第11回 2005年3月24日(木)放送 あらすじ

#11 雪解け

 拓郎(二宮和也)は、父勇吉(寺尾聰)との関係を今のように悲しいものにしたきっかけとなった「死神」の刺青に、窯から出したばかりの高熱の陶器を押し当てた。悲鳴とうめき声を上げ悶絶しのたうち回る拓郎……。気付いた六介(麿赤兒)と洋子(朝加真由美)が助けに来て拓郎は病院へ運ばれた。
 重い火傷であったが、取りあえず通院で済むことになり、調剤を待つ間、六介は火傷の事情を拓郎に尋ねた。拓郎は、「刺青を消したかったんです。これで昔を一つ清算できました」と無理に笑顔を作って答えた。六介は、その刺青が父親とのいさかいの元になっていると察したが、拓郎が懇願するので勇吉への連絡は控えることにした。拓郎は、発熱したが、翌日から陶器の制作に戻った。
 そんなことは知らぬ勇吉の「森の時計」では、その日、娘のマヤ(須藤理彩)を中年男に嫁がせる立石(國村隼)が荒れていた。「一人でここまで来たと思うなよ」とわめく立石に、平然と「来たわよ」と言ってのけるマヤ。どうにか長沢(六條寿倖)が「道路に鹿が死んでる」と入って来て、固まった話題が変わった。
 暫くすると、朋子(余貴美子)が中年の男女数人を連れてやって来た。中高の同級生だと言う。つまりめぐみ(大竹しのぶ)の同級生でもある。そこへ、鹿の死骸を見に行った常連が帰って来て、また話し始めた。「知ってる?滝川(納谷真大)が狭心症で倒れたって」。美可子(清水美砂)のジンクスか……。そんな夜も拓郎は制作に没頭していた。見かねた六介は、朋子に事情を説明した。朋子も戸惑ったが、拓郎の意を尊重し、勇吉には知らせないことにした。
 だが、朋子は梓(長澤まさみ)だけには知らせようと思って、「森の時計」にいる梓に仕事が終わったら来るように促した。と、その時、朋子が連れてきた「同級生」の中の一人・亀田(高橋克実)が「森の時計」に現れた。亀田は勇吉に、中学高校時代のめぐみの思い出の品をカウンターに並べ始めた。不気味である。とうとう「めぐみの愛唱歌だ」と「圭子の夢は夜ひらく」を歌い出すのだった。そこへ立石がやって来た。披露宴で花婿を殴りつけたことを話し始めた。しかし、その花婿は「殴られてやっと婿として認められた気がする」と手を握ってきたのだと言う。複雑な男たちの気持ちが「森の時計」に充満した。と、風間(山下澄人)と美可子が入って来た。なんと美可子は風間の部屋に間借りするのだという。ミミ(高橋史子)とリリ(森下千絵)があわててそれを阻止しようとするが……。
 梓は朋子の「北時計」へ行った。朋子は口止めをした上で、拓郎の火傷の事件を話した。「すごいね、拓ちゃん」「うん、すごい」と感心し合う二人だった。
 拓郎は、勇吉のお守りを握り締めながら、制作のラストスパートに掛かっていた。
 「森の時計」を閉め、勇吉はめぐみと語らい始めた。亀田のことを話す勇吉。面白がるめぐみに、勇吉は「ある意味、感動したんだ。若い心を持ち続けていることに。俺は君にしちゃいけないことをしたんじゃないか」と内省する。めぐみは否定し、「成熟したカップルは見つめ合うのじゃなくて同じものを見て同じものを感じるのよ。一緒に」と諭すのだった。
 雪晴れの日、六介が工房を覗く。拓郎が作品に磨きをかけている。六介はそれをやめさせた。「もう磨くな。それでいい。できたな」。六介は出来栄えを認めた。拓郎は「これを親父に見せに行きたい。泊まってくる」と懇願した。もちろん六介は快諾した…。

キャスト

湧井勇吉 … 寺尾 聰
  ○
湧井拓郎 … 二宮和也
皆川 梓 … 長澤まさみ
  ○
井上美可子 … 清水美砂
  ○
立石 … 國村 隼
亀田 … 高橋克実
立石マヤ … 須藤理彩
天野六介 … 麿 赤兒
  ○
九条朋子 … 余 貴美子
  ○
湧井めぐみ … 大竹しのぶ

 ほか

スタッフ

■脚本
 倉本 聰

■演出
 田島大輔

■音楽
 渡辺俊幸

■制作
 フジテレビジョン
 フジクリエイティブコーポレーション(FCC)

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