第11回 2005年3月22日(火)放送 あらすじ

#11 愛と涙の奇跡

 市長が分校存続のための公聴会を開いてくれることになった。担任であるアイ子(国仲涼子)は欠かせない。けれど当日、アイ子は東京での教え子、悠(小越勇輝)に卒業証書を届けると約束した日でもあった。「ここに残れるよね…」事情を知らない留学組の子供たちから真剣なまなざしで見つめられたアイ子はいつものようにニッコリと微笑んだ。「皆で分校の良さを訴えましょう」。アイ子の苦渋の選択を知る龍平(深澤嵐)と柾(瑛太)の心中は複雑だった。
 アイ子に卒業証書を届けてもらいたい龍平は父親の昭平(陣内孝則)に相談した。「アイ子先生のこと好きなら守ってやれ」。その一言で後押しされた龍平は宿泊センターに戻ると、留学組5人に悠のことを打ち明けた。「分校はオレ達でなんとかしようよ」。最初は戸惑っていた5人もやがて龍平の熱い思いに共感した。同じ頃、昭平も佐上校長(大杉漣)、田所(筧利夫)、ナツ(風吹ジュン)を同じように説得していた。「アイ子先生は分校のためにその約束を破ろうとしているんです!」。
 公聴会の前夜、アイ子が部屋にいると子供たちが「七等星を見に行こう」と誘いにきた。七等星は見えなかったが、夜空を見上げたモモ(伊藤沙莉)が言った。「大事なのはさ、自分の七等星を見つける事。そして、その小さな七等星を一生懸命に輝かせる、それでいいじゃん」。すると子供たちは口々にアイ子を励ました。「先生も七等星を見つけて」「東京で悠くんに会ってきて」「やり直さなきゃ」。そして龍平が力強く「公聴会はオレ達で頑張ります」と言うと、留学組の5人もしっかりうなずいた。「見えました。先生の七等星」。夜空を見上げるアイ子はうっすらと涙ぐんでいた。
 東京のバスターミナル。アイ子は人ごみの中に悠の姿を見つけた。「ホントに来てくれたの」「カナダに行っても頑張ってください」。アイ子は卒業証書と赤色の絵の具を手渡した。一緒にスケッチに出かけた時の思い出の色だ。「先生と見た紅葉、絶対に忘れない」。そして悠は“10年後の僕へ”と題した作文をアイ子に返した。「10年後、僕が先生の所へ取りに行くから」。強い絆で結ばれた2人の姿を、悠の母親が穏やかな表情で見ていた。
 その頃、分校の教室では市長を迎えた公聴会が始まっていた。子供たちは、緊張はしていたが迷いは無かった。「分校を無くさないでほしい理由を言います」。龍平が口火を切ると留学組の仲間たちが順番に自分たちの言葉で分校の日々の素晴らしさを伝えた。モモは「人を好きになることはステキ」だと知った。風太(高木優希)は夢のために頑張ることを学んだ。新(熊谷知博)は捨てられかけた父親との絆を取り戻した。「信じるのは難しいけど大切なことです」。母親に贈るペンダントを川に落としたワタル(糟谷健二)は「諦めないことを教えてもらいました」。詩音(野村涼乃)はくじけそうになった時、空を見上げると元気が出ることに気付いた。どれもこの山村留学だからこそ体験できた。龍平が胸を張って言った。「全部アイ子先生が教えてくれたんです!」。「分校を無くさないでください!」。子供たちは一斉に頭を下げた。その気持ちに打たれた市長は、尚のこと最後にアイ子から話を聞きたがった。
 佐上校長が事情を説明しようとした瞬間、アイ子が息せき切って教室に飛び込んできた──。

キャスト

照崎アイ子(24) … 国仲涼子
矢吹昭平(40) … 陣内孝則
佐上 柾(24) … 瑛太
旗 ゆかり(24) … 白石美帆
        ●
田所 肇(40) … 筧 利夫
        ●
中村美紀恵(24) … 滝沢沙織
        /
佐上欣也(57) … 大杉 漣
高木ナツ(51) … 風吹ジュン

スタッフ

■脚本
 永田優子

■プロデューサー
 重松圭一(関西テレビ)
 稲田秀樹(共同テレビ)

■演出
 河野圭太(共同テレビ)

■音楽
 服部 隆之

■制作
 関西テレビ
 共同テレビ

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