アットホーム・ダッド
#4 老いて主夫に従え
美紀(篠原涼子)が帰宅すると和之(阿部寛)がミシンと悪戦苦闘していた。
「今度の幼稚園は手作りじゃなきダメなんだ」。理絵(安藤咲良)の手提げ袋を縫っていたのだ。しかしひどい出来栄え。「やだ!」。翌朝、理絵は一目見るなり嫌がったが、和之は無理やり持っていかせた。「よくあんなの我慢して持ってったね」。和之にミシンを教えることになった優介(宮迫博之)も呆れ返った。
一方、美紀は笙子(中島知子)からグチを聞かされた。「うちの旦那、最近なんか怪しいのよ」。夫婦共同で使っているパソコンのホームページの閲覧履歴が毎日きれいに消去されている。「絶対エッチなサイト見てんのよ。おたくも気をつけたほうがいいわよ」美紀が苦笑すると、携帯電話が鳴った。「お母さん、どうしたの?」。電話は美紀の母、光江(藤田弓子)からだった。「どこにいるの?」美紀は和之が会社を辞めて、代わって自分が働き出したことをまだ伝えてなかった。しかし美紀が事情を説明する前に、光江は和之とばったり。「あら、今日は会社お休みなの?」。戸惑う和之にかまわず、光江は家に上がりこむと「たるんでるわね、美紀は」と言いながら家事を始めた。
けれど、たまたま現れた真理江(川島なお美)の一言で、和之が主夫をしていることがバレてしまった。「男の人にあんまり要求してもかわいそうですよ」。
光江は「ちゃんと説明してちょうだい」と和之につめ寄った。事情を知ると光江はため息をもらした。「男の人が主夫だなんて、みっともないわねえ」。和之は何も言い返せない。
その夜の山村家の食卓には光江の手料理が並んだ。「美紀もどうして黙ってたの? 和之さんの職が決まるまで、この家の主婦は私がつとめます」。
もう一人、和之と同じように浮かない気分の男が町内にいた。健児(永井 大)だ。せっかく冴子(滝沢沙織)の部屋で2人きりになっても、冴子は幼稚園で使うお面作りにかかりっきり。「そんなこと明日やれよ。…俺より子供の方がいいのかよ」
「うん。可愛いもん」。「…」。「でも、子供って残酷だよね。…理絵ちゃんのバッグ、皆で笑ったのよ」。
光江に引き取ってもらうには、新しい仕事を決めるのが先決だが、和之の条件にあう会社は、なかなかない。そんな矢先、今度は美紀の父から連絡があった。光江は家出したというのだ。会社に向かった美紀と別れて、和之が家に戻ると、にぎやかな声が聞こえてきた。「1人で食べるのも寂しいから誘ったの」。光江は、優介と健児と一緒にカレーライスを食べていた。和之は覚悟をきめて家出の訳を光江に聞いた。一瞬顔色の変わった光江だったが、気まずい空気を電話の呼び出し音が破った。「えっ、理絵がどうかしましたか?」。
和之と光江があわてて幼稚園に駆けつけると、泣きべそかいた翼(國武大志)を真理江が抱きしめていた。理絵が突然、翼を泥んこの中に押し倒したという。「うちの子は何もしてないのに!」「理絵、どうしてだ?」。けれど理絵はそっぽを向いて黙ったきり。和之より前に出て光江が真理江に謝った。「母親が働いて、父親が子供の世話してるもんですから…それがいけないんです。」さらに和之に言った。「この年頃の子は可愛い女の子らしいもの持ちたいの。手提げだけじゃないわ…お弁当にタコのウインナー入れたり、髪を流行りの結び方してあげたり…あなたにそういうこと出来るの!?」。
家に帰っても理絵は押し黙ったまま。厳しい表情で、和之は理絵に問いかけた。「いいかげん訳を言いなさい。パパに世話されるのが、そんなに嫌か…」
「今度の幼稚園は手作りじゃなきダメなんだ」。理絵(安藤咲良)の手提げ袋を縫っていたのだ。しかしひどい出来栄え。「やだ!」。翌朝、理絵は一目見るなり嫌がったが、和之は無理やり持っていかせた。「よくあんなの我慢して持ってったね」。和之にミシンを教えることになった優介(宮迫博之)も呆れ返った。
一方、美紀は笙子(中島知子)からグチを聞かされた。「うちの旦那、最近なんか怪しいのよ」。夫婦共同で使っているパソコンのホームページの閲覧履歴が毎日きれいに消去されている。「絶対エッチなサイト見てんのよ。おたくも気をつけたほうがいいわよ」美紀が苦笑すると、携帯電話が鳴った。「お母さん、どうしたの?」。電話は美紀の母、光江(藤田弓子)からだった。「どこにいるの?」美紀は和之が会社を辞めて、代わって自分が働き出したことをまだ伝えてなかった。しかし美紀が事情を説明する前に、光江は和之とばったり。「あら、今日は会社お休みなの?」。戸惑う和之にかまわず、光江は家に上がりこむと「たるんでるわね、美紀は」と言いながら家事を始めた。
けれど、たまたま現れた真理江(川島なお美)の一言で、和之が主夫をしていることがバレてしまった。「男の人にあんまり要求してもかわいそうですよ」。
光江は「ちゃんと説明してちょうだい」と和之につめ寄った。事情を知ると光江はため息をもらした。「男の人が主夫だなんて、みっともないわねえ」。和之は何も言い返せない。
その夜の山村家の食卓には光江の手料理が並んだ。「美紀もどうして黙ってたの? 和之さんの職が決まるまで、この家の主婦は私がつとめます」。
もう一人、和之と同じように浮かない気分の男が町内にいた。健児(永井 大)だ。せっかく冴子(滝沢沙織)の部屋で2人きりになっても、冴子は幼稚園で使うお面作りにかかりっきり。「そんなこと明日やれよ。…俺より子供の方がいいのかよ」
「うん。可愛いもん」。「…」。「でも、子供って残酷だよね。…理絵ちゃんのバッグ、皆で笑ったのよ」。
光江に引き取ってもらうには、新しい仕事を決めるのが先決だが、和之の条件にあう会社は、なかなかない。そんな矢先、今度は美紀の父から連絡があった。光江は家出したというのだ。会社に向かった美紀と別れて、和之が家に戻ると、にぎやかな声が聞こえてきた。「1人で食べるのも寂しいから誘ったの」。光江は、優介と健児と一緒にカレーライスを食べていた。和之は覚悟をきめて家出の訳を光江に聞いた。一瞬顔色の変わった光江だったが、気まずい空気を電話の呼び出し音が破った。「えっ、理絵がどうかしましたか?」。
和之と光江があわてて幼稚園に駆けつけると、泣きべそかいた翼(國武大志)を真理江が抱きしめていた。理絵が突然、翼を泥んこの中に押し倒したという。「うちの子は何もしてないのに!」「理絵、どうしてだ?」。けれど理絵はそっぽを向いて黙ったきり。和之より前に出て光江が真理江に謝った。「母親が働いて、父親が子供の世話してるもんですから…それがいけないんです。」さらに和之に言った。「この年頃の子は可愛い女の子らしいもの持ちたいの。手提げだけじゃないわ…お弁当にタコのウインナー入れたり、髪を流行りの結び方してあげたり…あなたにそういうこと出来るの!?」。
家に帰っても理絵は押し黙ったまま。厳しい表情で、和之は理絵に問いかけた。「いいかげん訳を言いなさい。パパに世話されるのが、そんなに嫌か…」