白い巨塔
#11 待望の第二部衝撃スタート!!天国と地獄
年が明けた。第一外科の教授席には、夢をかなえた財前五郎(唐沢寿明)が威厳をたたえ充実した面持ちで座っている。第一外科はあっという間に財前体制に切り替わったのだ。財前は、ポーランドで開かれる国際外科医学会に招かれ、その準備に忙殺されていた。財前が執刀した患者の佐々木庸平(田山涼成)は、手術の成功を妻よし江(かたせ梨乃)や長男庸一(中村俊太)と喜んでいた。里見(江口洋介)も財前の力量に感嘆していたが、庸平のセキに少なからず疑念を抱きはじめた。里見は庸平担当の柳原(伊藤英明)を呼び、財前に報告するように指示した。
財前は、婿の教授就任で大喜びする又一(西田敏行)の医院で柳原からの電話を受けた。財前は柳原の浅薄な行動に苛立ちながら、庸平の容態変化について「術後肺炎であり抗生物質で叩け」と自信たっぷりに指示し、柳原の横に里見の存在を知って、露骨に不快感を表す。
そのころ東は庭の手入れをしていた。佐枝子(矢田亜希子)が一向に決まらない就職活動から帰ってくる。政子(高畑淳子)が声高に東と佐枝子に嫌味を言う。だが東は「財前君が勝ったかは、これからを見なければ分からない。ゆっくりと拝見しよう」と意味深につぶやくのだった。
財前は久しぶりにアラジンに足を向けケイ子(黒木瞳)に「マンションの頭金でも出してやるから便利なところへ移れ」などと権勢風をふかし、ワルシャワの学会に同伴するよう求める。ケイ子は、財前の自惚れと浮つきように、少なからず違和感を覚えた。
庸平の容態は刻一刻と悪化しているようだった。柳原は焦りを覚えていた。よし江は夫と柳原の様子に不安が募り里見に相談する。が、里見は立場上「外科を信用してくれ」と言うしかなかった。
豪華な見送りを受け財前は飛び立って行った。ポーランド・ワルシャワ空港に着くと、現地の案内をする業者の駐在員・諒子(奥貫薫)が待ち受けていた。財前は諒子に命じ、観光でなく公開手術を行う大学へ向かった。財前は学会会長のエマーソンに会い、手術スタッフと交流を持った。ここでは財前は日本を代表する名医であった。翌日の手術は慣れない環境の中、財前らしい完璧な執刀であった。後日行われた講演も見事なもので、偏屈で鳴るエマーソン博士をして「学会の名誉会員に推薦したい」とまで言わしめたのだった。
ホテルに帰ると諒子が「奥様がお待ちです」と言う。見るとケイ子であった。財前はメールボックスに入っていた里見からの「庸平病状悪化」のメールを削除し、自分の絶頂を肴に杯を重ね、ケイ子と唇を重ねた。
そのころ佐枝子は事務員募集の広告を出していた関口法律事務所の扉を叩いていた。だが関口(上川隆也)は「事務所をたたむから、バイトはいらない」と言う。関口は医療裁判の専門家で、敗訴が続き田舎に帰るというのだ。佐枝子は関口に、関口は佐枝子に興味を覚えた。
刻々と危険な状態に向かう庸平に、里見は財前にメールを打ち続けた。だが、財前は無視し続けた。と、ケイ子が帰国するという。二人は子供に混じってスケート遊びをし、ベンチに座る。ケイ子は「別れましょ」と唐突に切り出した。「これを言いに来たの」。無言が続き、財前は「分かった」と漏らした。
翌日、諒子が案内した「観光地」はアウシュビッツであった。「生き残り」の老人の案内で「医師による『人体実験』という名の大量殺戮」の現場を歩き、財前は人類の「負の遺産」を実感する。財前が展望台から収容所とガス室に別れる線路を見詰めている時、庸平は…。
財前は、婿の教授就任で大喜びする又一(西田敏行)の医院で柳原からの電話を受けた。財前は柳原の浅薄な行動に苛立ちながら、庸平の容態変化について「術後肺炎であり抗生物質で叩け」と自信たっぷりに指示し、柳原の横に里見の存在を知って、露骨に不快感を表す。
そのころ東は庭の手入れをしていた。佐枝子(矢田亜希子)が一向に決まらない就職活動から帰ってくる。政子(高畑淳子)が声高に東と佐枝子に嫌味を言う。だが東は「財前君が勝ったかは、これからを見なければ分からない。ゆっくりと拝見しよう」と意味深につぶやくのだった。
財前は久しぶりにアラジンに足を向けケイ子(黒木瞳)に「マンションの頭金でも出してやるから便利なところへ移れ」などと権勢風をふかし、ワルシャワの学会に同伴するよう求める。ケイ子は、財前の自惚れと浮つきように、少なからず違和感を覚えた。
庸平の容態は刻一刻と悪化しているようだった。柳原は焦りを覚えていた。よし江は夫と柳原の様子に不安が募り里見に相談する。が、里見は立場上「外科を信用してくれ」と言うしかなかった。
豪華な見送りを受け財前は飛び立って行った。ポーランド・ワルシャワ空港に着くと、現地の案内をする業者の駐在員・諒子(奥貫薫)が待ち受けていた。財前は諒子に命じ、観光でなく公開手術を行う大学へ向かった。財前は学会会長のエマーソンに会い、手術スタッフと交流を持った。ここでは財前は日本を代表する名医であった。翌日の手術は慣れない環境の中、財前らしい完璧な執刀であった。後日行われた講演も見事なもので、偏屈で鳴るエマーソン博士をして「学会の名誉会員に推薦したい」とまで言わしめたのだった。
ホテルに帰ると諒子が「奥様がお待ちです」と言う。見るとケイ子であった。財前はメールボックスに入っていた里見からの「庸平病状悪化」のメールを削除し、自分の絶頂を肴に杯を重ね、ケイ子と唇を重ねた。
そのころ佐枝子は事務員募集の広告を出していた関口法律事務所の扉を叩いていた。だが関口(上川隆也)は「事務所をたたむから、バイトはいらない」と言う。関口は医療裁判の専門家で、敗訴が続き田舎に帰るというのだ。佐枝子は関口に、関口は佐枝子に興味を覚えた。
刻々と危険な状態に向かう庸平に、里見は財前にメールを打ち続けた。だが、財前は無視し続けた。と、ケイ子が帰国するという。二人は子供に混じってスケート遊びをし、ベンチに座る。ケイ子は「別れましょ」と唐突に切り出した。「これを言いに来たの」。無言が続き、財前は「分かった」と漏らした。
翌日、諒子が案内した「観光地」はアウシュビッツであった。「生き残り」の老人の案内で「医師による『人体実験』という名の大量殺戮」の現場を歩き、財前は人類の「負の遺産」を実感する。財前が展望台から収容所とガス室に別れる線路を見詰めている時、庸平は…。