ビギナー
#8 泣くな!見習い裁判官
司法修習生の楓由子(ミムラ)は、刑事裁判の実務修習で、実際に裁判中の事件を担当することになった。だが、事件は殺人。楓は、羽佐間旬(オダギリジョー)、桐原勇平(堤真一)、松永鈴希(奥菜恵)、田家六太郎(我修院達也)、黒沢圭子(横山めぐみ)、崎田和康(北村総一朗)、森乃望(松雪泰子)たち仲間と協力して、量刑と判決の起案をまとめて提出するよう野佐木恍也教官(石橋凌)に言われるが難航する。事件の難しさ、そして価値観の違いから、仲間たちの意見がまとまらないのだ。特に、被告人の心情を汲み取ろうとする羽佐間と、犯罪は犯罪と割りきるべきだと主張する桐原の間には大きな溝が生まれてしまった。
仲間たちとの論議がまとまらないまま、楓は実務修習先の裁判所へ赴き、担当裁判官の星野聡(若林豪)に会う。物腰の柔らかい星野だったが、楓が事件の殺害現場を見てみたいと申し出ると、裁判官が独自に事件現場に出向くことや、被告人と法廷外で話すことは出来ないこと、さらに、被告人に同情して刑を軽くしたり量刑を変えるようなことは考えないようにと、おだやかに、だがきっぱりと厳命した。こうして楓は、修習生として公判に立ち会う。生まれて初めて“人を殺した男”、男A=堀池靖(三井善忠)を目の前にすることになる。
楓以外の仲間たちも、それぞれの実務実習に大忙し。しかし、羽佐間と桐原の一件から全員がなんとなくギクシャクしている。それでも野佐木に、楓の事件に対する8人の統一見解を出さなければならない。実務修習の合間を縫って研修所の教室に集まった楓たち。楓は進行中の裁判の様子をみんなに説明。被告人である男Aの法廷内での様子や、新たに判明した事実を伝える。それは、男Aが上京してすぐに全財産の入ったかばんを紛失していることと、上京前に働いていて突然閉鎖された工場から解雇手当を受け取ることが出来たこと。新たな情報をめぐって、崎田は男Aに同情。一方松永は、裁判の争点は、男Aが妻に殺害を依頼されてから実行するまでに時間が経過していることを踏まえて“同意殺人”の解釈が成立するかどうかであり、それら一連の出来事が起こる以前に起こった新事実についての議論は無意味だと主張した。これに対し森乃は、男Aが殺害にいたるまでの事情は、殺人の同意が存在したかどうかを知るために欠かせないと主張する。そして桐原は、どちらにしても多数決でこの日のうちに判決と量刑を決めようと提案する。その結果は、男Aが同意殺人罪であったことを認めるというもの。しかし、肝心の楓は答えを出すことができない。法廷で男Aを目の当たりにした楓は、死んでしまったB子にも思いを巡らせていたのだ。羽佐間も自分の意見を言葉にすることはなかった。
桐原と食事に出かけた森乃は、責めるわけではないが羽佐間がしゃべらなかったことを話題に。すると、桐原は先に店を出るという。話があったのでは? と、森乃がいうと、思い出のレストランにひとりで来たくなかっただけだ、などという。森乃は、そんな桐原に男Aの最終弁論を見に行くようにと促した。人に呼ばれているという桐原は店を出ていく。1人になった森乃が帰ろうとすると、猪瀬久美子(森下涼子)が声をかけて来た。猪瀬は、桐原のつらい過去を森乃に伝える。一方、桐原は居酒屋で野佐木教官と会っていた。桐原は、人を簡単に信じることが出来ず、男Aの気持ちをどうしても理解できない、法曹の仕事が自分には向いてないと野佐木に語る。しかし、野佐木は桐原に言う、人の気持ちを理解できると思う事こそ傲慢と。
