剣客商売(2003年)
第4話 赤い糸
秋山小兵衛(藤田まこと)の無外流剣法の弟弟子に、落合孫六(平泉成)がいた。年は五十五歳。妻を亡くし、楽しみは剣の筋が良い息子・貫太郎(石野慎一郎)の成長だ。
貫太郎は秋山大治郎(山口馬木也)の弟子。大治郎と佐々木三冬(寺島しのぶ)との距離はまた近くなり、特に三冬は大治郎のために慣れない料理をするようになっていた。
孫六に縁談が持ち上がる。相手は老舗の菓子屋の出戻り娘で、四十前のなかなかの美人とあって、孫六もうきうきしている。小兵衛は好物の落雁を買いになじみの菓子屋・「京枡屋」に行き、意外なことを聞く。亭主の母親で今も店を取り仕切っているお崎(波乃久里子)に時ならぬ縁談が持ち上がり、お崎が喜んでいるという。相手は落合という子持ちの侍。「京枡屋」では亭主の妹が出戻っていて、間に立った大工の棟梁が勘違いをしたうえに、説明があいまいで、それぞれが自分に都合よく取ったらしい。
貫太郎が荷馬車にはねられ、大怪我をした。運び込まれた先が小兵衛と親しい医師の小川宗哲(奥村公延)のところ。町医者の宗哲の手には負えずに、蘭法の外科医のところで一命は取りとめ、療養次第では元の体に戻れるという。しかし、百両もの治療費が必要だった。
お崎は棟梁の勘違いに腹を立てたが、とにかく一度会おうと孫六の家を訪ねる。だが孫六は金策に出かけて留守だった。お崎は六十歳。顔のつくりは悪くないが、厚化粧である。しかし、知り合いの「不二楼」の女将・おもと(梶芽衣子)が髪型や化粧の指導をし、別人のように美しくなった。
回りからの借金で三十両を集めた孫六は、治療費を稼ごうと賭場に行く。運が向いたのか五十両稼いだ。だがそこで、賭場は終了となる。もっと稼ぐのなら別の場所があると言われ、孫六は賭場の客・桂山(芦屋小雁)に案内されて夜の道を行く。これが罠だった。暗闇からつぶてが飛んでくる。それはかわしたものの、突然何かに足を取られて倒れ、体中を打たれて賊に金を奪われた。
このあたりは、かねてから同じ手口の追いはぎが出る場所で、弥七(三浦浩一)と傘徳(山内としお)が近くにいたのが幸いだった。孫六は小兵衛の家に運び込まれた。孫六ほどの腕の男が足を取られた謎の武器とは何か。小兵衛は自らが囮となって現場に乗り込むことにした。
傘徳が上州から江戸に来た絹商人という触れ込みで賭場に行く。ころあいを見て百両を出すと、「そんな大金はウチの賭場では」と言われ、別の場所を教えられる。提灯を下げて夜道を行く傘徳を賊が襲う。が、傘徳ではなく、同じ格好をした小兵衛だった。つぶてをよけ、飛んできた太い銛を跳躍してかわし、自分から大地に横倒しになった。手には縄の一端を握っている。引っ張ると、賊の一人が引き寄せられた。呼子が鳴って、弥七ら捕り方が駆けつけた。足をさらうのは、野生の馬をつかまえる時に使う縄と分銅だった。
事件は落着し金も戻った。貫太郎の回復も順調だ。お崎は孫六と会う。昔、息子が大怪我をして苦労した経験があるお崎は、孫六に親身に助言をし、三人はまるで家族のような雰囲気になる。
おどろくおはる(小林綾子)に小兵衛は、「どんなに突飛に見えても、いずれ結ばれる男女は、初めから見えない赤い糸で結んである」と言った。
貫太郎は秋山大治郎(山口馬木也)の弟子。大治郎と佐々木三冬(寺島しのぶ)との距離はまた近くなり、特に三冬は大治郎のために慣れない料理をするようになっていた。
孫六に縁談が持ち上がる。相手は老舗の菓子屋の出戻り娘で、四十前のなかなかの美人とあって、孫六もうきうきしている。小兵衛は好物の落雁を買いになじみの菓子屋・「京枡屋」に行き、意外なことを聞く。亭主の母親で今も店を取り仕切っているお崎(波乃久里子)に時ならぬ縁談が持ち上がり、お崎が喜んでいるという。相手は落合という子持ちの侍。「京枡屋」では亭主の妹が出戻っていて、間に立った大工の棟梁が勘違いをしたうえに、説明があいまいで、それぞれが自分に都合よく取ったらしい。
貫太郎が荷馬車にはねられ、大怪我をした。運び込まれた先が小兵衛と親しい医師の小川宗哲(奥村公延)のところ。町医者の宗哲の手には負えずに、蘭法の外科医のところで一命は取りとめ、療養次第では元の体に戻れるという。しかし、百両もの治療費が必要だった。
お崎は棟梁の勘違いに腹を立てたが、とにかく一度会おうと孫六の家を訪ねる。だが孫六は金策に出かけて留守だった。お崎は六十歳。顔のつくりは悪くないが、厚化粧である。しかし、知り合いの「不二楼」の女将・おもと(梶芽衣子)が髪型や化粧の指導をし、別人のように美しくなった。
回りからの借金で三十両を集めた孫六は、治療費を稼ごうと賭場に行く。運が向いたのか五十両稼いだ。だがそこで、賭場は終了となる。もっと稼ぐのなら別の場所があると言われ、孫六は賭場の客・桂山(芦屋小雁)に案内されて夜の道を行く。これが罠だった。暗闇からつぶてが飛んでくる。それはかわしたものの、突然何かに足を取られて倒れ、体中を打たれて賊に金を奪われた。
このあたりは、かねてから同じ手口の追いはぎが出る場所で、弥七(三浦浩一)と傘徳(山内としお)が近くにいたのが幸いだった。孫六は小兵衛の家に運び込まれた。孫六ほどの腕の男が足を取られた謎の武器とは何か。小兵衛は自らが囮となって現場に乗り込むことにした。
傘徳が上州から江戸に来た絹商人という触れ込みで賭場に行く。ころあいを見て百両を出すと、「そんな大金はウチの賭場では」と言われ、別の場所を教えられる。提灯を下げて夜道を行く傘徳を賊が襲う。が、傘徳ではなく、同じ格好をした小兵衛だった。つぶてをよけ、飛んできた太い銛を跳躍してかわし、自分から大地に横倒しになった。手には縄の一端を握っている。引っ張ると、賊の一人が引き寄せられた。呼子が鳴って、弥七ら捕り方が駆けつけた。足をさらうのは、野生の馬をつかまえる時に使う縄と分銅だった。
事件は落着し金も戻った。貫太郎の回復も順調だ。お崎は孫六と会う。昔、息子が大怪我をして苦労した経験があるお崎は、孫六に親身に助言をし、三人はまるで家族のような雰囲気になる。
おどろくおはる(小林綾子)に小兵衛は、「どんなに突飛に見えても、いずれ結ばれる男女は、初めから見えない赤い糸で結んである」と言った。