ラストクリスマス
#1 秘密の二人
—2004年、クリスマス-
とある雪原を歩いてくる男、春木健次(織田裕二)、36歳。付き添う現地の案内人は、日本人は良く来るが健次のようにひとりは初めてだと不思議そう。健次は、ひとりで来たのではないと言うが、連れの姿はない。案内人の疑問をよそに、健次はバッグからきれいな包装紙でラッピングされた箱を取り出し、包みを開け始め…。
—3ヶ月前、2004年秋-
健次はニュージーランドのゲレンデにいた。第1事業部の主任として勤める会社、ハートスポーツ主催のスノーボード大会が終わって一息ついたところ。健次は、部下の葉山達平(森山未來)を、ひと滑りしようと誘う。と、健次の携帯電話が鳴る。新谷伍郎(伊原剛志)だ。健次は、達平を残して伍郎の元へ。伍郎は、健次の大学時代からの友人であると同時に、ハートスポーツの取締役。その車が故障したのだが、直りそうもない。すると伍郎は、ホテルに戻って迎えの車を呼んで欲しいと頼む。歩けば良い、と言った健次に向かって、伍郎は秘書の青井由季(矢田亜希子)がヒールをはいているのだから、と言ってさらに車を呼んでくるよう頼んだ。車内をのぞくと、清楚な女性・由季がいた。
ある日曜日。健次が自宅マンションに帰ると、隣室への引っ越しが行われていた。部屋に入ろうとした健次は、作業員が何かを落としたのに気付く。それは、暴走族のレディースの集合写真。健次は慌てて写真を戻し、元レディースが隣に引っ越してきた、と携帯で達平に報告。テラスで作業を眺めながら話していると、作業員に指示する女の姿が。振り返った顔に健次は絶句。なんとそれは、スキーゲレンデで会った、あの清楚な女性、伍郎の秘書の由季だった。健次と由季の部屋の境には、ハメ殺しの扉がある。もしも変な男が住んでいたら大変だと、扉に軽く体当たりしてみる由季。反対側の部屋で、扉前に置いた揺れる棚を押さえる健次は、由季の意外な一面に開いた口がふさがらない。
会社での健次は、部下に次々と指示を出して精力的に働く毎日。しかし、由季は…? 由季の部屋には、夜な夜なプレゼントを持った“ハートスポーツ”の男性社員が尋ねてくるのだ。しかも毎日違う男…あきれはてる健次。
そんなある日、出勤してきた健次は、ロビーで達平に、由季の名は伏せながら、隣室の女の話をしていた。達平は、通りかかった派遣社員の高瀬彩香(MEGUMI)も、以前の会社では、ラブテロリストと呼ばれていたらしいと話す。健次と達平が軽口をたたいていると、そこに由季と伍郎が現れた。伍郎は健次に、今夜マンションに行く、と告げる。隣室にいる由季の存在を、伍郎は知らない方が良いと思う健次だったが…。
二人が秘書室に戻ると由季の同僚、本山美樹(坂下千里子)がいた。美樹が部屋から出て行くと、それを待っていたように、伍郎は由季の引っ越し祝いを来週の月曜日にしようと誘う。由季は、伍郎を軽くあしらい、社長主催のパーティーへの出席を促し、大会社のジュニアたちが数多く出席するであろうそのパーティーに、ちゃっかり自分も同席出来るよう話を進める。伍郎が出て行くと、由季は“してやったり”の表情。
その夜、居酒屋で、何人もの男からのメールでの誘いに“今夜は両親と食事”と一括返信している由季のもとに、彩香がやって来た。実はこの二人、元レディース仲間。偶然、同じ会社で再会したのだ。由季が、男は利用しなくては、などと話していると、派手な女を連れた商品開発部の日垣直哉(玉木宏)が店に入って来た。それを見た由季は、店を変えようと言い出して…。
健次の部屋を訪れた伍郎は、大学生時代のスキー部のビデオに釘付け。当時、同期生の健次と伍郎はキャプテンと副キャプテンで、今とは立場が逆だった。ビデオに同じスキー部の白河仁美(桜井幸子)が映っていると伍郎が言うと、健次は突然テレビを消してしまう。そんな時、健次の部屋のインターフォンが鳴った。ドアスコープから健次が見ると、扉の前にいるのは由季。泥酔している様子で、激しくドアを叩き始めた。部屋には伍郎がいる。迷いながらも健次がドアを開けると、鍵を落としたと言う由季。健次の部屋から、ハメ殺しの扉を開けて自分の部屋に行きたいと主張する。