東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

第5回 2007年2月5日(月)放送 あらすじ

最後の旅行

 久しぶりに故郷に帰った中川雅也(速水もこみち)は焦っていた。母の栄子(倍賞美津子)が、がん手術のために入院したからだ。病院に着き、栄子のいる大部屋の病室に入るが、人影がない。と、奥にカーテンに閉ざされたベッドを発見。ベッドには栄子の名が…。不安に襲われつつ、雅也がカーテンを開けると、そこには同部屋の入院患者相手に花札に講じる栄子がいた。あきれる雅也を栄子は患者たちに息子だと自慢げに紹介する。
 雅也は栄子の担当医に手術の説明を聞く。医師は甲状腺がんの摘出はするが、声帯付近に浸潤したがんは術後の放射線治療で対処すると告げた。それは、声を失うことを怖れた栄子の望みだった。病室に戻り、声帯の温存を心配する雅也に、栄子はたいがいのことでは死なないと笑ってみせる。
 栄子の手術当日。栄子の妹、藤本香苗(浅田美代子)も病院に来た。香苗は、栄子のために筑豊に戻れないかと雅也に問う。雅也が返事に窮していると、栄子を乗せたストレッチャーがやって来た。栄子は、雅也と香苗に笑いながら冗談を言って手術室へと吸い込まれて行く。
 その頃、東京の雅也のアパートを佐々木まなみ(香椎由宇)が訪ねた。まなみは、自分と会っている途中で、急に帰ってしまって以来、連絡が取れなくなった雅也を心配していたのだ。まなみはアパートにいた山田耕平(柄本佑)から、栄子の病気を教えられる。
 数日後、手術を終えて病室に戻った栄子の着替えを持ってきた雅也が、備え付けワゴンの引き出しを開けると、中に指輪が入っていた。そんなある日、ようやく夫の兆治(泉谷しげる)が栄子の見舞いに来る。相変わらず会話も進まず気まずいムードの2人。しかし、栄子は指輪をはめていて…。
 病院を出た雅也は、栄子の店『かっぱ』で兆治と飲む。栄子が店を閉めることにしたと告げる兆治。栄子の側にいられないか問う雅也に、兆治はそんなに暇ではないと言い帰ってしまった。そして、雅也も東京に戻ることに。体力も回復し始めた栄子は、相変わらず雅也の世話を焼きつつ送り出した。
 東京に戻った雅也は、鳴沢一(平岡祐太)からもイラストの仕事をもらい、徐々に締め切りに追われるようになる。そんな時、自分の写真がようやく雑誌に載ったまなみが、雅也に見せに来た。だが、アパートでは耕平たちに2人の関係を詮索されるため、雅也はまなみを外へと連れ出す。歩きながら雅也は、栄子の様子をまなみに説明。逆に、親のことを尋ねる雅也に、まなみは答えなかった。そんな2人の前に、東京タワーが姿を現す。
 アパートに帰った雅也に、香苗から電話が入る。香苗は具合の良くなった栄子とハワイ旅行に行くと言い出す。しかも、費用は雅也持ちだと…。突然のことに戸惑う雅也。すると、香苗が栄子に電話を代わった。そして、栄子は冥土の土産に雅也とハワイに行きたいと留めの一撃。
 ハワイ行きは、栄子と香苗の作戦勝ち。しかし、雅也に旅費を賄う蓄えなどあるはずもない。仕方なくイラストのほかに警備員のアルバイトを始める雅也だが、一向に旅費は稼げない。雅也が路上で似顔絵描きを始めると、耕平たちアパートの住人が手伝いに来た。彼らなりに雅也を気遣っているのだが、勝手に雅也の私物を持ってきて売り始めるではないか。それでも、まだまだ旅費には手が届かない。
 その頃、まなみは久しぶりに母・恵子(朝加真由美)と会っていた。まなみの実家は旅館を経営しているのだが、恵子との関係は上手くいってない様子。恵子は、まなみの仕事も理解していなかった。恵子と別れたまなみが、路上で東京タワーを見ていると雅也が通りかかる。東京タワーを見ながら、まなみに何か告白しようとする雅也。だが…言い出せない。と、まなみが午前0時に東京タワーのライトが消える瞬間を一緒に見た2人は永遠に幸せになれるという話を持ち出す。雅也とまなみが見つめる東京タワーの灯りが、フッと消えた。
 思わぬ出来事に上機嫌でアパートに帰った雅也を、アロハシャツを着た耕平が出迎えた。そして、激安チケットがあったと耕平は雅也にチケットを差し出す。雅也が気付くと、ハワイ資金として金を入れていた箱が空。せっかく、まなみとの仲も進展しそうな時にと嘆く雅也に、住人は自分たちが親孝行出来ない理由を話す。
 こうして雅也は、栄子、香苗と一緒に旅行することになった。激安チケットで行くハワイとは? また、雅也はその時、栄子が病気以外に悩みを抱えていることを知らなかった…。

キャスト

中川雅也 … 速水もこみち
佐々木まなみ … 香椎由宇
鳴沢 一 … 平岡祐太
山田耕平 … 柄本 佑
レオ・リー … チェン・ボーリン
徳本寛人 … 高岡蒼甫
佐々木恵子 … 朝加真由美
藤本香苗  … 浅田美代子
中川兆治 … 泉谷しげる
中川栄子 … 倍賞美津子

ほか

スタッフ

■原作
 リリー・フランキー
 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(扶桑社刊)

■脚本
 大島里美

■プロデュース
 中野利幸

■演出
 久保田哲史

■音楽
 河野 伸
 澤野弘之

■制作
 フジテレビドラマ制作センター

バックナンバー