事を打ち明けたが、瞳にはちょっとガッカリしたこともあった。真吾は28歳。片や瞳は3つ年上の31歳。瞳が自分の仕事の話をすると、真吾は瞳に「働く女の人好き」と言いながら次第に母親・マリアのことを熱っぽく語り初めた。「本当はもっとすごい仕事ができたかもしれないのに、俺を育てるために諦めたみたいなんです」。そして真吾は最後に「…だからかな、働いてる女の人好きですね」と付け加えた。
 楽しい時間は瞬く間に過ぎた。何となく別れがたい二人。「また会える?」と、勇気を出して先に切り出したのは瞳だった。「マジで?いいんですか」。真吾もすっかり瞳のことが好きになっていた。「やったあ!デートしましょう」とガッツポーズをする真吾。瞳は胸を押さえた。「きゅんきゅん」。

キャスト

岡崎真吾 … 坂口憲二
杉浦 瞳 … 篠原涼子
     ●
永野 圭 … 水川あさみ
中町恭介 … 金子貴俊
神野麻衣子 … 矢沢 心
種田庄二 … 蛍原 徹(雨上がり決死隊)
     ●
岡崎マリア … 松坂慶子 
 ほか

スタッフ

■脚本
 岡田惠和
■演出
 新城毅彦
■プロデューサー
 安藤和久(関西テレビ)
 東城祐司(MMJ)
 伊藤達哉(MMJ)
 吉條英希(関西テレビ)
■音楽
 寺島民哉
■制作
 関西テレビ
 MMJ

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