緋の十字架
美しすぎる娘
昭和三十八年。あれから七年の歳月が流れ、薫は直哉のもとで二十一歳の夏を迎えていた。大学の寮に入っている浩一が、七年ぶりに大河内家へ帰ってくる。美しく成長した薫との再会に胸をときめかせた浩一は、卒業したら薫と結婚することを宣言する。驚いた悦子は、薫の縁談を早急にまとめようとする。直哉は反対。音楽の才能のある薫を音楽学校へ行かせようと考える。直哉は浩一に、大河内家の跡取りにふさわしい結婚相手について言い聞かせる。浩一は、直哉のように家の犠牲にはならない、と反発。直哉が薫との結婚に反対するのは、自分への嫉妬だと指摘する。