マルサ!!
#2 カリスマ美容整形女医の裏顔
「やっぱりやめようよ」「ここまで来て、何言ってんの」。尻込みする加音子(江角マキコ)を両子(猫背 椿)が強引に引っ張っていった先は、ミマサカ美容クリニックのセミナールーム。壇上ではマスコミでもおなじみのオーナー院長、美作成美(野村真美)が若返りの整形手術の説明をしている。手術後の顔をシュミレートするモデルとして、成美は客席に1人混じっていた男性客に目を止めた。壇上に上がったその男の顔を見て、加音子と両子は驚いた。なんと課長補佐の国領(渡 哲也)だったのだ。
成美に脱税の疑いがあるものの、確定的な情報ではないため、国領が単独で内偵していたのだった。これを耳にした統括官の蔵持(東 幹久)が食いついた。「よーし、次の調査対象はミマサカ美容クリニックに決定だ」。成美は有名人だから脱税を摘発できれば大々的に報道されるのは間違いない。普段バカにされている一課や二課を見返す絶好のチャンスだ。そんな蔵持の思惑はミエミエだが、とにかく三課のメンバーは内偵調査に動き始めた。
両子は患者を装ってカウンセリングを受け、手術費用の見積もりを入手した。安田(佐藤二朗)と千寿(池田真紀)はクリニックで働く看護婦たちの会話を盗聴、加音子と高畑(永井 大)は高級外車で外出した成美を尾行した。そして財津(香川照之)と富永(三宅 健)は取引銀行でクリニックの口座をチェックした。
成美が開業したのは5年前。医大の同期だった名波月子(弘中麻紀)との共同経営でスタートしたが、その月子は1年半前に突然経営から手を引いて辞めていた。「気になりますね」。加音子は首をひねったが、成美名義の銀行口座の数字は確定申告の額と一致。とはいえ成美の金遣いの荒さはとても申告している年収ではまかないきれない。しかし、脱税の手口が見当つかない。「とにかく調査を続行しろ」。蔵持が煮詰まった会議を切り上げた。
三課のメンバーはクリニックの通用口近くに停めたトラックの指令本部から監視を始めた。加音子がゴミの中から使用済みの割り箸を見つけた。割り箸の数からスタッフの人数を割り出そうというわけだが、どうやら人件費の水増しはないらしい。名波月子はNGOのボランティアで海外赴任中。「正直、手づまりって感じ」。
その時、通用口に黒塗りの高級車が停まった。十代らしい少女とアタッシュケースを抱えた男が降りると、人目を避けるようにクリニックの中に消えた。すでに診療時間は終わっているし、整形に急患などあるはずない。「残っているのは成美だけね」。ついに加音子は脱税のからくりを見抜き、潜入捜査を開始した—。
成美に脱税の疑いがあるものの、確定的な情報ではないため、国領が単独で内偵していたのだった。これを耳にした統括官の蔵持(東 幹久)が食いついた。「よーし、次の調査対象はミマサカ美容クリニックに決定だ」。成美は有名人だから脱税を摘発できれば大々的に報道されるのは間違いない。普段バカにされている一課や二課を見返す絶好のチャンスだ。そんな蔵持の思惑はミエミエだが、とにかく三課のメンバーは内偵調査に動き始めた。
両子は患者を装ってカウンセリングを受け、手術費用の見積もりを入手した。安田(佐藤二朗)と千寿(池田真紀)はクリニックで働く看護婦たちの会話を盗聴、加音子と高畑(永井 大)は高級外車で外出した成美を尾行した。そして財津(香川照之)と富永(三宅 健)は取引銀行でクリニックの口座をチェックした。
成美が開業したのは5年前。医大の同期だった名波月子(弘中麻紀)との共同経営でスタートしたが、その月子は1年半前に突然経営から手を引いて辞めていた。「気になりますね」。加音子は首をひねったが、成美名義の銀行口座の数字は確定申告の額と一致。とはいえ成美の金遣いの荒さはとても申告している年収ではまかないきれない。しかし、脱税の手口が見当つかない。「とにかく調査を続行しろ」。蔵持が煮詰まった会議を切り上げた。
三課のメンバーはクリニックの通用口近くに停めたトラックの指令本部から監視を始めた。加音子がゴミの中から使用済みの割り箸を見つけた。割り箸の数からスタッフの人数を割り出そうというわけだが、どうやら人件費の水増しはないらしい。名波月子はNGOのボランティアで海外赴任中。「正直、手づまりって感じ」。
その時、通用口に黒塗りの高級車が停まった。十代らしい少女とアタッシュケースを抱えた男が降りると、人目を避けるようにクリニックの中に消えた。すでに診療時間は終わっているし、整形に急患などあるはずない。「残っているのは成美だけね」。ついに加音子は脱税のからくりを見抜き、潜入捜査を開始した—。