紅の紋章
ザクロの丘で
純子が英作の見舞いにいったある日、英作は今でも強烈に心に残っている、ある風景について純子に語る。それは小学生の道也と行った、ザクロの木のある丘の風景で、純子と一緒にその風景を見たかった、と英作はしみじみと語る。土曜日、純子は道也に地図を書いてもらい、その丘へ出かけていく。すると、途中で道也が待ちかまえていて、二人は一緒に丘へ行く。二人が丘に着いてまもなく、突然雷鳴が轟き、激しい雨になる。二人は近くの旅館で雨宿りをするが、土砂崩れで列車が不通になり、帰れなくなる。その頃、英作は、道也と純子に関する重大な秘密を精太郎に告白していた。