白い巨塔

第13回 2004年1月22日(木)放送 あらすじ

#13 カルテ改ざん

 佐々木よし江(かたせ梨乃)の「夫・庸平(田村涼成)が死んだのは財前(唐沢寿明)の診療ミスのせいだ。訴えるのを手伝って」という叫びにも似た依頼に動かされ、弁護士の関口(上川隆也)は浪速大病院に乗り込んだ。迎え撃つ財前は、うろたえることなく、佃(片岡孝太郎)と柳原(伊藤英明)にカルテだけを証拠として提示し、決して落ち着きを失わないよう指示を飛ばした。関口はこんな第一外科の意思統一によりなかなか思う通りの証拠集めができない。
 そんなころ、関口の事務所によし江と庸一(中村俊太)が着手金200万円を持ってやって来た。留守番の佐枝子(矢田亜希子)は、「引き受けてもらっただけで十分だ」と感激するよし江の様子に複雑な思いがよぎる。そこに関口が戻って来た。証拠が揃わずガードの固さを感じた関口は、裁判維持が難しいことをよし江たちに仄めかす。「そこをどうにか」と迫るよし江たちの熱意と目の前の200万円を見て、関口は「もう少し考えてみます」と、結論を先送りにした。
 財前は鵜飼部長(伊武雅刀)にことの経緯を説明し「どうしても裁判というなら受けて立ちます」と威勢のいいところを見せる。だが、鵜飼は「受けて立たれては困るんだよ」とそれを冷ややかに制した。「問題は弁護士に乗り込まれるような事態になったことだ。病院は何より信用なんだ」と財前を諌める。そこへ里見(江口洋介)が入ってきた。鵜飼に意見を求められ「財前先生の手術は完璧でしたが、肺への転移をもっと検討すれば…」と里見は答えるが、鵜飼は無視し「だから葬式に行ったというのか。軽率だ」と里見の行動をなじるのだった。鵜飼は「明日、弁護士同席で事故調査会議を開く」と二人に言い渡したうえで「二人はどこか似ているところがある」と意味深に微笑むのだった。
 翌朝、財前は、庸平が「肺の転移を見落としているんやないか」と責める夢を見て飛び起きた。訝る杏子(若村麻由美)には何も語らず、財前は会議に急いだ。会議には財前をはじめ、佃や柳原ら第一外科のメンバーがそろった。そこへ鵜飼がベテラン弁護士の河野と若手でやり手の国平(及川光博)を伴ってやってきた。里見が遅れて着席すると、国平が話を始めた。国平は、おもむろにネクタイを外すと集まった人々に「私はどんなネクタイをしていたか」と尋ねた。各人各様に答える。「このように人間の記憶は非常に曖昧です」と受けながら庸平のカルテを取り出し「亡くなった患者の記憶や見解も様々です。事実を整理しましょう」と切り出した。国平は争点を、(1)肺の転移を見落とし手術を行った点と(2)術後のがん性リンパ管症を肺炎と誤診した点の2点に絞り医局員を問い詰めた。だが、財前を恐れる医局員はだれもその点を認めず、里見が促すにもかかわらず柳原も記憶が曖昧であるとして、大方の意見に従ってしまった。国平は「では、そのようにカルテを整理してください」と書き換えを指示した。柳原は怯み、里見は「改ざんだ」と声を上げた。財前の「君の正義感で僕が誤解される」という嫌味も鵜飼の「大学全体の問題だよ」という示唆も構わず、里見は席を立とうとした。財前はその前に立ち塞がり「医師として無責任だ」と罵った。里見はそれにも抗し、「医師の責任は別のところにある」と退席してしまった。
 そんなころ関口は佐枝子にバイト料を渡していた。佐枝子はそれがよし江の200万円から出ていることを知っていたため「事務所を閉めるのに、なぜ仕事を請けたのか」と関口を問い詰めた。関口はその真摯なまなざしに抗し切れず「お察しの通り借金返済のためだよ。こんな裁判は一発逆転の証拠でも出ない限り絶対に勝てない。それを分かって貰うのが今回の仕事かな」と苦笑した。佐枝子はやり切れぬ気持ちで事務所を後にした。
 佐々木家でも仏壇の前で騒ぎが起こっていた。庸平の弟・信平(広川三憲)が「悪徳弁護士にぼられたんやないか。200万円あるなら従業員に給料はろうたれ」と、よし江たちが関口に訴訟を頼んだことに腹を立てているのだ。「親父は殺されたんだ」と受けて立つ庸一と信平の言い争いは、よし江の心をさらに追い詰めるのだった。
 一方、カルテの「整理」は滞りなく進み「整理」された個所は修正液で白く重ねられ新しい書き込みがなされていた。
 関口が借金取りの電話に追われながら事務所の整理をしていると、佐枝子が現れた。バイト料を返し、関口に「世間に誤診を訴える気がないのに着手金を受け取っていいのですか」と問う。「佐々木さんへの裏切りです」とさらにたたみかけ「このままなら医師と同じように弁護士も最低です」と涙を溜めて見詰める。関口は天を仰いだ。
 関口は佐枝子の気持ちに負け、二人で佐々木家に着手金を返しに出かけた。当然、裁判が維持できない旨も伝えるためである。「ここで諦めたらまた同じ思いをする人が出てきます。負けてもいいから財前のひどさを世間に知らせたい」となおも食い下がるよし江に、関口は「勝てる可能性がなければ裁判は闘えない」と説得を試みる。
 二人が佐々木家の外に出ると、そこに里見が佇んでいる。里見は「何か力になれることはないかと会いに来た」と言い、治療の経緯を二人に説明した。関口は「転移に気付いており検査も勧めたというわけですね」と念を押し「法廷で証言していただければ遺族は救われます。遺族は真実が知りたいのです」と里見を篭絡する。里見はうなずき「証言しましょう」と約束した。
 2週間後、関口は再び浪速大病院に証拠保全に現れた。今度は病院側の国平弁護士も立会っている。だが、関口はまったく怯むところなく、カルテだけでなくすべての記録の提出開示を求め、念入りにかつ手際よく資料をチェックしていく。柳原は青ざめ国平の表情も動いた。

キャスト

財前五郎 … 唐沢寿明
(浪速大学第一外科教授)
里見脩二 … 江口洋介
(同第一内科助教授)

花森ケイ子 … 黒木 瞳
(クラブ・アラジンのママ)
東 佐枝子 … 矢田亜希子
(東教授の娘)
里見三知代 … 水野真紀
(里見の妻)

関口 仁 … 上川隆也
(原告側弁護士)
国平学文 … …及川光博
(財前側弁護士)
佃 友博 … 片岡孝太郎
(第一外科医局長)
鵜飼医学部長 … 伊武雅刀
(第一内科教授)

財前杏子 … 若村麻由美
(財前の妻)
亀山君子 … 西田尚美
(外科病棟ナース)
鵜飼典江 … 野川由美子
(鵜飼の妻)
黒川きぬ … 池内淳子
(財前の母)
佐々木よし江…かたせ梨乃
(裁判の原告)

柳原 弘 … 伊藤英明
(第一外科医局員)
東 貞蔵 … 石坂浩二
(第一外科教授)
財前又一 … 西田敏行
(財前マタニティクリニック院長、財前の舅)

スタッフ

■原作
  山崎豊子
■脚本
  井上由美子
■企画
  和田 行
■プロデューサー
  高橋萬彦
  川上一夫
■演出
  岩田和行
■音楽
  加古 隆
■制作
  フジテレビ
  共同テレビ

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