2013年06月29日 新・週刊フジテレビ批評で放送
社会・公共

不正アクセス禁止法違反容疑による共同・朝日記者書類送検

警視庁は25日、共同通信社の記者2人と朝日新聞社の記者3人を、パソコン遠隔操作事件で、
「真犯人」を名乗る人物からの犯行声明メールからパスワードを類推してメールサーバーに接続し、真犯人を名乗る人物のメールボックスの中身を確認したことを、不正アクセス禁止法違反容疑として、東京地検に書類送検しました。

不正アクセス禁止法では、ユーザーの承諾なくIDやパスワードを用いてサーバーに接続する行為を禁じています。
警視庁は、記者らの行為を同法違反と判断する一方、取材目的で悪質性は低いとしています。

今回の書類送検に対して、共同通信社は、「形の上では法律に抵触する可能性がありますが、事件の真相に迫るための取材行為だったことを捜査当局に説明し、理解してもらえたと思います」との石亀昌郎・社会部長名のコメントを発表。
また、朝日新聞社は「犯行声明メールの送信者は、アクセスすることを誰に対しても広く承諾していたことが明らかです。法律上も報道倫理上も問題ないと考えます。 手続き上、書類送検されましたが、本社は弁護士を通じ、正当な業務だったとする見解を警視庁に伝えています」との森北喜久馬・社会部長名のコメントを発表しています。

以下、日経新聞(26日朝刊)の記事より抜粋
送検容疑は昨年10~11月、遠隔操作事件の「真犯人」を名乗って報道機関などに送られた犯行メールのサーバーにアカウントとパスワードを入力して接続した疑い。捜査関係者によると、アカウントは犯行声明のメールアドレスをもとに入力でき、パスワードは本文に記載された別のメールアカウントのパスワードから類推できる文言だった。記者はメールの送受信履歴などを閲覧していたという。
犯行声明メールについて朝日新聞社は「送信者がパスワードを使ってアカウントにアクセスすることを誰に対しても広く承諾していたことは明らか」として、不正アクセス行為ではないと主張。警視庁は「承諾は得られていない」と判断したという。
また警視庁は記者以外とみられるアクセスも複数確認。捜査したものの匿名化ソフトなどで海外サーバーを経由しており、個人の特定には至らなかったという。
犯行声明メールは昨年10月に報道機関や東京都内の弁護士に送られた。遠隔操作事件では、IT関連会社元社員、片山祐輔被告(31)が威力業務妨害罪などで起訴されている。警視庁安堵の合同捜査本部は犯行声明も同被告が送ったとみている。共同通信は4月、記者によるメールサーバーへの接続を公表した。

以下、朝日新聞(25日夕刊)の記事より抜粋
記者らは昨年10~11月、「真犯人」を名乗る人物が一連の犯行を告白するメールを送る際に使った発信元であるアカウントにログイン(接続)した。犯行告白メールは昨年10月、このアカウントから弁護士らに送られた。接続に必要なパスワードは、メールに明記されていた。

オピニオンリーダーへの問いかけ

※コンパスで掲載された全ての意見・回答は各氏個人の意見であり、各氏所属の団体・組織の意見・方針ではありません。
Q1:今回の記者の行為は取材活動として妥当だと思いますか?
Q2:問1の回答理由をお聞かせください。
Q3:今回の行為を不正アクセス禁止法違反容疑で書類送検とした警視庁の判断についてどう思われますか?

オピニオンリーダーの回答

( 12件 )
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1. 妥当だと思う

潮匡人
国際安全保障学者,拓殖大学客員教授
Q2. 「1 - 妥当だと思う」の回答理由
最終的には(法と)証拠に基づいて判断されるべきだが、以下の理由から肯定的に評価する。①報道機関などへの「犯行声明」により「特定利用の承諾」があった(つまり犯罪の構成要件を満たさない)と解釈できる余地がある。②取材の自由は本来、憲法で保障されるべきであり、刑法上も「正当業務行為」(35条)に当たる(つまり違法性が阻却される)。③あるいは可罰的違法性がないと解釈できる。
Q3. コメントする
検察官に送致したこと自体への批判もあり得ようが、犯罪の構成要件に該当する可能性がある以上、捜査当局としては、やむを得ない。逮捕・勾留を経ず、在宅送致(書類送検)された経緯を含め、許容されるべき判断と考える。今後の課題としては、同種事案を例外化する法改正に加え、ひろく報道機関の取材に係る法整備が図られるべき。理想的には、憲法を改正し「取材の自由」を含む「報道の自由」を明記すべきと考える。(なお本件については検察官が起訴しない可能性がある。仮に不起訴となった場合、それを理由に送検した判断を非難するのは結果論に過ぎず、妥当でない)
 
