優しい時間

第8回 2005年3月3日(木)放送 あらすじ

#8 吹雪

 富良野を直撃しそうな強い低気圧が近づいている早朝、「森の時計」に、美可子(清水美砂)が数人のペンション滝川の客を連れてやって来た。東京からのスキー客だった。高松(山谷初男)が、荒れるから山はやめたほうがいいと忠告すると「判ってます」と偉そうな口ぶりである。美可子が「山岳会の方だから、よくご存知」と取り成す。梓(長澤まさみ)は、相変わらず奥で食器を割っているが、いつも以上に様子がおかしい。ミミ(高橋史子)が連絡を取ると、すでにリフトが止まっていることが分かり、美可子たちはゴルフ場を抜けてペンションに戻ることに決めた。10時過ぎに現れた長沢(六条寿倖)は、すでに雪で全身真っ白。美可子たちは勇吉(寺尾聰)に挨拶し、店を出発した。
 勇吉は、リリ(森上千絵)や梓、道の雪かきをしている長沢たちにも引き上げるよう声を掛けた。梓が別れ際「あのペンダントしてくれないんですね」と恨みがましく言うのが、ちょっと気になった勇吉だった。昼過ぎ、店を閉めようとしていると電話が鳴り、梓の初恋相手の元担任教師、松田(佐々木蔵之介)が急用で店に来たいと言う。待っていると、山用の重装備をまとった一人の男が吹雪と共に店に入って来た。ほぼ同時に松田も四駆で現れた。
 松田は、街で見かけた梓の様子が余りに虚ろで、車に轢かれそうになるなどひどく危険な状態に見える、ついては知らせた方がいいと思いやって来た、と勇吉に言う。そのころ梓は、一人吹雪の道を車で走っていた。無表情な顔で歌いながら……。
 午後1時を過ぎ、山男が、近くのペンションを紹介してくれないかと勇吉に尋ねた。勇吉が、滝川ペンションに電話する。男の宿泊はすぐに話が付いたが、美可子たちがまだ戻ってこない、と電話口の滝川(納谷真大)が心配している。その時、雪まみれの男女3人が飛び込んできた。美可子の連れの客である。美可子たちとはぐれ引き返してきたと言う。すぐに滝川に連絡を取る勇吉。美可子と数人はまだ不明だ。勇吉は、山男を信用し、その3人を滝川ペンションに車で送りに出た。
 しばらくして、勇吉が「森の時計」へ戻って来ると、留守番を引き受けていた男が「湧井さんでは?」と尋ねてきた。なんと山男は拓郎(二宮和也)の家庭教師だった堂本(徳重聡)であった。あの事故直前まで拓郎を教えていたのだという。停電になりローソクの光の中で勇吉は、自分の知らない拓郎のことを堂本に尋ねた。
 堂本によると、拓郎は、学校でいじめに遭っており、岸神という男に助けられた。拓郎は彼を慕ったが、岸神は暴走族のリーダーだった。そのため拓郎も暴走族扱いされ、結局加入することになる。しかしその後、抗争で岸神が死に、拓郎は岸神のあだ名だった「死神」という刺青を左腕に彫った上で暴走族を抜けたのだという。堂本は、そのことで、めぐみ(大竹しのぶ)に詰問されたことを思い出し、勇吉に告げた。
 その時、立石(國村隼)が飛び込んできた。「道路に木が倒れ電線も切れている!!」。そこへ滝川からの電話が入った。滝川が絶叫する。「5人がたどり着いたが、美可子とリーダーが帰ってこない」。遭難したのだ。「森の時計」を“本部”にして、風間(山下澄人)らの救助隊が結成され捜索が進められたが、北海道の吹雪は想像を絶していて手が出せない。さらに悪い知らせが入る。リリからである。「梓が帰ってこない!!」。勇吉は一度電話を切った後、リリに電話した。「皆空窯に電話して湧井拓郎という青年に聞いてみてくれ。知っているかもしれない」。勇吉はその青年が自分の息子であることも告白した。リリはすぐに電話を掛けたが、拓郎に連絡はつかなかった。拓郎は自宅で制作に没頭していたのだ。
 夜になって、滝川も「森の時計」にやって来た。半狂乱である。救助隊は静かに待つしかなかった。勇吉は堂本とまた話し始めた。堂本が言う。拓郎は、父親が母親の故郷の富良野に行ってしまった。どれほど母親のことを愛していたか思い知らされたと泣いていたという。許してもらえないがついて行くとも言っていたと堂本は語った。勇吉は、拓郎が皆空窯で修行中であることを教え、堂本に「あいつに会ってやってください。そして一度話に来ないかと言ってやってください」と頼むのであった。
 その時、電話が鳴った。美可子とリーダーがペンションに帰って来たという連絡だ。ペンションの裏手で雪洞を掘り避難していたのだった。一安心である。だが、梓はまだ行方不明だった。
 夜も更けたころ、パトカーが雪に埋もれた一台の車を見つけた。中には手首を切った梓がいた…。

キャスト

湧井勇吉 … 寺尾 聰
  ○
湧井拓郎 … 二宮和也
皆川 梓 … 長澤まさみ
  ○
井上美可子 … 清水美砂
  ○
堂本 … 徳重 聡
松田 … 佐々木蔵之助
  ○
九条朋子 … 余 貴美子
  ○
湧井めぐみ … 大竹しのぶ

 ほか

スタッフ

■脚本
 倉本 聰
■監督・演出
 田島大輔
■音楽
 渡辺俊幸
■制作
 フジテレビジョン
 フジクリエイティブコーポレーション(FCC)

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