第2回 2005年1月20日(木)放送 あらすじ

#2 拓郎

 勇吉(寺尾聰)はコーヒー業者の安西(田中圭)と渓流釣りを楽しんでいた。安西は若いがフライフィッシングの先生で髪を染めている。勇吉はそれが気になって、その理由や親の反応を取りとめもなく聞いてしまう。それは、めぐみ(大竹しのぶ)が事故死した時、拓郎(二宮和也)が髪を染めていた記憶にさいなまれていたからだ。
 台風情報が流れる朝、梓(長澤まさみ)は、拓郎からもらった「皆空窯」の廃棄皿をリリ(森上千絵)に自慢気に見せていた。「いいんじゃない」と言うリリは勇吉の弁当を作っていて気もそぞろである。ところが「森の時計」に行くとミミ(高橋史子)は「カレーには合わないし、店にも合わない」と梓の皿を頭ごなしに否定する。納得いかない梓は勇吉に裁定を求めるが、優柔不断の勇吉はリリに意見を求める。なんと朝とは違ってリリもミミの意見に賛同。結局、勇吉も二人の意見に倣ってしまう。悔しさと怒りで梓は、裏口に出て皿を全部叩き割ってしまった。ついでにリリも弁当渡しをミミに先んじられる。梓はそのまま車に乗って、親切にしてくれた拓郎のために爪ブラシを買いに出てしまった。
 「森の時計」に変なカップルが現れた。新婚旅行中の川西秀子(田畑智子)と健(中村俊太)である。秀子は健から逃れるように店内で動き回り、健は怒ったように外に出てしまった。そこに現れた朋子(余貴美子)とミミが残された秀子に事情を聴く。と、なんと新郎にレイプされたと言う。何のことはない「足の指をなめられた」と言うのだ。絶句する朋子たち。「絶滅珍種だ」とミミ。「警察に行く」と言う秀子をなだめ、朋子は「北時計」に連れて行くのだった。
 爪ブラシを買った梓は、拓郎に届けに「皆空窯」にやって来た。土こねやロクロを見学する梓。そこへ六介(麿赤児)が入って来た。が、すぐ消えた。六介は妻の洋子(朝加真由美)に、我が息子に彼女が出来たが如く慌てて相談するのだった。梓が引き上げて六介が再び現れた。「まあ、気をつけて交際しろ。オレも朋子さんから預かってる身だ」と説教した後、「そう言えばボツにした皿を使うから持って来い」と拓郎に命じた。
 衝撃の拓郎は、大急ぎで梓に連絡を取る。車中の梓も凍りつく。強い雨も降り始めた。「もう、ないんです。全部割っちゃったんです」。しようがなく、拓郎は六介に「全部割った」と報告するが、六介は「破片でいいんだ」と追い討ちをかける。拓郎はすぐに梓に連絡を取り直す。「破片ね」。了解した梓は「森の時計」へ向けてスピードを上げた。到着すると挨拶もなしにゴミ置き場へ。破片の入った袋を見つけると、車に乗せ、再び「皆空窯」へと車を飛ばした。が、天候は大嵐になっていく。
 拓郎は外を見て不安になっていった。来られるのだろうか。たまらず拓郎は車に飛び乗って、梓を迎えに走った。ワイパーもきかない大雨である。と、前方の道路に立ち往生した車が止まっている。梓の車である。拓郎は皿の破片入りの袋を握り締める梓を車から救い出し自分の車に乗せて、六介から借りている自分の家へ走った。
 拓郎の家で、シャワーを浴び服を乾かす梓は、風呂上りゆえ拓郎を外させて電話する。「森の時計ですか……。ごめんなさい」。その言葉は拓郎の耳にも届いた。「森の時計……!?」。そこには父がいる……。
 そのころ、「森の時計」には健が戻って来ていた。ミミが勇吉に「少し意見してください」と煽る。勇吉もつい説教を始める。だが、どうもかみ合わない。「人にはいろんな成長の仕方がある」「初めて他人と結ばれる時は礼儀が必要だ」「女はもろくて強い、いや強そうで弱い……」。そこへ秀子が帰って来た。「行こう」と秀子。「うん」と健。
 「森の時計」閉店である。リリが朝作った弁当を勇吉のために置いていく。一人きりになった勇吉の前にメグことめぐみが座っている。勇吉はメグに語りかける。「拓郎に何も教えていなかったな。あいつは礼儀を知っているのかな。あいつと付き合えるのかな」。メグは「あなたの心が解けて愛せればね」と言う。「あいつは誰かに愛されているのかな」と勇吉。メグは「きっと愛されてるわ」と答えるのだった。
 そのころ、梓は拓郎が飾っているめぐみの写真に気がついた。洗面所の拓郎は、「それはお袋で死んだよ」と答えながら、梓の爪ブラシで歯を磨いているところだった。

キャスト

湧井勇吉 …・ 寺尾 聰
  ○
湧井拓郎 … 二宮和也
皆川 梓 … 長澤まさみ
  ○
川西秀子 … 田畑智子
川西 健 … 中村俊太
  ○
九条朋子 … 余 貴美子
天野六介 … 麿 赤兒
  ○
湧井めぐみ … 大竹しのぶ

ほか

スタッフ

■原作・脚本
 倉本 聰
■監督・演出
 田島大輔
■音楽
 渡辺俊幸
■制作
 フジテレビジョン
 フジクリエイティブコーポレーション(FCC)

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