ハコイリムスメ!
#4 母親失格
「関係ないあなたにそんなことさせられるわけないでしょ」。吉太郎(地井武男)に赤ちゃんの父親だと言い放ったキース(マーク・コンドン)を花(飯島直子)は人けのない山道に連れだした。「花さんの力になりたいんです」。一途なキースは花の説得をはねつけた。
「俺は絶対に認めないからな」。吉太郎の怒りは収まらない。「この家で産ませて。私がちゃんと育てるから」「結婚しないで生むなんて絶対にさせないからな!」。吉太郎の剣幕に花は思わず口走った。「じゃあ、結婚すればいいのね」。
灯(深田恭子)もキースを赤ちゃんの父親だと信じ、驚きの色を隠さなかった。しかし部屋で一人きりになると、頭の中は徹郎(吉沢 悠)のことでいっぱいになった。どうして灯の記憶だけがすっぽり消えてしまったのか。「帰ってくれ!」。灯がせっかく山でつんできた野草の花束を徹郎は病室の床にたたきつけた。兄の一成(袴田吉彦)によれば、徹郎の逆行性健忘症では性格が変わってしまうことがあるという。「あなたを見ると思い出せない自分に苛立つんでしょう」。
吉太郎の前では大見得をきったが、花に結婚相手のあてなどない。結局キースに頼むしかなかった。「あと1カ月だけフィアンセのふりをして下さい」「わかりました」。キースは快く引き受けてくれると、休日の朝、菓子折りを下げて山にやって来た。いつになくめかしこんで出迎えた花を見て、健(勝村政信)や太郎(高橋賢人)らは2人が恋人同士だと信じた。もっとも吉太郎の態度は変わらない。花はキースを猿園に案内したが、今度は観光客に説明をしていた十郎太(古田新太)にからかわれた。「あれがこの山で一番ホットな国際カップル。熟女の花さんはすでにオメデタです」。あわてて逃げ出した。
退院した徹郎はマンションに戻った。灯が訪ねると夏子(真木よう子)が出迎えてくれた。幼なじみの夏子のことは思い出したらしい。「俺、あの子、うっとうしくて苦手だよ」。徹郎が夏子にささやいているのを耳にして、灯は悲しみがこみ上げてきた。
「今日からお前はここの仲間だ。カンパーイ!」。純平(玉山鉄二)のパブに引っ張りこまれたキースと花は地酒をふるまわれた。「いいなあ、ハーフの赤ちゃんなんて」。マヤ(藤井彩香)やはるか(堀越のり)もすっかりキースが父親だと信じこんでいた。見かねた花がキースを外に連れだすと、沈みきった表情で灯が歩いてきた。「徹郎の頭の中から、私は消えちゃったの。でも、頑張る」。健気に自分を励ます灯の肩を花は抱きしめた。
翌日の昼、茶屋に集まったいつもの顔ぶれはキースの話題でもちきり。昨晩いつの間にか帰ったものと思ったら、夜通し山中をうろついているのを目撃されていた。朝子が落とした髪留めを探してくれていたのだ。
「何を怒っているの?」。花は朝子に聞いた。「赤ちゃんの父親はキースさんじゃないでしょ」。花の嘘は見抜かれていた。
「俺は絶対に認めないからな」。吉太郎の怒りは収まらない。「この家で産ませて。私がちゃんと育てるから」「結婚しないで生むなんて絶対にさせないからな!」。吉太郎の剣幕に花は思わず口走った。「じゃあ、結婚すればいいのね」。
灯(深田恭子)もキースを赤ちゃんの父親だと信じ、驚きの色を隠さなかった。しかし部屋で一人きりになると、頭の中は徹郎(吉沢 悠)のことでいっぱいになった。どうして灯の記憶だけがすっぽり消えてしまったのか。「帰ってくれ!」。灯がせっかく山でつんできた野草の花束を徹郎は病室の床にたたきつけた。兄の一成(袴田吉彦)によれば、徹郎の逆行性健忘症では性格が変わってしまうことがあるという。「あなたを見ると思い出せない自分に苛立つんでしょう」。
吉太郎の前では大見得をきったが、花に結婚相手のあてなどない。結局キースに頼むしかなかった。「あと1カ月だけフィアンセのふりをして下さい」「わかりました」。キースは快く引き受けてくれると、休日の朝、菓子折りを下げて山にやって来た。いつになくめかしこんで出迎えた花を見て、健(勝村政信)や太郎(高橋賢人)らは2人が恋人同士だと信じた。もっとも吉太郎の態度は変わらない。花はキースを猿園に案内したが、今度は観光客に説明をしていた十郎太(古田新太)にからかわれた。「あれがこの山で一番ホットな国際カップル。熟女の花さんはすでにオメデタです」。あわてて逃げ出した。
退院した徹郎はマンションに戻った。灯が訪ねると夏子(真木よう子)が出迎えてくれた。幼なじみの夏子のことは思い出したらしい。「俺、あの子、うっとうしくて苦手だよ」。徹郎が夏子にささやいているのを耳にして、灯は悲しみがこみ上げてきた。
「今日からお前はここの仲間だ。カンパーイ!」。純平(玉山鉄二)のパブに引っ張りこまれたキースと花は地酒をふるまわれた。「いいなあ、ハーフの赤ちゃんなんて」。マヤ(藤井彩香)やはるか(堀越のり)もすっかりキースが父親だと信じこんでいた。見かねた花がキースを外に連れだすと、沈みきった表情で灯が歩いてきた。「徹郎の頭の中から、私は消えちゃったの。でも、頑張る」。健気に自分を励ます灯の肩を花は抱きしめた。
翌日の昼、茶屋に集まったいつもの顔ぶれはキースの話題でもちきり。昨晩いつの間にか帰ったものと思ったら、夜通し山中をうろついているのを目撃されていた。朝子が落とした髪留めを探してくれていたのだ。
「何を怒っているの?」。花は朝子に聞いた。「赤ちゃんの父親はキースさんじゃないでしょ」。花の嘘は見抜かれていた。