第5回 2004年8月2日(月)放送 あらすじ

#5 ソウルから挑戦状

 ついに自分の素性を明かした木本美香(仲間由紀恵)の全てを和田亮介(和田聡宏)は優しく受け止めてくれた。しかし、美香は井上弘一(中村俊介)から婚約指輪を渡されそうになる。井上の母、麗子(李麗仙)は、美香の父、正雄(石坂浩二)の会社再建を条件に強引に話を進めようとする。あまりのことに席を立った美香は亮介のアパートへ。そこには、亮介の父、健介(夏八木勲)がいた。健介は、美香の顔と名前を聞いて動揺した様子。ホテルに戻ると言う健介は、部屋にかかっていた絵を持ち帰った。
『海岸酒場』では、早瀬佳男(佐藤隆太)が大杉健(哀川翔)と亮介の部屋にかかっていた絵と美香の母、優里(仲間由紀恵・二役)の関係を推理している。絵を描いた人物と優里の恋人が同一人物であれば、美香と亮介は過去30年にさかのぼる“運命の糸”で繋がれていたことになる。だとすれば、美香と亮介の恋は、まさに運命と喜ぶ佳男。しかし、優里と青年の恋の内容を知った大杉は、美香と亮介には悲しい結末にはなって欲しくないと心配そう。その頃、美香も亮介に優里の恋を話していた。母の悲しい恋の結末を語る美香に亮介は、自分は死なないとキッパリ。死なないと約束すると続ける亮介に、美香は大きな安らぎを覚えるのだった。
 数日後、美香が出勤するとデスクのパソコンに井上からメールが届いている。先日の出来事を詫びるメールには、正雄が倒産寸前ということは無いともあった。ホッとした美香は、昼休みに佳男とランチ。美香の幸せを自分のことのように喜ぶ佳男。だが、美香にはまだ片付けなければならない問題があった。井上の求婚だ。しかも、井上には麗子の手段を選ばぬ強烈なバックアップもある。だが、美香は単に井上が嫌いというわけではない。今でも兄のような存在なので、無下には断りにくい。すると、佳男は井上が誠実な人物なら、尚更早急にキチンと断るべきだと言う。そんな話をしていると葉山編集長(長野里美)が、2人に“和の心特集”第2弾の内容を尋ねてきた。美香は、企画書を見せる。取材対象は亮介だった。
 その夜、美香と佳男は『海岸酒場』に赴き、改めて亮介に取材を依頼。居合わせた小山ヒロシ(速水もこみち)は大喜びだが、亮介は逡巡。大杉は、美香が取材者なので公私混同したくないのだろうと言う。その点は大丈夫と佳男が請け合うと、大杉はどうせ取材するなら亮介が本格的に書いている姿の方が絵になると薦める。近く、書の大会があって亮介も参加するのだ。その話に、美香も乗り気。大杉に、もう一押しされた亮介は、やっと取材を引き受けた。
 次の日。とある路上。駐車された車の中には、井上と山根真理(佐藤江梨子)。何かを聞いたらしい井上は、真理に金を渡す。そんな事を知らない美香に、井上から電話が入る。もう一度、先日の件を謝罪してきた。美香は、直接話したいことがあると申し出るが、井上はソウル出張中だと言う。帰国したら連絡すると言う井上。
 福島では、東京から戻った健介と妻、光代(岩本多代)がいつもの静かな生活に戻っていた。だが、卒業写真を探す光代は納戸で健介が持ち帰った絵を見て顔色を変える。さらに、絵の奥にあった木箱から古い手紙の束と一本の絵筆を見つけてしまう。絵筆には『K』というイニシャルが…。
 美香と佳男は、亮介の書道教室から取材を始める。その帰り、美香は亮介とデート。美香は、大会で書く字を尋ねるが亮介はまだ決めていないと答える。ごく普通の、愛し合う恋人同士のような幸せを紡ぎ出す美香と亮介だった。
 しかし、数日後、仕事中の亮介を井上が訪ねて来た。井上は、美香が自分の婚約者と知っていて交際しているのかと亮介に切り出す。亮介が卑怯だと反論すると、井上はなぜ美香が自分のことを打ち明けていないのか? と、わざと疑問を投げる。つまり、美香は亮介と本気で付き合っていないからだと言うのだ。自分も美香も日本人の異性と付き合うのは遊びだと言う井上に亮介は反論できない。同じ頃、美香は佳男に井上の事を亮介に話したほうが良いかと相談していた。佳男は、そんな美香にまだ話してないのかと驚く。不愉快な話題はしたくないと考え込む美香。
 その夜、木本家に麗子が来た。息子よろしく、先日の出来事を美香に謝る麗子。だが、その舌の根も乾かぬうち、紀香(ソニン)がお茶を出しに現れると、麗子は姉妹なのに似ていない。美香の性格は母親似などと言い出す。美香と紀香にその真意は図れないが、正雄の表情は怪訝そう。麗子が帰ると、紀香が美香の部屋に来た。井上と結婚するのかと尋ねる紀香に、美香は他に好きな人がいるので断ると答える。そんな姉に、紀香はうれしそう。紀香が部屋を出て行くと、美香は亮介に電話。日曜日の大会取材スケジュールを伝えた美香は、その後、大事な話がしたいと切り出す。また、亮介からもらった2枚の書を見つめる美香は、何かプレゼントしたいとも言う。亮介が遠慮していると、美香はあるものを思い出す。一方、福島では健介と光代が食事。高校時代や結婚当時のことを懐かしんでいるかのように話す光代。だが、健介に隠れた光代の表情は…。
 美香が亮介のために選んだプレゼントは、イニシャルを彫った書道の筆。日曜日、美香がプレゼントを持って取材に出ようとすると、井上と麗子が数人の初老の男たちをともなって現れた。仕事に行こうとする美香に、麗子は正雄の一大事なので同席するよう求める。正雄の負債を井上の会社が請け負うことになっていたが、ソウル支社の反応が良くないらしい。日本を基盤に成功している在日韓国人を本国は好まないと井上が説明。井上も韓国に赴いたが、芳しくないと言う。すると提案があると麗子。本国の人間を頷かせる唯一の方法…それは…と、正雄が受け継いだ。苦悩の面持ちで、正雄は美香に頭を下げる。井上=朴家の人間に…弘一と結婚して欲しいと。美香は、自分に頭を下げないで欲しいと正雄に頼む。井上もビジネスと美香は関係ないから頭を上げて欲しいと言うのだが、正雄は頑な。すると、麗子が美香に箱を差し出した。例の婚約指輪の入った箱だった。一方、書の大会では、亮介が韓国語で“約束”と書いていて…。

キャスト

木本美香、金 優里 … 仲間由紀恵
(一人二役)
和田亮介 … 和田聡宏
  ●
早瀬佳男 … 佐藤隆太
山根真理 … 佐藤江梨子
小山ヒロシ … 速水もこみち
木本紀香 … ソニン
青年 … 川端竜太
  ●
井上弘一 … 中村俊介
井上麗子 … 李麗仙
神谷 文 … 仲村トオル(友情出演)
  ●
大杉 健 … 哀川 翔
和田健介 … 夏八木 勲
  ●
木本正雄 … 石坂浩二

スタッフ

■原作
  吉田修一「東京湾景」(新潮社刊)
■脚本
  原 夏美
■企画&プロデュース
  大多 亮
■プロデューサー
  栗原美和子
  森谷 雄
■演出
  村上正典
■音楽
  イルマ
  高梨康治
■制作
  フジテレビドラマ制作センター

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