第10回 2004年9月7日(火)放送 あらすじ

#10 過去への旅立ち

 警察の事情聴取から帰宅した光彦(椎名桔平)は置き手紙をのこして姿を消した。奈緒(観月ありさ)は懸命にさがすが見つからない。「大丈夫。お父さんは絶対に帰ってくるから」。奈緒は自分に言い聞かせると、不安げな祐輔(広田亮平)をしっかりと抱きしめた。
 翌朝、和也(玉山鉄二)がきてくれた。「落ちつけよ」。和也は焦る奈緒をいさめた。奈緒が仕事を休んで光彦からの連絡を待っていると、順子(木村多江)から電話がかかってきた。「そちら、大変じゃないですか」。順子も週刊誌記者の久野(小市慢太郎)に追いかけられた。奈緒が光彦の失そうを伝えると、順子は臨床心理士の二宮(水島かおり)にすぐ連絡するよう促した。「早く見つけないと取り返しのつかないことになるかもしれません」。光彦の心理は極限状態に達しているのだ。
 奈緒はマンションにやってきた大谷(北見敏之)、竹田(榊英雄)両刑事にやむなく光彦が姿を消したことを打ち明けると、憤まんをぶつけた。「お兄さんを追いつめたのは警察じゃないですか!」。大谷は感情をむきだしにくってかかる奈緒をなだめながら、謎めいた一言をもらした。「この事件、週刊誌に書かれているように単純なことじゃないかもしれませんね」。
 ようやく光彦から電話がかかってきた。「今どこにいるんですか?」。しかし光彦は奈緒の問いかけには答えなかった。「祐輔のこと、よろしくお願いします。今までありがとうございました」。それだけ言うと光彦は一方的に切った。奈緒の胸中に不吉な予感がふくれあがった。「お父さんと行った教会かも」。祐輔が光彦の背後で鳴る鐘の音に気づいていた。
 ちひろ(加藤あい)が和也と現れた。和也の説得が通じて、スタイリストを続ける気持ちになったらしい。「何かあったら連絡します」。奈緒はちひろに祐輔を託すと、和也の車で光彦が少年時代をすごした保護施設にむかった。「さっきいらっしゃいましたよ」。シスターの1人が教会に入っていく光彦を目撃していた。「お兄さん!」。しかし教会は無人。奈緒と和也は手分けして捜した。見つけた。光彦は近くの湖に入水しようとしていた。「私がいるとあなたや祐輔に迷惑をかけてしまう」「お兄さんは必要な人よ!何があっても信じます」。奈緒の叫びが死を覚悟していた光彦を思いとどまらせた。しっかり抱きあう2人を和也は安堵の表情で見つめていた。
 「お父さん!」「ごめん、祐輔」。光彦が帰宅すると、祐輔は飛びついて泣きじゃくった。2人が一緒に風呂に入っているあいだ、奈緒がパソコンのメールをチェックしていると、過去3カ月分の受信メールが出てきた。その中に亡くなった姉美穂(森口瑤子)からの未読メールが出てきた…。
 一方、伍代物産の専務室では柏木(平泉成)が大谷、竹田両刑事と向きあっていた。「我々は今回の事件は、保険金以外の可能性もあるとにらんでるんですよ」。シンガポールの現地警察の捜査で、事件の2日前に光彦の家に空き巣が入っていたことが判った。執ように家捜ししたらしく室内は激しく荒らされていた。単なる空き巣とは思えない。刑事たちが帰ると、柏木は腹心の杉山(山口馬木也)に急きょシンガポール行きを命じた。「警察が動きだした。なんとしても連中よりも先にディスクを探しだすんだ」。「お姉ちゃん、やっぱりお兄さんと一緒にいて、幸せだったんですよ」。奈緒の中にあった光彦に対する疑心はすっかり消えていた。その時ドアチャイムが鳴った。順子だった。「きょう警察が会社にきました」。空き巣の一件も伝えると順子は自分の推測を打ち明けた。「もしかしたらディスクをさがしてたんじゃないでしょうか」——。

キャスト

佐伯奈緒 … 観月ありさ
望月光彦 … 椎名桔平
富田ちひろ … 加藤あい
結城和也 … 玉山鉄二
阿久津順子 … 木村多江
望月美穂 … 森口瑤子
望月祐輔 … 広田亮平
小野寺 慶 … 松崎しげる
杉山 悟 … 山口馬木也
長峰弘樹 … 藤沢大悟
村岡優子 … 中山 恵
中沢紀子 … 若月彩子
大谷桂一 … 北見俊之
久野昌弘 … 小市慢太郎
清瀬正嗣 … 小須田康人
竹田直樹 … 榊 英雄
柏木孝行 … 平泉 成
佐伯正治郎 … 小野武彦
ほか

スタッフ

■脚本
 横田理恵
■プロデューサー
 笠置高弘(関西テレビ)
 小椋久雄(共同テレビ)
 谷古浩子(共同テレビ)
■演出
 小林義則(共同テレビ)
■音楽
 西村由紀江(財団法人ヤマハ音楽振興会)
■制作
 関西テレビ
 共同テレビ

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