由季は、健次が同じ会社の社員だとは気付いていない様子で、由季の頼みを健次が断ると、健次に絡み始める始末。と、様子を気にした伍郎が近づいてきた。慌てて押し戻す健次。外にいるのは健次の彼女だと思い込んでいる伍郎に、健次は、とても見せられるような女ではないと言い、伍郎の目を隠して由季の横を通り過ぎ、体よく伍郎を送り帰した。 部屋に戻った健次は、仕方なく由季を招き入れ、件の扉を開けようとするが、なかなか開かない。やっぱり大家に鍵を借りよう、と言いかける健次の前を、由季が走り抜けて扉をキック…開いた。早速、自室に戻ろうとする由季に、健次は、自分の姿に見覚えないか? と、尋ねる。コンタクトも落とした由季は、自室で眼鏡をかけ、振り返って愕然。どちらかが引っ越す、引っ越さないの押し問答も結局、結論が出ないまま…。
翌日、出社した健次はロビーで由季と会う。二日酔いの様子だが、昨日とは打って変わった“秘書顔”に変身していた。健次が第1事業部に行くと、直哉が達平に文句を言っていた。新しいスノーボードブランドの発表会イベントプランでもめている。自分の意見が通らないと思った直哉は、だから事業部はダメだと捨てゼリフを吐いて出て行く。廊下に出た直哉は、由季と会う。直哉は、今夜飲みに行こうと軽く由季を誘った。だが、その前に寄るところがあると直哉。
その夜、由季とのデート前に直哉はデザイナーの藤澤律子(片瀬那奈)と会う。しかし、この二人、ただの仕事関係ではない様子。直哉は律子に気がある様子なのだが、全く相手にされていない。由季が待っているバーにやってきた直哉は、またふられたと由季に話す。そんな直哉をいつものことのようにあしらう由季だったが…。
健次と直哉は、FMラジオ局のシースルースタジオへ。『ハートスポーツ』のスポンサー番組のDJサリー柴田(りょう)に会うためだ。しかし、健次はブースで喋るサリーの顔に見覚えがある。プロデューサーとともにブースから出てきたサリーと健次は「健ニイ!」「幸子?」と盛り上がる。サリーの本名は柴田幸子。健次の高校時代の後輩だった。その後、健次は母の貴子(加賀まりこ)が入院する病院へ…。
とある雪原を歩いてくる男、春木健次(織田裕二)、36歳。付き添う現地の案内人は、日本人は良く来るが健次のようにひとりは初めてだと不思議そう。健次は、ひとりで来たのではないと言うが、連れの姿はない。案内人の疑問をよそに、健次はバッグからきれいな包装紙でラッピングされた箱を取り出し、包みを開け始め…。
—3ヶ月前、2004年秋-
健次はニュージーランドのゲレンデにいた。第1事業部の主任として勤める会社、ハートスポーツ主催のスノーボード大会が終わって一息ついたところ。健次は、部下の葉山達平(森山未來)を、ひと滑りしようと誘う。と、健次の携帯電話が鳴る。新谷伍郎(伊原剛志)だ。健次は、達平を残して伍郎の元へ。伍郎は、健次の大学時代からの友人であると同時に、ハートスポーツの取締役。その車が故障したのだが、直りそうもない。すると伍郎は、ホテルに戻って迎えの車を呼んで欲しいと頼む。歩けば良い、と言った健次に向かって、伍郎は秘書の青井由季(矢田亜希子)がヒールをはいているのだから、と言ってさらに車を呼んでくるよう頼んだ。車内をのぞくと、清楚な女性・由季がいた。
ある日曜日。健次が自宅マンションに帰ると、隣室への引っ越しが行われていた。部屋に入ろうとした健次は、作業員が何かを落としたのに気付く。それは、暴走族のレディースの集合写真。健次は慌てて写真を戻し、元レディースが隣に引っ越してきた、と携帯で達平に報告。テラスで作業を眺めながら話していると、作業員に指示する女の姿が。振り返った顔に健次は絶句。なんとそれは、スキーゲレンデで会った、あの清楚な女性、伍郎の秘書の由季だった。健次と由季の部屋の境には、ハメ殺しの扉がある。もしも変な男が住んでいたら大変だと、扉に軽く体当たりしてみる由季。反対側の部屋で、扉前に置いた揺れる棚を押さえる健次は、由季の意外な一面に開いた口がふさがらない。
会社での健次は、部下に次々と指示を出して精力的に働く毎日。しかし、由季は…? 由季の部屋には、夜な夜なプレゼントを持った“ハートスポーツ”の男性社員が尋ねてくるのだ。しかも毎日違う男…あきれはてる健次。
