フジテレビバスケットボール

第8回 アルバルク東京・ザック・バランスキー選手

「“ざっくばらん”で知名度アップのフォワードは、アメリカ人と日本人のメンタリティを持つ」

得点での貢献度が多くなるとチームの勝率も高い

栃木生まれの長野育ちというザック・バランスキーは、日本での生活が18年目を迎えるアメリカ人。
バスケットボール好きの間では知られていたが、ざっくばらんという言葉を理由に認知度が上がったのは明らかで、自身も「会場では“わ〜、ざっくばらん”とか言われるようになったんですけど、街中ではそれほど。Bリーグの効果か、以前より“ザック選手ですか?”と言うのはあります」と認める。

オフの間にディフェンスで求められる機敏さを維持しながら体重増によるパワーアップに成功

“ざっくばらん”な性格と自認しているが、バスケットボールに関して当てはまらない。
真面目で献身的なハードワークをする泥臭さが持ち味であると同時に、好きなことだから楽しむことを決して忘れない。

「真剣な中にも楽しんでやりたい。バスケが好きなので。そういった意味で真面目にやっていますけど、多分チーム内でも、プレイでも、ベンチでも笑顔が一番多い選手だと思います」と語るように、バランスキーはいい意味で感情表現が豊富な選手なのだ。
日本での生活が人生の3分の2以上を占めるだけに、アメリカ人と日本人のメンタリティを持ち合わせていることは本人も認識している。アメリカ人だと最も感じるのが食生活で、

「ステーキ、ハンバーガー、ピザ、アイスクリーム、バーベキューとか大好き。2週間に1回かわからないですけど、1か月に1回は絶対、マジでビザが食べたい時があるんです。帰りにドミノピザに寄って、一人でMサイズを2つ買って食べるとか、わざわざ青山にあるピザ屋さんまで行って食べるとか…」と話す。
ニューヨークに行った際にも何度もピザを食べたと口にしたものの、一番好きな食べ物かといえば、決してそうではないという。
食がアメリカといいながらも、取材日の朝食が納豆卵かけご飯だったあたりは、日本の生活に馴染んでいる証。
ちなみに、英語で話している際に癖でお辞儀のようなリアクションをしたと気付いた時が、日本人のようだと感じる典型だと説明する。
英語と日本語を話せるバイリンガル、アメリカ人と日本人のメンタリティを両方とも理解できるという点で、バランスキーはアルバルク東京にとって一選手という以上に貴重な存在。
ムードメーカーとしても欠かせないことは、「日本人と外国人が話をしたい時にちょっと入って訳して、みんなで“ハハハ”ということになることもありますし…」という言葉が象徴している。
Bリーグ初年度の昨シーズン、バランスキーは“これがプロだ”と実感する1年を過ごした。
シーズン中にアメリカ人選手が2人入れ替わるなど、結果次第という世界を目の当たりにする。
自身もタフな戦いが強いられたことは、2月まで3Pシュートを3本以上決めた試合が9回あったが、3月以降一度もなかったことでも明らか。

「昨シーズン初めて60試合やって、最後のほうちょっとヘルニアになった中でという感じで、パフォーマンスでしっかり結果を出せなかった。その中でもケガをしてもパフォーマンスで結果を出さなければいけないと感じましたし、自分で最後のほうすごく結果を出せなかったと感じていて、1シーズンを通して安定した結果を残さないといけない」と語るように、このオフはフィジカルの強化と体重増に力を入れた。
約8kgの増量は、パワーフォワードとしてマッチアップした際の当たり負けを減らせるだけでなく、スモールフォワードであればフィジカルの強さを武器に優位に立てると認識。

「動きつつ増やしたので、重く感じることはないし、普通にやれている」と語るように、バランスキーは進化した姿を今シーズン見せられるという自信を持っている。ルカ・パヴィチェヴィッチのヘッドコーチ就任により、アルバルク東京は戦略やプレイスタイルが昨シーズンから大きく変化するのは確実。「どちら(のフォワード)もできる準備はするつもりですし、自分のプレイの幅も広げたいというのもあります。去年いろいろ経験して得たものもありますから」と語るように、どんな形の起用であっても、勝利に貢献できる選手として存在感を示すつもりだ。
シーズン開幕前の関東アーリーカップは、自身の現状と今後を占う上で、絶好の機会と捉えている。

「新しい大会で、シーズン中も同じ地区のチームと6回やるんですけど、前段階の力試しというか、今年のチームがどんな感じなのかを1回見られるいいチャンスだと思っています。やるには勝ちたいですし、優勝を目指してやりますけど、シーズンへの準備段階というか、今シーズン自分がどこまで成長できるかわかるいいチャンスだと思います。オフシーズンにそれぞれ違う練習をしてきたと思うので、“この選手はここがうまくなった”とか“自分はここがうまくなった”とわかるいいチャンスだと思いますし、それをどうシーズンに生かすかが大事だと思います」

ポジティブな感情表現でチームを盛り上げるムードメーカー