 
石澤靖治
学習院女子大学長
Q2. 「1 - 妥当だと思う」の回答理由
 今回のケースは記者がより深い情報に迫ろうという行為であり、妥当であると考える。一方、不正アクセス禁止法との関係であるが、これを報道機関の行為にそのままあてはめて書類送検するというのは行き過ぎであり、法の目指すものとは違うと思われる。
 ただし、もし今回の記者の行為が今後社会的に支持されないとしたら、メディアは別の面で反省するべきである。それは記者の日常的な行為や取材活動が支持されていないことの反映であると考えるからだ。つまりメディアが「公的な」活動を行っておらず、単なる「商業的な」活動を行っているに過ぎないとみなされているとしたら、今回のような行為も不正アクセス禁止法で摘発されても仕方ないとみなされるだろう。その意味で、今後の一般の人々の反応が、現在のメディアに対する評価をみるリトマス試験紙になると思われる。
Q3. コメントする
 日経新聞の報道で朝日新聞が「送信者がパスワードを使ってアカウントにアクセスすることを誰に対しても広く承諾していたことは明らか」とコメントしているように、この行為をもって記者を地検に書類送検するということは、警察当局として踏み込みすぎた行為であると思われる。
 もちろんサイバーに絡んだ犯罪行為は近年深刻さを増しており、それに対して警察当局が目を光らせることは理解できる。しかしながら公的な目的をもった報道機関の行為に対しても法律をそのままあてはめるのは、適切とは思えない。またそうしたことはジャーナリズムの情報収集活動にブレーキをかけることにつながり、最終的に国民の知る権利が制約されることになる。
 ではどうすればいいかだが、この種の問題は線引きが難しいだけに、報道側と警察当局で話し合いの機会をもつことが必要であると考える。
 
 
中津孝司
大阪商業大学総合経営学部教授,国際問題評論家
Q2. 「1 - 妥当だと思う」の回答理由
捜査に協力している面もあるわけで、今回の場合、超法規的措置を講じるべきだった。
記者として真実を追究するのだから当然の活動であり、罰する理由が見当たらない。当該記者はいわば警察当局の捜査に協力している側面もあり、警察側が記者に頭を下げるべきだろう。書類送検するとは本末転倒だ。仮に法律上の問題があったとしても、それは超法規的措置として処理すべきだ。
Q3. コメントする
杓子定規に警察が法律に縛られているから今回のようなとんちんかんな判断となる。警察は当該記者に感謝状を贈るべきだろう。
 
 
にしゃんた
羽衣国際大学教授/落語家
Q2. 「1 - 妥当だと思う」の回答理由
今回の記者の行動は、パソコン遠隔操作事件の重要性を認識してその真相に迫り、国民の知る権利に奉仕するのは報道機関としての言わずして当たり前の行為である。何が重要で何が問題で国民の利益のためには何が求められているのか、を理解できず、ただただ法律をしらみつぶしに読んで「罪を問う」のが捜査機関であり、権力を擁護するためには真実や国民の利益まで揉みつぶすのが権力である。

今回の件で「沖縄密約事件」を思い出した人もいるのではないか。沖縄密約の真相を明らかにしようとした毎日新聞西山太吉記者の取材も、狙いは「権力のウソ・国民に対する裏切り」を暴露する活動であったが、結局は、起訴状に書かれたたった一つの言葉「ひそかに情を通じて」で、沖縄の基地の問題は「男女関係」にすり替えられてしまい、最終的には、全てのメディアも、西山記者は「か弱い女をだましたひどい記者」とされて、沖縄密約の重大性=国民に対する権力のウソ=はそっちのけの話となってしまった。