そんなある日、出勤してきた健次は、ロビーで達平に、由季の名は伏せながら、隣室の女の話をしていた。達平は、通りかかった派遣社員の高瀬彩香(MEGUMI)も、以前の会社では、ラブテロリストと呼ばれていたらしいと話す。健次と達平が軽口をたたいていると、そこに由季と伍郎が現れた。伍郎は健次に、今夜マンションに行く、と告げる。隣室にいる由季の存在を、伍郎は知らない方が良いと思う健次だったが…。
二人が秘書室に戻ると由季の同僚、本山美樹(坂下千里子)がいた。美樹が部屋から出て行くと、それを待っていたように、伍郎は由季の引っ越し祝いを来週の月曜日にしようと誘う。由季は、伍郎を軽くあしらい、社長主催のパーティーへの出席を促し、大会社のジュニアたちが数多く出席するであろうそのパーティーに、ちゃっかり自分も同席出来るよう話を進める。伍郎が出て行くと、由季は“してやったり”の表情。
その夜、居酒屋で、何人もの男からのメールでの誘いに“今夜は両親と食事”と一括返信している由季のもとに、彩香がやって来た。実はこの二人、元レディース仲間。偶然、同じ会社で再会したのだ。由季が、男は利用しなくては、などと話していると、派手な女を連れた商品開発部の日垣直哉(玉木宏)が店に入って来た。それを見た由季は、店を変えようと言い出して…。
健次の部屋を訪れた伍郎は、大学生時代のスキー部のビデオに釘付け。当時、同期生の健次と伍郎はキャプテンと副キャプテンで、今とは立場が逆だった。ビデオに同じスキー部の白河仁美(桜井幸子)が映っていると伍郎が言うと、健次は突然テレビを消してしまう。そんな時、健次の部屋のインターフォンが鳴った。ドアスコープから健次が見ると、扉の前にいるのは由季。泥酔している様子で、激しくドアを叩き始めた。部屋には伍郎がいる。迷いながらも健次がドアを開けると、鍵を落としたと言う由季。健次の部屋から、ハメ殺しの扉を開けて自分の部屋に行きたいと主張する。由季は、健次が同じ会社の社員だとは気付いていない様子で、由季の頼みを健次が断ると、健次に絡み始める始末。と、様子を気にした伍郎が近づいてきた。慌てて押し戻す健次。外にいるのは健次の彼女だと思い込んでいる伍郎に、健次は、とても見せられるような女ではないと言い、伍郎の目を隠して由季の横を通り過ぎ、体よく伍郎を送り帰した。 部屋に戻った健次は、仕方なく由季を招き入れ、件の扉を開けようとするが、なかなか開かない。やっぱり大家に鍵を借りよう、と言いかける健次の前を、由季が走り抜けて扉をキック…開いた。早速、自室に戻ろうとする由季に、健次は、自分の姿に見覚えないか? と、尋ねる。コンタクトも落とした由季は、自室で眼鏡をかけ、振り返って愕然。どちらかが引っ越す、引っ越さないの押し問答も結局、結論が出ないまま…。
翌日、出社した健次はロビーで由季と会う。二日酔いの様子だが、昨日とは打って変わった“秘書顔”に変身していた。健次が第1事業部に行くと、直哉が達平に文句を言っていた。新しいスノーボードブランドの発表会イベントプランでもめている。自分の意見が通らないと思った直哉は、だから事業部はダメだと捨てゼリフを吐いて出て行く。廊下に出た直哉は、由季と会う。直哉は、今夜飲みに行こうと軽く由季を誘った。だが、その前に寄るところがあると直哉。
その夜、由季とのデート前に直哉はデザイナーの藤澤律子(片瀬那奈)と会う。しかし、この二人、ただの仕事関係ではない様子。直哉は律子に気がある様子なのだが、全く相手にされていない。由季が待っているバーにやってきた直哉は、またふられたと由季に話す。そんな直哉をいつものことのようにあしらう由季だったが…。
健次と直哉は、FMラジオ局のシースルースタジオへ。『ハートスポーツ』のスポンサー番組のDJサリー柴田(りょう)に会うためだ。しかし、健次はブースで喋るサリーの顔に見覚えがある。プロデューサーとともにブースから出てきたサリーと健次は「健ニイ!」「幸子?」と盛り上がる。サリーの本名は柴田幸子。健次の高校時代の後輩だった。その後、健次は母の貴子(加賀まりこ)が入院する病院へ…。