ハコイリムスメ!
#1 姉帰る!!嵐の予感
東京郊外の高尾山。その中腹にある十一丁目茶屋で古森花(飯島直子)と灯(深田恭子)の姉妹は育った。「自分を幸せにできるのは自分だけよ」。そう言い残すとアバレル会社に就職の決まった22歳の花は希望に胸ふくらませて山を降りていった。灯はまだ6歳の少女だった。花は失恋するたびにふらりと実家に戻ってきた。決まって4年周期だったから、山で働く人々も慣れっこになっていた。34歳で帰ってきた時、灯は短大生になっていた。
「三十すぎた娘が結婚もしないで何しに戻ってきた」。カミナリを落としたのは父親の吉太郎(地井武男)。「今度は東京で何があったの?」。心配そうにたずねたのは母親の朝子(吉田日出子)。「ここでお婿さん見つけて店を継ぐなら文句ないでしょ!」。
一方、20歳になった灯はリクルートスーツで就職活動の真っ最中。「私はお姉ちゃんみたいにならない。幸せを絶対に見つけてみせる」。そう自分に言い聞かせて会社訪問を続けていたが、なかなか内定をもらえない。
灯には医大生の高村徹郎(吉沢悠)という恋人がいた。つきあいだして3カ月になるのに、まだ高尾山に住んでいることを言い出せないでいる。だから早い門限を言い分けにしてデートは宵の口まで。最終のケーブルに間に合わないと茶屋に帰れないからだ。
「チクショー、バカオヤジ!」。花は吉太郎に対するうっ憤をサル園のサルたちにぶつけた。すっきりして鼻歌をくちずさみながら山道を歩いていると突然、外国人の男に腕をつかまれた。「日本人の女、なめんじゃないわよ!」。顔面にパンチを叩きこんだら、男は何か差し出した。朝子からもらった髪飾り。花が落としたのを手渡してくれようとしたのだ。
「本当にごめんね。殴ったお詫びに」。花は男を展望台のビアホールに誘った。「1年前ニューヨークから仕事で東京に来ました」。男はキース・コーベット(マーク・コンドン)と名乗った。「いいから急いで飲んで。こんなところ誰かに見られたら大変だから」。花は勘定を支払うとキースを残してさっさと出ていった。
「また本当のこと言えなかった」。灯は徹郎とのデートをあわただしく切り上げると、なんとか最終のケーブルに間に合った。「灯ちゃんのこと本当に好きな男なら大丈夫だよ」。健は慰めてくれたが、灯の気持ちは晴れない。
一夜明けると、花とキースが会っていたことは山中の話題になっていた。しかも目撃した十郎太が話に尾ひれをつけた。「いかにもワケありって感じ。花ちゃんに勘定まで支払わせていたから、絶対にだまされてるよ」。ひそかに花のことが好きな健は大ショック。しかも吉太郎の耳に入った。「バッカみたい。ビール一杯おごっただけよ」「お前、店継ぐ男探すと言って、毎日何やってんだ!」。あとはお決まりの親子ゲンカ。
「花から何も聞いてないの?」。会社訪問をしていた灯は姉の友人に出会った。花はデザイナーとしての才能を認められ、同じ職場のデザイナーと婚約もしていた。しかしフィアンセは花と別れて社長の娘と結婚した。花はデザインルームから異動させられた。そして姉は山に戻ってきたのだ。
花が茶屋で健の息子の宿題をみていると、キースが現れた。花はあわてて人けのない丘に連れだした。「こんなところ見られたら、また何言われるか分からないから」「ごめんなさい。でもまた会いましょう」。キースはこの山が気に入ったという。「私は大っ嫌い。絶対にもう来ちゃダメよ」。それだけ言うと花はくるりと背を向けた。
姉の事を聞かされた灯はショックを受けた。「なんだか急いでうちに帰るのヤになっちゃった」「じゃ、連れていきたい所があるんだ」。徹郎が灯を連れてきたのは豪華な門構えの自分の実家だった・・・。
「三十すぎた娘が結婚もしないで何しに戻ってきた」。カミナリを落としたのは父親の吉太郎(地井武男)。「今度は東京で何があったの?」。心配そうにたずねたのは母親の朝子(吉田日出子)。「ここでお婿さん見つけて店を継ぐなら文句ないでしょ!」。
一方、20歳になった灯はリクルートスーツで就職活動の真っ最中。「私はお姉ちゃんみたいにならない。幸せを絶対に見つけてみせる」。そう自分に言い聞かせて会社訪問を続けていたが、なかなか内定をもらえない。
灯には医大生の高村徹郎(吉沢悠)という恋人がいた。つきあいだして3カ月になるのに、まだ高尾山に住んでいることを言い出せないでいる。だから早い門限を言い分けにしてデートは宵の口まで。最終のケーブルに間に合わないと茶屋に帰れないからだ。
「チクショー、バカオヤジ!」。花は吉太郎に対するうっ憤をサル園のサルたちにぶつけた。すっきりして鼻歌をくちずさみながら山道を歩いていると突然、外国人の男に腕をつかまれた。「日本人の女、なめんじゃないわよ!」。顔面にパンチを叩きこんだら、男は何か差し出した。朝子からもらった髪飾り。花が落としたのを手渡してくれようとしたのだ。
「本当にごめんね。殴ったお詫びに」。花は男を展望台のビアホールに誘った。「1年前ニューヨークから仕事で東京に来ました」。男はキース・コーベット(マーク・コンドン)と名乗った。「いいから急いで飲んで。こんなところ誰かに見られたら大変だから」。花は勘定を支払うとキースを残してさっさと出ていった。
「また本当のこと言えなかった」。灯は徹郎とのデートをあわただしく切り上げると、なんとか最終のケーブルに間に合った。「灯ちゃんのこと本当に好きな男なら大丈夫だよ」。健は慰めてくれたが、灯の気持ちは晴れない。
一夜明けると、花とキースが会っていたことは山中の話題になっていた。しかも目撃した十郎太が話に尾ひれをつけた。「いかにもワケありって感じ。花ちゃんに勘定まで支払わせていたから、絶対にだまされてるよ」。ひそかに花のことが好きな健は大ショック。しかも吉太郎の耳に入った。「バッカみたい。ビール一杯おごっただけよ」「お前、店継ぐ男探すと言って、毎日何やってんだ!」。あとはお決まりの親子ゲンカ。
「花から何も聞いてないの?」。会社訪問をしていた灯は姉の友人に出会った。花はデザイナーとしての才能を認められ、同じ職場のデザイナーと婚約もしていた。しかしフィアンセは花と別れて社長の娘と結婚した。花はデザインルームから異動させられた。そして姉は山に戻ってきたのだ。
花が茶屋で健の息子の宿題をみていると、キースが現れた。花はあわてて人けのない丘に連れだした。「こんなところ見られたら、また何言われるか分からないから」「ごめんなさい。でもまた会いましょう」。キースはこの山が気に入ったという。「私は大っ嫌い。絶対にもう来ちゃダメよ」。それだけ言うと花はくるりと背を向けた。
姉の事を聞かされた灯はショックを受けた。「なんだか急いでうちに帰るのヤになっちゃった」「じゃ、連れていきたい所があるんだ」。徹郎が灯を連れてきたのは豪華な門構えの自分の実家だった・・・。