第2回 2003年1月28日(火)放送 あらすじ

第2話 約束金二十両

 秋の一日。今日も秋山小兵衛(藤田まこと)とおはる(小林綾子)は仲むつまじい。散歩に出て、とあるお堂の縁先で弁当をつかった二人は、平内太兵衛(宍戸錠)という剣客風の老人と、おもよ(松本麻希)という若い娘の会話を聞いてしまう。どうも、おもよの父親が後添いを貰うようで、おもよはそれを嫌がっている。二人がどういう関係なのか。小兵衛は興味を持った。
 おもよは農家の娘で、なぜか一人暮らしの太兵衛の家の洗濯や掃除をしている。そのおもよが突然、「ああ二十両欲しい」と言う。貧しい太兵衛だが、それを何とかかなえようと思って、神田明神の境内に奇妙な立て札を立てた。「自分は剣の極意を極めた。望めば立ち会うが、当方が勝ったら三両貰う」という内容で、雲弘流 平内太兵衛 六十二歳。それに自宅の場所が書いてある。
 秋山大治郎(山口馬木也)と三冬(寺島しのぶ)は、その立て札を見て、太兵衛を訪ねた。太兵衛は腰に六尺余の大剣を帯びている。「立ち会う前に、見ておかれい」と言って太兵衛は鋭い気合とともに居合抜きをし、庭の柿ノ木の枝を切り落とす。いつ抜いたのかもわからない速さ。三両を置いて、二人は戦わずに帰った。
 話を聞いて小兵衛は、自分と同世代の太兵衛に興味を持ち、太兵衛を訪ねた。先客があった。身分の良さそうな若侍の藤堂鉄之助(平井真軌)とその仲間の二人。木刀の二人に太兵衛は素手で立ち向かい、相手の木刀を奪って叩きのめした。また六両稼いだ。続いて小兵衛の前でまた居合抜きを見せる。小兵衛は、「及ぶところでござらぬ」と三両置いて立ち去るが、小兵衛を見た太兵衛は、「何者?」と驚く。その手が震えていた。
 太兵衛は十二両稼いだ。だがおもよは、「約束は二十両」と譲らない。何のために金がいるのかも言わない。
 小兵衛は、打ちのめされた若侍が太兵衛に復讐するかもしれないと思い、大治郎や弥七(三浦浩一)にそれとなく気を配るように言う。
 太兵衛のところへ藤堂の母親せつ(服部妙子)が訪れ、「家の恥になるので内密に」と口止め料を渡そうとするが、太兵衛は追い返す。しかし、何とか二十両にしたいと内心焦っている。そこへ再び小兵衛が現れた。太兵衛は、「事情があって八両欲しい」と言う。真剣での立会いは、お互い切っ先を相手に一寸残す形で制止。引き分けだった。だが、小兵衛は八両を渡す。うれしそうに受け取る太兵衛である。
 太兵衛の家を藤堂とその仲間が襲うが、大治郎が全員を峰打ちで倒す。
 太兵衛が大きな風呂敷包みを背負って小兵衛を訪ねてくる。中味はおもよからの土産の野菜である。おもよは二十両で小さな茶店を買ったという。実家から出て自活するための夢を太兵衛に賭けたのだ。若いが殊勝な子で、店がうまくゆけば、恩人太兵衛の面倒を見てもいいという。
 おはるが野菜を料理し、酒盛りが始まった。太兵衛は自らのことは、二十一歳の時に剣術に魅入られて国を出奔した、としか語らないが、小兵衛という名人と手合わせできたことを喜んでいた。小兵衛とおはるとが夫婦だと知って驚く太兵衛。一方、小兵衛の方では、やがては太兵衛とおもよが結ばれるのではと思っている。

キャスト

秋山小兵衛   …… 藤田まこと
秋山大治郎   …… 山口馬木也
佐々木三冬   …… 寺島しのぶ
おはる     …… 小林綾子

不二楼おもと  …… 梶 芽衣子
四谷の弥七   …… 三浦浩一
傘屋の徳次郎  …… 山内としお
飯田粂太郎   …… 尾上寛之

おもよ     …… 松本麻希
藤堂鉄之助   …… 平井真軌
青山      …… 大石明弘
せつ      …… 服部妙子
亭主      …… 平井 靖

平内太兵衛   …… 宍戸 錠

スタッフ

企     画 … 市川久夫
          金井卓也(フジテレビ)
          武田 功(松竹)
プロデューサー … 能村庸一(フジテレビ)
          佐生哲雄(松竹)
原     作 … 池波正太郎(新潮文庫刊)
脚     本 … 中村 努
音     楽 … 篠原敬介
監     督 … 井上 昭
撮     影 … 江原祥二
照     明 … 中島利男
美     術 … 西岡善信
殺     陣 … 宇仁貫三
料 理 監 修 … 近藤文夫(銀座 近藤)

ナレーター   … 橋爪 功

制 作 協 力 … 松竹京都映画株式会社
制     作 … フジテレビ
          松竹株式会社

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