第8回 2005年3月1日(火)放送 あらすじ

#8 母の涙と僕の歌

 作文の授業で、アイ子(国仲涼子)から10年後の自分について書くように言われ龍平(深澤嵐)は困った。モモ(伊藤沙莉)はショップの店員、ワタル(糟谷健二)はサッカー選手。みんななりたい職業があるのに龍平は何も思い浮かばない。原因はこの村を出たことがないからだと気付いた。柾(瑛太)も田所(筧利夫)も若くして東京へ行ったことがある。東京へ行けばきっと自分の夢が見つかるはず。そこで龍平は父親の昭平(陣内孝則)に東京へ行きたいと頼むが、昭平は首を横に振った。「東京には怖い魔物が住んでいるからダメです」。
 そんなある日、東京からこの村に1人の女性がふらりと戻ってきた。橋本美智子(とよた真帆)、昭平の別れた妻であり龍平の母親だ。念願だった女性ブランドを立ち上げて、都内の一等地に店もかまえたという。「やだ、久しぶり!」。6年ぶりに帰ってきた美智子は屈託なく村の面々に声をかけるが、昭平の胸の内は複雑だった。
 美智子は教室にもやって来た。仲間たちから「美人だね」と耳打ちされて龍平はちょっぴり嬉しくなり、さらに美智子がアドバイスしてくれたおかげで図画の絵が見違えるばかりに良くなった。龍平は少しずつ美智子に慣れつつあった。けれどアイ子は、うれしそうな龍平を見つめる美智子がふと寂しげな表情をのぞかせたのに気付く。
 美智子は昭平に「親子3人でやり直したい」と打ち明けてきた。「あの子と離れたこと、何度も後悔した。帰りの切符、持ってないの」。2人の会話をこっそり聞いていた龍平はうれしさのあまり「母ちゃん、帰って来るの?」と居間から走り出てきた。喜び合う母子とは対照的に、昭平の気持ちは依然として晴れない。納得できない胸中をゆかり(白石美帆)にもらした。「あいつが自分の夢、そう簡単に捨てられるわけないんだ」。美智子はこの村で龍平を育てながら寝食を削ってまでデザイン画を描いていた。家庭を捨てて、デザイナーの夢を取る、そんな大きな代償を払ってまで選んだ道なのに、なぜ突然帰ってきたのか。昭平は美智子の本心を量りかねていた。
 龍平にも気がかりなことがあった。母ちゃんがこの村に戻ってきたら東京の店はどうなるのだろう。「子供はそんな心配しなくていいの」と美智子は笑ったが、どこか無理しているようにも見える。一緒に暮らせるのはうれしいが、それでカッコいい母ちゃんでなくなってしまうなら嫌だ。龍平が相談できるのはアイ子しかいない。「その気持ちを言う勇気が出ないです」。実はアイ子もこの数日心落ち着かない日々を送っていた。東京での教師生活で解決できなかった、ある男子生徒のことを考えていた。その生徒がこの春から公立中学に進学することになったと、佐上校長(大杉漣)から知らされたのだ。「大事な事を伝える勇気…。私にもちょっと分かりません」。アイ子の素直な返事は、むしろ龍平に勇気を与えた。「オレ、頑張ります」。
 昭平に問いつめられて、やっと美智子は重い口を開いた。最近店の売り上げが急激に落ち込んでいるという。「1人で頑張るの、もう疲れちゃった」。ナツ(風吹ジュン)も美智子の弱気を見抜いて言った。「龍平くんのせいなんかにしたら、あの子、怒るわよ」。その龍平は突然、市主催の音楽コンテストに出場すると言い出した。お目当ては優勝商品の東京旅行だ。「先生。特訓してください!」。龍平の音楽の成績は芳しくない。連日アイ子がつきっきりで歌のレッスンが続いた。そしていよいよコンテスト当日がやって来た──。

キャスト

照崎アイ子(24) … 国仲涼子
矢吹昭平(40) … 陣内孝則
佐上 柾(24) … 瑛太
旗ゆかり(24) … 白石美帆
     ●
田所 肇(40) … 筧 利夫
     ●
中村美紀恵(24) … 滝沢沙織
     /
佐上欣也(57) … 大杉 漣
高木ナツ(51) … 風吹ジュン

スタッフ

■脚本
  永田優子
■プロデューサー
  重松圭一(関西テレビ)
  稲田秀樹(共同テレビ)
■演出
  河野圭太(共同テレビ)
■音楽
  服部隆之
■制作
  関西テレビ
  共同テレビ

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