夜桜お染
#6 お時殺し
菊川座で小道具類がなくなる。甚六(火野正平)が泊り込み、盗みに入った信吉(森田直幸)という男の子を捕まえる。お染(若村麻由美)と新十郎(内藤剛志)が長屋へ行くと、年頃の姉おみの(前田亜季)と病気の父親久助(谷口高史)と三人の貧しい暮らし。信吉は盗んだ道具を売って酒を買い、父親に飲ませていた。お染と新十郎は、平謝りするおみのと信吉を見ていて哀れになった。
お時(岡まゆみ)という女が殺された。同心の笹原弥平(山崎銀之丞)と岡っ引き文次(井手らっきょ)が調べを始める。お時は飲み屋で働く四十近い一人暮らしだが、助三郎(上杉祥三)という愛人がいる。元は腕のいい板前だったが金と女にだらしがなく、今では何人かの女にたかって生きている。お時との間には別れ話があり、弥平は助三郎が下手人だと疑ったが、お時が殺された夜は別の女のところに一晩中いた。助三郎は、お時は亭主や子供を捨てたので、娘に恨まれているはずだ、と言った。
気になった弥平がお染に、信吉が住む長屋の場所を聞くと、お時が捨てた家族の住まいと同じ町だった。弥平はおみのにお時の遺体を見せる。二年前に家を出た母親だった。おみのは、お時を恨んでいると言った。
信吉が目に涙をためて菊川座に駆け込んできた。おみのが入船楼という遊郭に売られたのだ。お染と新十郎が入船楼に駆け込むが、意外なことにおみのは平静で、金のために自分で身を売ったと言う。だが八両の金は家族には渡らず、助三郎がお時の名代だと言って受け取っていた。お染と新十郎は、金は取り返すので二日間はおみのに客を取らせないよう女将に言った。
思案しているお染の前に音次(片岡愛之助)が現れ、「お困りならお助けしましょう」と言う。人の心が分かるような不思議な男だ。お染は助三郎の居場所を探すように頼んだ。
おみのがお時殺しの下手人として入船楼から連れ出され、牢に入れられる。牢に女囚に化けたお染が入って来る。おみのは、お時が殺された夜は奉公先に泊まりこんでいたことが分かっていた。だが、おみのが客を取らないで済む一番安全な場所は牢の中だと、お染が考え、弥平に頼んだのだ。
牢の中でおみのは、お時が子供から借金をした上に、「病人の世話で大変だろうから」と身売り話を持ちかけてきたこと。ひどい話だが、信吉が盗みをしたこともあって決心したことをお染に話した。
久助の容態が急変して息を引き取る。弥平に付き添われておみのも死に目に会えた。お染は久助の布団の下の布の包みに気が付き、懐にしまった。新十郎がそれを見ていた。井戸端で包みを開けると、血のついた鑿が出てきた。お時を殺したのは久助だった。自分たちを捨てたうえに、おみのまで売る話を枕もとで聞いて、子供たちのために最後の力を振り絞ったのだろう。
音次が助三郎の居場所を伝えに来た。ある料亭で飲んでいる。そう聞いてお染は芸者に変装して宴席へ入り込む。そして、「入船楼の使いが訪ねて来ています」とささやく。あわてた助三郎に、「裏口はこちら」と言うとついてきた。
裏口で待っていたのは新十郎。入船楼のヤクザたちもいて、「いわくつきの娘を売りやがって」と怒っている。動転して暴れる助三郎は匕首でヤクザの一人を傷つけた。新十郎が匕首を叩き落し、そこに弥平が来て助三郎を捕らえる。人を刺したら軽くて処払い、重ければ島流し。これで、おみのに付きまとう男もいなくなった。
お時(岡まゆみ)という女が殺された。同心の笹原弥平(山崎銀之丞)と岡っ引き文次(井手らっきょ)が調べを始める。お時は飲み屋で働く四十近い一人暮らしだが、助三郎(上杉祥三)という愛人がいる。元は腕のいい板前だったが金と女にだらしがなく、今では何人かの女にたかって生きている。お時との間には別れ話があり、弥平は助三郎が下手人だと疑ったが、お時が殺された夜は別の女のところに一晩中いた。助三郎は、お時は亭主や子供を捨てたので、娘に恨まれているはずだ、と言った。
気になった弥平がお染に、信吉が住む長屋の場所を聞くと、お時が捨てた家族の住まいと同じ町だった。弥平はおみのにお時の遺体を見せる。二年前に家を出た母親だった。おみのは、お時を恨んでいると言った。
信吉が目に涙をためて菊川座に駆け込んできた。おみのが入船楼という遊郭に売られたのだ。お染と新十郎が入船楼に駆け込むが、意外なことにおみのは平静で、金のために自分で身を売ったと言う。だが八両の金は家族には渡らず、助三郎がお時の名代だと言って受け取っていた。お染と新十郎は、金は取り返すので二日間はおみのに客を取らせないよう女将に言った。
思案しているお染の前に音次(片岡愛之助)が現れ、「お困りならお助けしましょう」と言う。人の心が分かるような不思議な男だ。お染は助三郎の居場所を探すように頼んだ。
おみのがお時殺しの下手人として入船楼から連れ出され、牢に入れられる。牢に女囚に化けたお染が入って来る。おみのは、お時が殺された夜は奉公先に泊まりこんでいたことが分かっていた。だが、おみのが客を取らないで済む一番安全な場所は牢の中だと、お染が考え、弥平に頼んだのだ。
牢の中でおみのは、お時が子供から借金をした上に、「病人の世話で大変だろうから」と身売り話を持ちかけてきたこと。ひどい話だが、信吉が盗みをしたこともあって決心したことをお染に話した。
久助の容態が急変して息を引き取る。弥平に付き添われておみのも死に目に会えた。お染は久助の布団の下の布の包みに気が付き、懐にしまった。新十郎がそれを見ていた。井戸端で包みを開けると、血のついた鑿が出てきた。お時を殺したのは久助だった。自分たちを捨てたうえに、おみのまで売る話を枕もとで聞いて、子供たちのために最後の力を振り絞ったのだろう。
音次が助三郎の居場所を伝えに来た。ある料亭で飲んでいる。そう聞いてお染は芸者に変装して宴席へ入り込む。そして、「入船楼の使いが訪ねて来ています」とささやく。あわてた助三郎に、「裏口はこちら」と言うとついてきた。
裏口で待っていたのは新十郎。入船楼のヤクザたちもいて、「いわくつきの娘を売りやがって」と怒っている。動転して暴れる助三郎は匕首でヤクザの一人を傷つけた。新十郎が匕首を叩き落し、そこに弥平が来て助三郎を捕らえる。人を刺したら軽くて処払い、重ければ島流し。これで、おみのに付きまとう男もいなくなった。