紅の紋章
憐れみはいらない
ある日、純子は偶然、道也と再会する。が、別人のように落ちぶれて、物乞いをしているその姿に、声もかけられずに通りすぎる。同じ頃、綾子も道也の変わり果てた姿を見かける。綾子は道也を家へ連れて帰ろうとするが、同情はいらない、と拒絶される。道也が医師免許を剥奪された事情を調べた玲子は、堂本病院を買い取った沢村院長に会い、道也の医師免許の回復を頼む。沢村は承知するが、条件として玲子に自分の愛人になるようきりだす。それからまもなく、沢村が道也の前に現れ、分厚い封筒を置いていく。翌日、道也はその封筒を沢村に叩き返す。