緋の十字架
美しき成長
身寄りのない薫を不憫に思った直哉は、自分の家で預かることにする。が、暴れて、食事も手づかみでする薫に、悦子らは目くじらを立てる。そんなとき、浩一が自分のハモニカを勝手に吹いている薫と喧嘩。はずみでハモニカが浩一の頭に当たり、血が流れる。怒った美也子は薫に出て行くよう言い渡す。その夜、帰らない薫を、直哉は探しに行く。薫はもとのあばら屋に潜んでいて、高熱を出していた。直哉は薫を連れ帰り、看病する。誰がなんと言っても自分が守ってやる、と薫を抱きしめる直哉。昭和三十一年、夏。薫は直哉に見守られ、美しい少女に成長していた。