第4回 2003年2月18日(火)放送 あらすじ

第4話 赤い糸

 秋山小兵衛(藤田まこと)の無外流剣法の弟弟子に、落合孫六(平泉成)がいた。年は五十五歳。妻を亡くし、楽しみは剣の筋が良い息子・貫太郎(石野慎一郎)の成長だ。
 貫太郎は秋山大治郎(山口馬木也)の弟子。大治郎と佐々木三冬(寺島しのぶ)との距離はまた近くなり、特に三冬は大治郎のために慣れない料理をするようになっていた。
 孫六に縁談が持ち上がる。相手は老舗の菓子屋の出戻り娘で、四十前のなかなかの美人とあって、孫六もうきうきしている。小兵衛は好物の落雁を買いになじみの菓子屋・「京枡屋」に行き、意外なことを聞く。亭主の母親で今も店を取り仕切っているお崎(波乃久里子)に時ならぬ縁談が持ち上がり、お崎が喜んでいるという。相手は落合という子持ちの侍。「京枡屋」では亭主の妹が出戻っていて、間に立った大工の棟梁が勘違いをしたうえに、説明があいまいで、それぞれが自分に都合よく取ったらしい。
 貫太郎が荷馬車にはねられ、大怪我をした。運び込まれた先が小兵衛と親しい医師の小川宗哲(奥村公延)のところ。町医者の宗哲の手には負えずに、蘭法の外科医のところで一命は取りとめ、療養次第では元の体に戻れるという。しかし、百両もの治療費が必要だった。
 お崎は棟梁の勘違いに腹を立てたが、とにかく一度会おうと孫六の家を訪ねる。だが孫六は金策に出かけて留守だった。お崎は六十歳。顔のつくりは悪くないが、厚化粧である。しかし、知り合いの「不二楼」の女将・おもと(梶芽衣子)が髪型や化粧の指導をし、別人のように美しくなった。
 回りからの借金で三十両を集めた孫六は、治療費を稼ごうと賭場に行く。運が向いたのか五十両稼いだ。だがそこで、賭場は終了となる。もっと稼ぐのなら別の場所があると言われ、孫六は賭場の客・桂山(芦屋小雁)に案内されて夜の道を行く。これが罠だった。暗闇からつぶてが飛んでくる。それはかわしたものの、突然何かに足を取られて倒れ、体中を打たれて賊に金を奪われた。
 このあたりは、かねてから同じ手口の追いはぎが出る場所で、弥七(三浦浩一)と傘徳(山内としお)が近くにいたのが幸いだった。孫六は小兵衛の家に運び込まれた。孫六ほどの腕の男が足を取られた謎の武器とは何か。小兵衛は自らが囮となって現場に乗り込むことにした。
 傘徳が上州から江戸に来た絹商人という触れ込みで賭場に行く。ころあいを見て百両を出すと、「そんな大金はウチの賭場では」と言われ、別の場所を教えられる。提灯を下げて夜道を行く傘徳を賊が襲う。が、傘徳ではなく、同じ格好をした小兵衛だった。つぶてをよけ、飛んできた太い銛を跳躍してかわし、自分から大地に横倒しになった。手には縄の一端を握っている。引っ張ると、賊の一人が引き寄せられた。呼子が鳴って、弥七ら捕り方が駆けつけた。足をさらうのは、野生の馬をつかまえる時に使う縄と分銅だった。
 事件は落着し金も戻った。貫太郎の回復も順調だ。お崎は孫六と会う。昔、息子が大怪我をして苦労した経験があるお崎は、孫六に親身に助言をし、三人はまるで家族のような雰囲気になる。
 おどろくおはる(小林綾子)に小兵衛は、「どんなに突飛に見えても、いずれ結ばれる男女は、初めから見えない赤い糸で結んである」と言った。

キャスト

秋山小兵衛   …… 藤田まこと
秋山大治郎   …… 山口馬木也
佐々木三冬   …… 寺島しのぶ
おはる     …… 小林綾子

不二楼おもと  …… 梶 芽衣子
四谷の弥七   …… 三浦浩一
傘屋の徳次郎  …… 山内としお
およね     …… 江戸家まねき猫
小川宗哲    …… 奥村公延
生島次郎太夫  …… 真田健一郎

お崎      …… 波乃久里子
与助      …… 加藤純平
お清      …… 斎藤智美
落合貫太郎   …… 石野慎一郎
桂山      …… 芦屋小雁

落合孫六    …… 平泉 成

スタッフ

企     画 … 市川久夫
          金井卓也(フジテレビ)
          武田 功(松竹)
プロデューサー … 能村庸一(フジテレビ)
          佐生哲雄(松竹)
原     作 … 池波正太郎
          「時雨蕎麦」「小さな茄子二つ」より
                    (新潮文庫刊)
脚     本 … 野上龍雄
音     楽 … 篠原敬介
監     督 … 小野田嘉幹
撮     影 … 江原祥二
照     明 … 中島利男
美     術 … 西岡善信
殺     陣 … 宇仁貫三
料 理 監 修 … 近藤文夫(銀座 近藤)

ナレーター   … 橋爪 功

制 作 協 力 … 松竹京都映画株式会社
制     作 … フジテレビ
          松竹株式会社

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