今回、取材活動が捜査の対象とされ、書類送検されるのは当該報道機関だけの問題ではなく、マスコミ全体にとっての重大事である。にも関わらず、他社の扱いはなぜこれほど地味なのか理解出来ない。その短い記事の行間からは、「ざまあ見ろ」という雰囲気さえ感じられる。報道活動が制約され、あるいは萎縮し、結果、「国民の知る権利がおびやかされる」という危機感が、他社には乏しと言わざるを得ない。

合わせて、この設問で、「妥当だと思う」以外の回答する者がいるとするならば、残念だが、それはネット至上主義者であり、権力に弱くて追随するのみで、「知る権利」をまったく理解していないと言わずしてなんと言いましょうか。
Q3. コメントする
警視庁は「捜査上の支障はなかったが、形式的には違法行為」と言っている。書類送検しても検察庁が起訴するかどうかはまだ分からないし、起訴しても有罪になるかどうかも分からない。しかし、報道機関に与える影響は計り知れない。権力のウソ、あるいは権力の犯罪の端緒を1つの報道機関が知り得たとしても、その真相に迫る上で今回の「書類送検」は大きな圧力となり、現場の記者たちは萎縮してしまうだろう。それだけでも「書類送検」は今の権力にとっては十分に効果があると言えそうだ。

ネット上では、巨大マスコミのエリート記者が書類送検、ということで結構はしゃいでいるようだ。憎き権力の、それもエリート中のエリートが捜査の対象とされ書類送検されたのだから、喜ぶのも分からないではない。しかしネット時代というのは、あらゆるものの動き・対応が後手後手となっている。はしゃいでいる連中もはしゃいでいる時ではないハズだ。ネット時代に即応した法律も後手後手だし、ネット時代のジャーナリズムというのも混乱したままだし、そして倫理面では巨大マスコミとか名もなき民を問わず、議論の対象になりつつも議論は前に進まない。今の権力がマスコミを萎縮させ、ネット族を喜ばせて、そしてその先に見ているものは何だろうか。知る権利を持つ僕たち国民は権力の狙いというものを目を凝らして見ていくことが必要だろう。
 
 
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2. 妥当だと思わない

伊東乾
作曲家・指揮者 ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督
Q2. 「2 - 妥当だと思わない」の回答理由
どのような状況であれ、他人のメールアカウントに対しパスワードなどを「類推」で打ち込み、結果的に個人情報に相当するものを盗み見することが「正当な取材行為」である、などと認定されることがあるとすれば、非常に危険な前例を作ることになりかねない。
多くの識者が「妥当」と書くであろうことを予測しつつ、音楽人としてではなく、かつて東京大学教養学部で7年間「情報処理」担当教官として3000人ほどの学生を指導した情報教員の立場で、危険な前例を作らないための配慮から「妥当ではない」と見る意見を記したい。
どのような状況であれ、他人のメールアカウントに対しパスワードなどを「類推」で打ち込み、結果的に個人情報に相当するものを盗み見することが「正当な取材行為」である、などと認定されることがあるとすれば、非常に危険な前例を作ることになりかねない。情報とくにネットワークデジタル情報は「腹水盆に帰らず」の典型で、安易な不正アクセスを容認するような前例、判例などには強い警鐘を鳴らさねばならぬと考える。マスメディアの自己責任の自覚を促すことも大切だ。妥当な取材行為とは私は認めない立場を取る。
Q3. コメントする
現時点では妥当な判断と思う。こちらの方向でも同様に、行き過ぎた規正は別の問題を生むことも、同時に注意しておきたい。
 
 
安冨潔
慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)教授,弁護士
Q2. 「2 - 妥当だと思わない」の回答理由
不正アクセス禁止法の解釈を十分理解していない。
Q3. コメントする
妥当な判断。
報道では,弁護士の意見を聞いたとあったが,いささか弁護士に問題あり。
 
