第2回 2004年10月14日(木)放送 あらすじ

#2 捨てられた若君~愛に飢えた者たちの悲壮な決意

 竹千代が歩みを始め、おふくは喜んだ。そこへ、お江与が現れた。おふくはあわてて駆け寄り、それを報告するが、お江与は「世継ぎは竹千代とは限らぬ」と言い放つ。にこりと笑みを浮かべたお江与は「わらわは身ごもったのじゃ」と勝ち誇ったように続けた。おふくは、「おめでとう御座います」と取り繕うが動揺は隠せなかった。その晩、おふくは、お江与の流産を祈祷するのだった。
 だが、生まれたのは男児・国松。将軍家跡取り問題がくっきりと浮かび上がった。

 その数年後、慶長14年。6歳になった竹千代は、教師役の青山に論語などを習っている。3日後には秀忠、お江与とまみえるため勉学に励むのである。だが、当日、気の小さな竹千代は挨拶すらうまくいかない。弟の国松は「兄上はお口がきけぬのですか」と幼児の残酷さでお江与に同意を求める。お江与は我が意を得たりとばかりに、聞こえよがしに「父上も三男ながら頭も器量も優れていたゆえに将軍におなりじゃ」とおふくに対する牽制と当てつけを言う。竹千代とおふくは下を向くしかなかった。
 竹千代の誕生日に各所から進物が届いた。中にお江与からの絵筆がある。竹千代は喜びつつも、母が祝いに来てくれぬ寂しさを噛み締める。だが、お江与は国松と遊んでいた。池の鯉を見て、それを好きだと言っている母の言葉を聞きとめた竹千代は、母が落として行った袱紗を身近に置いて、貰った絵筆で鯉の絵を描くことに熱中する。それは、子供とは思えぬ達者な出来栄えであり、青山もおふくも感心する。
 ある日、鯉の絵を描き続ける竹千代の部屋の庭先に女中に連れられた国松がやって来た。丁度、風で竹千代の絵が舞い、国松のそばへ飛ばされた。国松は子供の対抗心から「絵が描きたい」と駄々をこね始める。「絵筆はここにある」と言い、竹千代の座敷に上がり込み筆を奪おうとする。竹千代も応戦してもみ合いになり、絵を汚された竹千代は怒って、庭まで国松を突き飛ばした。騒ぎを聞きつけおふくとお江与が現れた。お江与は「竹千代の監督はそなたの役目であろう。竹千代を国松に近づけるな」とおふくをなじる。去りがけに鯉の絵を踏みつけて行く母を、竹千代は悲しい気持ちで見つめるのだった。
 お江与の露骨な「世継ぎは国松」という情報戦が始まった。そう吹聴し既成事実を作り上げる気なのだ。そうと知ったおふくは秀忠の真意を探る。だが、秀忠は「時が来たら決まる」と茫洋としたものである。一方、お江与も秀忠に「世継ぎは国松がいい」と進言したうえで、「ふくは嫌いじゃ。お父上が差し向けられた者でなければ、とうに城の外にたたき出していた。あれは鬼の目をしている」と口汚く罵るのであった。これに気押された秀忠はおふくを呼び「世継ぎのことは言うな。江与の不興を買うな」と態度を硬化させる。ただ、おふくは直後に届いた家康の心遣いの「褒美」に意を強くするのであった。
 そんなある日、おふくの息子・正勝がおふくに挨拶に来た。正勝は久し振りの母との対面に心躍らせていたが、おふくはピシャリと「母は死んだのだ。私は若君の乳母、そなたはお側役。お勤めに励むように」と正勝を制するのだった。
 そんなおふくがお江与には不愉快でたまらない。女中たちを使い、おふくの過去の情報を集め始めた。そしてお江与は願ってもない情報とおふくを追い落とすチャンスを得た。
 城内の庭園で大きな宴が開かれた。国松をそばにおいて、お江与は朝比奈(梶芽衣子)らと上段から女中たちの遊びを見ている。そしておふくに一緒に遊ぶように指示した。おふくはうまい踊りを見せ、それを待っていたように、お江与は「褒美を取らす」とおふくをそばに呼び寄せた。そして「教えてたもれ。その力で夜盗と妾を殺めた気持ちは」と衝撃の過去を満座の席で暴くお江与。「美濃では稲葉様の奥方は短刀で妾を成敗された悋気の鬼と評判だったらしいな」と追い打ちをかける。おふくは「身を守るため夜盗は刺しました」と言うや「褒美は頂きます」と顔色を変えずその場を去っていくのだった。
 事実はどうあれ城内は「妾殺し」の噂で持ち切りとなり、次の日からおふくの周りに人が寄り付かなくなった。心配する竹千代におふくは「この次に鬼になる時は、若君のためで御座います。おふくはいつか若君を天下の頂点のお立場にして差し上げます」と言い切るのだった。
 一向にめげた気配のないおふくに苛立つお江与は、再び秀忠におふくを辞めさせ、世継ぎを国松に決めるように迫る。ただ相変わらず秀忠は頼りない。お江与は業を煮やし、竹千代が自発的に将軍職を辞退するよう本人の洗脳に乗り出す。
 竹千代が絵を描いているところにお江与がやって来た。お江与は「絵がうまい」と振っておいて「意地を張らず跡継ぎを弟に決めてくれ」と懇願をする。だが、「竹千代を頂点にして、自分は鬼になる」と言うおふくに母以上のものを感じる竹千代は、お江与に「できませぬ」と盾を突く。お江与は泣きわめき「いっそ産まなければよかった」と軽率な発言をする。竹千代の心の傷は広がるばかりであった。
 そして、一人になった竹千代は泣きながら切腹の真似を始めた。それを間一髪のところで制したおふくは竹千代の頬を張った後「死んでは負け。大きくなって母上を見返しなさいませ」と活を入れる。「寂しければふくを母と思うて泣きなされ」と抱きしめるのだった。
 部屋に戻ったおふくは、さらし首になった父の幻影を見る。それに力を得たか、おふくは、家康の住む駿府城を目指し、死をも覚悟した旅に出る。

キャスト

おふく(春日局) … 松下由樹
お江与 … 高島礼子
    *
葛岡 … 鷲尾真知子
吉野 … 山口香緒里
浦尾 … 久保田磨希
村雨 … 小松みゆき
竹千代 … 須賀健太
国松 … 長島弘宜
    *
徳川秀忠 … 渡辺いっけい
朝比奈 … 梶 芽衣子

お玉 … 星野真里(ナレーション)

スタッフ

■脚本
 浅野妙子
■企画
 保原賢一郎
■プロデュース
 林 徹
 樋口 徹
 手塚 治
 若松 豪
■演出
 林 徹
■音楽
 石田勝範
■主題歌
 サザンオールスターズ
■制作
 フジテレビ
 東映

バックナンバー