フジテレビバスケットボール

第2回 新潟アルビレックスBB・五十嵐圭選手

入念な準備と妻のサポートが、大ベテランになってもスローダウンの兆候が見られない決め手

ロッカールームで一人の時間を作るため、試合前のウォームアップで打つシュートの本数は少なめ

1980年生まれの五十嵐圭は、B1を制覇した栃木ブレックスのキャプテン、田臥勇太と同級生。2人は現在もBリーグでトップクラスのポイントガードであり、心身ともにタフな選手ということでも共通している。
チーム事情に違いがあるといえ、五十嵐は田臥に比べると出場時間が長い。
新潟アルビレックスBBに移籍したB1最初のシーズン、58試合に出場した五十嵐は、30分以上プレイしたのが42試合あったのに対し、田臥が1試合しかなかったという点でも明白。36歳のベテランになっても、チームの中心選手として高いレベルのプレイができているのは、2006年の世界選手権を指揮したジェリコ・パブリセビッチコーチの下、世界と戦うために過酷かつ厳しい環境で練習や試合をしてきた経験が大きい。

五十嵐自身も、「プラスになっていると思いますし、あれがあったから今こういう風にプレイできていると思います」と、当時の経験がプラスだったことを認める。

持ち味のクイックネスは今も若手選手に負けていない

レベルの高いプレイをし続けられるもう一つの理由として、キャリアを重ねるごとに試合に向けての準備、体のケアを入念に行っていることも忘れてはならない。
これといったルーティンはないとしているが、朋子夫人と結婚して以降、食事面で大きな変化があったという。

「個人でというわけではないですけど、結婚してから妻のほうが食事面で、”試合前には必ず牛肉を食べる”とか。特にホームゲームは自宅から通っているので、前の週のゲームが終わって火曜日からの食事という部分、疲れを取るため間に豚肉を入れてとか、試合前には必ず牛肉を食べるという形で妻がコントロールしてくれています。アウェイゲームになると妻がいないので、食事の部分で特に絶対のルーティンがあるわけではないのですが、なるべく牛肉を食べるようにするくらいですかね。前日や当日に必ずこうやるというものはないです」

試合に向けての準備は、前日の練習が終わると、余計なことを考えず、とにかくリラックスすることを心掛けている。
試合がナイトゲームの場合、午前中に会場でのシューティングである程度自分の感覚をつかみ、試合前のウォームアップではあまり本数を打たないそうだ。

「基本的には2時間前に体育館に入って、テーピングを巻いたり、ストレッチしたりする中で、僕個人としてはコートでストレッチとかボールを多く触るというより、ロッカールームで一人の時間を作って、そこでストレッチをしてコートに出ていくことは意識してやっています」ということが、準備段階で行う唯一のルーティンと言える。

新潟をチャンピオンシップへ導けなかったことで不満を感じる五十嵐だが、長いシーズンを戦い抜くことはできた。
手応えを感じられたと同時に、悪かったところは認識し、来シーズンに生かすための準備をすでに始めている。
質の高いプレイをし続けたいという気持は、依然として強いままだ。

「コートに立つ以上は、まだまだ若い選手に負けたくないです。まだまだ自分もプレイで関わっていきたいという思いで、旧bjリーグのチームに移籍してみて、どのくらいできるか、周りの選手のことがわからない中で、それなりの手応えを感じることができました。自分自身もまだまだやれるという自信にもなったし、そういった部分ではステップアップしていきたいと思っています」

地元新潟と長岡で行われる東海・北陸アーリーカップは、新潟が来シーズン戦っていくための基盤作りとして非常に重要。
プレシーズンゲームといえ、Bリーグの公式戦として結果を出すことは、新潟が正しい方向に進むうえで大きな意味を持つと、五十嵐は認識している。

「地元で開催できるのはありがたいことだと思います。ホストチームとして勝てるようにしたいという思いと、これだけ集まって3日間試合を数多くすることは、新潟のファンも見る機会が少ないと思いますので、そういった意味で自分たちが勝ち残るのが一番。」

食事面など妻のサポートによる効果もあり、五十嵐は今もファンの期待に応えるプレイを続けている