第10回 2004年12月9日(木)放送 あらすじ

#10 許されざる生命

 日光詣での家光(西島秀俊)に直訴しようとした隼人(金子昇)は、お万のために守らねばという家光の意思及ばず家臣に斬殺された。その時、お万(瀬戸朝香)の足元に椿の花が雨のように降り落ち、お万は不吉な予感にさいなまれる。また、同じころ、お楽(京野ことみ)は、激しい腹痛に襲われ流産の危機に直面し、城内に緊張が走った。お楽はしばらく床に就くことになった。
 大奥でも世俗と同じように七夕の会が催される。短冊を笹につけようと側室や女中らが集まっていると、旅の途中、家光が何者かに襲われたと噂が流れている。よもやと、お万は直ちに家光に問いただした。家光は複雑な思いで「謀反人ゆえ、わしが成敗した」とうそをついてしまう。翌朝から、お万は朝の総触れに参加しなくなった。
 お楽は、どうにか母子とも持ち直したが、春日局に子供は乳母に育てさせると言われショックを受ける。側室のおりさ(末永遥)も妊娠した。お夏(野波麻帆)は自分より早く子供ができたおりさが気に入らない。七夕の短冊をより高いところへ結ぼうとするおりさに足の壊れた踏み台を渡し、おりさはものの見事に転がり落ちる。すると、おりさの足元に水が広がる。流産かと一同騒ぎになったが、なんと腹に入れた水枕が破れたのだ。おりさの妊娠は偽りであったのだ。
 春日局は怒り、お夏、おりさの二人を呼びつけ、蟄居を言い渡す。だがその席にお万が現れ、弱い者同士戦っても、悲しみをいたずらに増やすだけだと二人を説得する。春日局は礼を言う振りをして、お万に総触れに出席するように促す。ところが、お万は総触れどころか、将軍の閨を断る「褥すべり」を申し出る。鼻白む春日局に、お万は「許されなければ死ぬまで。私は死者のために祈る」と言い残し去っていくのだった。
 しかし、春日局は引き下がらない。ある夜、閨に来るようにと呼びに来た春日局は、部屋の前に座り、お万が出てくるまで動かない。お万のことを思うお玉(星野真里)は、自ら身代わりとなり、家光の寝所へ向かった。
 お玉は「無理が過ぎる。お万の気持ちを考えよ」と家光を厳しく責めた。家光は、それをさえぎり、「キリシタン狩りはやめた。わしは生まれてこのかた好きでしたことなど一つもない…」と静かに胸のうちを明かす。「お万だけは我を通した。お万はわしにはまぶし過ぎた…」と吐露すると、お玉は「なぜその気持ちをお万様に見せぬ」と詰め寄る。家光は、深く感じ入った。さらにお玉は、家光が隼人をかばったことも知る。
 お玉は部屋に戻ると、家光の話を一部始終お万に伝えた。お万は、家光の心情と自分の誤解を思い、たまらず家光の部屋に向かおうとした。廊下に出ると騒がしい。お楽が産気付いたのだ。しかも出血が激しく大変な状況である。と、お楽がお万を呼ぶ。お万は人払いさせ、お楽と二人きりになった。
 お楽は、恋人の宗兵衛からもらったお守りを見せ、死んだら一緒に埋めてくれと託す。お万は、あきらめてはいけないと元気付ける。そこへ陣痛が襲ってきた。赤ん坊の泣き声が響き渡り、世継が生まれた。お楽の枕元へ来て春日局が乳母を呼ぶ。こわばるお楽。すぐさまお万が、子供はお楽の元へ置いてほしいというと、なんと背後から家光も「わしからも頼む」と声を掛けてきた。「我が子を抱けぬ母ほど不憫なものはない」。反論しようとする春日局を制して家光は去って行った。その時、家光とお万の心が通いあった。春日局は面目や家光への思いが崩れていくのだった。
 一月ほど経つと、お夏の妊娠も発覚。大奥は賑やかに華やいだ。だが、お万は孝子(木村多江)に自分も中の丸に下がろうかと相談する。
 そんな折、春日局にとって捨て置けない事件が起こり、お万と全面対決へ向かうことになる…。

キャスト

春日局 … 松下由樹
お万 … 瀬戸朝香
徳川家光 … 西島秀俊
お玉 … 星野真里
孝子 … 木村多江
半井隼人 … 金子 昇
おりさ … 末永 遥

お楽 … 京野ことみ
お夏 … 野波麻帆

お江与 … 高島礼子

朝比奈 … 梶 芽衣子

スタッフ

■脚本
 浅野妙子
■企画
 保原賢一郎
■プロデュース
 林 徹
 樋口 徹
 手塚 治
 若松 豪
■演出
 林 徹
■音楽
 石田勝範
■主題歌
 サザンオールスターズ
■制作
 フジテレビ
 東映

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