 
南淵明宏
医療法人社団 冠心会 大崎病院 東京ハートセンター  心臓外科医
Q2. 「2 - 妥当だと思わない」の回答理由
今回の本筋は、みなさんおそらくご存じのように、今やネット内での我々の足跡は当局に筒抜けなのだ。すぐばれる「覗き見」は大やけどでは済まない、大変危険な取材行為だったということを肝に銘じ、今後は「良い子はまねしないように」と広く社会に警鐘を発するべきだ。
これは記者自身の価値観であるが、不正なアクセスがどうしてきっちりばれたのか、と言うことを考えれば、彼らは相当に危ない橋を渡って取材している、という点で、彼ら(記者さん達)のご家族の視点から、こういうことは今後危険すぎるのでやめたほうがいい、ということで「不適切」とした。容疑者のアカウントにアクセスした事実や履歴など、ネット上での足跡が完全に当局に掌握されている状況では、下手をすれば共犯という解釈になっていたかも知れないし、もっともっと大きな流れの中で、とんでもない立場に置かれていたかも知れないのであって、(報道が事実であるとして)今回のような「イタズラ」めいた取材手法はまさに記者にとって命取りだ。それにしても一般論だがフリーのジャーナリストで提灯記事ばかりのクズに混じって「こんな事件の取材なんて命がいくつあっても足りないよなぁ・・・こわー!」という奴らを相手に取材をする傑物、と言うか命知らずのサムライがいるのには時々驚かされる。そういうくそど根性での取材と言うのであればあっぱれだが、今回のようなすぐばれるような稚拙な方法での「覗き見」に過ぎない「イタズラ」だったのであれば、「よい子はマネしないように」ということである。さて、当初この事件は奥深い事件ではないか、と想定され、いろいろと物議を醸しだした。未だにその可能性は100%否定できないのかも知れないが、背後にはもっと大きな力があるのでは、という視点から事件が掘り下げられていたようだ。今回の報道も本当のところは事実とはぜんぜん違うのかも知れない。とにかく今回の「勇敢なる」記者諸兄様の「覗き見」がしっかりと当局に掌握されている事実からもわかるように、また昨今の元CIA職員の告発を見てもさらにわかるように、インターネット上の我々の足跡は当局に筒抜けなのである。この事件(今回の下問の論点)では、このことを我々はしっかりと思い知るべきだ。
Q3. コメントする
幕引き、ということなんでしょうね。
「良い子はマネしないように!」、というおまわりさんのメッセージ、ということです。
 
 
武貞秀士
拓殖大学大学院特任教授
Q2. 「2 - 妥当だと思わない」の回答理由
犯行声明メールからパスワードを類推してメールサーバーに接続し、真犯人を名乗る人物のメールボックスの中身を確認するという作業は警察にまかせておいて良いのではないか
 今回の取材行為が妥当なのかどうか。自分は法律家ではないし、マスコミ論を研究しているものでもない。マスコミでコメントをする機会がある政治学を専攻する研究者としてコメントをすると・・・。不正アクセス禁止法の文言を読むと、今回の件は法律に違反している。しかし、「真犯人」を名乗る人物は「ログインして下さい」とばかりに事前に情報を提供している。その「真犯人」を相手の取材活動として限度を超えていたのかどうかがポイントになる。

不正アクセス禁止法には、次のようにある。
何人も、不正アクセス行為をしてはならない(3条1項)。不正アクセス行為とは以下の行為である(3条2項)。
1 .電気通信回線(インターネット・LAN等)を通じて、アクセス制御機能を持つ電子計算機にアクセスし、他人の識別符号(パスワード・生体認証など)を入力し、アクセス制御機能(認証機能)を作動させて、本来制限されている機能を利用可能な状態にする行為 (1号)
2. 電気通信回線を通じて、アクセス制御機能を持つ電子計算機にアクセスし、識別符号以外の情報や指令を入力し、アクセス制御機能を作動させて、本来制限されている機能を利用可能な状態にする行為 (2号)
3. 電気通信回線を通じて、アクセス制御機能を持つ他の電子計算機により制限されている電子計算機にアクセスし、識別符号以外の情報や指令を入力し、アクセス制御機能を作動させて、本来制限されている機能を利用可能な状態にする行為 (3号)
 
