第8回 2004年1月13日(火)放送 あらすじ

#8 幼なじみ

 甚六(火野正平)の幼ななじみだという侍・赤星平助(國村隼)が、菊川座に甚六を訪ねてきた。赤星は上州牧野藩の足軽。国もとの務めを辞めて、故郷の江戸に帰ってきた。身なりはみすぼらしいが、腰の刀は立派である。しかし、甚六にはあまり子供のころの赤星の記憶はない。
 そのころ牧野藩江戸屋敷に、国もとから立派な駕籠に乗せ錦の袋に包まれた刀が届いた。刀は書院に安置された。しかし、藩の留守居役の田辺(津村鷹志)と腹心の部下の青木(丸岡奨詞)はあわてていた。田辺は赤星の行方を捜して、早く始末しろと青木に命じる。
 袋の中の刀はどこにでもある安物だった。本物は家宝の名刀三日月丸で、若殿の江戸城初登城に合わせて運ばせる手はずだった。田辺と青木はその中味をすり替え、江戸家老の三浦(真田健一郎)に責任を負わせて失脚させようとした。そのために、何も知らない赤星に、餞別だと言って三日月丸を渡したのだ。
 赤星は自分が家宝を盗んだ大罪人として追われる身であることを知らない。何か仕事を覚えようと、菊川座で刃渡りを習う。刀の先で独楽を回したり、刃の上を渡らせる曲芸で、うまくなれば金になる。だが赤星はあまり器用でない。
 笹原弥平(山崎銀之丞)がおたつ(平淑恵)のところに来て、ある藩の名刀を持ち逃げした男を捜していると言った。お染(若村麻由美)がその会話を物陰で聞いていた。音次(片岡愛之助)がお染を訪ねてきて、赤星をかくまうと菊川座が危ないと忠告する。
 新十郎(内藤剛志)は牧野藩の江戸屋敷の用心棒に雇われ、書院の刀の警護をしていた。久しぶりにうまい食事にありつけて喜んでいる。
 甚六が少年の日のことを思い出した。甚六が水溜りで転んで侍に水をかけ、怒った侍に無礼討ちになりそうになった。その時、赤星少年が侍の前に立ちはだかって、甚六に逃げるように言った。赤星は侍に殴られたが、甚六は助かった。
 お染が赤星の刀をこっそり見る。刀の茎(なかご)に三日月が彫られていた。江戸屋敷では田辺と青木が、若殿の初登城を三日後に控えて焦っていた。
 赤星が父親の墓参りをしているところにお染が現れる。赤星が身の上話を始めた。貧しい足軽だった赤星は、妻に死なれて侍身分への執着をなくした。上州生まれの妻は海を見たことがなく、「きれいな海を見たい」と言っていた。赤星は三十年ぶりに江戸に帰り、どこかで海を見ようと思った。
 上役の青木はその申し出を快く許し、さらに餞別として立派な刀を渡した。赤星はそれを江戸で金に換えようと考えた。
 お染は赤星に、赤星は家宝の刀を盗んで出奔したことになっていると話した。驚く赤星。そこに青木とその部下の侍が現れ、赤星に斬りかかる。お染と赤星が応戦して青木らは逃げた。菊川座に戻った赤星は、「三日月丸を持って江戸屋敷に返しに行く」という。しかし、それでは青木らに殺されるだけだろう。そう思ったお染は三日月丸を預かった。
 お染は黒装束の盗賊姿になって江戸屋敷に忍び込もうとする。一度は、新十郎に発見されて失敗したが、音次が協力して二度目には潜入に成功、無事に刀を返した。
 そうとは知らない留守居役の田辺は、江戸家老の三浦に三日月丸の確認を求める。そこで真っ赤な偽物の刀が出てきて、大騒ぎになる計画だったが本物が現れ、田辺の計画は水の泡になった。
 赤星は侍身分を捨てて旅に出た。妻が見たがったきれいな海を見るという。

キャスト

夜桜お染 … 若村麻由美
石室新十郎 … 内藤剛志
音次 … 片岡愛之助
笹原弥平 … 山崎銀之丞
甚六 … 火野正平

菊川春之丞 … 鏡味仙三郎(太神楽師)
菊川小太郎 … 鏡味仙一(太神楽師)
菊川春吉 … 鏡味仙三(太神楽師)

おろく … 南條瑞江
あやめ … 亜路奈
文次 … 井手らっきょ

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赤星平助 … 國村 隼
柳川惣左衛門 … 三谷 昇
田辺 … 津村鷹志
青木 … 丸岡奨詞
三浦 … 真田健一郎

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おたつ … 平 淑恵
   ほか

スタッフ

■脚本
  中村 努
■企画
  能村庸一
  西岡善信
■プロデュース
  保原賢一郎
  西村維樹
■監督
  三村晴彦
■美術監修
  西岡善信
■音楽
  coba
■制作
  フジテレビ
  映像京都

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