鈴子の恋ミヤコ蝶々女の一代記
昭和7年、11歳の鈴子(美山加恋)は自らが座長を務める「日向鈴子一座」を率い、筑豊の炭坑町にいた。父・英次郎(片岡鶴太郎)、母・さき(浅野ゆう子)とともに、鈴子は物心つく前から旅一座の看板役者として各地を転々としていたのだった。元芸者のさきに日々しごかれ、芸の道にまい進する鈴子。毎日、舞台の上で客から浴びる歓声や拍手に、子供ながら充実感を覚えていた。しかし一方で、学校へ通うことができず、字が読めないことに劣等感を覚えてもいた。同じく字が読めないさきは鈴子を、誰にも負けないことが一個あれば他は何も知らなくていいのだと諭すが…。ある日、稽古を終えた鈴子は芝居小屋の外からバイオリンの音がするのに気づき…。