桐原は、1人で殺害現場を訪れる。すると、羽佐間が現れる。羽佐間は、自分がどうして弁護士を目指したかを語り、2人でもう一度この事件を検証する。しかし、桐原の考えは変わらない。結局、2人の溝は開いたままで…。その頃、楓は松永もいる寮の食堂で事件を検証中。楓は、松永に意見を求めるが、もう野佐木に起案は提出したと自分の課題に没頭する風を装われてしまう。だが、楓のあまりの熱心さに、松永はつい相談に乗ってしまった。そこに、羽佐間が帰ってくるが、今度はやはり考え方の違う松永と意見が合わない。
男Bの最終弁論が始まった。緊張の面もちで法廷に入った楓は、傍聴席に桐原の姿をみとめる。淡々と公判が進み、裁判長の星野は最後に言いたいことは? と、男Aに促した。すると、男Aは殺人を認めた上で心残りがあると言う。それは、楓が気づいたアンパンのことだった。男Aは、やはり殺害した妻のため、最後にアンパンを食べさせようとしたと言う。しかし、妻はもう食べることが出来なかった。そこで、公園の水を飲ませた。すると妻は“ああおいしい…ありがとう”と言ったという。男Aは、どうして最後のお金でジュースを買わなかったのかと悔やんで涙を流す。必死に涙をこらえる楓、傍聴席では桐原が泣いていた。—桐原が裁判所を出ると、森乃が待っていた。森乃に泣いたのか? と、聞かれると桐原は否定。また、男Aには情状酌量の余地はないと、桐原は当初の見解を貫く。
寮に戻った楓は、食堂で最終弁論を受けての判決と量刑の起案を書いていた。だが、その表情は沈んでいる。それに気づいた羽佐間がわけを尋ねる。すると楓は、男Aの最終弁論で夫婦の深い愛情に気づいたと言う。しかし‥楓は自分の起案を読み上げる—男Aは殺人罪、懲役6年の実刑…。どんなことがあっても、人が人を殺してはいけないと、楓は、羽佐間に涙ながらに語る。そんな楓を、羽佐間は優しく抱きとめて…。
楓の起案は間違ったものではなかった。そして星野たちの判決はさらに厳しいものだった。報告を聞いた仲間たちは、それぞれの思いで受けとめる。桐原は留守。と、楓は司法修習生の1人が傍聴席で泣いていたと話す。その様子をつぶさに語る楓に、仲間たちは桐原だと直感。羽佐間は、そんな桐原に再び親近感を取り戻して…。
仲間たちとの論議がまとまらないまま、楓は実務修習先の裁判所へ赴き、担当裁判官の星野聡(若林豪)に会う。物腰の柔らかい星野だったが、楓が事件の殺害現場を見てみたいと申し出ると、裁判官が独自に事件現場に出向くことや、被告人と法廷外で話すことは出来ないこと、さらに、被告人に同情して刑を軽くしたり量刑を変えるようなことは考えないようにと、おだやかに、だがきっぱりと厳命した。こうして楓は、修習生として公判に立ち会う。生まれて初めて“人を殺した男”、男A=堀池靖(三井善忠)を目の前にすることになる。
楓以外の仲間たちも、それぞれの実務実習に大忙し。しかし、羽佐間と桐原の一件から全員がなんとなくギクシャクしている。それでも野佐木に、楓の事件に対する8人の統一見解を出さなければならない。実務修習の合間を縫って研修所の教室に集まった楓たち。楓は進行中の裁判の様子をみんなに説明。被告人である男Aの法廷内での様子や、新たに判明した事実を伝える。それは、男Aが上京してすぐに全財産の入ったかばんを紛失していることと、上京前に働いていて突然閉鎖された工場から解雇手当を受け取ることが出来たこと。新たな情報をめぐって、崎田は男Aに同情。一方松永は、裁判の争点は、男Aが妻に殺害を依頼されてから実行するまでに時間が経過していることを踏まえて“同意殺人”の解釈が成立するかどうかであり、それら一連の出来事が起こる以前に起こった新事実についての議論は無意味だと主張した。