偽りの花園
昭和五年冬、千葉の房総。女学校に通う美禰子は十八歳。網元・矢作斎造の娘として育てられている。矢作家には美禰子と同級生の美琶子が同居。二人は赤ん坊の頃から一緒に育てられた乳姉妹だ。ある日、日本画家の夢州が、二人をモデルにして絵を描きたいと申し出る。素直な美禰子は承諾するが、気分屋の美琶子は断る。美琶子の実母・丹が矢作家に来る。若い頃芸者をしていた丹は新橋で小料亭を経営していた。丹は美琶子に実家へ戻るよう言い聞かせるが、美琶子は拒否。なさぬ仲の父親に会いたくないのだ。美禰子と美琶子は実の父親についての情報を耳にする。