東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

第3回 2007年1月22日(月)放送 あらすじ

祖母の最期

 1992年10月。中川雅也(速水もこみち)は、大学4年生になった。一応就職活動もしてみる雅也だが、それはオカンの栄子(倍賞美津子)に助言されたからで、本人に就職の意識はない。
 翌、3月、卒業式に出席した雅也は、友人の鳴沢一(平岡祐太)たちには、しばらく自由にやると宣言する。そこに、佐々木まなみ(香椎由宇)たちも来た。鳴沢は出版社に、まなみは写真事務所への就職が、ほかの仲間もそれぞれに就職先を決めていた。一緒に飲みに行こうと誘われた雅也だが、どこか気後れして行くことが出来ない。
 栄子は、雅也に電話で卒業の祝いを述べる。親戚から贈られた祝いの品を雅也に告げる栄子。心臓の悪いハル(赤木春恵)のためにも、一度は帰郷して欲しいと頼む栄子だが、雅也にその気はない。就職しなかったことを心配する栄子に、アルバイトを始めるから仕送りはいらないと断る雅也だが…。そんな時、後輩の山田耕平(柄本佑)やレオ・リー(チェン・ボーリン)らアパートの住人がささやかな卒業パーティーを開いてくれた。手塚修一郎(石黒賢)は、生活費は自分で稼ぐと豪語する雅也に都会で自活する知恵と、言葉を授ける。それは“一線を越えないこと”。手塚は、どんなことでも良いが、自分にひとつのルールを科して、それだけは絶対に破ってはいけないと伝えた。
 雅也は耕平とともに、アルバイトの日々に入るが、どれもすぐに飽きて長続きしない。当然お金も長続きせず、すぐに公共料金などの督促状に埋もれ、家賃も滞納するようになってしまう。そんなある日、大家の集金を逃れた雅也がアパートを飛び出すと、兆治(泉谷しげる)がいた。
 兆治は、雅也を高級料亭に連れて行く。そこには、兆治の仕事相手と思しき老紳士がいた。兆治は、雅也を老紳士に紹介し、就職の口利きを約束してもらう。店を出た兆治は、雅也に就職の意思を確認する。しばらく自由にしたいと答える雅也に、兆治はどんなことでも最低5年はかかるので、何もしないならしないで5年過ごせと言い渡す。自由にも覚悟がいる…と。
 雅也は、徳本寛人(高岡蒼甫)やレオにも頼みこんでバイトをするが上手くいかず、金はますます底をつくばかり。ついに、水道も止められた時、耕平は雅也が隠していた一万円札を見つける。それは雅也が上京する時に栄子からもらったもの。雅也は、その一万円札を自分の“一線”としていたが…。
 数カ月後、バイトを求めて彷徨い歩く雅也は、まなみと出会う。喫茶店に入り、自分の汚い格好に落ち込みながらもドキドキする雅也に対して、まなみは変わらない雅也の雰囲気をほめる。しかし、喫茶店の払いは、まなみだった。
 雅也がアパートに戻ると、耕平が泣きついてきた。堪忍袋の尾が切れた大家に、雅也は追い出されてしまう。雅也は金の無心をしようと栄子に電話するが、それを言い出すより先に、ハルが入院したことを知らされ、言えなくなってしまう。
 金のこと、ハルのこと…。昔筑豊でリアカーを引いていたハルを思い出す雅也だが、現在は耕平と家財道具を乗せたリアカーを引いて、2人は、東京タワーの見える公園までやってくる羽目に。職もなく金もない雅也たちに、もはや貸してくれるアパートなどない。耕平は筑豊に帰ると去り、残された雅也が通りかかったのは一軒のパチンコ店。雅也は、ポケットに入れていた栄子の一万円札を握り締めた。そして“一線”としていた、その金を…。

キャスト

中川雅也 … 速水もこみち
佐々木まなみ … 香椎由宇
鳴沢 一 … 平岡祐太
山田耕平 … 柄本 佑
レオ・リー … チェン・ボーリン
徳本寛人 … 高岡蒼甫
手塚修一郎 … 石黒 賢
藤本ハル … 赤木春恵
藤本香苗 … 浅田美代子
中川兆治 … 泉谷しげる
中川栄子 … 倍賞美津子

ほか

スタッフ

■原作
 リリー・フランキー
 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」(扶桑社刊)

■脚本
 大島里美

■プロデュース
 中野利幸

■演出
 谷村政樹

■音楽
 河野 伸
 澤野弘之

■制作
 フジテレビドラマ制作センター

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