これに対し森乃は、男Aが殺害にいたるまでの事情は、殺人の同意が存在したかどうかを知るために欠かせないと主張する。そして桐原は、どちらにしても多数決でこの日のうちに判決と量刑を決めようと提案する。その結果は、男Aが同意殺人罪であったことを認めるというもの。しかし、肝心の楓は答えを出すことができない。法廷で男Aを目の当たりにした楓は、死んでしまったB子にも思いを巡らせていたのだ。羽佐間も自分の意見を言葉にすることはなかった。
桐原と食事に出かけた森乃は、責めるわけではないが羽佐間がしゃべらなかったことを話題に。すると、桐原は先に店を出るという。話があったのでは? と、森乃がいうと、思い出のレストランにひとりで来たくなかっただけだ、などという。森乃は、そんな桐原に男Aの最終弁論を見に行くようにと促した。人に呼ばれているという桐原は店を出ていく。1人になった森乃が帰ろうとすると、猪瀬久美子(森下涼子)が声をかけて来た。猪瀬は、桐原のつらい過去を森乃に伝える。一方、桐原は居酒屋で野佐木教官と会っていた。桐原は、人を簡単に信じることが出来ず、男Aの気持ちをどうしても理解できない、法曹の仕事が自分には向いてないと野佐木に語る。しかし、野佐木は桐原に言う、人の気持ちを理解できると思う事こそ傲慢と。
桐原は、1人で殺害現場を訪れる。すると、羽佐間が現れる。羽佐間は、自分がどうして弁護士を目指したかを語り、2人でもう一度この事件を検証する。しかし、桐原の考えは変わらない。結局、2人の溝は開いたままで…。その頃、楓は松永もいる寮の食堂で事件を検証中。楓は、松永に意見を求めるが、もう野佐木に起案は提出したと自分の課題に没頭する風を装われてしまう。だが、楓のあまりの熱心さに、松永はつい相談に乗ってしまった。そこに、羽佐間が帰ってくるが、今度はやはり考え方の違う松永と意見が合わない。
男Bの最終弁論が始まった。緊張の面もちで法廷に入った楓は、傍聴席に桐原の姿をみとめる。淡々と公判が進み、裁判長の星野は最後に言いたいことは? と、男Aに促した。すると、男Aは殺人を認めた上で心残りがあると言う。それは、楓が気づいたアンパンのことだった。男Aは、やはり殺害した妻のため、最後にアンパンを食べさせようとしたと言う。しかし、妻はもう食べることが出来なかった。そこで、公園の水を飲ませた。すると妻は“ああおいしい…ありがとう”と言ったという。男Aは、どうして最後のお金でジュースを買わなかったのかと悔やんで涙を流す。必死に涙をこらえる楓、傍聴席では桐原が泣いていた。—桐原が裁判所を出ると、森乃が待っていた。森乃に泣いたのか? と、聞かれると桐原は否定。また、男Aには情状酌量の余地はないと、桐原は当初の見解を貫く。
寮に戻った楓は、食堂で最終弁論を受けての判決と量刑の起案を書いていた。だが、その表情は沈んでいる。それに気づいた羽佐間がわけを尋ねる。すると楓は、男Aの最終弁論で夫婦の深い愛情に気づいたと言う。しかし‥楓は自分の起案を読み上げる—男Aは殺人罪、懲役6年の実刑…。どんなことがあっても、人が人を殺してはいけないと、楓は、羽佐間に涙ながらに語る。そんな楓を、羽佐間は優しく抱きとめて…。
楓の起案は間違ったものではなかった。そして星野たちの判決はさらに厳しいものだった。報告を聞いた仲間たちは、それぞれの思いで受けとめる。桐原は留守。と、楓は司法修習生の1人が傍聴席で泣いていたと話す。その様子をつぶさに語る楓に、仲間たちは桐原だと直感。羽佐間は、そんな桐原に再び親近感を取り戻して…。