白い巨塔
#4 落選
「ユー&アイ製薬」のやり手営業ウーマン・加奈子(木村多江)が、いつものように浪速大学に現れ、財前(唐沢寿明)や里見(江口洋介)に、新抗がん剤の売り込みをかけていた。財前は加奈子を振り切り、東(石坂浩二)の部屋に入った。部屋には関西財界の大物である大興建設社長・五十嵐(大林丈史)がすわっていた。五十嵐は、食道の腫瘍で東を介し、財前の手術を希望していた。いわゆる「特診」である。上がる一方の財前の名声に、東は不愉快さを隠さなかったが、財界のご機嫌を損ねるわけにはいかない。渋々、財前を呼んだのだった。財前は、あくまでも東を立て遠慮するような素振りを見せながら、内心、まんざらでもなかった。
財前が手術のことで医局長の佃(片岡孝太郎)に指示を出し終えると、佃は次期教授選の心配を口にする。佃は、東が東都大学の船尾教授に頻繁に連絡を取っていると言うのだ。その場を離れると、里見と加奈子がいる。加奈子が財前と里見の仲を茶化そうとした、その時、加奈子は突然昏倒した。
里見が加奈子を診療すると、胃から肝臓、肺に転移した末期のがんであった。
そのころ、財前は、五十嵐の診断をしていたが、東派の金井講師(奥田達士)に手術スタッフから外れるよう指示していた。そちらに掛かりきりの財前は、里見からの加奈子の治療に関する相談を無視した。
芦屋のあるホールで、浪速大医学部の教授婦人会「くれない会」の総会が開かれていた。この日は役員改選が議題である。東の妻・政子(高畑淳子)は、鵜飼医学部長の妻・典江(野川由美子)の続投は堅く、当然、現副会長である自分も再任されると信じて疑わなかった。だが、予想通り会長に再任された典江は、副会長に医学部付属病院長の則内(田中主将)の妻・喜久子(橘ユキコ)を指名した。青ざめる政子であった。政子は、医学部内での権力構造がそのまま転写されるくれない会の常ゆえ、まもなく定年を迎える自分の夫の力が衰えていることを痛感するのであった。
里見の熱意に負けた財前は加奈子の診断に参加したが、手の施しようのない状態ゆえ、外科的治療は意味ない、手術は出来ないと、里見に断言する。里見は「誰かを救うためには誰かを切り捨てるのか」と食い下がるが、財前は「外科は治る可能性のある患者を優先的に救うのであり、大学病院も限られたベッドの中で出来るだけたくさんの患者を救うのが使命だ」と突っぱねる。
東の不穏な動きを心配した財前は舅・又一(西田敏行)に相談する。アラジンに現れた又一は「奉公が報われるとは限らない。結局は金だ。金ですべてを手に入れるのだ」と、財前とケイ子(黒木瞳)の仲を探りながら裏の方法を示唆する。
家に帰った政子は、夫の政治的手腕の貧困さを痛罵し、次期教授選びでもきちんと自分のことを考えて動けと発破を掛ける。東は、船尾が推薦してきた候補二人の履歴書を見せ、話を進めている様子を見せる。政子は即座に「迷う必要はない」と言い放った。「佐枝子のことを考えれば決まることです。独身は菊川さん一人だけでしょう」。政子は佐枝子(矢田亜希子)の結婚相手として菊川を選任せよというのだった。別室でこのやり取りを聞いていた佐枝子はやるせなく扉を閉めた。
五十嵐の手術が始まった。見学室には東と金井がいる。東は金井が手術助手に入っていないことを訝る。「佃君では経験が浅い。本来なら君がやるべきだ」とし「財前君は腕に溺れている芸人である」と思うところを語ったその時、金井が声を上げた。五十嵐の腹腔に大量な出血が始まったのだ。鳴り響く警告音。焦る助手たち。そして…。
財前が手術のことで医局長の佃(片岡孝太郎)に指示を出し終えると、佃は次期教授選の心配を口にする。佃は、東が東都大学の船尾教授に頻繁に連絡を取っていると言うのだ。その場を離れると、里見と加奈子がいる。加奈子が財前と里見の仲を茶化そうとした、その時、加奈子は突然昏倒した。
里見が加奈子を診療すると、胃から肝臓、肺に転移した末期のがんであった。
そのころ、財前は、五十嵐の診断をしていたが、東派の金井講師(奥田達士)に手術スタッフから外れるよう指示していた。そちらに掛かりきりの財前は、里見からの加奈子の治療に関する相談を無視した。
芦屋のあるホールで、浪速大医学部の教授婦人会「くれない会」の総会が開かれていた。この日は役員改選が議題である。東の妻・政子(高畑淳子)は、鵜飼医学部長の妻・典江(野川由美子)の続投は堅く、当然、現副会長である自分も再任されると信じて疑わなかった。だが、予想通り会長に再任された典江は、副会長に医学部付属病院長の則内(田中主将)の妻・喜久子(橘ユキコ)を指名した。青ざめる政子であった。政子は、医学部内での権力構造がそのまま転写されるくれない会の常ゆえ、まもなく定年を迎える自分の夫の力が衰えていることを痛感するのであった。
里見の熱意に負けた財前は加奈子の診断に参加したが、手の施しようのない状態ゆえ、外科的治療は意味ない、手術は出来ないと、里見に断言する。里見は「誰かを救うためには誰かを切り捨てるのか」と食い下がるが、財前は「外科は治る可能性のある患者を優先的に救うのであり、大学病院も限られたベッドの中で出来るだけたくさんの患者を救うのが使命だ」と突っぱねる。
東の不穏な動きを心配した財前は舅・又一(西田敏行)に相談する。アラジンに現れた又一は「奉公が報われるとは限らない。結局は金だ。金ですべてを手に入れるのだ」と、財前とケイ子(黒木瞳)の仲を探りながら裏の方法を示唆する。
家に帰った政子は、夫の政治的手腕の貧困さを痛罵し、次期教授選びでもきちんと自分のことを考えて動けと発破を掛ける。東は、船尾が推薦してきた候補二人の履歴書を見せ、話を進めている様子を見せる。政子は即座に「迷う必要はない」と言い放った。「佐枝子のことを考えれば決まることです。独身は菊川さん一人だけでしょう」。政子は佐枝子(矢田亜希子)の結婚相手として菊川を選任せよというのだった。別室でこのやり取りを聞いていた佐枝子はやるせなく扉を閉めた。
五十嵐の手術が始まった。見学室には東と金井がいる。東は金井が手術助手に入っていないことを訝る。「佃君では経験が浅い。本来なら君がやるべきだ」とし「財前君は腕に溺れている芸人である」と思うところを語ったその時、金井が声を上げた。五十嵐の腹腔に大量な出血が始まったのだ。鳴り響く警告音。焦る助手たち。そして…。