みんな昔は子供だった
#5 初恋よ永遠に!
登校中にモモ(伊藤沙莉)が足をくじいてしまった。龍平(深澤嵐)が教えてくれた草笛に夢中のあまり木の根につまずいたのだ。モモは嫌がったが、引率していた柾(瑛太)がおぶってやった。それなのにモモは柾の背中で「オヤジだね」と憎まれ口をたたいた。登校すると田所(筧利夫)が血相を変えた。山村留学を成功させて昇進したいからで、早速ナツ(風吹ジュン)に治療してもらった。相変わらずモモはふてくされていたが、佐上校長(大杉漣)に促されるとナツに「ありがと」と礼を言った。
龍平とワタル(糟谷健二)は廊下の窓枠に古びた相合傘の落書きを見つけた。ナツの文字は読みとれるが相手の名前が判別できない。アイ子(国仲涼子)から「恋のおまじないです」と教えられた龍平は夢見心地になった。“僕の名前の隣りに書くとしたら、もちろんアイ子先生しかない”。家でもぼんやり物思いにふけっていると、田所が現れて昭平(陣内孝則)に「チョコレートの作り方、教えてください」と頭を下げた。宅配便の美紀恵(滝沢沙織)にバレンタインデーのプレゼントするつもりらしい。男から告白してもいいと知った龍平も思わずにんまりし、「オレにも教えてください!」と、一緒になって昭平に頼み込んだ。
柾はモモの足首が治るまでにと、ピンクの長靴とスリッパを買ってやるが、モモは「シュミ悪い」とつれない返事。それでも翌日は柾に付き添われて登校し、長靴とスリッパも履いてくれた。ゆかり(白石美帆)はしばらくこの村にいることに決めた。研究ではなく初心に戻って星を見たいという。
柾は下校のモモを迎えに行ったが、モモから「触らないで!」と手を払いのけられた。朝とは別人のようなものすごい剣幕だ。柾は知らなかったが、モモはワタルから「柾兄ィが好きなんだ!」とからかわれたのだ。柾への素っ気ない態度は淡い恋心の裏返しだったらしい。モモの気持ちはナツも気付いていたから、首をひねる柾をからかった。「親子そろってニブイのね」。
アイ子はモモを自宅に誘った。温かい鍋料理を作るうちに、モモの表情は次第に和らいできた。モモは母親のことを打ち明けた。柾と同じぐらいの年下の恋人がいるという。「どうせすぐサヨナラして大泣きするくせに。あたしはママみたいにはならない」。しかしアイ子はモモに何も言えなかった。この村に来る原因となった、東京でのある辛い出来事が脳裏に蘇ったからだった。アイ子はナツに相談した。「お母さんはお母さんであってほしいんだと思います」。だから恋人を連想させる柾を避けているのだと。するとナツは「それだけかな?」と微笑んで、あの相合傘の落書きを指し示した。「あとは自分で考えること」。ようやくアイ子にもピンときた。
田所は勇気をふるって美紀恵にチョコレートと花束を手渡した。ところが場所が校庭だから、教室から子供たちがばっちり見ていた。「ドライブに行きませんか?」。そして美紀恵が「いいですよ」と快諾してくれたものだから、田所は天にも昇る気分。子供たちもはしゃぎ立てたが、モモだけはその騒ぎから離れると、あのナツの相合傘をじっと見つめた。「相手は誰ですかね」。アイ子が声をかけてもモモは黙ったまま。そこでこの村一番の見晴らしの高台へ一緒に出かけた。「めんたいこ! ラーメン! 好きなモノの名前を叫んでみます」。いきなり大声をあげはじめたアイ子にモモは呆気にとられた。往診帰りのナツも「楽しそうね」と駆け寄ると「ビール! ワイン!」と叫びだした。おかしくてたまらない2人につられて、モモも大きく息を吸いこんだ。「いちご! すいか!」。続いてアイ子とナツは初恋の男の子の名前を叫んだ。「人を好きになるって、とてもステキなことですね」。アイ子のその一言でモモは意を決した。
「柾兄ィ!」。3人は楽しそうに叫び続けた──。
龍平とワタル(糟谷健二)は廊下の窓枠に古びた相合傘の落書きを見つけた。ナツの文字は読みとれるが相手の名前が判別できない。アイ子(国仲涼子)から「恋のおまじないです」と教えられた龍平は夢見心地になった。“僕の名前の隣りに書くとしたら、もちろんアイ子先生しかない”。家でもぼんやり物思いにふけっていると、田所が現れて昭平(陣内孝則)に「チョコレートの作り方、教えてください」と頭を下げた。宅配便の美紀恵(滝沢沙織)にバレンタインデーのプレゼントするつもりらしい。男から告白してもいいと知った龍平も思わずにんまりし、「オレにも教えてください!」と、一緒になって昭平に頼み込んだ。
柾はモモの足首が治るまでにと、ピンクの長靴とスリッパを買ってやるが、モモは「シュミ悪い」とつれない返事。それでも翌日は柾に付き添われて登校し、長靴とスリッパも履いてくれた。ゆかり(白石美帆)はしばらくこの村にいることに決めた。研究ではなく初心に戻って星を見たいという。
柾は下校のモモを迎えに行ったが、モモから「触らないで!」と手を払いのけられた。朝とは別人のようなものすごい剣幕だ。柾は知らなかったが、モモはワタルから「柾兄ィが好きなんだ!」とからかわれたのだ。柾への素っ気ない態度は淡い恋心の裏返しだったらしい。モモの気持ちはナツも気付いていたから、首をひねる柾をからかった。「親子そろってニブイのね」。
アイ子はモモを自宅に誘った。温かい鍋料理を作るうちに、モモの表情は次第に和らいできた。モモは母親のことを打ち明けた。柾と同じぐらいの年下の恋人がいるという。「どうせすぐサヨナラして大泣きするくせに。あたしはママみたいにはならない」。しかしアイ子はモモに何も言えなかった。この村に来る原因となった、東京でのある辛い出来事が脳裏に蘇ったからだった。アイ子はナツに相談した。「お母さんはお母さんであってほしいんだと思います」。だから恋人を連想させる柾を避けているのだと。するとナツは「それだけかな?」と微笑んで、あの相合傘の落書きを指し示した。「あとは自分で考えること」。ようやくアイ子にもピンときた。
田所は勇気をふるって美紀恵にチョコレートと花束を手渡した。ところが場所が校庭だから、教室から子供たちがばっちり見ていた。「ドライブに行きませんか?」。そして美紀恵が「いいですよ」と快諾してくれたものだから、田所は天にも昇る気分。子供たちもはしゃぎ立てたが、モモだけはその騒ぎから離れると、あのナツの相合傘をじっと見つめた。「相手は誰ですかね」。アイ子が声をかけてもモモは黙ったまま。そこでこの村一番の見晴らしの高台へ一緒に出かけた。「めんたいこ! ラーメン! 好きなモノの名前を叫んでみます」。いきなり大声をあげはじめたアイ子にモモは呆気にとられた。往診帰りのナツも「楽しそうね」と駆け寄ると「ビール! ワイン!」と叫びだした。おかしくてたまらない2人につられて、モモも大きく息を吸いこんだ。「いちご! すいか!」。続いてアイ子とナツは初恋の男の子の名前を叫んだ。「人を好きになるって、とてもステキなことですね」。アイ子のその一言でモモは意を決した。
「柾兄ィ!」。3人は楽しそうに叫び続けた──。