今回の件は、「真犯人」を名乗る人物からの犯行声明メールからパスワードを類推してメールサーバーに接続し、真犯人を名乗る人物のメールボックスの中身を確認した。本人の承諾をとっていないのだから、警視庁が不正アクセス禁止法違反容疑と判断したのは、間違ってはいない。
 ただ、マスコミ側の「事件の真相に迫るための取材行為だった」という説明も、なるほどと思える。アカウントは犯行声明のメールアドレスをもとに入力でき、パスワードは本文に記載された別のメールアカウントの パスワードから類推できるものだった。とても特殊なケースだ。不正アクセス禁止法ができたときは、このようなケースは想定外だったのだろう。だから一国民として判断に迷う。法律家とマスコミ関係者では判定が違ってくるだろう。警察がしていることを、マスコミが想像力を駆使して、類推をしながら真実に到達し解明してこそ、良い記事が書けるのだとマスコミ関係者は思う。
 ここで2つのことを思った。(1)「犯行声明メールからパスワードを類推してメールサーバーに接続し、真犯人を名乗る人物のメールボックスの中身を確認する。そのとき本人の承諾はなくとも問題ない」ととすれば、その解釈を拡大して悪用する例が増えることはないだろうか。例えば、マスコミではなく一般市民が「パスワードを類推してメールサーバーに接続」したときも容認できるのかどうか。「類推できる」という言葉の意味が曖昧であるのが怖い。類推が難しいケースでも、機材を駆使してパスワードを捜し当てて、「類推した」としてこのような行為をする人を罰することができるのか。社会常識からは「類推」の範囲を超えていると見えても、コンピューターを駆使する人にとっては、「類推」のひとつなのだという主張をすることもあるだろう。
(2)アカウントを犯行声明のメールアドレスをもとに入力して、パスワードは本文に記載された別のメールアカウントの パスワードから類推できる状態だった。では、記者が他人のアカウントを入力し、他人のパスワードを類推して入力するとき、「こんなことをしても良いのだろうか」と躊躇しなかったのだろうか。他人のパスワードである。「これは警察のする仕事であって、自分の仕事ではない」と思わなかったのだろうか。真犯人を名乗っていても、真犯人と確定していない段階のことだった。また、マスコミの記事が真犯人に対して、「次の一手」を考えるヒントになるという心配はしなかったのだろうか。
 
Q3. コメントする
不正アクセス禁止法のもとで、パスワードなどを機材を使って「類推」しながら他人のアカウントにアクセスする人がでてくると困るので、今回の判断は妥当だと思う。現在の不正アクセス禁止法が想定していない事件であるとすれば、その事件を未然に防ぐために、法律の改正をする必要があるだろう。
 
 
山村武彦
防災システム研究所所長
Q2. 「2 - 妥当だと思わない」の回答理由
憎むべき犯罪や容疑者に迫ろうとする取材活動の一環だとしても、法を犯せば記者自身の犯罪行為である。もし、それを黙認していれば上司やその報道機関も同罪となる。ネット時代だからこそ、報道機関は平時から取材にかかわるコンプライアンス研修をきちんと行う必要がある。
Q3. コメントする
法治国家の護民官として適切な判断であり、その使命を果たしたものと思う。
 
 
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3. その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)

本田宏
医療制度研究会副理事長
Q2. 「3 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
国民に真実知らせるメディアの存在意義からは評価するが記者クラブ制温存し為政者よりの報道続ける現実は残念。また「警視庁は記者以外とみられるアクセスも複数確認。匿名化ソフトなどで海外サーバーを経由しており、個人の特定には至らなかった」は警視庁が責任を恣意的に問えるという点で大変不気味。
 国民に真実を知らせるメディアの存在意義からは評価したいが、現在も記者クラブ制度を温存し、為政者よりの報道を続けている現実は残念。また「警視庁は記者以外とみられるアクセスも複数確認。捜査したものの匿名化ソフトなどで海外サーバーを経由しており、個人の特定には至らなかったという」という点は、今後も警視庁が個人や企業の責任を恣意的に問えるという点では大変不気味なものを感じる。
Q3. コメントする
 これが一般人であればどうだったろうか。警視庁による大手メディアへの圧力とも感じられ、報道の自由という意味から大変に危機感を感じる。
 
