白い巨塔
#12 捨て身
財前(唐沢寿明)がポーランド出張から空港に降り立つと、財前の執刀後亡くなった庸平(田山涼成)の息子・庸一(中村俊太)が現れ「あなたに殺された」となじる。財前が落ち着いて庸一をかわすと、空港の外には里見(江口洋介)が待ち受けていた。里見は、庸平の亡骸が大河内教授(品川徹)により病理解剖され、食道がん手術は完全に成功しているが、死因は術前から存在したとみられる肺がんの転移による「がん性リンパ管症のための呼吸不全」と断じられたことを伝えた。が、財前は全く相手にせず病院へ向かった。
その晩、佐々木家では通夜が行われた。同時刻、扇屋では又一(西田敏行)や岩田(曾我廼家文童)、製薬会社役員らが集まっての財前帰国祝賀会が開かれた。その中で鵜飼(伊武雅刀)だけ目が笑っていない。財前を別室に呼び出し「亡くなった患者のこと、間違っても浪速大の名が傷つかないだろうね」と念を押す。財前は「落ち度はありません、ご安心ください」と鵜飼の不安を退けた。
翌日は庸平の葬儀である。財前は医局に寄り、佃(片岡孝太郎)や安西(小林正寛)らの留守中の労をねぎらっていた。金井(奥田達士)が庸平の死を報告すると柳原(伊藤英明)が必死の形相で声をかけてきた。財前が教授室に招き入れると柳原は庸平の家族に謝りたいと言う。財前は柳原をなだめる。柳原が、家族へ死因を説明したのが里見であることを明かすと、財前はさすがに激昂した。
佐々木家では焼香が始まった。その列に里見の姿があった。庸一やよし江がそれに気付いた。よし江はふらふらと里見に近寄り「お引取りください。浪速大学の方にはいらして欲しくありません」と言い放った。里見は仕方なくその場を去ろうとした。と、後からよし江が追ってきた。「財前先生は来られないんですか。何の挨拶もないんですか。うちの人は財前先生に殺されたのよ」。力なく帰る里見の背中に向かってよし江は「私、財前先生を…訴えます」と誓うのであった。葬儀が終わり、佐々木家に二人残されたよし江と庸一。庸一が口を開いた。「裁判やろう。親父の無念を晴らそう」。二人の心は強く一つになった。
よし江と庸一は、「訴える」といっても何をどうすればいいか見当もつかなかった。とりあえず警察に行くが、とりあえず医師会へ行く事だと助言され医師会に向かった。
そんなころ、東佐枝子(矢田亜希子)は医療裁判専門の関口弁護士(上川隆也)の事務所でバイトをしていた。関口は事務所を閉める予定だったが残務整理のために雇っていたのだ。佐枝子が閉める理由を訊くと、関口は裁判で負けた遺族の悲しみを共有できなくなったからだ、と言う。
案の定、よし江たちは弁護士にけんもほろろに門前払いされた。それではと、電話帳などで片っ端から弁護士探しを始めるのだった。
関口の事務所が粗方片付いたその時、ドアを叩くものがあった。よし江と庸一だった。「うちは閉めることに…」と関口が言おうとした瞬間、よし江が倒れてしまった。
2週間後、総回診中の財前のもとへ事務課の職員が血相を変えてやって来た。「先生、裁判所から証拠保全の連絡が…」。ざわつく医局員たち。財前は「予測の範囲だ」と一際冷静を装うのであった。
その晩、佐々木家では通夜が行われた。同時刻、扇屋では又一(西田敏行)や岩田(曾我廼家文童)、製薬会社役員らが集まっての財前帰国祝賀会が開かれた。その中で鵜飼(伊武雅刀)だけ目が笑っていない。財前を別室に呼び出し「亡くなった患者のこと、間違っても浪速大の名が傷つかないだろうね」と念を押す。財前は「落ち度はありません、ご安心ください」と鵜飼の不安を退けた。
翌日は庸平の葬儀である。財前は医局に寄り、佃(片岡孝太郎)や安西(小林正寛)らの留守中の労をねぎらっていた。金井(奥田達士)が庸平の死を報告すると柳原(伊藤英明)が必死の形相で声をかけてきた。財前が教授室に招き入れると柳原は庸平の家族に謝りたいと言う。財前は柳原をなだめる。柳原が、家族へ死因を説明したのが里見であることを明かすと、財前はさすがに激昂した。
佐々木家では焼香が始まった。その列に里見の姿があった。庸一やよし江がそれに気付いた。よし江はふらふらと里見に近寄り「お引取りください。浪速大学の方にはいらして欲しくありません」と言い放った。里見は仕方なくその場を去ろうとした。と、後からよし江が追ってきた。「財前先生は来られないんですか。何の挨拶もないんですか。うちの人は財前先生に殺されたのよ」。力なく帰る里見の背中に向かってよし江は「私、財前先生を…訴えます」と誓うのであった。葬儀が終わり、佐々木家に二人残されたよし江と庸一。庸一が口を開いた。「裁判やろう。親父の無念を晴らそう」。二人の心は強く一つになった。
よし江と庸一は、「訴える」といっても何をどうすればいいか見当もつかなかった。とりあえず警察に行くが、とりあえず医師会へ行く事だと助言され医師会に向かった。
そんなころ、東佐枝子(矢田亜希子)は医療裁判専門の関口弁護士(上川隆也)の事務所でバイトをしていた。関口は事務所を閉める予定だったが残務整理のために雇っていたのだ。佐枝子が閉める理由を訊くと、関口は裁判で負けた遺族の悲しみを共有できなくなったからだ、と言う。
案の定、よし江たちは弁護士にけんもほろろに門前払いされた。それではと、電話帳などで片っ端から弁護士探しを始めるのだった。
関口の事務所が粗方片付いたその時、ドアを叩くものがあった。よし江と庸一だった。「うちは閉めることに…」と関口が言おうとした瞬間、よし江が倒れてしまった。
2週間後、総回診中の財前のもとへ事務課の職員が血相を変えてやって来た。「先生、裁判所から証拠保全の連絡が…」。ざわつく医局員たち。財前は「予測の範囲だ」と一際冷静を装うのであった。