第2回 2004年7月13日(火)放送 あらすじ

#2 新しい絆

 「お兄さんの人生、ここからもう一度始めてほしいんです」。奈緒(観月ありさ)は一緒に暮らしながら記憶を失ってしまった義兄光彦(椎名桔平)とその息子祐輔(広田亮平)の身の回りの世話をすることに決めた。「がんばれよ」。結婚を誓いあった和也(玉山鉄二)も奈緒の決断を快く認めてくれた。その和也の献身的なサポートのおかげで、祐輔もようやくしゃべってくれるようになった。もっとも奈緒と亡くなった姉・美穂(森口瑶子)の父親・正治郎(小野武彦)だけは依然として光彦を許そうとはしなかった。
 奇妙な共同生活が始まった。奈緒は朝ごはんの用意をすると、昼食代を光彦に手渡してマンションを後にした。「迷惑をかけないようにしますから」。所属事務所の社長、後輩のちひろ(加藤あい)、優子(中山 恵)にも事情を伝えてスタイリストの仕事に支障はきたさないと約束した。目まぐるしい1日の仕事が終わると、奈緒は夕食の買い物をして帰宅した。「お帰り。すぐ食べられるから」。なんと和也が手料理をつくって待っていてくれた。奈緒は親子そろいで買ったパジャマを光彦と祐輔にプレゼントした。「ありがとうございます」。なごやかな時間がゆっくりと流れていった。
 ところが和也が帰ってしまうと、奈緒は昼食用に注文した宅配ピザが手つかずのままゴミ箱に捨てられているのに気づいた。「驚いて落としてしまったんです」。同じマンションの住人にいきなり話しかけられて恐怖を感じたという。翌日、光彦を診察した臨床心理士は奈緒に注意をうながした。記憶喪失者は自分を知っている人間から大きな重圧をうけるという。「最悪の場合、自殺する人もいますから」。
 奈緒が仕事中は順子(木村多江)が光彦に付き添ってくれた。もちろん、かつての部下もいまの光彦にとっては見知らぬ他人だ。「私はどんな人間だったんですか」「とても有能で仕事ができました」。その言葉は嘘ではなかったが、光彦はそれだけの社員ではなかった。記憶を失うまでの光彦はその非情さにおいて同僚や部下から恐れられていた。だから順子からの報告を受けた専務の柏木(平泉成)は「あの男はわが社にとって重要な人間だ」と断じた。たしかに光彦がシンガポールで進めていた仕事の事後処理は、きわめて慎重さを要求されるものだった。
 美穂の遺品を詰めたダンボール箱がマンションに届いた。「ずっと持っていてくれたんだね、お姉ちゃん」。奈緒が贈った想い出の品々にまじって家族3人で写された写真が出てきた。噴水の前に立つ光彦、美穂、そして祐輔。どこかの動物園で撮影したものらしい。
 和也はいきつけのバーで後輩の弘樹(藤沢大悟)、ちひろ、優子たちと飲んでいた。「こうなったら結婚はしばらくお預けだな」。マスターの小野寺(松崎しげる)に奈緒との婚約をバラされて和也は照れた。歓声が上がる中、ちひろだけが黙りこんでしまったことには誰も気づかなかった。
 その朝、奈緒は近くの小学校で祐輔の転入手続きをしてから仕事場のスタジオに向かった。「どういうことなの!」。手配したはずの衣装がまだ届いていない。「冗談じゃないわ!」。モデルの女優が苛立ち、スタッフの間に緊張が走った。「すぐに取りに行ってきます」。奈緒がスタジオを飛び出そうとしたまさにそのとき、携帯電話が鳴った。切羽つまった光彦の声が聞こえた。「祐輔くんがいなくなりました」─。

キャスト

佐伯奈緒 … 観月ありさ
望月光彦 … 椎名桔平
富田ちひろ … 加藤あい
結城和也 … 玉山鉄二
阿久津順子 … 木村多江
望月美穂 … 森口瑤子
望月祐輔 … 広田亮平
小野寺 慶 … 松崎しげる
杉山 悟 … 山口馬木也
長峰弘樹 … 藤沢大悟
村岡優子 … 中山 恵
中沢紀子 … 若月彩子
柏木孝行 … 平泉 成
佐伯正治郎 … 小野武彦

スタッフ

■脚本
  清水友佳子
■プロデューサー
  笠置高弘(関西テレビ)
  小椋久雄(共同テレビ)
  谷古浩子(共同テレビ)
■演出
  河野圭太(共同テレビ)
■音楽
  西村由紀江
■制作
  関西テレビ
  共同テレビ

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