 
岩渕美克
日本大学法学部教授
Q2. 「3 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
 フリーアクセスかどうかが問題で貼りますが、アクセスしたことがどのように記事に生かされていたのかが不明では、単に犯人の思惑にのっただけの行為とみられても仕方がない。
 記事によって、容易にパスワードが解るとしたものと、明記されていたと分かれているので、判断に迷います。明記されているのであれば、フリーアクセスとみなされるので妥当としてもいいでしょうが、そうでないならばやや行き過ぎの感はぬぐえないと思います。それが仮にわかるようにしていたとしても、明示されていないのであれば許可が必要になると思われます。
 もちろん取材過程での記者の人の気持ちは十分理解できるし、犯人もアクセスを求めているのかもしれませんが、そのこと、すなわちアクセスしていることを記事にしてその上で何らかのコメントを加えるべきだったのでは。さもわかりやすくパスワードが隠されて得いるのであれば班員が誘っているということですし、その場合にそのまま犯人、たぶん愉快犯と思われますが、その愉快犯のお先棒を担がされていることになりかねません。そうであるとすれば、単にアクセスしているだけでは犯人の思うつぼで、ジャーナリストとしてはいかがなものかと言わざるを得ません。
Q3. コメントする
 警察としては違法行為があれば、送検するのは当然でしょう。そこまでの権限しか警察にはないのですから。それ以降の判断は検察であり裁判所がすべきことと思います。このようにすると賢察の仕事が膨大になることも予想されますが、このケースは、全貌がよく見えない事件なので、致し方ないと思います。
 
 
浜辺陽一郎
青山学院大学大学院法務研究科(法科大学院) 教授,弁護士
Q2. 「3 - その他(設問・選択肢以外の視点・考え方)」の回答理由
本件は白黒がはっきりするような事例ではないように思われる。

形式的には、不正アクセス行為に該当するようだが、正当な行為であるか、妥当な行為といえるかという問題は、いろいろな事情を総合考慮して判断することになろう。
本件は白黒がはっきりするような事例ではないように思われる。

形式的には、不正アクセス行為に該当するようだが、正当な行為であるか、妥当な行為といえるかという問題は、いろいろな事情を総合考慮して判断することになろう。

犯罪行為に対する取材における場合であれば、
第一に、どういう犯罪行為なのか?国民全体に甚大な被害を及ぼすような重大な問題なのか、大した問題でないのかによって、判断は異なる。今回の犯罪はどうだろうか。
第二に、どういう経緯でアクセスしたのか。たとえば、本件でパスワードが開示されていたというのであれば、それで検証をすることは正当だという主張に傾くだろう。
第三に、その緊急性、必要性がどこまであるか。時間が経過すると、チャンスが失われるということであれば、できる間にアクセスをすることが正当化されるかもしれない。
第四に、捜査機関とは別の立場を立証するためであれば、正当化されやすい。すなわち、捜査当局は有罪方向の情報しか開示しようとしない場合に、無罪を示す事情を暴く行為は違法視されるべきではないだろう。
Q3. コメントする
形式的には可能であろうし、その面子からして、さもありなんというところであるが、センスとしては、あまり良くないのではないか。

本件が難しい事案であることはやむをえないとしても、捜査機関の振る舞いとしては、やや行き過ぎであって、もう少し謙抑的でもよかったかもしれない。

現在の日本の官庁の組織体制からすると、こうなるだろう。ところで、この質問は、「書類送検とした警察の判断」を訪ねているが、実質的な違法性の判断としてどうか?ということを訊きたいという趣旨でしょう。ただ、まだ書類送検をした段階なので、そのような質問になっているだけで、問題は、こうした行為を違法として取材活動を違法視してよいのかという点。

これは民主主義に資する「取材活動の自由」をどこまで認めるか、それとも、法秩序維持の観点から、警察の活動を重視すべきなのか。換言すれば、警察の捜査を待つべきであって、民間は一歩退くべきだということになるのかどうかが問題なのではないか。
 
 
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